生活魔法しか使えない少年、浄化（クリーン）を極めて無双します（仮）（習作３）

第一章 再会

第27話 これは癖になる

バッケン「ちっ……少年よ、また来る、逃しはせんぞ、必ず喋ってもらう。よく考えておけ」

バッケンは剣を納めると背を向け去っていった。

ポーリン「ルーク、大丈夫だった？　怪我はない？」

ルーク「うん、なんか、変な人だったね」

ポーリン「彼は一体何を？」

ルーク「さぁ？　何か気に触る事でも言って怒らせたかな？」

ポーリン「バッケン……悪い人ではないと思っていたんだけど…」

ルーク「彼はどんな人物なんだい？」

ポーリン「なんでも、昔はどこかの国の騎士団長だったとかいう噂よ。騎士は引退して、冒険者をしてるって。そう言えば、冒険者になったのは家族の仇を探すためだとかいう噂があったわね…」

ルーク「仇ね……」

ポーリン「バッケンは何か言ってた？」

ルーク「…いや？　何か探しものをしてるみたいだった。僕が知らないと言ったら怒ってた」

ポーリン「そう…」

話しながら歩きだした二人だったが、宿は冒険者ギルドのすぐ裏なので、あっという間に到着した。

もう大分遅い時間であるが、メアが話を通しておいてくれたので、すんなり入ることができた。

ポーリン「ルークは明日帰るの？」

ルーク「うん、土産を買ったらすぐ帰るよ。爺ちゃんがまってるしね」

ポーリン「私は明日は、部屋に荷物を取りにいってから、引越し先探しね」

ルーク「手伝おうか？　ほら、僕には収納魔道具マジックストレージがあるから、荷物運びはお手の物だよ？　どうせ朝店が開く時間まで暇だし」

ポーリン「いえ、大して荷物があるわけじゃないから大丈夫よ。次の家が見つかるまでは、当分はここ・・の宿に泊まるつもりだから、街に来た時は声を掛けて。まだ恩を全部返せたとは思っていないからね？」

ルーク「別に気にしなくていいのになぁ……」

ポーリン「じゃぁ、おやすみ」

ルーク「おやすみ……あ、ポーリン！」

ポーリン「何？」

ルーク「掛けようか？　【クリーン】と【ドライ】　寝具にさ」

ポーリン「！　お願い！！」

ポーリンの宿泊する部屋に入った布団だけでなく、部屋全体も【クリーン】と【ドライ】を掛けてやる。ついでにポーリンの身体にも。

ポーリン「うわぁ、気持ちいい！　ありがとー！」

ルークが【クリーン】と【ドライ】を掛けた布団は、まるで洗って太陽に当ててよく乾かした布団のように心地よかった。着衣も汚れも湿気もなくなり、着替えたばかりのように心地よい。

ポーリン「これは……癖になるわね……」

　　　　・
　　　　・
　　　　・

宿の廊下の窓の外からこっそり様子を伺っていたバッケンも、二人が部屋に入ったため、これ以上の情報は取れないと帰路についた。

バッケン「森に帰るとか行ってたな…あの少年どこに住んでいるんだ？　明日、奴が帰る時に尾行つけてみるか。もしかしたら、そこに……」