10 / 115
第一章 始まりの章
第10話 コジロー活躍!
しおりを挟む
「ゴブリンアーチャーは俺に任せてくれ」
コジローが言った。
「どうやっ・・・」
マドリーが言い終わる前に、コジローは剣を抜き、転移を発動した。
コジローの使える転移魔法はまだレベルが低いが、見える範囲であれば転移可能であり、魔力消費も少ない。
コジローは3匹のゴブリンアーチャーの背後に現れる。ゴブリンはまだ気付いていない。
左と真ん中のゴブリンアーチャーの中間あたりの後方に出現したコジローは、次元剣で左のゴブリンアーチャーを斬る。ゴブリンアーチャーの上半身が簡単に刎ね飛ばす。
コジローはさらに剣を長く伸ばしながら、右へ水平斬り一閃、真ん中と右端のゴブリンアーチャー二匹もまとめて上半身を斬りとばした。
コジローは戦闘時は加速の魔法も常時発動しているため、動きはかなり素早い。(現在のコジローの加速は2倍速である。)ゴブリンアーチャーはコジローに気づく事なく瞬殺されたのだった。
これでゴブリン側の飛び道具はなくなった、電撃柵がある限り、後はネリーの弓でも対処可能だろうが、どうせなら残りのゴブリンも仕留めてしまおう。
コジローは、ゴブリンに向かって走り、剣で薙ぎ払っていく。
3メートル以上まで伸ばした長剣は、かたまっている獲物なら2匹・3匹まとめて斬り捨てられる。
「おお!」
「すごい!」
コジローがゴブリンを蹂躙していく様子を見ていたマドリーとネリーが驚嘆の声をあげた。
しかし、その時、激しい炸裂音とともに、柵の障壁が砕け散った。
何が起きた!?
一瞬動きをとめて周囲を見回したコジローは、反対側の柵から、巨大な熊が侵入してきているのを発見した。
大きい、普通の熊ではない。魔獣の熊、魔熊だ。頭部に青い角がある。
「サンダーベア!!」
マドリーが叫ぶ。
たとえ魔熊であっても電撃柵は破れないはずだった。しかし、サンダーベアは電撃攻撃を放つ、雷属性の魔獣である。つまり、電撃が効かないのだ。
サンダーベアは、電撃をまとわせた爪の一撃、サンダークローで、柵を魔法障壁ごとを破壊してしまったのだった。
まずい。
まだマドリー達の前には十数匹のゴブリンが居る。
そのゴブリン達が、柵がなくなった事に気付けば、マドリーとネリーに襲いかかるだろう。
コジローは周囲のゴブリンを斬り伏せながら助けに向かうが、加速を併用していても、邪魔なゴブリンを斬り伏せながらでは数秒はかかってしまう。
僅かの時間ではあるが、その一瞬の遅れが生死を分けるかもしれない。背後にはサンダーベアも迫ってきているのだ。
実は、転移魔法を使えば即座にネリー達の元へ移動できたのだが、焦っていたコジローは気づかなかった。
柵に向かっておそるおそる手を伸ばし、電撃がなくなっている事に気づいたゴブリンは、ネリーに向かっていく。
「ゴガァァァァァァ!」
その時、大きな咆哮が響き渡り、ゴブリン達が動きを止めた。
ネリー達の後ろに居たマロが吠えたのだ。
マロは子犬ではなく、大型犬ほどの大きさになっている。後でマロに聞いたところ、戦闘体型なのだとか。成長すればもっと大きくなれるのだそうだ。
そして、子供であっても魔狼である、しかも、最上位種のフェンリルである。その咆哮には力がある。ゴブリン程度であればビビって動けなくなってしまう。
より近くに居たゴブリン、つまり、ネリーとマドリーに襲いかかろうとしていたゴブリンは膝を突き、動けなくなっていた。
これなら間に合うか?
しかし、今度は背後からサンダーベアが迫ってきている、そちらを優先すべきか?
