8 / 115
第一章 始まりの章
第8話 マドリー&ネリーの家
しおりを挟む
翌日、コジローはマドリー&ネリーの家の裏庭で剣を振っていた。
剣の基本は素振りであると「小次郎が行く」にも書いてあった。
この危険な世界では剣の腕が命を左右する。少しでも剣に慣れておく必要があるだろう。
新しい体に入れらたコジローであったが、動かせば動かすほど、体のコントロールがよくなっていくのを感じる。
地球でも、何をやっても凡才でしかなかったコジローである。この世界にも、凡才であるから適合したと言われたわけである。
しかし、凡才は "非才・無才" というわけではない。訓練すれば、凡才なりにちゃんと成長する。短期間に常識はずれな成長をするような才能はないというだけのこと。
才能が人並みということは、やればやっただけ "人並みに" 成長するという事だ。いくら努力してもまったく成長がないというわけでもない。努力はした分だけ、相応に成長はするのだ。
コジローは、これから毎日、何千回、何万回と素振りを繰り返そうと思った。小次郎が行くにもそれが大事だと書いてあった。
この世界でも、別に、最強の剣士を目指すなどというつもりはない。そもそも、「魔道士の弟子」なのだ、目標は大魔法使いだろう。
しかし、とりあえずは、身を守るための剣術が必要だ。攻撃や防御の魔法は得意ではないのだから。。。
最初は剣を長くし、長剣にして素振りを行ってみる。自分の知識の中にある剣の振り方の知識を思い出しながら振ってみるが、読むとやるのは大違い。全然わからない。とにかく、何回でも振り続けて、コツを掴んでいくしか無い。
次に、剣を小刀のように短くして片手で振ってみる。実戦であれば、長刀が振り回せない状況は必ずあるはずである。むしろ、小刀を振るう機会のほうが多い可能性すらある。
様々な角度で振りながら、同時に足捌きも加えていく。
たしか、小太刀の技術というのは、体術も合わせて使うことが多いと書いてあった。それいじょう詳しくは書いてなかったので、思いつくままに適当に体を動かしてみるが、どうもギクシャクして様にならないのは仕方がないだろう。これから繰り返し続けていけば、いずれ、もう少しマシな形になると信じよう。
さらに、鞘に収めた状態から抜く練習もしてみる。抜刀術?居合?剣の世界ならば、いざという時の抜刀の速度が生死を分けることもあるはずだ。
抜きながら斬る・・・その動作は、しかし、危うく自分の腕を切ってしまうところだったので、すぐやめた。
そういえば、居合道で同様の失敗があると聞いたことがあるのを思い出した。
特に、コジローの剣は長さが変わるのだ。自分の体に剣を向けたまま伸ばしてしまえば自分に刺さってしまう。とりあえず、剣を伸ばすのは、ちゃんと構えてからにする事にしよう。
昼食にしようとネリーが呼びに来てくれた。
コジローは
「大病をして療養していたが、治ったのでリハビリしながら復帰を目指している」
という事になっていた。
マドリーとネリーは、ゼフトがアンデッドであるという事は知っていたが、コジローが違う世界から転生してきたという事までは知らないらしい。ただ、ゼフトが連れてきたという事で、訳アリなのは察しているという雰囲気だった。
体力が戻るまでいつまででも居てくれてよい、食費生活費については、ゼフトに日頃からそれなりに貰っているので気にする必要はないというので、しばらく厄介になることにした。
あまり長く居るわけにもいかないだろうが、とりあえず、今の体に馴染む事、そして、自分の中にあるこの世界についての知識をきちんと整理して理解しておく事、もう少し剣術に慣れておく事、そのための準備の時間が欲しいと思ったのである。
マドリー&ネリーの家は、山間部に少し開けた草原の端にポツンと一軒だけ建っており、背後には深い森が広がっている。
そして家の前から一本の道が造られている。10数キロ先にある街まで続いているそうだ。見える範囲に他の建物はないので、この道は、マドリー&ネリーの家まで(そして森まで?)の専用道として造られているようだ。
マドリー&ネリーの家は、家族が住む部分以外に、客室が10室もある。コジローが大学の時、合宿で泊まった事があるペンションを思い出した。
周囲は畑になっており、マドリーが畑仕事に精を出していた。結構広い畑であるが、木の柵が周囲を完全に囲むように建てられている。
この世界にはモンスターが居る。特に森には危険なモンスターも多い。しかし、この家は、ゼフトが結界を張ってくれているのだそうで、ゼフトの禍々しい魔力を感じる事ができるモンスターは近寄っては来ないのだそうだ。
それでも、たまに空気が読めない知能の低いモンスターが出てくる事があるのだそうだが、家を囲う柵には電撃魔法が仕込まれており、柵を越えようとした動物や魔物は酷い目にあう。
電撃は人間に対しては発動しないようになっているが、盗賊なども多いので、人間が柵を超えた場合には室内に警報が鳴るようになっているのだとか。知らずにコジローが柵に腰掛けたところ、ネリーが様子を確認しに出てきて教えてくれた。
種別を識別できるセキュリティ、地球より進んでいるとコジローは思ったが、実はゼフトの魔法が突出して優れいてるのであり、一般的な魔法ではないのであったが。
昼食の後は、庭のベンチに座り、瞑目する。マロは、コジローの横でのんびり昼寝をしている。
自分の中にある知識を引き出し、自分のものにしていく。自分の脳に刻まれている知識を、自分のモノにしていく必要がある。
そんな事を繰り返していた三日目のこと、昼寝をしていたマロが、突然起き上がり、森を見て低く唸り声をあげた。
「どうした、マロ?」
そうしているうちに、ゴギャゴギャと鳴き声がが聞こえた。聞き覚えのある鳴き声だ。
マロの目線を追い、森のほうへ目をやると、ゴブリンの群れこちらに向かってくるのが見えた。
マロは人間よりも聴覚も嗅覚も鋭い。コジローより先に異変に気付いたようだ。
マドリーも既に気付いていて柵に向かって走っていた。
剣の基本は素振りであると「小次郎が行く」にも書いてあった。
この危険な世界では剣の腕が命を左右する。少しでも剣に慣れておく必要があるだろう。
新しい体に入れらたコジローであったが、動かせば動かすほど、体のコントロールがよくなっていくのを感じる。
地球でも、何をやっても凡才でしかなかったコジローである。この世界にも、凡才であるから適合したと言われたわけである。
しかし、凡才は "非才・無才" というわけではない。訓練すれば、凡才なりにちゃんと成長する。短期間に常識はずれな成長をするような才能はないというだけのこと。
才能が人並みということは、やればやっただけ "人並みに" 成長するという事だ。いくら努力してもまったく成長がないというわけでもない。努力はした分だけ、相応に成長はするのだ。
コジローは、これから毎日、何千回、何万回と素振りを繰り返そうと思った。小次郎が行くにもそれが大事だと書いてあった。
この世界でも、別に、最強の剣士を目指すなどというつもりはない。そもそも、「魔道士の弟子」なのだ、目標は大魔法使いだろう。
しかし、とりあえずは、身を守るための剣術が必要だ。攻撃や防御の魔法は得意ではないのだから。。。
最初は剣を長くし、長剣にして素振りを行ってみる。自分の知識の中にある剣の振り方の知識を思い出しながら振ってみるが、読むとやるのは大違い。全然わからない。とにかく、何回でも振り続けて、コツを掴んでいくしか無い。
次に、剣を小刀のように短くして片手で振ってみる。実戦であれば、長刀が振り回せない状況は必ずあるはずである。むしろ、小刀を振るう機会のほうが多い可能性すらある。
様々な角度で振りながら、同時に足捌きも加えていく。
たしか、小太刀の技術というのは、体術も合わせて使うことが多いと書いてあった。それいじょう詳しくは書いてなかったので、思いつくままに適当に体を動かしてみるが、どうもギクシャクして様にならないのは仕方がないだろう。これから繰り返し続けていけば、いずれ、もう少しマシな形になると信じよう。
さらに、鞘に収めた状態から抜く練習もしてみる。抜刀術?居合?剣の世界ならば、いざという時の抜刀の速度が生死を分けることもあるはずだ。
抜きながら斬る・・・その動作は、しかし、危うく自分の腕を切ってしまうところだったので、すぐやめた。
そういえば、居合道で同様の失敗があると聞いたことがあるのを思い出した。
特に、コジローの剣は長さが変わるのだ。自分の体に剣を向けたまま伸ばしてしまえば自分に刺さってしまう。とりあえず、剣を伸ばすのは、ちゃんと構えてからにする事にしよう。
昼食にしようとネリーが呼びに来てくれた。
コジローは
「大病をして療養していたが、治ったのでリハビリしながら復帰を目指している」
という事になっていた。
マドリーとネリーは、ゼフトがアンデッドであるという事は知っていたが、コジローが違う世界から転生してきたという事までは知らないらしい。ただ、ゼフトが連れてきたという事で、訳アリなのは察しているという雰囲気だった。
体力が戻るまでいつまででも居てくれてよい、食費生活費については、ゼフトに日頃からそれなりに貰っているので気にする必要はないというので、しばらく厄介になることにした。
あまり長く居るわけにもいかないだろうが、とりあえず、今の体に馴染む事、そして、自分の中にあるこの世界についての知識をきちんと整理して理解しておく事、もう少し剣術に慣れておく事、そのための準備の時間が欲しいと思ったのである。
マドリー&ネリーの家は、山間部に少し開けた草原の端にポツンと一軒だけ建っており、背後には深い森が広がっている。
そして家の前から一本の道が造られている。10数キロ先にある街まで続いているそうだ。見える範囲に他の建物はないので、この道は、マドリー&ネリーの家まで(そして森まで?)の専用道として造られているようだ。
マドリー&ネリーの家は、家族が住む部分以外に、客室が10室もある。コジローが大学の時、合宿で泊まった事があるペンションを思い出した。
周囲は畑になっており、マドリーが畑仕事に精を出していた。結構広い畑であるが、木の柵が周囲を完全に囲むように建てられている。
この世界にはモンスターが居る。特に森には危険なモンスターも多い。しかし、この家は、ゼフトが結界を張ってくれているのだそうで、ゼフトの禍々しい魔力を感じる事ができるモンスターは近寄っては来ないのだそうだ。
それでも、たまに空気が読めない知能の低いモンスターが出てくる事があるのだそうだが、家を囲う柵には電撃魔法が仕込まれており、柵を越えようとした動物や魔物は酷い目にあう。
電撃は人間に対しては発動しないようになっているが、盗賊なども多いので、人間が柵を超えた場合には室内に警報が鳴るようになっているのだとか。知らずにコジローが柵に腰掛けたところ、ネリーが様子を確認しに出てきて教えてくれた。
種別を識別できるセキュリティ、地球より進んでいるとコジローは思ったが、実はゼフトの魔法が突出して優れいてるのであり、一般的な魔法ではないのであったが。
昼食の後は、庭のベンチに座り、瞑目する。マロは、コジローの横でのんびり昼寝をしている。
自分の中にある知識を引き出し、自分のものにしていく。自分の脳に刻まれている知識を、自分のモノにしていく必要がある。
そんな事を繰り返していた三日目のこと、昼寝をしていたマロが、突然起き上がり、森を見て低く唸り声をあげた。
「どうした、マロ?」
そうしているうちに、ゴギャゴギャと鳴き声がが聞こえた。聞き覚えのある鳴き声だ。
マロの目線を追い、森のほうへ目をやると、ゴブリンの群れこちらに向かってくるのが見えた。
マロは人間よりも聴覚も嗅覚も鋭い。コジローより先に異変に気付いたようだ。
マドリーも既に気付いていて柵に向かって走っていた。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説


ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

劣等冒険者の成り上がり無双~現代アイテムで世界を極める~
絢乃
ファンタジー
F級冒険者のルシアスは無能なのでPTを追放されてしまう。
彼は冒険者を引退しようか悩む。
そんな時、ルシアスは道端に落ちていた謎のアイテム拾った。
これがとんでもない能力を秘めたチートアイテムだったため、彼の人生は一変することになる。
これは、別の世界に存在するアイテム(アサルトライフル、洗濯乾燥機、DVDなど)に感動し、駆使しながら成り上がる青年の物語。
努力だけでは届かぬ絶対的な才能の差を、チートアイテムで覆す!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編

3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる