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反逆軍
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次の日、ガイアはいつも通りの時間に起床する。
もしかしたら一睡もできないと思っていたのだが、それは杞憂だった。
しかし、起床はいつも通りでもガイアの心情はいつも通りではなかった。
昨日はずっとあれこれ考えていたが、今になって考えればあれは全部夢だったのような気もしてくる。
ガイアはその考えを必死に振り払う。
現実逃避をしても何の意味もない。
その事をよく分かっていたからだ。
今のガイアに出来ることは昨日の事を誰にも悟られない様に普段通りに過ごす事。
仲間に打ち明けるという事も考えてみたのだが、万が一それが父に知られてしまえば全員が殺されてしまうだろう。
ガイア以外の親に相談しようにも、何の根拠ない以上は取り合ってくれないだろう。
「はあ……本当にどうしよう…」
ガイアはその後もしばらく思考を続けたが、普段通りにする以外のいい案が思いつかなかったため、仕方なく考えるのを諦めて朝ごはんを食べに食堂に向かった。
ガイアが食堂に付いた時には他のメンバーは全員揃っていた。
時間には遅れていないはずだが、昨日の事もあり、少しだけ罪悪感も湧いてくる。
ガイアが席に椅子に座ると早速朝食が運ばれてきた。
王家の食事は大人と子供で分けて摂るようになっている。
子供は子供同士で。
大人は大人同士で交流を深めるために。
いつもはそれなりに会話しながら食事が進んでいくのだが、昨日の処刑を見たせいで全員の顔は暗く、あまり食事も進んでいなかった。
ガイアにはこれから仲間を裏切らなければならないという事情もある。
ガイアはこの時間に昨日の事を話すべきかどうかを考える。
今この場に親はおらず、話してもノーリスクだ。
とはいえ、大事な仲間にこれほど重い話を共有してもいいのだろうか?
それに、そもそも信じてもらえない場合もある。
親にバレる可能性がないという意味でリスクがなくとも、ここで仲間に全てを話すと今後どうなるか分からない。
ガイア自身、仲間に進んで背負わせたいとも思っていない。
今回の件については一人で何とかしようとガイアは誓った。
しかし、この日は精神状態が悪いせいで普段通りに過ごす事ができなかった。
勉強をしてもその内容が全く頭に入ってこなかったり、剣術の稽古でも、普段通りに動けず、いつもなら勝てる相手であるノトスやテティスに遅れをとってしまった。
普段なら絶対に残すことのない朝食や昼食も食べきる事が出来なかった。
他の四人もいつもと態度は違ったが、それはあくまで友の処刑に起因するもので、ガイアの抱えるものとは違っている。
「ガイア大丈夫?今日はなんだか調子が良くなさそうだけれど……もし辛いなら部屋に戻って休んだら?」
「それは別に私だけじゃないでしょ」
「そうなんだけど……なんかガイアは私達より辛そうな気がしたから……」
「………」
「別に私の勘違いとかなら全然いいよだけれど………」
流石にここまでいつもと違うと感づかれてしまうのは当然といえる。
「うん、そうだね。確かに今日はあんまり調子がよくないかも。だからちょっと部屋で寝てくるよ」
ガイアはそう告げ、部屋へ戻っていった。
「あんまり無理しないでね」
仲間の心配する声に罪悪感を覚えながら。
「はあ……」
部屋に戻ったガイアは大きく溜息を吐く。
「どうしよう……こんな生活続けてたら流石にバレちゃうよね……早く気持ちを立て直さないと……」
ガイアの体調が良くないことは親へと知らされるはずだ。
そうなれば、父にはその原因が昨日の出来事であるとバレる可能性は非常に高い。
もしいつまでも普段と違う態度を取っていれば他の人間に気付かれるという理由で殺される可能性だってある。
「何とかしないと……」
とはいえどうすればいいのかは分からなかったので、一旦気持ちを整理するためにも本当に眠る事にした。
もしかしたら一睡もできないと思っていたのだが、それは杞憂だった。
しかし、起床はいつも通りでもガイアの心情はいつも通りではなかった。
昨日はずっとあれこれ考えていたが、今になって考えればあれは全部夢だったのような気もしてくる。
ガイアはその考えを必死に振り払う。
現実逃避をしても何の意味もない。
その事をよく分かっていたからだ。
今のガイアに出来ることは昨日の事を誰にも悟られない様に普段通りに過ごす事。
仲間に打ち明けるという事も考えてみたのだが、万が一それが父に知られてしまえば全員が殺されてしまうだろう。
ガイア以外の親に相談しようにも、何の根拠ない以上は取り合ってくれないだろう。
「はあ……本当にどうしよう…」
ガイアはその後もしばらく思考を続けたが、普段通りにする以外のいい案が思いつかなかったため、仕方なく考えるのを諦めて朝ごはんを食べに食堂に向かった。
ガイアが食堂に付いた時には他のメンバーは全員揃っていた。
時間には遅れていないはずだが、昨日の事もあり、少しだけ罪悪感も湧いてくる。
ガイアが席に椅子に座ると早速朝食が運ばれてきた。
王家の食事は大人と子供で分けて摂るようになっている。
子供は子供同士で。
大人は大人同士で交流を深めるために。
いつもはそれなりに会話しながら食事が進んでいくのだが、昨日の処刑を見たせいで全員の顔は暗く、あまり食事も進んでいなかった。
ガイアにはこれから仲間を裏切らなければならないという事情もある。
ガイアはこの時間に昨日の事を話すべきかどうかを考える。
今この場に親はおらず、話してもノーリスクだ。
とはいえ、大事な仲間にこれほど重い話を共有してもいいのだろうか?
それに、そもそも信じてもらえない場合もある。
親にバレる可能性がないという意味でリスクがなくとも、ここで仲間に全てを話すと今後どうなるか分からない。
ガイア自身、仲間に進んで背負わせたいとも思っていない。
今回の件については一人で何とかしようとガイアは誓った。
しかし、この日は精神状態が悪いせいで普段通りに過ごす事ができなかった。
勉強をしてもその内容が全く頭に入ってこなかったり、剣術の稽古でも、普段通りに動けず、いつもなら勝てる相手であるノトスやテティスに遅れをとってしまった。
普段なら絶対に残すことのない朝食や昼食も食べきる事が出来なかった。
他の四人もいつもと態度は違ったが、それはあくまで友の処刑に起因するもので、ガイアの抱えるものとは違っている。
「ガイア大丈夫?今日はなんだか調子が良くなさそうだけれど……もし辛いなら部屋に戻って休んだら?」
「それは別に私だけじゃないでしょ」
「そうなんだけど……なんかガイアは私達より辛そうな気がしたから……」
「………」
「別に私の勘違いとかなら全然いいよだけれど………」
流石にここまでいつもと違うと感づかれてしまうのは当然といえる。
「うん、そうだね。確かに今日はあんまり調子がよくないかも。だからちょっと部屋で寝てくるよ」
ガイアはそう告げ、部屋へ戻っていった。
「あんまり無理しないでね」
仲間の心配する声に罪悪感を覚えながら。
「はあ……」
部屋に戻ったガイアは大きく溜息を吐く。
「どうしよう……こんな生活続けてたら流石にバレちゃうよね……早く気持ちを立て直さないと……」
ガイアの体調が良くないことは親へと知らされるはずだ。
そうなれば、父にはその原因が昨日の出来事であるとバレる可能性は非常に高い。
もしいつまでも普段と違う態度を取っていれば他の人間に気付かれるという理由で殺される可能性だってある。
「何とかしないと……」
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