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7【ヴァンパイアの犬】
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「はぁ」
「何そんなに顔顰めてんの?」
朝、政府から依頼の手紙が届き、中を確認すると溜め息が思わず出てしまった。朝食にサンドウィッチを作って配膳してくれるチカが俺の様子を見て不思議そうに聞いてくる。
「新しい依頼来たんだけど、グレーゾーンだから調査報告しろって」
「グレーゾーン?殺した方が早くない?」
「一応商売だからな?人権とか信頼問題もあるし慎重にやらねぇといけないんだよ」
ハンター業も狩るだけではなくて、入念な下調べは必要だ。なんの根拠もなしに処分しましたでは殺人と同じだからだ。この間の連続殺人事件のヴァンパイアの任務も、目星をつけてからどういう女性を好むのとか、場所や時間を絞るのに時間をかけて行ったのだ。
「でも今回は犯人探しじゃなくて素行確認だから、まだ楽かな。名前も分かってるし」
「ハンターも大変なんだ」
「共存してるとはいえ、ヴァンパイアの方が力も強いし、反乱起こされたら負けるのは人間だからな。こういうのはちゃんとしないと」
上手いこと共存の歴史を培ってきてるこの国だけど、本来の力差を考えると、人間は家畜のように扱われてもおかしくないのだ。叔父さんの言うように餌なのだから。互いに慈しみ合い、愛し合い、手を取ることによって、なんて綺麗事ではなく、単に『血の契約』の縛りが強いから成り立ってるのかもしれない。人間がいなければ腹が減るから。
魔物の住む辺境の地でもあるし、他国から見れば異様な国だ。上手く立ち回らずに戦争を仕掛けられたら、集中攻撃を食らうだろう。だからこの地で暮らしていたいなら、まとまっていないといけない。でもルールを乱したから処刑、なんて簡単に行っていたら反感を買う。何事もバランスが大事なのだと思う。
「調べるのはどんなヴァンパイア?」
淹れてくれた紅茶を受け取りつつ、詳細の書かれた紙を捲る。温かいカップから柔らかい紅茶の甘さが香り立つ。
「ありがと……えーと、人狼への扱いが酷いやつみたい」
「ふぅん」
興味を示さない返答だったけど、ピクリと耳が反応するのを見逃さなかった。叔父さんと話してから、人狼のことも学ぼうと書物を漁ったけど、俺の知識よりも人狼の扱いって悪いのかもしれない。この国のほとんどがヴァンパイアと人間だし、コウモリと同じペット感覚で飼われているのも珍しくないと俗物的な雑誌には書かれていたし。
「これ美味しいなぁ!ホント料理上手いよなぁ」
話を変えようとサンドウィッチを口に運んで、テーブルを挟んで向かい側に座ったチカを褒める。お世辞抜きに、チカの作る食事は美味しい。甘めの食パンに丁寧にマヨネーズが塗られていて、具材は綺麗に切り揃えられている。食感を残すために荒く潰された卵の味付けも好みだし、新鮮なレタスとキュウリとハムの方も美味しい。
「気に入ってくれて良かった」
褒めれば単純で、ご機嫌にしっぽを振ってるのがぱたぱたと床を擦る音で分かった。ほらこういうとこが可愛いんだよな、と叔父さんは見てないから分かってない。チカのことを調べあげた文字列だけでしか知らずに、とやかく言われてモヤついていた部分の理由に苦笑いする。
チカは『血の契約』に関しては時折暴走するけど、基本的に善良で優しいし人懐っこい。作ってくれる料理は美味しいし、ちゃんと栄養を採ってるおかげで出会った頃よりもチカの血も美味しくなってきたし、とふとヴァンパイアの思考してる自分に戸惑った。
「ヨウくん、変な顔してどうした?」
「や、変化って怖いなってなっただけ」
「『血の契約』結ぶ気になった?」
「それじゃない」
「ちぇ」
「でもお前料理とか基本的な家事出来るし、気遣い上手だし、こんだけ色んなスキル高ければ、『血の契約』なんて引く手あまただってろ」
「顔も良いしね」
「自分で付け足すな」
「そうでもないよ。所詮は人狼だし、その血しか飲めなくなる『血の契約』を結んでまで手元に置きたいなんて思われない」
「そんなに卑屈にならなくても」
「ヨウくんのいいところはお坊っちゃんで世間知らずなところだ、偏見も何も無い綺麗な目で映してくれるから心地いい」
「褒められてるのか分かりにくいな」
「だから結んでって言いたくなるんだよ」
「お前が人狼じゃなくても嫌だよ」
「そういうとこ好き」
「はいはい」
多くのヴァンパイアと契約していた祖父のせいで、俺の価値観もバグっているのかもしれない。不老不死のヴァンパイアが、その人がいない世界なら生きられなくていいと思えるほどの覚悟と愛がないと、『血の契約』は結ばないのか。飢餓感に苦しみながらでも、おそらく血を最低限得てれば生きていけるのだろうと思うけど、それでも寿命を決めるということに近い。
「その手紙見ても大丈夫?」
「口外するなよ」
「分かってるって」
同族に対しての扱いが酷いという前情報があるから、チカが詳細を見て嫌な思いをしないか心配だ。ふんふんと読み進めてから、分かりやすく苦々しい顔をした。
「これいつ調査とか行く?」
「隣町だし今日少し見に行ってみるつもりだけど」
「オレもついてく」
「そんな、買い物とかじゃないんだぞ」
「分かってる、邪魔しない」
毅然とした態度で迎え撃たれては、来るなとは言い難い。何かひっかかる事があるのか分からないけど、確かに俺のが人狼に対して浅識だし、実際来てくれた方が助かるかもしれない。
「じゃあ来てくれ、あくまで様子見だから戦うつもりはないからな」
「オレ別に血の気は多くないよ、気になるなら抜いてってくれていいけど」
ちらりとシャツを乱して、首筋を露わにして血を吸いやすくしてくれるけど、俺はたまごサンドを口に運ぶ。
「……サンドウィッチが美味しいからいらない」
「サンドウィッチに負けた!?」
高まっている吸血欲に俺は戸惑っているから、吸いすぎたらどうなるか分からない。理性が持たずに、吸い尽くしてチカを殺してしまうのは怖いし。そんな俺の気持ちは知らずに、チカはつまらなそうに唇を尖らせていた。
☆☆☆
馬車に揺られて、隣町へと向かう。チカの耳は目立つからフードを被せて、オーバーサイズのジャケットにしっぽを隠させた。
「この格好窮屈なんだけど」
「あんまり目立ちたくないんだから我慢しろ、それしまえたりしないのか」
「出来ない~」
「なら我慢しろ」
ブーブー言うのを無視して、手紙で受けた資料を頭の中で広げる。隣町に住むナターシャ・ユリマニアは女性のヴァンパイアだ。服飾ブランドを立ち上げているデザイナーらしい。特定の相手と『血の契約』は結ばずに、十匹(人?)の人狼を飼っているという。
所謂ペットなのかもしれないが、人狼達もこの国の住人だ。本来対等であるべき人狼達の扱いが悪いというのは、差別へと繋がる。人狼の反感を買い、最悪事件へと発展するかもしれない。種から芽が出る前に、その種が悪いものかどうか選別する材料を集めろというのが政府からのお達しだ。
「扱いが悪いって虐待されてた場合、俺は報告だけでいいのかな」
「や~大丈夫じゃない?」
「軽、なんで楽観的なんだよ」
「うーん、後で分かるよ」
ナターシャがブティックを構えてるという通り付近に馬車に下ろしてもらい、捜索することにした。大通りがあるか、昼間の街を賑わせているのは殆どが人間だ。種族の違う者達が共に暮らしてある割にヴァンパイアは人間を襲ってはいけないという暗黙のルールのおかげで平和を保っている。
この国にいる限りはヴァンパイアも籍を登録するし、それを元に配給している輸血パックで血に飢えさせることは無いし、乱す者はハンターが狩って、ちゃんと処罰される。それでもヴァンパイアが人間を襲う事件がなくならないのはなんだろうな、ハンターを生業にして稼いでる身ではあるけど思う。
「そういえば、引きこもりのヨウくんは街は来たことあるの?」
「引きこもり言うな。爺さんが死んでからはだんだんと外に出るようにっていうか、出ないと飯に困ったし」
「遊びに来たことはある?」
「遊び方わかんないからないな」
「だと思った。どこか行ってみたいとか、してみたいところないの?」
何がおかしいのか、チカは嬉しそうに笑っていた。バーベナ家の敷地内から出られなくても、生活出来ていたのはヴァンパイア達のお陰だったな。爺さんに言いつけられたのは出ては行けない、それだけだったから、破ったら本当に捨てられる気がして、遊びに行くなんて考えもしなかった。
爺さんが死んで、暫く屋敷にいてくれた叔父さんに強制的に連れ回されて、街は一人で歩けるようになったけど、俺は異常だったかもしれない。でも、今は隣にチカがいるし一人じゃ気後れするところにも行けるだろう。少し考えて、酒場を思い出す。あそこなら知ってる顔がいるしまだ気兼ねないだろう。
「うーん、飲みに行こうかなって思ってた酒場があるんだけど、付き合ってくれるか」
「いくらでも」
すぐに頷かれた。小さな約束が照れくさくて、頬が緩みそうなのを自覚する。が、それは一瞬で冷水を浴びせるかのように、見知らぬ女性の声に呼びかけられた。
「あら、駄犬ちゃんじゃない」
暗い路地裏から出てきたのは、美しい女性だった。縦ロールに巻かれた髪は紅く、指先でくるくる弄んでいる。ヴァンパイアだと尖った牙や耳が親切に教えてくれるけど、昼間なのにどうして出歩けるのかと驚く。
「久しぶりね、相変わらず綺麗なお顔」
ヴァンパイアが声をかけてるのは間違いなくチカだった。チカがこっそり後ろ手に合図してきて、相手がナターシャだと分かる。
後ろから現れた人狼が地面に四つん這いになり、その背中にレースのハンカチを引かれ、ナターシャは足を組んで座る。脇にいるもう一人の人狼に大きな日傘を差してもらって、汗ひとつかかずに涼やかに微笑んだ。
まさかこんな早く遭遇してしまうとは思わなかった。昼間に出くわすとは思わまい。その為の調査だったんだけれど、こうして見つかってしまっては仕方ない。ここはハンターだとバレないようにしなくては、と緊張で身体が強ばる。すると、チカが俺を背に貸すようにして前に立った。それを見て唇に引いた真っ赤なルージュが歪み、蠱惑的に言葉をなぞる。
「しっぽ巻いて逃げ出したのに、どの面下げて現れたの?」
「お久しぶりです、ナターシャ様」
「あーあ。わたくし、その形のいい鼻を折るの好きだったのに。基本的に逃げた野良犬に興味無いけれど、あなたは可愛かったし、また飼ってあげましょうか?」
「ご冗談を」
先程意味深な態度をしていたから、何となく勘づいてたけど、やっぱりナターシャとチカは顔見知りだったらしい。それよりもチカが恭しい態度で、微笑んでいることに驚いた。おそらくチカの飼い主だったんだろうと思うけど、どちらも穏やかな雰囲気で会話を続けているのにどこかバチバチやり合っている。
「それよりも高貴な貴方がこんな真昼間にどうしたんですか?陽光に焼かれて、青白い不健康な肌が溶けてしまいますよ」
「あぁ、わたくし今、ヴァンパイアの肌が日光に耐えられる布地を開発してるの。まだ布が足りないけれど、これはその試作品よ」
胸元の開いた赤いタイトなドレスは、スタイルの良い身体の線をおもむろに出している。先の尖った厚底のブーツのせいで余計に威圧を感じる。
「流石です」
「でしょう?」
布が足りない中で自分で試している辺り、商品化は近そうに思える。目の付け所が面白いし、それを実現させる技術があるようだ。太陽を克服出来るという売り文句なら、注目されるだろう。興味深くドレスを見ていると、ナターシャの視線が俺に向いた。
「そちらはあなたの連れ」
「えぇ、友人です」
「そう。身につけている香水、バーベナ?センスないわ、鼻につくもの」
「ナターシャ様は趣味悪いですもんね」
「ふふ、駄犬ちゃんのくせに調子に乗ってるとぶち殺すわよ」
半ヴァンパイアの匂いを香水で誤魔化せてるなら良かったと安堵しつつも二人が言い合いをしてる様は、仲が良さそうにも悪そうにも見える。良く言えば対等というか、少なくとも黙って椅子になったり、日傘を差してる人狼とは扱いが違う気がする。人狼達は静かに主人の傍に寄り添っていて、表情からは何も読み取れない。
「そこのお友達もろとも腹を裂いて内臓から血を吸ってやろうかしら。ブラッドソーセージってご存知?」
「左様で」
「その態度気に食わないわ」
聞き流すチカに腹が立ったのか、ナターシャは立ち上がる。長い腕が伸びてきて、爪をチカの首にギリギリと食い込ませた。
「ちょ!やめてください!」
慌てて止めに入るも、片手で持ち上げられて宙に足の浮いたチカは、無表情で首を絞められていた。代わりにナターシャがせせら笑う。
「駄犬を駄犬として扱って何が悪いの?」
「チカは駄犬じゃないです!そもそも下に見ていい存在なんていない」
「あら?でも駄犬ちゃんは魔力が他の人狼よりも少なくてね、オオカミに変身もできないのよ。それで群れからも迫害されてきたの、知らないの?」
「へ……」
「そもそも同族が下に見てるの、滑稽よね?何も知らないのに綺麗事を並べないで頂戴。虫唾が走るわ」
チカ、とその方を見れば俺から目を背けた。その態度が逆に事実だと語る。魔力が少ないなんて、そんなの教えてくれなかった。人狼がオオカミに変身出来ないなんて、ヴァンパイアが血を飲めないのと同じくらい、きっと普通じゃない。同族から迫害って、確かに色んな場所を転々としてるようだったけれど、居場所がなかったからなんて思わなかった。だって、いつも無邪気に笑っているから。不幸なんて知らない顔をしてるから。
それにさっき、耳や尾をしまえないのかと無知ゆえにチカの傷を抉る真似をしてしまった。不甲斐なくて申し訳なくて、悔しい。チカは俺を俺以上に大事にしてくれてたのに、その前に自分を大事にしてなかったなんて。
だったら、と思い直す。
顔を背けるチカにショックを受ける前に、今悔やむ前に、与えられて嬉しかったものを、チカにも返していこう。
「返してください、チカは俺の人狼です」
「あら、主人だったの」
宣言するとナターシャは可笑しそうに顔を歪めた。興味なくなったと言わんばかりにチカを放り投げて、椅子としてしゃがんでいた人狼を呼びつける。すると、人狼は瞬時にオオカミの姿へと変わった。猛々しい牙を覗かせながら、毛並みは手入れされていて美しい。満足気にナターシャはオオカミの顎を撫でて、その擽りを受けてオオカミも目を細める。
「こんなに可愛いオオカミに変身出来ないのに、まぁ芸は上手いけれど、手元に置いておく価値があるの?」
「貴女の元は愛想尽かして去ったらしいですが、俺の傍にはずっといたいようですから」
「へぇ駄犬ちゃんに劣らず主人も生意気な口ね、切り裂いてやろうかしら」
しばし睨み合うと、ナターシャは溜息をついた。もふもふと毛に埋もれて次第にオオカミに寄りかかる。結構な力で締められていたのか、チカは息を整えるように少し離れたところでしゃがんでいた。背を向けられていて、顔は見えない。
「人のものに手を出す趣味は無いし、相手にするのも無駄な時間ね。あぁ、でも貴方も顔は可愛いから一緒に飼ってあげましょうか」
「嫌です」
「残念。折角だからわたくしの孤独の穴を埋める手伝いをさせてあげても良かったのに……はぁ、全く何処に行ったのかしら」
何かに思いを馳せるかのように憂いを帯びた表情へと変わり、オオカミに顔を埋めて堪能し始めた。オオカミになると随分可愛がっているようで、容赦なくキスしている。なんだか情報に齟齬がある気がしてきた。
「ご主人様は、我々の仲間が一匹はぐれたのを悲しく思っています」
日傘を差している方の人狼がこちらへと話しかけてきて驚く。てっきり許可なく話すなとか言いそうだったナターシャはそれを咎めることない。
「えっと、人狼が行方不明ってことですか?」
「そうです。一番ご主人様の寵愛を受け、相思相愛だったので、そこの愛の理解のないチカのように逃げるはずなんてないのですが。お陰でご主人様はより一層悲しみに暮れています」
主人の悲しみは自分の苦しみと言わんばかりに、人狼は表情を曇らせる。思っていた主従関係とは違うらしい、ちゃんとした扱いを受けてるようだった。ナターシャの物騒な言動やら、椅子にするなどの人狼の姿相手の行動で誤解されているのかもしれない。人狼は少し考えて、ナターシャへの日傘をオオカミの口にくわえさせて、俺の方へと近付いてきた。何やら主人に聞かれたくない話なのか声を潜める。
「あなたはどうやらバーベナの方のようですから、何か知っていたらお力添えをお願いします」
確かにバーベナの香水をつけているが、夜道のお守りにヴァンパイア避けにはよく使われる一般的なものだ。でもきっとハンターだとバレて頼まれている。鼻が利くからなのか、この人狼が有能なのか。侮ってはいけないと頷くと、更に続けた。
「我々人狼の間では、バーベナを持つとヴァンパイアになれると巷で噂なので、その香水もお気をつけください」
「ヴァンパイアに?」
それ以上は答えることなく、離れて主人の元へと戻った。気になることを言われたけど、ハンターとバレているなら対象がナターシャだというのは分かっているだろう。立ち回りを間違えてはいけない。
「日がキツくなってたわね、そろそろ帰りましょう。その気になったらいつでも飼われに来なさい。可愛がってあげるから」
「あ、」
ナターシャは日にやられ始めて弱っているし、調査書と実際の関係は違かったのだからここは引きどころだろう。ナターシャは日傘を差されたまま、オオカミの背に乗せられて、暗い路地裏へと戻って行った。
「チカ、大丈夫か?」
「平気、ありがとう」
離れたところにいて黙ったままのチカに声をかけると、ようやく顔を上げてくれた。それに安堵して、でもなんて言えばいいか分からなくて、在り来りな言葉をあげる。
「そか。俺らも帰るか」
「……うん」
こんな顔されたら、もう追い出しにくくなるなぁと、考えてしまうあたりにとっくに絆されてるのだと気付いてしまった。
「何そんなに顔顰めてんの?」
朝、政府から依頼の手紙が届き、中を確認すると溜め息が思わず出てしまった。朝食にサンドウィッチを作って配膳してくれるチカが俺の様子を見て不思議そうに聞いてくる。
「新しい依頼来たんだけど、グレーゾーンだから調査報告しろって」
「グレーゾーン?殺した方が早くない?」
「一応商売だからな?人権とか信頼問題もあるし慎重にやらねぇといけないんだよ」
ハンター業も狩るだけではなくて、入念な下調べは必要だ。なんの根拠もなしに処分しましたでは殺人と同じだからだ。この間の連続殺人事件のヴァンパイアの任務も、目星をつけてからどういう女性を好むのとか、場所や時間を絞るのに時間をかけて行ったのだ。
「でも今回は犯人探しじゃなくて素行確認だから、まだ楽かな。名前も分かってるし」
「ハンターも大変なんだ」
「共存してるとはいえ、ヴァンパイアの方が力も強いし、反乱起こされたら負けるのは人間だからな。こういうのはちゃんとしないと」
上手いこと共存の歴史を培ってきてるこの国だけど、本来の力差を考えると、人間は家畜のように扱われてもおかしくないのだ。叔父さんの言うように餌なのだから。互いに慈しみ合い、愛し合い、手を取ることによって、なんて綺麗事ではなく、単に『血の契約』の縛りが強いから成り立ってるのかもしれない。人間がいなければ腹が減るから。
魔物の住む辺境の地でもあるし、他国から見れば異様な国だ。上手く立ち回らずに戦争を仕掛けられたら、集中攻撃を食らうだろう。だからこの地で暮らしていたいなら、まとまっていないといけない。でもルールを乱したから処刑、なんて簡単に行っていたら反感を買う。何事もバランスが大事なのだと思う。
「調べるのはどんなヴァンパイア?」
淹れてくれた紅茶を受け取りつつ、詳細の書かれた紙を捲る。温かいカップから柔らかい紅茶の甘さが香り立つ。
「ありがと……えーと、人狼への扱いが酷いやつみたい」
「ふぅん」
興味を示さない返答だったけど、ピクリと耳が反応するのを見逃さなかった。叔父さんと話してから、人狼のことも学ぼうと書物を漁ったけど、俺の知識よりも人狼の扱いって悪いのかもしれない。この国のほとんどがヴァンパイアと人間だし、コウモリと同じペット感覚で飼われているのも珍しくないと俗物的な雑誌には書かれていたし。
「これ美味しいなぁ!ホント料理上手いよなぁ」
話を変えようとサンドウィッチを口に運んで、テーブルを挟んで向かい側に座ったチカを褒める。お世辞抜きに、チカの作る食事は美味しい。甘めの食パンに丁寧にマヨネーズが塗られていて、具材は綺麗に切り揃えられている。食感を残すために荒く潰された卵の味付けも好みだし、新鮮なレタスとキュウリとハムの方も美味しい。
「気に入ってくれて良かった」
褒めれば単純で、ご機嫌にしっぽを振ってるのがぱたぱたと床を擦る音で分かった。ほらこういうとこが可愛いんだよな、と叔父さんは見てないから分かってない。チカのことを調べあげた文字列だけでしか知らずに、とやかく言われてモヤついていた部分の理由に苦笑いする。
チカは『血の契約』に関しては時折暴走するけど、基本的に善良で優しいし人懐っこい。作ってくれる料理は美味しいし、ちゃんと栄養を採ってるおかげで出会った頃よりもチカの血も美味しくなってきたし、とふとヴァンパイアの思考してる自分に戸惑った。
「ヨウくん、変な顔してどうした?」
「や、変化って怖いなってなっただけ」
「『血の契約』結ぶ気になった?」
「それじゃない」
「ちぇ」
「でもお前料理とか基本的な家事出来るし、気遣い上手だし、こんだけ色んなスキル高ければ、『血の契約』なんて引く手あまただってろ」
「顔も良いしね」
「自分で付け足すな」
「そうでもないよ。所詮は人狼だし、その血しか飲めなくなる『血の契約』を結んでまで手元に置きたいなんて思われない」
「そんなに卑屈にならなくても」
「ヨウくんのいいところはお坊っちゃんで世間知らずなところだ、偏見も何も無い綺麗な目で映してくれるから心地いい」
「褒められてるのか分かりにくいな」
「だから結んでって言いたくなるんだよ」
「お前が人狼じゃなくても嫌だよ」
「そういうとこ好き」
「はいはい」
多くのヴァンパイアと契約していた祖父のせいで、俺の価値観もバグっているのかもしれない。不老不死のヴァンパイアが、その人がいない世界なら生きられなくていいと思えるほどの覚悟と愛がないと、『血の契約』は結ばないのか。飢餓感に苦しみながらでも、おそらく血を最低限得てれば生きていけるのだろうと思うけど、それでも寿命を決めるということに近い。
「その手紙見ても大丈夫?」
「口外するなよ」
「分かってるって」
同族に対しての扱いが酷いという前情報があるから、チカが詳細を見て嫌な思いをしないか心配だ。ふんふんと読み進めてから、分かりやすく苦々しい顔をした。
「これいつ調査とか行く?」
「隣町だし今日少し見に行ってみるつもりだけど」
「オレもついてく」
「そんな、買い物とかじゃないんだぞ」
「分かってる、邪魔しない」
毅然とした態度で迎え撃たれては、来るなとは言い難い。何かひっかかる事があるのか分からないけど、確かに俺のが人狼に対して浅識だし、実際来てくれた方が助かるかもしれない。
「じゃあ来てくれ、あくまで様子見だから戦うつもりはないからな」
「オレ別に血の気は多くないよ、気になるなら抜いてってくれていいけど」
ちらりとシャツを乱して、首筋を露わにして血を吸いやすくしてくれるけど、俺はたまごサンドを口に運ぶ。
「……サンドウィッチが美味しいからいらない」
「サンドウィッチに負けた!?」
高まっている吸血欲に俺は戸惑っているから、吸いすぎたらどうなるか分からない。理性が持たずに、吸い尽くしてチカを殺してしまうのは怖いし。そんな俺の気持ちは知らずに、チカはつまらなそうに唇を尖らせていた。
☆☆☆
馬車に揺られて、隣町へと向かう。チカの耳は目立つからフードを被せて、オーバーサイズのジャケットにしっぽを隠させた。
「この格好窮屈なんだけど」
「あんまり目立ちたくないんだから我慢しろ、それしまえたりしないのか」
「出来ない~」
「なら我慢しろ」
ブーブー言うのを無視して、手紙で受けた資料を頭の中で広げる。隣町に住むナターシャ・ユリマニアは女性のヴァンパイアだ。服飾ブランドを立ち上げているデザイナーらしい。特定の相手と『血の契約』は結ばずに、十匹(人?)の人狼を飼っているという。
所謂ペットなのかもしれないが、人狼達もこの国の住人だ。本来対等であるべき人狼達の扱いが悪いというのは、差別へと繋がる。人狼の反感を買い、最悪事件へと発展するかもしれない。種から芽が出る前に、その種が悪いものかどうか選別する材料を集めろというのが政府からのお達しだ。
「扱いが悪いって虐待されてた場合、俺は報告だけでいいのかな」
「や~大丈夫じゃない?」
「軽、なんで楽観的なんだよ」
「うーん、後で分かるよ」
ナターシャがブティックを構えてるという通り付近に馬車に下ろしてもらい、捜索することにした。大通りがあるか、昼間の街を賑わせているのは殆どが人間だ。種族の違う者達が共に暮らしてある割にヴァンパイアは人間を襲ってはいけないという暗黙のルールのおかげで平和を保っている。
この国にいる限りはヴァンパイアも籍を登録するし、それを元に配給している輸血パックで血に飢えさせることは無いし、乱す者はハンターが狩って、ちゃんと処罰される。それでもヴァンパイアが人間を襲う事件がなくならないのはなんだろうな、ハンターを生業にして稼いでる身ではあるけど思う。
「そういえば、引きこもりのヨウくんは街は来たことあるの?」
「引きこもり言うな。爺さんが死んでからはだんだんと外に出るようにっていうか、出ないと飯に困ったし」
「遊びに来たことはある?」
「遊び方わかんないからないな」
「だと思った。どこか行ってみたいとか、してみたいところないの?」
何がおかしいのか、チカは嬉しそうに笑っていた。バーベナ家の敷地内から出られなくても、生活出来ていたのはヴァンパイア達のお陰だったな。爺さんに言いつけられたのは出ては行けない、それだけだったから、破ったら本当に捨てられる気がして、遊びに行くなんて考えもしなかった。
爺さんが死んで、暫く屋敷にいてくれた叔父さんに強制的に連れ回されて、街は一人で歩けるようになったけど、俺は異常だったかもしれない。でも、今は隣にチカがいるし一人じゃ気後れするところにも行けるだろう。少し考えて、酒場を思い出す。あそこなら知ってる顔がいるしまだ気兼ねないだろう。
「うーん、飲みに行こうかなって思ってた酒場があるんだけど、付き合ってくれるか」
「いくらでも」
すぐに頷かれた。小さな約束が照れくさくて、頬が緩みそうなのを自覚する。が、それは一瞬で冷水を浴びせるかのように、見知らぬ女性の声に呼びかけられた。
「あら、駄犬ちゃんじゃない」
暗い路地裏から出てきたのは、美しい女性だった。縦ロールに巻かれた髪は紅く、指先でくるくる弄んでいる。ヴァンパイアだと尖った牙や耳が親切に教えてくれるけど、昼間なのにどうして出歩けるのかと驚く。
「久しぶりね、相変わらず綺麗なお顔」
ヴァンパイアが声をかけてるのは間違いなくチカだった。チカがこっそり後ろ手に合図してきて、相手がナターシャだと分かる。
後ろから現れた人狼が地面に四つん這いになり、その背中にレースのハンカチを引かれ、ナターシャは足を組んで座る。脇にいるもう一人の人狼に大きな日傘を差してもらって、汗ひとつかかずに涼やかに微笑んだ。
まさかこんな早く遭遇してしまうとは思わなかった。昼間に出くわすとは思わまい。その為の調査だったんだけれど、こうして見つかってしまっては仕方ない。ここはハンターだとバレないようにしなくては、と緊張で身体が強ばる。すると、チカが俺を背に貸すようにして前に立った。それを見て唇に引いた真っ赤なルージュが歪み、蠱惑的に言葉をなぞる。
「しっぽ巻いて逃げ出したのに、どの面下げて現れたの?」
「お久しぶりです、ナターシャ様」
「あーあ。わたくし、その形のいい鼻を折るの好きだったのに。基本的に逃げた野良犬に興味無いけれど、あなたは可愛かったし、また飼ってあげましょうか?」
「ご冗談を」
先程意味深な態度をしていたから、何となく勘づいてたけど、やっぱりナターシャとチカは顔見知りだったらしい。それよりもチカが恭しい態度で、微笑んでいることに驚いた。おそらくチカの飼い主だったんだろうと思うけど、どちらも穏やかな雰囲気で会話を続けているのにどこかバチバチやり合っている。
「それよりも高貴な貴方がこんな真昼間にどうしたんですか?陽光に焼かれて、青白い不健康な肌が溶けてしまいますよ」
「あぁ、わたくし今、ヴァンパイアの肌が日光に耐えられる布地を開発してるの。まだ布が足りないけれど、これはその試作品よ」
胸元の開いた赤いタイトなドレスは、スタイルの良い身体の線をおもむろに出している。先の尖った厚底のブーツのせいで余計に威圧を感じる。
「流石です」
「でしょう?」
布が足りない中で自分で試している辺り、商品化は近そうに思える。目の付け所が面白いし、それを実現させる技術があるようだ。太陽を克服出来るという売り文句なら、注目されるだろう。興味深くドレスを見ていると、ナターシャの視線が俺に向いた。
「そちらはあなたの連れ」
「えぇ、友人です」
「そう。身につけている香水、バーベナ?センスないわ、鼻につくもの」
「ナターシャ様は趣味悪いですもんね」
「ふふ、駄犬ちゃんのくせに調子に乗ってるとぶち殺すわよ」
半ヴァンパイアの匂いを香水で誤魔化せてるなら良かったと安堵しつつも二人が言い合いをしてる様は、仲が良さそうにも悪そうにも見える。良く言えば対等というか、少なくとも黙って椅子になったり、日傘を差してる人狼とは扱いが違う気がする。人狼達は静かに主人の傍に寄り添っていて、表情からは何も読み取れない。
「そこのお友達もろとも腹を裂いて内臓から血を吸ってやろうかしら。ブラッドソーセージってご存知?」
「左様で」
「その態度気に食わないわ」
聞き流すチカに腹が立ったのか、ナターシャは立ち上がる。長い腕が伸びてきて、爪をチカの首にギリギリと食い込ませた。
「ちょ!やめてください!」
慌てて止めに入るも、片手で持ち上げられて宙に足の浮いたチカは、無表情で首を絞められていた。代わりにナターシャがせせら笑う。
「駄犬を駄犬として扱って何が悪いの?」
「チカは駄犬じゃないです!そもそも下に見ていい存在なんていない」
「あら?でも駄犬ちゃんは魔力が他の人狼よりも少なくてね、オオカミに変身もできないのよ。それで群れからも迫害されてきたの、知らないの?」
「へ……」
「そもそも同族が下に見てるの、滑稽よね?何も知らないのに綺麗事を並べないで頂戴。虫唾が走るわ」
チカ、とその方を見れば俺から目を背けた。その態度が逆に事実だと語る。魔力が少ないなんて、そんなの教えてくれなかった。人狼がオオカミに変身出来ないなんて、ヴァンパイアが血を飲めないのと同じくらい、きっと普通じゃない。同族から迫害って、確かに色んな場所を転々としてるようだったけれど、居場所がなかったからなんて思わなかった。だって、いつも無邪気に笑っているから。不幸なんて知らない顔をしてるから。
それにさっき、耳や尾をしまえないのかと無知ゆえにチカの傷を抉る真似をしてしまった。不甲斐なくて申し訳なくて、悔しい。チカは俺を俺以上に大事にしてくれてたのに、その前に自分を大事にしてなかったなんて。
だったら、と思い直す。
顔を背けるチカにショックを受ける前に、今悔やむ前に、与えられて嬉しかったものを、チカにも返していこう。
「返してください、チカは俺の人狼です」
「あら、主人だったの」
宣言するとナターシャは可笑しそうに顔を歪めた。興味なくなったと言わんばかりにチカを放り投げて、椅子としてしゃがんでいた人狼を呼びつける。すると、人狼は瞬時にオオカミの姿へと変わった。猛々しい牙を覗かせながら、毛並みは手入れされていて美しい。満足気にナターシャはオオカミの顎を撫でて、その擽りを受けてオオカミも目を細める。
「こんなに可愛いオオカミに変身出来ないのに、まぁ芸は上手いけれど、手元に置いておく価値があるの?」
「貴女の元は愛想尽かして去ったらしいですが、俺の傍にはずっといたいようですから」
「へぇ駄犬ちゃんに劣らず主人も生意気な口ね、切り裂いてやろうかしら」
しばし睨み合うと、ナターシャは溜息をついた。もふもふと毛に埋もれて次第にオオカミに寄りかかる。結構な力で締められていたのか、チカは息を整えるように少し離れたところでしゃがんでいた。背を向けられていて、顔は見えない。
「人のものに手を出す趣味は無いし、相手にするのも無駄な時間ね。あぁ、でも貴方も顔は可愛いから一緒に飼ってあげましょうか」
「嫌です」
「残念。折角だからわたくしの孤独の穴を埋める手伝いをさせてあげても良かったのに……はぁ、全く何処に行ったのかしら」
何かに思いを馳せるかのように憂いを帯びた表情へと変わり、オオカミに顔を埋めて堪能し始めた。オオカミになると随分可愛がっているようで、容赦なくキスしている。なんだか情報に齟齬がある気がしてきた。
「ご主人様は、我々の仲間が一匹はぐれたのを悲しく思っています」
日傘を差している方の人狼がこちらへと話しかけてきて驚く。てっきり許可なく話すなとか言いそうだったナターシャはそれを咎めることない。
「えっと、人狼が行方不明ってことですか?」
「そうです。一番ご主人様の寵愛を受け、相思相愛だったので、そこの愛の理解のないチカのように逃げるはずなんてないのですが。お陰でご主人様はより一層悲しみに暮れています」
主人の悲しみは自分の苦しみと言わんばかりに、人狼は表情を曇らせる。思っていた主従関係とは違うらしい、ちゃんとした扱いを受けてるようだった。ナターシャの物騒な言動やら、椅子にするなどの人狼の姿相手の行動で誤解されているのかもしれない。人狼は少し考えて、ナターシャへの日傘をオオカミの口にくわえさせて、俺の方へと近付いてきた。何やら主人に聞かれたくない話なのか声を潜める。
「あなたはどうやらバーベナの方のようですから、何か知っていたらお力添えをお願いします」
確かにバーベナの香水をつけているが、夜道のお守りにヴァンパイア避けにはよく使われる一般的なものだ。でもきっとハンターだとバレて頼まれている。鼻が利くからなのか、この人狼が有能なのか。侮ってはいけないと頷くと、更に続けた。
「我々人狼の間では、バーベナを持つとヴァンパイアになれると巷で噂なので、その香水もお気をつけください」
「ヴァンパイアに?」
それ以上は答えることなく、離れて主人の元へと戻った。気になることを言われたけど、ハンターとバレているなら対象がナターシャだというのは分かっているだろう。立ち回りを間違えてはいけない。
「日がキツくなってたわね、そろそろ帰りましょう。その気になったらいつでも飼われに来なさい。可愛がってあげるから」
「あ、」
ナターシャは日にやられ始めて弱っているし、調査書と実際の関係は違かったのだからここは引きどころだろう。ナターシャは日傘を差されたまま、オオカミの背に乗せられて、暗い路地裏へと戻って行った。
「チカ、大丈夫か?」
「平気、ありがとう」
離れたところにいて黙ったままのチカに声をかけると、ようやく顔を上げてくれた。それに安堵して、でもなんて言えばいいか分からなくて、在り来りな言葉をあげる。
「そか。俺らも帰るか」
「……うん」
こんな顔されたら、もう追い出しにくくなるなぁと、考えてしまうあたりにとっくに絆されてるのだと気付いてしまった。
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