迷ったコジローだったが、サンダーベアの前に一足飛びにマロが立ちふさがった。
突然現れた魔狼に、サンダーベアの足が止まる。
凶暴なランクAモンスターであるサンダーベアであっても、魔狼の存在は脅威なのだ。魔狼は一匹だけならランクBだが、数頭集まればランクA扱いになる。そして、マロはただの魔狼ではなく、最上級種のフェンリルなのである。「神獣」とまで言われるフェンリルは一頭だけでランクはSである。そして、まだ子供であってもマロはそのフェンリルである。その存在感はサンダーベアを怯まる力があった。
サンダーベアは一瞬、逡巡した後、一対一なら勝てると踏んだのか、角から雷撃(サンダーブラスト)を放ってきた。サンダーベアの必殺の攻撃である。
しかし、同時に、マロの頭部の小さなツノからも光が放たれていた。サンダーブラストがマロのツノからも放たれる。
マロの雷撃はサンダーベアの雷撃と激突、そのまま中間地点で爆発四散した。
激しい爆発の衝撃でサンダーベアは後ろに倒れた。マロも転がったがすぐに起き上がった。
ネリー達を襲おうとしたゴブリンは、ネリーの矢に射抜かれ、マドリーの火球で火だるまになり、コジローの刀で首を刈り取られていた。
コジローは周囲に残ったゴブリンの殲滅を完了したあと、即座にサンダーベアの背後に転移・・・起き上がって再びマロを威嚇していた雷熊は、コジローの長剣で魔熊を真っ二つになっていた。
すべて片付いたかと周囲を見回したコジロー。
だが、これで終わりではなかった。
森からコボルトの集団が向かってくるのが見えた。その数100以上?!
さらに、サンダーベアも一頭見える。
コボルトとサンダーベアはお互いを気にしている様子はなく、まっすぐにマドリー&ネリーの家に向かっている。
電撃柵が壊れてしまった状態であり、魔獣達の侵入を防ぐ手立てはない。
コジローは迷った。
転移でマドリーとネリーを連れてどこかへ逃げたほうが良いか?どこへ?ゼフトの隠れ家に飛ぶか?
その時・・・マロが吠えた。
コジローが言った。
「どうやっ・・・」
マドリーが言い終わる前に、コジローは剣を抜き、転移を発動した。
コジローの使える転移魔法はまだレベルが低いが、見える範囲であれば転移可能であり、魔力消費も少ない。
コジローは3匹のゴブリンアーチャーの背後に現れる。ゴブリンはまだ気付いていない。
左と真ん中のゴブリンアーチャーの中間あたりの後方に出現したコジローは、次元剣で左のゴブリンアーチャーを斬る。ゴブリンアーチャーの上半身が簡単に刎ね飛ばす。
コジローはさらに剣を長く伸ばしながら、右へ水平斬り一閃、真ん中と右端のゴブリンアーチャー二匹もまとめて上半身を斬りとばした。
コジローは戦闘時は加速の魔法も常時発動しているため、動きはかなり素早い。(現在のコジローの加速は2倍速である。)ゴブリンアーチャーはコジローに気づく事なく瞬殺されたのだった。
これでゴブリン側の飛び道具はなくなった、電撃柵がある限り、後はネリーの弓でも対処可能だろうが、どうせなら残りのゴブリンも仕留めてしまおう。
コジローは、ゴブリンに向かって走り、剣で薙ぎ払っていく。
3メートル以上まで伸ばした長剣は、かたまっている獲物なら2匹・3匹まとめて斬り捨てられる。
「おお!」
「すごい!」
コジローがゴブリンを蹂躙していく様子を見ていたマドリーとネリーが驚嘆の声をあげた。
しかし、その時、激しい炸裂音とともに、柵の障壁が砕け散った。
何が起きた!?
一瞬動きをとめて周囲を見回したコジローは、反対側の柵から、巨大な熊が侵入してきているのを発見した。
大きい、普通の熊ではない。魔獣の熊、魔熊だ。頭部に青い角がある。
「サンダーベア!!」
マドリーが叫ぶ。
たとえ魔熊であっても電撃柵は破れないはずだった。しかし、サンダーベアは電撃攻撃を放つ、雷属性の魔獣である。つまり、電撃が効かないのだ。
サンダーベアは、電撃をまとわせた爪の一撃、サンダークローで、柵を魔法障壁ごとを破壊してしまったのだった。
まずい。
まだマドリー達の前には十数匹のゴブリンが居る。
そのゴブリン達が、柵がなくなった事に気付けば、マドリーとネリーに襲いかかるだろう。
コジローは周囲のゴブリンを斬り伏せながら助けに向かうが、加速を併用していても、邪魔なゴブリンを斬り伏せながらでは数秒はかかってしまう。
僅かの時間ではあるが、その一瞬の遅れが生死を分けるかもしれない。背後にはサンダーベアも迫ってきているのだ。
実は、転移魔法を使えば即座にネリー達の元へ移動できたのだが、焦っていたコジローは気づかなかった。
柵に向かっておそるおそる手を伸ばし、電撃がなくなっている事に気づいたゴブリンは、ネリーに向かっていく。
「ゴガァァァァァァ!」
その時、大きな咆哮が響き渡り、ゴブリン達が動きを止めた。
ネリー達の後ろに居たマロが吠えたのだ。
マロは子犬ではなく、大型犬ほどの大きさになっている。後でマロに聞いたところ、戦闘体型なのだとか。成長すればもっと大きくなれるのだそうだ。
そして、子供であっても魔狼である、しかも、最上位種のフェンリルである。その咆哮には力がある。ゴブリン程度であればビビって動けなくなってしまう。
より近くに居たゴブリン、つまり、ネリーとマドリーに襲いかかろうとしていたゴブリンは膝を突き、動けなくなっていた。
これなら間に合うか?
しかし、今度は背後からサンダーベアが迫ってきている、そちらを優先すべきか?
迷ったコジローだったが、サンダーベアの前に一足飛びにマロが立ちふさがった。
突然現れた魔狼に、サンダーベアの足が止まる。
凶暴なランクAモンスターであるサンダーベアであっても、魔狼の存在は脅威なのだ。魔狼は一匹だけならランクBだが、数頭集まればランクA扱いになる。そして、マロはただの魔狼ではなく、最上級種のフェンリルなのである。「神獣」とまで言われるフェンリルは一頭だけでランクはSである。そして、まだ子供であってもマロはそのフェンリルである。その存在感はサンダーベアを怯まる力があった。
サンダーベアは一瞬、逡巡した後、一対一なら勝てると踏んだのか、角から雷撃(サンダーブラスト)を放ってきた。サンダーベアの必殺の攻撃である。
しかし、同時に、マロの頭部の小さなツノからも光が放たれていた。サンダーブラストがマロのツノからも放たれる。
マロの雷撃はサンダーベアの雷撃と激突、そのまま中間地点で爆発四散した。
激しい爆発の衝撃でサンダーベアは後ろに倒れた。マロも転がったがすぐに起き上がった。
ネリー達を襲おうとしたゴブリンは、ネリーの矢に射抜かれ、マドリーの火球で火だるまになり、コジローの刀で首を刈り取られていた。
コジローは周囲に残ったゴブリンの殲滅を完了したあと、即座にサンダーベアの背後に転移・・・起き上がって再びマロを威嚇していた雷熊は、コジローの長剣で魔熊を真っ二つになっていた。
すべて片付いたかと周囲を見回したコジロー。
だが、これで終わりではなかった。
森からコボルトの集団が向かってくるのが見えた。その数100以上?!
さらに、サンダーベアも一頭見える。
コボルトとサンダーベアはお互いを気にしている様子はなく、まっすぐにマドリー&ネリーの家に向かっている。
電撃柵が壊れてしまった状態であり、魔獣達の侵入を防ぐ手立てはない。
コジローは迷った。
転移でマドリーとネリーを連れてどこかへ逃げたほうが良いか?どこへ?ゼフトの隠れ家に飛ぶか?
その時・・・マロが吠えた。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説


ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

劣等冒険者の成り上がり無双~現代アイテムで世界を極める~
絢乃
ファンタジー
F級冒険者のルシアスは無能なのでPTを追放されてしまう。
彼は冒険者を引退しようか悩む。
そんな時、ルシアスは道端に落ちていた謎のアイテム拾った。
これがとんでもない能力を秘めたチートアイテムだったため、彼の人生は一変することになる。
これは、別の世界に存在するアイテム(アサルトライフル、洗濯乾燥機、DVDなど)に感動し、駆使しながら成り上がる青年の物語。
努力だけでは届かぬ絶対的な才能の差を、チートアイテムで覆す!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。

3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる