60 / 66
第二章 街へ
第60話 一人前の冒険者?
しおりを挟む
狩りの成果はまずまずであった。リスティの気配察知能力は離れた場所の獲物も見逃さないし、弓は正確である。
ルークもリスティにはやや劣るが優れた気配察知能力を持っているし、切れ味抜群の剣技もある。さらには、たとえ強敵が現れてもルークが【クリーン】を使って相手の血液を蒸発させてしまうので、戦いにすらならないのだから。
斃した獲物は、そのまま森の中で捌いて、干し肉を作ってしまう。ルークのクリーンがあれば短時間に簡単に干し肉が作れてしまうのだ。
ポーリン「はぁ、ほんとに便利ねぇ、ルークの魔法」
ついでに火を焚き、できた干し肉を使って燻製も作った。
森の中で焚き火などしていると、時折獣や魔物が寄ってきたりもするが、ルークとリスティにとっては新たな食材でしかないのであった。
ポーリン「なんか、森が危険だって感覚がなくなるわね……」
ルーク「別に森は危険じゃないよ」
リスティ「いや、森は危険だよ。調和している限りは恵みを与えてくれるけどね。調子に乗って森に敵対すれば、飲み込まれる事もある。注意する事だ」
ポーリン「なるほどね、やっぱり甘くはないわよね……」
ルーク「ん、注意するよ、リスティ」
完成した食材をマジックバッグに収納し、街に戻るルーク達。だが、街に入る時に、案の定、少々揉める事になってしまった。(出る時は無料である。)
衛兵「なんだ? この汚ねぇ落書きは? 何が書いてあるのか読めねぇぞ?」
ルーク「だよねぇ……(笑) 一応、冒険者ギルドのマスター、キリングさんが書いてくれた証明書なんだけどね」
衛兵「こんなの、何の意味もないな。規則通り入城料払って入るがいい」
ポーリン「ちょっと! 堅いこと言い過ぎじゃないの? ルークは間違いなく冒険者試験に合格して冒険者になったのよ? ギルドマスターのキリングに問い合わせてくれれば分かる事でしょう?」
衛兵「いちいちそんな事してられるか! 俺は規則通りやるだけだ!」
まぁ、入城料などそれほど高い金額でもない。金を払ってしまおうとしたルークだったが、その時、別の衛兵がやってきて、無料で通して良いと許可を出してくれた。
衛兵「隊長、いいんですか?」
後から来た衛兵は隊長だったらしい。
隊長「ああ、キリングからはちゃんと連絡を貰ってる。ああ、ひと目見れば分かる、そのクセ字は間違いなくキリングの字だ。俺は昔、キリングと一緒に冒険者をやってたんだ、だから間違いない。
悪かったな、足止めしちまって。コイツは仕事をまっとうしただけんだ、悪く思わんでくれ」
ルーク「大丈夫、仕事だもんね、仕方ないよ」
* * * * *
冒険者ギルドに戻ると、思ったより早く本部から承認が降りたそうで、メアがギルドカードを渡してくれた。
ルーク「これがギルドカード……」
ポーリン「Bランクだからシルバーね。アタシと同じ」
ポーリンも自分のカードを出して見せる。
ポーリン「Aランクだと金色になるのよ」
ルーク「ああ、さっきリスティが出してたカードはゴールドだったね」
ポーリン「これで、ルークも一人前の冒険者ね!」
ルークもリスティにはやや劣るが優れた気配察知能力を持っているし、切れ味抜群の剣技もある。さらには、たとえ強敵が現れてもルークが【クリーン】を使って相手の血液を蒸発させてしまうので、戦いにすらならないのだから。
斃した獲物は、そのまま森の中で捌いて、干し肉を作ってしまう。ルークのクリーンがあれば短時間に簡単に干し肉が作れてしまうのだ。
ポーリン「はぁ、ほんとに便利ねぇ、ルークの魔法」
ついでに火を焚き、できた干し肉を使って燻製も作った。
森の中で焚き火などしていると、時折獣や魔物が寄ってきたりもするが、ルークとリスティにとっては新たな食材でしかないのであった。
ポーリン「なんか、森が危険だって感覚がなくなるわね……」
ルーク「別に森は危険じゃないよ」
リスティ「いや、森は危険だよ。調和している限りは恵みを与えてくれるけどね。調子に乗って森に敵対すれば、飲み込まれる事もある。注意する事だ」
ポーリン「なるほどね、やっぱり甘くはないわよね……」
ルーク「ん、注意するよ、リスティ」
完成した食材をマジックバッグに収納し、街に戻るルーク達。だが、街に入る時に、案の定、少々揉める事になってしまった。(出る時は無料である。)
衛兵「なんだ? この汚ねぇ落書きは? 何が書いてあるのか読めねぇぞ?」
ルーク「だよねぇ……(笑) 一応、冒険者ギルドのマスター、キリングさんが書いてくれた証明書なんだけどね」
衛兵「こんなの、何の意味もないな。規則通り入城料払って入るがいい」
ポーリン「ちょっと! 堅いこと言い過ぎじゃないの? ルークは間違いなく冒険者試験に合格して冒険者になったのよ? ギルドマスターのキリングに問い合わせてくれれば分かる事でしょう?」
衛兵「いちいちそんな事してられるか! 俺は規則通りやるだけだ!」
まぁ、入城料などそれほど高い金額でもない。金を払ってしまおうとしたルークだったが、その時、別の衛兵がやってきて、無料で通して良いと許可を出してくれた。
衛兵「隊長、いいんですか?」
後から来た衛兵は隊長だったらしい。
隊長「ああ、キリングからはちゃんと連絡を貰ってる。ああ、ひと目見れば分かる、そのクセ字は間違いなくキリングの字だ。俺は昔、キリングと一緒に冒険者をやってたんだ、だから間違いない。
悪かったな、足止めしちまって。コイツは仕事をまっとうしただけんだ、悪く思わんでくれ」
ルーク「大丈夫、仕事だもんね、仕方ないよ」
* * * * *
冒険者ギルドに戻ると、思ったより早く本部から承認が降りたそうで、メアがギルドカードを渡してくれた。
ルーク「これがギルドカード……」
ポーリン「Bランクだからシルバーね。アタシと同じ」
ポーリンも自分のカードを出して見せる。
ポーリン「Aランクだと金色になるのよ」
ルーク「ああ、さっきリスティが出してたカードはゴールドだったね」
ポーリン「これで、ルークも一人前の冒険者ね!」
21
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる