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第一章 再会
第29話 「離して!」「離さない!!」
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ポーリン「もう仲間じゃないわ」
ジャック「まぁだ怒ってるのか? こっちきて座れよ、お茶でも飲むか?」
ポーリン「荷物を取りに来ただけだから」
ジャック「……やっぱり出ていくのか?!」
ポーリン「パーティを脱退したんだから出てくのは当然でしょ? 私がいつまでも居座ってたら、新しいメンバーだって入れられないじゃない」
ジャック「だが、認めない」
ポーリン「?」
ジャック「脱退は、認めない」
ポーリン「何言ってるの??? ギルドに正式に届けも済んでる、これはギルマスも認めた事よ? あなたに覆す権限はないわ」
ジャック「じ、じゃぁ、一度脱退はしていい、その後、【再加入】だ」
ポーリン「しないっつーの。だいたい、もうあなたはリーダーじゃないでしょ。他のみんなは?」
ジャック「あいつらは、金策に走ってるよ。早朝からパーティの資産を運び出して売りに行った。依頼失敗の違約金とか、罰金とか、お前への慰謝料とか、色々支払いがあるから大変だって騒いでたよ」
新たにリーダーに就任したカリーはパーティの名前を変え、隣町に拠点を移して再出発するつもりだった。だが、罰金や慰謝料をすべて払い終えなければ拠点を移す事など許されないので、早速残務整理に勤しんでいるのだ。
ポーリン「あんたは手伝わないの?」
ジャック「そんな雑用は、もともとカリーの仕事だ。俺はパーティの主力だからな、雑用は雑魚に限る」
ポーリンはジャックの呆れた放言を無視し、自分の部屋に行き私物を素早く纏めた。それほど荷物は多くはない、大きめのリュック一つに収まる程度だ。
ジャック「待てよ!」
そのまま黙って出ていこうとするポーリンの腕をジャックが掴んだ。
ポーリン「離して」
ジャック「離さない」
ポーリン「離して!!」
ジャック「離さない!!」
どうしても腕を掴んで話さないジャックに怒ったポーリンは、思わずジャックの股間を蹴り上げてしまった。
ポーリン「もうアタシに関わらないで!」
ポーリンの蹴りは見事に的を捉えており、ジャックは股間を押さえて蹲り呻きながら去っていくポーリンを見送ることになった。
ジャック「くっそ~舐めた事しやがって~覚えてろ、タダでは済まさんぞ……」
* * * * *
ルークは週に一度、ラハールの街に食材を卸に来るようになった。
そうなると、相手も予定に合わせて準備することが可能になる。
いつもの通り納品を終えて街を出たルークは、街道の途中でまたしてもバッケンに待ち伏せされたのであった。
しかも、今度は一人ではなく、大勢の冒険者を伴っていた。
ルーク「しつこいね、オジサン」
バッケン「すまんな、俺も引けない事情があるのだ……素直に教えてくれないか? そうすればお互い面倒な事にならずに済む」
ルーク「ごめん、無理」
バッケン「む~~~~きさま~~~~」
ぎりぎりと歯ぎしりするバッケン。
冒険者A「おいバッケン、こんなガキ相手に俺達を集めたのか?」
冒険者B「こんな奴捕まえるのは、オレ一人でも十分だと思うぞ」
バッケン「逃げ足が恐ろしく速いんだ。油断するな」
冒険者A「Bランクの冒険者を撒くほどすばしっこいのか、やるな、小僧」
ルーク「オジサン達も冒険者だよね? 金で雇われたの?」
冒険者A「ああ、そうだ。お前に恨みはないが仕事なんでな。抵抗しないで素直に捕まるなら手荒な真似はしないぞ?」
ルーク「ふふ、大勢で囲めば捕まえられると思ったの? それはちょっと考えが甘いんじゃないかなぁ~?」
ジャック「まぁだ怒ってるのか? こっちきて座れよ、お茶でも飲むか?」
ポーリン「荷物を取りに来ただけだから」
ジャック「……やっぱり出ていくのか?!」
ポーリン「パーティを脱退したんだから出てくのは当然でしょ? 私がいつまでも居座ってたら、新しいメンバーだって入れられないじゃない」
ジャック「だが、認めない」
ポーリン「?」
ジャック「脱退は、認めない」
ポーリン「何言ってるの??? ギルドに正式に届けも済んでる、これはギルマスも認めた事よ? あなたに覆す権限はないわ」
ジャック「じ、じゃぁ、一度脱退はしていい、その後、【再加入】だ」
ポーリン「しないっつーの。だいたい、もうあなたはリーダーじゃないでしょ。他のみんなは?」
ジャック「あいつらは、金策に走ってるよ。早朝からパーティの資産を運び出して売りに行った。依頼失敗の違約金とか、罰金とか、お前への慰謝料とか、色々支払いがあるから大変だって騒いでたよ」
新たにリーダーに就任したカリーはパーティの名前を変え、隣町に拠点を移して再出発するつもりだった。だが、罰金や慰謝料をすべて払い終えなければ拠点を移す事など許されないので、早速残務整理に勤しんでいるのだ。
ポーリン「あんたは手伝わないの?」
ジャック「そんな雑用は、もともとカリーの仕事だ。俺はパーティの主力だからな、雑用は雑魚に限る」
ポーリンはジャックの呆れた放言を無視し、自分の部屋に行き私物を素早く纏めた。それほど荷物は多くはない、大きめのリュック一つに収まる程度だ。
ジャック「待てよ!」
そのまま黙って出ていこうとするポーリンの腕をジャックが掴んだ。
ポーリン「離して」
ジャック「離さない」
ポーリン「離して!!」
ジャック「離さない!!」
どうしても腕を掴んで話さないジャックに怒ったポーリンは、思わずジャックの股間を蹴り上げてしまった。
ポーリン「もうアタシに関わらないで!」
ポーリンの蹴りは見事に的を捉えており、ジャックは股間を押さえて蹲り呻きながら去っていくポーリンを見送ることになった。
ジャック「くっそ~舐めた事しやがって~覚えてろ、タダでは済まさんぞ……」
* * * * *
ルークは週に一度、ラハールの街に食材を卸に来るようになった。
そうなると、相手も予定に合わせて準備することが可能になる。
いつもの通り納品を終えて街を出たルークは、街道の途中でまたしてもバッケンに待ち伏せされたのであった。
しかも、今度は一人ではなく、大勢の冒険者を伴っていた。
ルーク「しつこいね、オジサン」
バッケン「すまんな、俺も引けない事情があるのだ……素直に教えてくれないか? そうすればお互い面倒な事にならずに済む」
ルーク「ごめん、無理」
バッケン「む~~~~きさま~~~~」
ぎりぎりと歯ぎしりするバッケン。
冒険者A「おいバッケン、こんなガキ相手に俺達を集めたのか?」
冒険者B「こんな奴捕まえるのは、オレ一人でも十分だと思うぞ」
バッケン「逃げ足が恐ろしく速いんだ。油断するな」
冒険者A「Bランクの冒険者を撒くほどすばしっこいのか、やるな、小僧」
ルーク「オジサン達も冒険者だよね? 金で雇われたの?」
冒険者A「ああ、そうだ。お前に恨みはないが仕事なんでな。抵抗しないで素直に捕まるなら手荒な真似はしないぞ?」
ルーク「ふふ、大勢で囲めば捕まえられると思ったの? それはちょっと考えが甘いんじゃないかなぁ~?」
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