20 / 115
第二章 街へ
第20話トラブル、その後
しおりを挟む
翌朝、確認してみたところ、マジッククローゼットはちゃんと開閉できた。亜空間は昨日開いたものと同じで、ちゃんと中に入れた荷物もあった。荷物も出し入れできるし特に問題ないと判断したコジローは、荷物をすべてマジッククローゼットに収納した。
朝食にする。宿の食堂にパンとスープが用意されていた。
マロには別料金を払って肉を出してもらった。毎日のマロの食事は、結構痛い出費になる予感・・・。
サンダーベアの素材をマドリーが買い取って現金化してくれた────サンダーベアは高級素材なので意外と高額だった────ため、多少余裕はある。マドリーが気を使って高い値段で買い取ってくれたのかと思ったが、そうでもなかったらしい。そのため、多少は金に余裕はあるものの、贅沢はできない。
金を(あるいは肉を?)稼ぐ必要がある。
これからこの世界で生活していかなければならないのだ。
とりあえず、冒険者登録したので、依頼をこなせば多少は稼げるだろう。
そういえば、今日はギルドへ来いと言われていた。
ギルドって何時から開いているのだろう?と思いながらギルドへ向かう。
到着。
開いていた。割と早くから開いているらしい。早朝出発のクエストも多いだろうから当然か。
電気のないこの世界では、就寝が早く、朝が早い傾向が強い。みな、暗くなったらすぐに寝て、明け方、明るくなってくる頃には活動を開始するのである。明るくする魔法や魔道具もあるが、燃費も悪いのであまり長時間は使わないらしい。火を灯して使うランプのような道具も当然あるのだが、夜にロウソクの光だけでは、あまり長時間積極的に活動すると言うことにもならないのであろう。電気・ガスがなかった時代の地球の生活と同じである。
受付に声をかけると、ギルドマスターの部屋に通された。用件は当然、昨日のドジル達の件。
リエもドジル達が先に剣を抜いたのを見ていたので、コジローについては正当防衛ということでお咎めなしとの事だった。
ただし、やりすぎると罪に問われる事もあると注意された。
コジロー:「すみません、どうせポーションで治ると思ったので・・・(手が)くっつかないとは思わなかったもので。。。」
登録試験の模擬戦でリエの実力を身を持って体験し、またドジル達の後始末もしてもらった事もあり、なんとなく下手に出てしまうコジローであったが、相手はギルドマスターなのだからそれでよいのだろう。
リエ:「意外と常識知らずのようね。森の奥で生まれ育ったのなら仕方がないか・・・」
幸い、ギルドの備品である高級ポーションを使って、コジローが切り落とした腕はくっつけることができた。ただ、使ったポーションの価格は冒険者の年収数年分もするとのこと。予算的に、無料で提供する事はギルドとしてもできないらしい。
コジローは値段を聞いて青くなったが、今回はドジル達自身に払わせるから気にしなくて良いと言われ、ほっとした。
ドジル達は、過去の悪行も追求されペナルティとして「ランク引き下げ」と「受けられる依頼の制限」がかけられる事になったそうだ。
リエとしては、本当は冒険者資格の剥奪くらいしたいところだったのだが・・・
冒険者は、街にとっては魔獣と戦ってくれる頼りになる存在ではあるのだが、反面、荒くれ者が多い。当然、褒められたものではない性格や行動の者も多いのである。そして、戦闘訓練を積んでいるので、当然一般住民に比べれば暴力では圧倒的に強い。そんな者が好き勝手に暴れれば、大変迷惑な存在となってしまうのである。住民と良好な関係を維持するためにも、常に厳しく律している必要があるとリエは考えていた。
しかし、冒険者が不足気味の町の実情も有り、資格剥奪まではできなかったのだ。
「ドジル達は借金を返すため、今後は低ランク向けの安い依頼を必死で受け続ける事になるだろう、借金返済まで何年かはかかるかもな。」と笑うリエだったが、目が笑っていなかった。
リエ:「ところで、その剣は・・・?」
コジロー:「ああ、これは、師匠が持たせてくれたんです、私は攻撃魔法も防御魔法も使えないからと言って。」
リエ:「ちょっと見せてもらってもいい?」
コジロー:「いや・・・まぁ、見るだけなら。触れると危険です。盗まれないようにと師匠が魔法を掛けておりまして。俺以外が触ると電撃が流れます。。。」
コジローは剣を抜いてみせた。
リエ:「やはり短剣だな、昨日は長剣を持っていたようだが・・・」
コジロー:「魔力をかけると伸びるのです。」
コジローは剣を伸ばして見せた。
コジロー:「師匠の研究の成果だそうです、この世に斬れない物はないとか・・・」
リエは、昨日自分の胴を薙いだ木刀が、もしこの剣だったらと想像して少しヒヤリとするのだった。
リエ:「ところで、昨日のアレ、あなたの奥の手。ものすごいスピードで移動した・・・わけではなく、あれは 転移 ね?」
まずい・・・
転移魔法については、なるべく人に知らせないほうが良いと言われていたのだが・・・
結構人前で使ってしまっている気がする。。。
コジローの転移魔法は今の時代においては破格の能力なのである。それこそ国家を揺るがしかねないレベルの・・・隠しておいたほうが良いのはコジローも理解はしているのだが、結局、なんだかんだで人前でも結構使ってしまっているのであった。
朝食にする。宿の食堂にパンとスープが用意されていた。
マロには別料金を払って肉を出してもらった。毎日のマロの食事は、結構痛い出費になる予感・・・。
サンダーベアの素材をマドリーが買い取って現金化してくれた────サンダーベアは高級素材なので意外と高額だった────ため、多少余裕はある。マドリーが気を使って高い値段で買い取ってくれたのかと思ったが、そうでもなかったらしい。そのため、多少は金に余裕はあるものの、贅沢はできない。
金を(あるいは肉を?)稼ぐ必要がある。
これからこの世界で生活していかなければならないのだ。
とりあえず、冒険者登録したので、依頼をこなせば多少は稼げるだろう。
そういえば、今日はギルドへ来いと言われていた。
ギルドって何時から開いているのだろう?と思いながらギルドへ向かう。
到着。
開いていた。割と早くから開いているらしい。早朝出発のクエストも多いだろうから当然か。
電気のないこの世界では、就寝が早く、朝が早い傾向が強い。みな、暗くなったらすぐに寝て、明け方、明るくなってくる頃には活動を開始するのである。明るくする魔法や魔道具もあるが、燃費も悪いのであまり長時間は使わないらしい。火を灯して使うランプのような道具も当然あるのだが、夜にロウソクの光だけでは、あまり長時間積極的に活動すると言うことにもならないのであろう。電気・ガスがなかった時代の地球の生活と同じである。
受付に声をかけると、ギルドマスターの部屋に通された。用件は当然、昨日のドジル達の件。
リエもドジル達が先に剣を抜いたのを見ていたので、コジローについては正当防衛ということでお咎めなしとの事だった。
ただし、やりすぎると罪に問われる事もあると注意された。
コジロー:「すみません、どうせポーションで治ると思ったので・・・(手が)くっつかないとは思わなかったもので。。。」
登録試験の模擬戦でリエの実力を身を持って体験し、またドジル達の後始末もしてもらった事もあり、なんとなく下手に出てしまうコジローであったが、相手はギルドマスターなのだからそれでよいのだろう。
リエ:「意外と常識知らずのようね。森の奥で生まれ育ったのなら仕方がないか・・・」
幸い、ギルドの備品である高級ポーションを使って、コジローが切り落とした腕はくっつけることができた。ただ、使ったポーションの価格は冒険者の年収数年分もするとのこと。予算的に、無料で提供する事はギルドとしてもできないらしい。
コジローは値段を聞いて青くなったが、今回はドジル達自身に払わせるから気にしなくて良いと言われ、ほっとした。
ドジル達は、過去の悪行も追求されペナルティとして「ランク引き下げ」と「受けられる依頼の制限」がかけられる事になったそうだ。
リエとしては、本当は冒険者資格の剥奪くらいしたいところだったのだが・・・
冒険者は、街にとっては魔獣と戦ってくれる頼りになる存在ではあるのだが、反面、荒くれ者が多い。当然、褒められたものではない性格や行動の者も多いのである。そして、戦闘訓練を積んでいるので、当然一般住民に比べれば暴力では圧倒的に強い。そんな者が好き勝手に暴れれば、大変迷惑な存在となってしまうのである。住民と良好な関係を維持するためにも、常に厳しく律している必要があるとリエは考えていた。
しかし、冒険者が不足気味の町の実情も有り、資格剥奪まではできなかったのだ。
「ドジル達は借金を返すため、今後は低ランク向けの安い依頼を必死で受け続ける事になるだろう、借金返済まで何年かはかかるかもな。」と笑うリエだったが、目が笑っていなかった。
リエ:「ところで、その剣は・・・?」
コジロー:「ああ、これは、師匠が持たせてくれたんです、私は攻撃魔法も防御魔法も使えないからと言って。」
リエ:「ちょっと見せてもらってもいい?」
コジロー:「いや・・・まぁ、見るだけなら。触れると危険です。盗まれないようにと師匠が魔法を掛けておりまして。俺以外が触ると電撃が流れます。。。」
コジローは剣を抜いてみせた。
リエ:「やはり短剣だな、昨日は長剣を持っていたようだが・・・」
コジロー:「魔力をかけると伸びるのです。」
コジローは剣を伸ばして見せた。
コジロー:「師匠の研究の成果だそうです、この世に斬れない物はないとか・・・」
リエは、昨日自分の胴を薙いだ木刀が、もしこの剣だったらと想像して少しヒヤリとするのだった。
リエ:「ところで、昨日のアレ、あなたの奥の手。ものすごいスピードで移動した・・・わけではなく、あれは 転移 ね?」
まずい・・・
転移魔法については、なるべく人に知らせないほうが良いと言われていたのだが・・・
結構人前で使ってしまっている気がする。。。
コジローの転移魔法は今の時代においては破格の能力なのである。それこそ国家を揺るがしかねないレベルの・・・隠しておいたほうが良いのはコジローも理解はしているのだが、結局、なんだかんだで人前でも結構使ってしまっているのであった。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣等冒険者の成り上がり無双~現代アイテムで世界を極める~
絢乃
ファンタジー
F級冒険者のルシアスは無能なのでPTを追放されてしまう。
彼は冒険者を引退しようか悩む。
そんな時、ルシアスは道端に落ちていた謎のアイテム拾った。
これがとんでもない能力を秘めたチートアイテムだったため、彼の人生は一変することになる。
これは、別の世界に存在するアイテム(アサルトライフル、洗濯乾燥機、DVDなど)に感動し、駆使しながら成り上がる青年の物語。
努力だけでは届かぬ絶対的な才能の差を、チートアイテムで覆す!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる