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第一章 始まりの章
第3話 魔法の才能は?
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いや、ちょっと待て。何か引っかかる言葉があったような…?
「・・・・長い修行・・・死後も続く!?」
『さよう、すべての魔法理を極めようとしたら、人間の寿命程度では到底足りんでの。死んだ後まで続く長い修行が必要じゃ』
・・・ああ、だからアナタ、骸骨なんですね、よく分かりました。
「少し、考えさせてもらっても・・・?」
『あまり時間はないぞ、元の世界のお主の命はもう残りわずかじゃ』
・・・・ま、いいか。
「よし、跡継ぎ、やります、修行します。よろしくおねがいします」
『決断速いの! もう少し考えるのかと思ったのだが』
戻っても死ぬだけという話を信じるなら、戻る意味はないだろう。
元の世界に特に未練も何もない。思い返しても、平凡なだけのつまらない半生だった。
それならゼフトの提案も悪い話ではない。
骸骨になってから、世に出て無双するのはちょっと抵抗があるが、まぁしかし、それも面白いか?(笑)
『いや別に骸骨になるまで籠もって修行する必要はない。この世界についてのレクチャーが終われば、普通の人間として生活をしながら、修行を続ければよかろう』
あ、そうなんですね。
骸骨にならなくてもいいのは良かったが・・・
もうひとつ、引っかかることがある。
自分が転落死した時、タイミング良く強風が吹いたが、まさか、適合する自分をこの世界に引き込むために故意に、なんてことは・・・
そんな事を訊いたら怒り出さないかとも思ったのだが、口に出さずとも心を読まれているのだった。
『ただの偶然じゃ。お主以外にも適合する人間はいくらでも居るからの。わざわざそんな事をする必要はないでの』
え、なんか稀有な才能の持ち主だから選ばれた、とかじゃないの???
『逆じゃな。なんの才能もない、特徴のない、平凡な人間だからこそ選ばれたのじゃ。なにせ、こちらの世界に合うように色々と調整しなければならんが、最初から変に癖のある人間は馴染みにくいでな。なるべく歪んでない人間を探す必要があったのじゃ』
え~つまり平凡だから選ばれたってこと~~~?
『お主の才能は言ってみれば、何の才能もない、性格にも癖がない、ひたすら平凡・中庸と言う事じゃな。』
なんと言ってよいか・・・
まぁ自分が平凡なのは知っていたけれど。
何をやっても突出したい成績も出ず、かと言って、落第するほどでもない、いつも、程々、中くらいの優秀さで。良くもなく悪くもなく。そして、だいたい、人が陥る「典型的なミス」は、全部必ず踏襲していくし・・・
『まぁ「自分は選ばれた特別な人間なんだ」などと思う人間は大抵失敗するからの。自覚のある平凡・中庸というのは素晴らしい事じゃぞ?』
カラカラカラ、とでもいうように骸骨は笑った。
骸骨なので、表情は変わらないが。
* * * *
師と仰ぐ事となった骸骨のゼフトが早速色々と教えてくれる。
魔法には属性があり、どの属性の魔法を駆動する才能がどれくらいあるかという「才能の分布」が、その者の魔法の個性となるそうだ。
例えば、この世界では有名なある高ランク冒険者は、火属性の魔法に特化しており、大変強力な火の魔法を使うが、それ以外の魔法は人並み以下しか使えないのだとか。それは、その者の魔法を駆動する才能が火の魔法にすべて割り振られた状態になっているためだとか。その結果、火の魔法は強力だが他の魔法を使う才能が少ないのだという。
「身体強化系」に才能が多く割り振られば、肉体を使う戦士や剣士などに適するようになる。その場合、身体能力は極めて高くなるが、魔法を使う才能が少ないということになる。
才能を全ての魔法に均等に振り分ければ、あらゆる魔法が使えるオールラウンド型の魔法使いという事になるが、多様な魔法が使える代わりに、一つ一つの魔法の威力・効果があまり大きくならないという事にもなる。
例えば、「身体強化」と「魔法」の二種類に才能が割り振られれば、「魔法戦士」という職業になるが、その場合、身体強化に特化した者には身体能力は劣り、特定の魔法に特化した者には魔法で劣るという、少し中途半端な事になるとも言える。
大部分を一種類の属性に割り振って、残りを治癒系魔法に割り振る、というような形であれば扱いやすいかも知れない。
なるほど、つまりここでの選択が、その後の人生を変えるというわけか・・・
と思ったら『そうでもない』とゼフトが言った。
そうだった、骸骨師匠は心を読めるのだった。(おかげで、知識の受け渡しも直接伝達で簡単にできるらしい。)
魔法の才能については、
『最終的には全ての魔法を使えるようになる』
ので、どう割り振っても良いという。影響が大きいのは最初だけだそうだ。
※実は、その「最初」というのは、数十年~100年単位の話であったのだが。
ゼフトのように何千年も生きている(アンデッドなので生きていると言ってよいのかは不明ではあるのだが)者にとっては百年程度は大した違いではないが、人間の肉体で寿命まで生きる期間であると考えれば影響が大きいとも言える。(この世界でも人間の寿命は100年程度である。)
「・・・・長い修行・・・死後も続く!?」
『さよう、すべての魔法理を極めようとしたら、人間の寿命程度では到底足りんでの。死んだ後まで続く長い修行が必要じゃ』
・・・ああ、だからアナタ、骸骨なんですね、よく分かりました。
「少し、考えさせてもらっても・・・?」
『あまり時間はないぞ、元の世界のお主の命はもう残りわずかじゃ』
・・・・ま、いいか。
「よし、跡継ぎ、やります、修行します。よろしくおねがいします」
『決断速いの! もう少し考えるのかと思ったのだが』
戻っても死ぬだけという話を信じるなら、戻る意味はないだろう。
元の世界に特に未練も何もない。思い返しても、平凡なだけのつまらない半生だった。
それならゼフトの提案も悪い話ではない。
骸骨になってから、世に出て無双するのはちょっと抵抗があるが、まぁしかし、それも面白いか?(笑)
『いや別に骸骨になるまで籠もって修行する必要はない。この世界についてのレクチャーが終われば、普通の人間として生活をしながら、修行を続ければよかろう』
あ、そうなんですね。
骸骨にならなくてもいいのは良かったが・・・
もうひとつ、引っかかることがある。
自分が転落死した時、タイミング良く強風が吹いたが、まさか、適合する自分をこの世界に引き込むために故意に、なんてことは・・・
そんな事を訊いたら怒り出さないかとも思ったのだが、口に出さずとも心を読まれているのだった。
『ただの偶然じゃ。お主以外にも適合する人間はいくらでも居るからの。わざわざそんな事をする必要はないでの』
え、なんか稀有な才能の持ち主だから選ばれた、とかじゃないの???
『逆じゃな。なんの才能もない、特徴のない、平凡な人間だからこそ選ばれたのじゃ。なにせ、こちらの世界に合うように色々と調整しなければならんが、最初から変に癖のある人間は馴染みにくいでな。なるべく歪んでない人間を探す必要があったのじゃ』
え~つまり平凡だから選ばれたってこと~~~?
『お主の才能は言ってみれば、何の才能もない、性格にも癖がない、ひたすら平凡・中庸と言う事じゃな。』
なんと言ってよいか・・・
まぁ自分が平凡なのは知っていたけれど。
何をやっても突出したい成績も出ず、かと言って、落第するほどでもない、いつも、程々、中くらいの優秀さで。良くもなく悪くもなく。そして、だいたい、人が陥る「典型的なミス」は、全部必ず踏襲していくし・・・
『まぁ「自分は選ばれた特別な人間なんだ」などと思う人間は大抵失敗するからの。自覚のある平凡・中庸というのは素晴らしい事じゃぞ?』
カラカラカラ、とでもいうように骸骨は笑った。
骸骨なので、表情は変わらないが。
* * * *
師と仰ぐ事となった骸骨のゼフトが早速色々と教えてくれる。
魔法には属性があり、どの属性の魔法を駆動する才能がどれくらいあるかという「才能の分布」が、その者の魔法の個性となるそうだ。
例えば、この世界では有名なある高ランク冒険者は、火属性の魔法に特化しており、大変強力な火の魔法を使うが、それ以外の魔法は人並み以下しか使えないのだとか。それは、その者の魔法を駆動する才能が火の魔法にすべて割り振られた状態になっているためだとか。その結果、火の魔法は強力だが他の魔法を使う才能が少ないのだという。
「身体強化系」に才能が多く割り振られば、肉体を使う戦士や剣士などに適するようになる。その場合、身体能力は極めて高くなるが、魔法を使う才能が少ないということになる。
才能を全ての魔法に均等に振り分ければ、あらゆる魔法が使えるオールラウンド型の魔法使いという事になるが、多様な魔法が使える代わりに、一つ一つの魔法の威力・効果があまり大きくならないという事にもなる。
例えば、「身体強化」と「魔法」の二種類に才能が割り振られれば、「魔法戦士」という職業になるが、その場合、身体強化に特化した者には身体能力は劣り、特定の魔法に特化した者には魔法で劣るという、少し中途半端な事になるとも言える。
大部分を一種類の属性に割り振って、残りを治癒系魔法に割り振る、というような形であれば扱いやすいかも知れない。
なるほど、つまりここでの選択が、その後の人生を変えるというわけか・・・
と思ったら『そうでもない』とゼフトが言った。
そうだった、骸骨師匠は心を読めるのだった。(おかげで、知識の受け渡しも直接伝達で簡単にできるらしい。)
魔法の才能については、
『最終的には全ての魔法を使えるようになる』
ので、どう割り振っても良いという。影響が大きいのは最初だけだそうだ。
※実は、その「最初」というのは、数十年~100年単位の話であったのだが。
ゼフトのように何千年も生きている(アンデッドなので生きていると言ってよいのかは不明ではあるのだが)者にとっては百年程度は大した違いではないが、人間の肉体で寿命まで生きる期間であると考えれば影響が大きいとも言える。(この世界でも人間の寿命は100年程度である。)
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