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・風宮千鶴(かぜのみやちづる)
20代後半。身長158cmぐらいの平均的な身長。スリムな体型。丸の内の有名企業の受付嬢を足して平均値にしたような顔をしている。
ぱっとしない旧家の分家に生まれるが、才能を認めらて本家で魔術の手ほどきをうける。
本家で東洋の術、イギリスで西洋の術をま学び祓い屋を開業。
ごく真っ当な倫理観の持ち主。学究肌な術師。
名前の由来は私のご先祖様と霊能者の御船千鶴子から。
・長南天明(おさなみてんめい)
20代半ばぐらいの青年。寺院の次男坊。微かにだが力がある。
学生時代にウェブに文章を寄稿したのをきっかけにウェブサイトの編集部から社員として誘いを受け専業ライターになる。
取材の過程で実家から風宮家を紹介され千鶴に対面。コンビを組むようになる。
名前の由来は霊能力者の長南年恵と画家、神道家の岡本天明から。
エピソードに出てきた諸々について
元ネタ自体が魅力的なので色々と書いておきます。
・悪魔憑き事件
1976年にドイツで発生したアンネリーゼ・ミシェル(1952 - 1976)の保護責任者遺棄致死事件の事です。
教皇庁における「悪魔」の定義は生前に悪行を犯した人間が堕ちた存在らしいです。
悪魔祓いはその儀式の過程で悪魔に名前を言わせるのが正当な手順なのですが、ヒットラーとかユダの名前が彼らが生前の悪行で地獄に堕ちたからなのでしょうね、キリスト教的な考えでは。
なお、このアンネリーゼ事件を元に映画『エミリー・ローズ』(2005)が作られています。
・おとないさん
集まった一人一人が怪談を披露し、一話語り終えるたびに蝋燭を一本ずつ消していくという「百物語」
これは永い太平の世となった江戸時代に特に流行ったもので「おとないさん」はその中で語られたものの一つです。
記述は杉浦日向子先生の『百物語』と地獄先生ぬ~べ~シリーズを参考にしています。
杉浦先生の『百物語』が何を参考に書かれたのかは不明ですが、延宝5年(1677年)の『諸国百物語』、宝永3年(1706年)の『御伽百物語』、享保17年(1732年)の『太平百物語』など江戸時代には多くの百物語が編纂されています。
杉浦先生は江戸風俗の研究家として知られた人物なのでこのうちのどれかかあるいは全部を参考にしているのでしょう。たぶん。
・リャナンシー
アイルランドの伝承に出てくる妖精。
男性に憑りつき、精気を吸い取る代わりに芸術の才能を与える。
アイルランドの詩人が短命なのはリャナンシーに憑りつかれているからだという伝承があるそうです。
日本人でリャナンシー知っている方は少数派だと思いますが、ヤマザキコレ先生の『魔法使いの嫁』に出てきたので知名度も少し上がったかもしれません。
ちなみに『美しい人 優しい人』は思い切り『魔法使いの嫁』から影響を受けています。
・ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ
アイルランドは伝統音楽が非常に盛んな国でその伝統が廃れたことも途絶えたこともありません。
長年イギリスの統治下にあったわけだから凄いことです。
アイルランドではおおよそ人の住む場所であればどこにでもパブ(酒場 public houseの略)がありますが、パブに行くと地元の腕自慢が毎晩のように演奏を披露しています。
ヴァン・モリソン、U2、シニード・オコナーなどアイルランドはポップミュージックでも多くの人材を輩出していますが彼らは全員伝統音楽を経験しています。
ヴァン・モリソンは伝統音楽界の長老バンドであるチーフタンズと共演してアルバムも作っています。
ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ(Down By The Salley Gardens)はアイルランド音楽のメジャーナンバーで作者不詳の伝承曲です。
有名になったのはアイルランドの国民的詩人でノーベル文学賞を受けているウィリアム・バトラー・イェイツの詩集に含まれていたことから。
実際はアイルランドの老婆が歌っていた歌の断片に基づくものでイェイツの創作ではありません。
・丑の刻参り
丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に神社の御神木に憎い相手に見立てた藁人形を釘で打ち込むという、日本に古来より伝わる呪術の一種。
七日目で満願になるが、人に見られると効果が失われると言われている。(呪いが跳ね返るとも)
大まかな設定は『地獄先生ぬーべー』シリーズ+ネット情報+諸々のちゃんぽんなので正式作法ではありません。
千鶴さんが唱えた呪い返しの呪文はネット発のもので出どころはわかりませんでした。
なお、刑法上、丑の刻参りで呪殺に成功しても「偶然死んだ」と解釈されるだけなので犯罪になりません。
ただし、
・深夜の神社に忍び込む=不法侵入罪
・ご神木に五寸釘を打ち付ける=器物損壊罪
・「呪ってやる」と脅す=脅迫罪
にそれぞれ該当しますので、丑の刻参りは実行するだけで二つの軽犯罪に該当します。
実際、丑の刻参りで逮捕された例があります。
こちらをどうぞ
https://tocana.jp/2014/08/post_4716_entry.html
・オカルトと科学
金縛りは仏教用語の「金縛(きんばく)」を訓読みにしたもの。
金縛は、悪霊などを身動きできないように抑えて鎮めることで、そこから転じて身動きが取れなくなる状態を金縛りと呼ぶようになった。
科学的には「睡眠麻痺と入眠時幻覚」による現象。
「体がほとんど動かない」(睡眠麻痺)、「幽霊のようなものが見える」(入眠時幻覚)は特殊なレム睡眠下で発生する現象。
詳しくは超常現象の追及をライフワークとしているライター、本城達也さんの「超常現象の謎解き」をどうぞ。
大変に面白いです。
http://www.nazotoki.com/kanashibari.html
また、「23人のうち1組の誕生日が一致する確率」ですが、これは正しく数学的な理論に基づいています。
詳しくはサイモン・シン著『フェルマーの最終定理』をどうぞ。
最後に、これは言うまでも無いと思いますがエピソードのタイトルは東野圭吾先生の「探偵ガリレオ」シリーズのもじりです。
・魔術都市プラハ
創作ではなくマジ。
魔術王ルドルフ二世は特に錬金術を奨励しており、プラハには錬金術博物館なんてものも存在します。
藤田和日郎先生の大ヒットコミック『からくりサーカス』もこの時代背景を土台にしています。
じつは去年、プラハに行ってきたんですが時間が足りなくて見たい博物館すべてを見ることができませんでした。
プラハ城敷地内にある黄金小路が錬金術師の工房だったというのも本当。
往時の錬金術師の工房を再現した建物まであります。
また、黄金小路にはあのフランツ・カフカも執筆小屋を持っていたとか。
ティコ・ブラーエ、アイザック・ニュートンが錬金術に傾倒していたのも本当。
一般的にブラーエは「おしっこを我慢しすぎて死んじゃった笑うに笑えない人」として有名かと思いますが、錬金術による水銀中毒が死因と言う説もあるとか。
知ってる人は知ってると思いますが、旧初台駅は実在します。
テレビでも時々取り上げられてますが、取材記事があったのでこちらをどうぞ。
https://www.huffingtonpost.jp/2017/11/24/old-hatsudai_a_23287153/
20代後半。身長158cmぐらいの平均的な身長。スリムな体型。丸の内の有名企業の受付嬢を足して平均値にしたような顔をしている。
ぱっとしない旧家の分家に生まれるが、才能を認めらて本家で魔術の手ほどきをうける。
本家で東洋の術、イギリスで西洋の術をま学び祓い屋を開業。
ごく真っ当な倫理観の持ち主。学究肌な術師。
名前の由来は私のご先祖様と霊能者の御船千鶴子から。
・長南天明(おさなみてんめい)
20代半ばぐらいの青年。寺院の次男坊。微かにだが力がある。
学生時代にウェブに文章を寄稿したのをきっかけにウェブサイトの編集部から社員として誘いを受け専業ライターになる。
取材の過程で実家から風宮家を紹介され千鶴に対面。コンビを組むようになる。
名前の由来は霊能力者の長南年恵と画家、神道家の岡本天明から。
エピソードに出てきた諸々について
元ネタ自体が魅力的なので色々と書いておきます。
・悪魔憑き事件
1976年にドイツで発生したアンネリーゼ・ミシェル(1952 - 1976)の保護責任者遺棄致死事件の事です。
教皇庁における「悪魔」の定義は生前に悪行を犯した人間が堕ちた存在らしいです。
悪魔祓いはその儀式の過程で悪魔に名前を言わせるのが正当な手順なのですが、ヒットラーとかユダの名前が彼らが生前の悪行で地獄に堕ちたからなのでしょうね、キリスト教的な考えでは。
なお、このアンネリーゼ事件を元に映画『エミリー・ローズ』(2005)が作られています。
・おとないさん
集まった一人一人が怪談を披露し、一話語り終えるたびに蝋燭を一本ずつ消していくという「百物語」
これは永い太平の世となった江戸時代に特に流行ったもので「おとないさん」はその中で語られたものの一つです。
記述は杉浦日向子先生の『百物語』と地獄先生ぬ~べ~シリーズを参考にしています。
杉浦先生の『百物語』が何を参考に書かれたのかは不明ですが、延宝5年(1677年)の『諸国百物語』、宝永3年(1706年)の『御伽百物語』、享保17年(1732年)の『太平百物語』など江戸時代には多くの百物語が編纂されています。
杉浦先生は江戸風俗の研究家として知られた人物なのでこのうちのどれかかあるいは全部を参考にしているのでしょう。たぶん。
・リャナンシー
アイルランドの伝承に出てくる妖精。
男性に憑りつき、精気を吸い取る代わりに芸術の才能を与える。
アイルランドの詩人が短命なのはリャナンシーに憑りつかれているからだという伝承があるそうです。
日本人でリャナンシー知っている方は少数派だと思いますが、ヤマザキコレ先生の『魔法使いの嫁』に出てきたので知名度も少し上がったかもしれません。
ちなみに『美しい人 優しい人』は思い切り『魔法使いの嫁』から影響を受けています。
・ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ
アイルランドは伝統音楽が非常に盛んな国でその伝統が廃れたことも途絶えたこともありません。
長年イギリスの統治下にあったわけだから凄いことです。
アイルランドではおおよそ人の住む場所であればどこにでもパブ(酒場 public houseの略)がありますが、パブに行くと地元の腕自慢が毎晩のように演奏を披露しています。
ヴァン・モリソン、U2、シニード・オコナーなどアイルランドはポップミュージックでも多くの人材を輩出していますが彼らは全員伝統音楽を経験しています。
ヴァン・モリソンは伝統音楽界の長老バンドであるチーフタンズと共演してアルバムも作っています。
ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ(Down By The Salley Gardens)はアイルランド音楽のメジャーナンバーで作者不詳の伝承曲です。
有名になったのはアイルランドの国民的詩人でノーベル文学賞を受けているウィリアム・バトラー・イェイツの詩集に含まれていたことから。
実際はアイルランドの老婆が歌っていた歌の断片に基づくものでイェイツの創作ではありません。
・丑の刻参り
丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に神社の御神木に憎い相手に見立てた藁人形を釘で打ち込むという、日本に古来より伝わる呪術の一種。
七日目で満願になるが、人に見られると効果が失われると言われている。(呪いが跳ね返るとも)
大まかな設定は『地獄先生ぬーべー』シリーズ+ネット情報+諸々のちゃんぽんなので正式作法ではありません。
千鶴さんが唱えた呪い返しの呪文はネット発のもので出どころはわかりませんでした。
なお、刑法上、丑の刻参りで呪殺に成功しても「偶然死んだ」と解釈されるだけなので犯罪になりません。
ただし、
・深夜の神社に忍び込む=不法侵入罪
・ご神木に五寸釘を打ち付ける=器物損壊罪
・「呪ってやる」と脅す=脅迫罪
にそれぞれ該当しますので、丑の刻参りは実行するだけで二つの軽犯罪に該当します。
実際、丑の刻参りで逮捕された例があります。
こちらをどうぞ
https://tocana.jp/2014/08/post_4716_entry.html
・オカルトと科学
金縛りは仏教用語の「金縛(きんばく)」を訓読みにしたもの。
金縛は、悪霊などを身動きできないように抑えて鎮めることで、そこから転じて身動きが取れなくなる状態を金縛りと呼ぶようになった。
科学的には「睡眠麻痺と入眠時幻覚」による現象。
「体がほとんど動かない」(睡眠麻痺)、「幽霊のようなものが見える」(入眠時幻覚)は特殊なレム睡眠下で発生する現象。
詳しくは超常現象の追及をライフワークとしているライター、本城達也さんの「超常現象の謎解き」をどうぞ。
大変に面白いです。
http://www.nazotoki.com/kanashibari.html
また、「23人のうち1組の誕生日が一致する確率」ですが、これは正しく数学的な理論に基づいています。
詳しくはサイモン・シン著『フェルマーの最終定理』をどうぞ。
最後に、これは言うまでも無いと思いますがエピソードのタイトルは東野圭吾先生の「探偵ガリレオ」シリーズのもじりです。
・魔術都市プラハ
創作ではなくマジ。
魔術王ルドルフ二世は特に錬金術を奨励しており、プラハには錬金術博物館なんてものも存在します。
藤田和日郎先生の大ヒットコミック『からくりサーカス』もこの時代背景を土台にしています。
じつは去年、プラハに行ってきたんですが時間が足りなくて見たい博物館すべてを見ることができませんでした。
プラハ城敷地内にある黄金小路が錬金術師の工房だったというのも本当。
往時の錬金術師の工房を再現した建物まであります。
また、黄金小路にはあのフランツ・カフカも執筆小屋を持っていたとか。
ティコ・ブラーエ、アイザック・ニュートンが錬金術に傾倒していたのも本当。
一般的にブラーエは「おしっこを我慢しすぎて死んじゃった笑うに笑えない人」として有名かと思いますが、錬金術による水銀中毒が死因と言う説もあるとか。
知ってる人は知ってると思いますが、旧初台駅は実在します。
テレビでも時々取り上げられてますが、取材記事があったのでこちらをどうぞ。
https://www.huffingtonpost.jp/2017/11/24/old-hatsudai_a_23287153/
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