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第二章 街へ
第44話 煙は好き嫌いが…
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危険な魔物が闊歩するこの世界では、人間が住む街はそのほとんどが、防壁に囲まれたいわゆる “城郭都市” となっている。
城郭都市は、内部の居住空間に限りがある。しかし当然、時が経つにつれ街には人が増え、建物が増える。そうしてやがて、土地・建物が不足する事になる。
街が狭くなれば、外壁を拡張して街を広げていく事になる。現在ある外壁の外側に新たな外壁を作り、完成したところでその中に移住するという事を繰り返し、何層もの同心円状の壁に囲まれた街ができていくわけである。
横方向に広げにくい環境の街などでは、建物は必然的に上下に伸びるしかなくなり、酷い場合は街全体が入り組んだ巨大な建造物のようになっている街もあるのだが。
幸い、ラハールはまだ周囲に街を広げるだけの土地はたくさんある。当然外壁の拡張工事は行っているが、それは大変な事業であり、なかなか進まないのである。
結局、街を拡張するよりも人が増えるほうが多ければ(内部で人が生まれて増える事もあるが、街が発展すると外部からも沢山の人が流入してくるのだ)、狭い街の中に建物が犇めき合って建つようになる。そんな状況の街で、周囲に煙を出しても問題がない場所などあるわけがないのであった。
不動産屋「その、燻製というのは良く知らないのですが……そんなに煙が出るものなんですか?」
ルーク「いや、大した事はない、と思うんだけどね」
リスティ「うーん、気にならない人は気にならないけど、気になる人は気になる、という感じかなぁ……
タバコの煙だって、好きな人は気にならないけど、嫌いな人はちょっとでも嫌だって言うからね。あと、洗濯物干してる場所とかだと嫌がられるだろうね、確実に……」
ルーク「あ、そうか!」
ルークは【クリーン】を無制限に使いまくるので、洗い物をしたことがないのであった。
不動産屋「ああ、それだと難しいかも知れませんなぁ、どこにも神経質な人は居ますし、洗濯をする人も多いですしな」
一般的には【クリーン】は決して燃費の良い魔法ではないので、たとえ使える人であっても、ルークのように日常的に【クリーン】を連発して洗い物などしない、という人は稀なのである。
不動産屋「その、燻製というのは、どうしてもやらなければならないものなんですか?」
ルーク「あ、食べてみます?」
ルークはマジックバッグからいくつか燻製肉や燻製野菜を取り出して、不動産屋に食べさせてやった。
不動産屋「ほう、これは香ばしくて美味しいですなぁ……。なるほど、煙で香り付けするとは、面白い調理法ですな。確かにこれは、お酒を飲む方には好まれそうです」
リスティ「おや、ご主人もイケるクチで?」
不動産屋「ははは嫌いではないですねー、それほど強くはありませんが」
ポーリン「…じゃぁ、パン屋とか、窯があるお店なら? 大型の厨房があるような店の空きはない?」
不動産屋「今はないですな。…というかあっても強い臭いがつく料理法はどうでしょうなぁ? 窯に臭いが染み付いてしまうと、二度とパンは焼けなくなってしまうのではないかと。パン作りはかなり繊細なものだと言いますからな」
ルーク「……燻製の香りのパンが焼けるかも?」
リスティ「それはそれでおいしそうではあるけどね。それしか焼けないものも困るだろうね。でも、ルークの【クリーン】なら、染み付いた臭いも消せるのでは?」
ルーク「やったことないけど、多分、いけそうな気がする……」
不動産屋「多分とか気がするでは困るんですよねぇ、パン窯として使えなくなるようですと、完全買取して頂かないと困るという話になりますぞ?
それに、確かにパン屋や料理屋には大型の厨房と煙突がついていますが、パンや料理の匂いは気にならなくても、燻製の煙の臭いは気にする人がいるのではないですかな?」
ポーリン「う~じゃぁ! 鍛冶屋街とかなら? 鍛冶屋の空き物件はないの?」
城郭都市は、内部の居住空間に限りがある。しかし当然、時が経つにつれ街には人が増え、建物が増える。そうしてやがて、土地・建物が不足する事になる。
街が狭くなれば、外壁を拡張して街を広げていく事になる。現在ある外壁の外側に新たな外壁を作り、完成したところでその中に移住するという事を繰り返し、何層もの同心円状の壁に囲まれた街ができていくわけである。
横方向に広げにくい環境の街などでは、建物は必然的に上下に伸びるしかなくなり、酷い場合は街全体が入り組んだ巨大な建造物のようになっている街もあるのだが。
幸い、ラハールはまだ周囲に街を広げるだけの土地はたくさんある。当然外壁の拡張工事は行っているが、それは大変な事業であり、なかなか進まないのである。
結局、街を拡張するよりも人が増えるほうが多ければ(内部で人が生まれて増える事もあるが、街が発展すると外部からも沢山の人が流入してくるのだ)、狭い街の中に建物が犇めき合って建つようになる。そんな状況の街で、周囲に煙を出しても問題がない場所などあるわけがないのであった。
不動産屋「その、燻製というのは良く知らないのですが……そんなに煙が出るものなんですか?」
ルーク「いや、大した事はない、と思うんだけどね」
リスティ「うーん、気にならない人は気にならないけど、気になる人は気になる、という感じかなぁ……
タバコの煙だって、好きな人は気にならないけど、嫌いな人はちょっとでも嫌だって言うからね。あと、洗濯物干してる場所とかだと嫌がられるだろうね、確実に……」
ルーク「あ、そうか!」
ルークは【クリーン】を無制限に使いまくるので、洗い物をしたことがないのであった。
不動産屋「ああ、それだと難しいかも知れませんなぁ、どこにも神経質な人は居ますし、洗濯をする人も多いですしな」
一般的には【クリーン】は決して燃費の良い魔法ではないので、たとえ使える人であっても、ルークのように日常的に【クリーン】を連発して洗い物などしない、という人は稀なのである。
不動産屋「その、燻製というのは、どうしてもやらなければならないものなんですか?」
ルーク「あ、食べてみます?」
ルークはマジックバッグからいくつか燻製肉や燻製野菜を取り出して、不動産屋に食べさせてやった。
不動産屋「ほう、これは香ばしくて美味しいですなぁ……。なるほど、煙で香り付けするとは、面白い調理法ですな。確かにこれは、お酒を飲む方には好まれそうです」
リスティ「おや、ご主人もイケるクチで?」
不動産屋「ははは嫌いではないですねー、それほど強くはありませんが」
ポーリン「…じゃぁ、パン屋とか、窯があるお店なら? 大型の厨房があるような店の空きはない?」
不動産屋「今はないですな。…というかあっても強い臭いがつく料理法はどうでしょうなぁ? 窯に臭いが染み付いてしまうと、二度とパンは焼けなくなってしまうのではないかと。パン作りはかなり繊細なものだと言いますからな」
ルーク「……燻製の香りのパンが焼けるかも?」
リスティ「それはそれでおいしそうではあるけどね。それしか焼けないものも困るだろうね。でも、ルークの【クリーン】なら、染み付いた臭いも消せるのでは?」
ルーク「やったことないけど、多分、いけそうな気がする……」
不動産屋「多分とか気がするでは困るんですよねぇ、パン窯として使えなくなるようですと、完全買取して頂かないと困るという話になりますぞ?
それに、確かにパン屋や料理屋には大型の厨房と煙突がついていますが、パンや料理の匂いは気にならなくても、燻製の煙の臭いは気にする人がいるのではないですかな?」
ポーリン「う~じゃぁ! 鍛冶屋街とかなら? 鍛冶屋の空き物件はないの?」
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