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第一章 再会
第24話 お前に訊きたい事がある
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大男「お前が……」
ルーク「?」
大男「お前が、あの干し肉やらを持ってきたガキか?」
ルーク「…だったら?」
大男「……めちゃくちゃ美味かったぞぉ! お前、もっとどんどん持ってこんかい! 他に卸すのは禁止だ、全部ここに持ってこい! バルに全部買い取らせる! なんなら俺が全部買い取ってやってもいいぞ~」
バル「おいダイオ! 何をやっている? もう出来上がっているのか! ほら、あっちでおとなしく飲んでろ。ルークがまた旨い肴を持ってきてくれたのに、騒ぐなら出してやらんぞ」
ダイオ「あい~」
バル「すまんな、悪い奴じゃないんだ、気にしないでくれ。はいこれ代金。少し色つけといたよ。ところで、ダイオじゃないが、もう少したくさん卸して貰えないか?」
ルーク「うーん、他の街でももっと持って来いってあちこちで言われてるからなぁ」
バル「そうか、そりゃそうだよなぁ、悪かった、できる範囲でいいからこれからもウチに卸してくれると助かるよ……」
ルーク「うん、また持ってくるよ」
バル「ああ、頼む」
そこに、シスター・アマリアがやってきた。
アマリア「あ、約束守ってちゃんと来てくれたのね! あら、ポーリンじゃない、どうしてルークと一緒に?」
ポーリン「じつは、カクカクシカジカで……」
アマリア「そうだったんだ、災難だったわね……
ってポーリン、ルークの家に泊まったって?!
どんなところだったの?!
ルーク、この間詳しく聞けなかった話を聞かせてもらうわよ! あなた、この十年どんな生活してたのよ?!」
メア「その話は私も聞きたいです!」
アマリア「あらあらメアちゃん。聞いて、ルークが見つかったのよ!」
メア「知ってます。てか、シスター・アマリアも知ってたんですね。
てかルーク、孤児院を飛び出した後、どうしていたの? 心配していたのよ?」
メアのために、また一から話をしなければならないルークであった。
・
・
・
アマリアとメア、ポーリンに囲まれてワイワイと酒場で話しているルーク。
美女三人に囲まれ羨ましいなと思いつつも、ルークが何者なのかがイマイチ分からず、周囲の冒険者達は遠巻きに見ていた。食材を酒場に卸しているし、どうやら少年は冒険者ではないようだが、酒場のマスターのバルとも親しいようなので迂闊に手も出せない。(※酒場のマスターは引退して大分経つが元Aランク冒険者。)
だが、その時、一人の中年の冒険者がルークに近づいてきて声を掛けた。
冒険者「おい、少年」
アマリア「あら? バッケンじゃない、どうしたのぉ~?」
アマリアは少し酔っているようだ。
バッケン「少年に少し聞きたい事があるんだ。ちょっといいか?」
ルーク「なんです?」
バッケン「お前が持っているその剣、少し見せてくれないか?」
ルーク「剣? んー見るだけなら。大事なモノなんで、触るのは勘弁してね」
バッケン「あ? ああ……」
剣を持ち上げて見せるルーク。
バッケン (これは……間違いない)
バッケン「少年、この剣を、どこで手に入れた?」
ルーク「これ? これは……」
バッケン「これは?」
ルーク「言えないんだ、ごめんね」
実はルークは、誰に剣を教わったか絶対に話してはならないとフィル爺に厳命されていたのである。もちろん、剣の前の持ち主についてもである。
バッケン「なんだと? どういう事だ? 何故言えない? 何か後ろめたい事であるんじゃなかろうな……?」
アマリア「なぁによぉバッケン。ルークら持ってる剣が気になるろぉ? でもダメよぉ、ルークは私がずっと捜してたんだからぁ、あっち行って! しっしっ」
バッケン「くそ、酔っ払いめ、話にならんな」
バッケンは一旦諦め、離れた場所に席を取り、酒を飲み始めた。だが、ずっとルークを鋭い眼光で観察しているようである。視線を感じてルークは落ち着かないのであった。
・
・
・
ポーリン「もういい加減遅いわね、そろそろ帰りましょうか」
アマリア「まだいいじゃなぁい~もっと飲もう~ルークの話がもっと聞きたいのら~」
メア「ああもう、シスターが酒のんでへべれけってどうなのよ?
しょうがないわね、アマリアは私が連れて帰るわ。ルークはどうするの?」
ポーリン「ウチに泊まれば…? と言いたいところだけど、アタシの部屋はジャック達と共同のアパートだから、気まずいわよねぇ。明日には別の部屋探さなきゃね……」
メア「宿に泊まるなら、ギルドの裏に提携宿があるから、話してきてあげるわ」
ポーリンがアパートに帰るというのでルークが送っていこうかと訪ねたが、冒険者のアタッカーのポジションの自分が、支援職?の、それも冒険者ですらない一般人に守ってもらう必要はないと言い切って一人で帰っていった。
メアは宿に部屋を取ってきてくれた後、アマリアを引きずるように連れて帰って行った。
ルークも宿に向かおうとギルドを出たのだが、外で、先程声を掛けてきたバッケンが待ち構えていた……
ルーク「待ち伏せ……?」
バッケン「力づくでも喋ってもらうぞ?」
ルーク「?」
大男「お前が、あの干し肉やらを持ってきたガキか?」
ルーク「…だったら?」
大男「……めちゃくちゃ美味かったぞぉ! お前、もっとどんどん持ってこんかい! 他に卸すのは禁止だ、全部ここに持ってこい! バルに全部買い取らせる! なんなら俺が全部買い取ってやってもいいぞ~」
バル「おいダイオ! 何をやっている? もう出来上がっているのか! ほら、あっちでおとなしく飲んでろ。ルークがまた旨い肴を持ってきてくれたのに、騒ぐなら出してやらんぞ」
ダイオ「あい~」
バル「すまんな、悪い奴じゃないんだ、気にしないでくれ。はいこれ代金。少し色つけといたよ。ところで、ダイオじゃないが、もう少したくさん卸して貰えないか?」
ルーク「うーん、他の街でももっと持って来いってあちこちで言われてるからなぁ」
バル「そうか、そりゃそうだよなぁ、悪かった、できる範囲でいいからこれからもウチに卸してくれると助かるよ……」
ルーク「うん、また持ってくるよ」
バル「ああ、頼む」
そこに、シスター・アマリアがやってきた。
アマリア「あ、約束守ってちゃんと来てくれたのね! あら、ポーリンじゃない、どうしてルークと一緒に?」
ポーリン「じつは、カクカクシカジカで……」
アマリア「そうだったんだ、災難だったわね……
ってポーリン、ルークの家に泊まったって?!
どんなところだったの?!
ルーク、この間詳しく聞けなかった話を聞かせてもらうわよ! あなた、この十年どんな生活してたのよ?!」
メア「その話は私も聞きたいです!」
アマリア「あらあらメアちゃん。聞いて、ルークが見つかったのよ!」
メア「知ってます。てか、シスター・アマリアも知ってたんですね。
てかルーク、孤児院を飛び出した後、どうしていたの? 心配していたのよ?」
メアのために、また一から話をしなければならないルークであった。
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アマリアとメア、ポーリンに囲まれてワイワイと酒場で話しているルーク。
美女三人に囲まれ羨ましいなと思いつつも、ルークが何者なのかがイマイチ分からず、周囲の冒険者達は遠巻きに見ていた。食材を酒場に卸しているし、どうやら少年は冒険者ではないようだが、酒場のマスターのバルとも親しいようなので迂闊に手も出せない。(※酒場のマスターは引退して大分経つが元Aランク冒険者。)
だが、その時、一人の中年の冒険者がルークに近づいてきて声を掛けた。
冒険者「おい、少年」
アマリア「あら? バッケンじゃない、どうしたのぉ~?」
アマリアは少し酔っているようだ。
バッケン「少年に少し聞きたい事があるんだ。ちょっといいか?」
ルーク「なんです?」
バッケン「お前が持っているその剣、少し見せてくれないか?」
ルーク「剣? んー見るだけなら。大事なモノなんで、触るのは勘弁してね」
バッケン「あ? ああ……」
剣を持ち上げて見せるルーク。
バッケン (これは……間違いない)
バッケン「少年、この剣を、どこで手に入れた?」
ルーク「これ? これは……」
バッケン「これは?」
ルーク「言えないんだ、ごめんね」
実はルークは、誰に剣を教わったか絶対に話してはならないとフィル爺に厳命されていたのである。もちろん、剣の前の持ち主についてもである。
バッケン「なんだと? どういう事だ? 何故言えない? 何か後ろめたい事であるんじゃなかろうな……?」
アマリア「なぁによぉバッケン。ルークら持ってる剣が気になるろぉ? でもダメよぉ、ルークは私がずっと捜してたんだからぁ、あっち行って! しっしっ」
バッケン「くそ、酔っ払いめ、話にならんな」
バッケンは一旦諦め、離れた場所に席を取り、酒を飲み始めた。だが、ずっとルークを鋭い眼光で観察しているようである。視線を感じてルークは落ち着かないのであった。
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ポーリン「もういい加減遅いわね、そろそろ帰りましょうか」
アマリア「まだいいじゃなぁい~もっと飲もう~ルークの話がもっと聞きたいのら~」
メア「ああもう、シスターが酒のんでへべれけってどうなのよ?
しょうがないわね、アマリアは私が連れて帰るわ。ルークはどうするの?」
ポーリン「ウチに泊まれば…? と言いたいところだけど、アタシの部屋はジャック達と共同のアパートだから、気まずいわよねぇ。明日には別の部屋探さなきゃね……」
メア「宿に泊まるなら、ギルドの裏に提携宿があるから、話してきてあげるわ」
ポーリンがアパートに帰るというのでルークが送っていこうかと訪ねたが、冒険者のアタッカーのポジションの自分が、支援職?の、それも冒険者ですらない一般人に守ってもらう必要はないと言い切って一人で帰っていった。
メアは宿に部屋を取ってきてくれた後、アマリアを引きずるように連れて帰って行った。
ルークも宿に向かおうとギルドを出たのだが、外で、先程声を掛けてきたバッケンが待ち構えていた……
ルーク「待ち伏せ……?」
バッケン「力づくでも喋ってもらうぞ?」
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