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戦後
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「おいっ!それってどういう事だよ!」
ヘカテーの唐突な報告にゼウスが声を荒げる。
『そのまんまの意味です。既にその場所は安全ではなくなりました。私の一存ではこの作戦を中止する事は出来ません。ですので、今すぐその場を離れて下さい』
「その中に隊長クラスの実力を持つ兵はいるの?正直、儀式を襲った連中相手なら何人いても負ける気はしないよ」
ガイアの言う通り、五人が通常の状態ならば、普通の兵相手に遅れを取る事はないだろう。
しかし、今の五人は格上の相手との戦いにより疲弊していた。
これでは勝ち目は薄いと言わざるを得ない。
しかし、ここでテティスが一つの疑問に行き当たる。
「なら、なんでなおさ隊長を刺客として差し向けないのかしら?」
「えっ…?それはどういう…」
ノトスが言葉を言い切る前にテティスが質問に答える。
「だって、普通に考えて弱っている相手に慎重になる必要はないじゃない。バックアップとして幹部を残しておくっていうのは不測の事態を想定した作戦としてはいいとは思うけど、それで相手を取り逃したら本末転倒よ」
ノトスはテティスの言葉に納得した様に何度も頷いた。
『その事については後で説明します。後五分程で兵が到着します。今すぐその場から離れて下さい』
ヘカテーの訴えに五人は仕方なく行動を開始する。
これが罠である可能性も否定しきれないが、このまま敵と衝突しても勝てる見込みがない以上、ヘカテーが本当に味方であるという事に賭けるしかなかった。
とはいえ、これは全く勝算のない賭けではない。
何故なら、ヘカテーがもし本当に敵なら、アダマスとアレスが街を襲う理由がなくなるからだ。
恐らく、街を襲ったのは自分達では踏み込めない『龍の森』から五人を誘い出す事が目的だ。
しかし、ヘカテーは一人で臆せずに五人と接触してきた。
情報が共有されているなら、隊長三人で王家を五人相手にした方が良かったはずだ。
もしくは、街で王家と『反逆軍』との抗争が始まった段階でヘカテーが加勢すれば王家側に勝ち目はなかっただろう。
そうならなかったという事は、ヘカテーは少なくとも今の内は王家と敵対するつもりはないという事になる。
完全に信頼する事はまだ出来ないが、それでもある程度は信頼しても問題はないはずだ。
それが王家の当主である五人の評価だった。
ヴァルカン達五人は森を移動しながらヘカテーとの会話を続ける。
『実は今回のこの作戦の指揮をとっているのは私です。先程テティス様が仰った事に間違いはありません』
いつしか雨が降り始め、地面はぬかるんで動きにくくなっていった。
しかし、それでもヴァルカン達は一生懸命に走り続けた。
何処に向かっているかは今のところは考えていない。
それは後で考えればいい事だ。
それよりも今はさっきいた場所から少しでも離れる事の方が重要だ。
『つまり、本来、あなた方にとどめを刺すのは私の役割です』
「それはいいとして、なんで全ての勢力を投入しないの?そこがまずおかしくない?」
『それは、先程あったヴァルカン様の暴走を恐れたためです』
ヘカテーの話を信じるなら、どうやらアレスという男は『反逆軍』の中でも最強の人物であるらしい。
そして、アレスと対等に戦える人物は反逆軍の中には存在しない。
つまり、ヴァルカンがあの力を発動させてしまえば、『反逆軍』側の負けが濃厚になってしまう。
だからバックアップとしていくらか戦力を残しているのだ。
ヴァルカンがもう一度あの力を使ったとしてもどうにか出来るように。
「なるほど…状況は理解した。でも、君の話には証拠がない。今は念の為という事で君の指示に従ってはいるけど、証拠がなければ君の事をこれ以上信頼する事は出来ない」
ノトスがそう言った瞬間、突然ヘカテーとの通信が途切れた。
「おいっ⁉︎どうした⁉︎何があった⁉︎」
ゼウスが怒鳴り散らかしても反応はなかった。
「くそっ…!やっぱりあいつは敵だったって事か?」
「いや、だとすればやり方が回りくどすぎるわ。その可能性は低いと見ていいはずよ」
「考えられるとすれば、向こうで何かあったって事くらいかな…例えば、ヘカテーの裏切りがバレたとか…」
「だとすれば、状況は一気に不利になるよ。こっちはまだ裏切り者の尻尾すら掴めてないのに…」
「…なら、また情報を集めればいいんじゃないかな?」
最後に控えめに口を開いたヴァルカンの台詞に全員が注目する。
「…えっと…だから…その…近くにも街はまだいくつかあるから…そこでなら情報が得られるんじゃないかな?って思ったんだけど……」
ヴァルカンはみんなの顔を伺った。
「確かにその通りだ…情報さえ手に入れば次にどう動くべきかも分かる…でも、ここは森のど真ん中だ。近くの街が何処にあるかなんて分かるわけが…」
「このまま南に進めばそれなりに大きな街があるわ」
口を開いたのはテティスだった。
「なんで分かるんだ?」
「そこに川が流れてるでしょ?基本的に川の下流には人里があるのよ。それに、今まで歩いてきたルートを地図と比べて考えればそういう結論になったのよ」
「地図なんて一体何処に…」
テティスは自信を持った顔で言う。
「私の頭の中よ」
ヘカテーの唐突な報告にゼウスが声を荒げる。
『そのまんまの意味です。既にその場所は安全ではなくなりました。私の一存ではこの作戦を中止する事は出来ません。ですので、今すぐその場を離れて下さい』
「その中に隊長クラスの実力を持つ兵はいるの?正直、儀式を襲った連中相手なら何人いても負ける気はしないよ」
ガイアの言う通り、五人が通常の状態ならば、普通の兵相手に遅れを取る事はないだろう。
しかし、今の五人は格上の相手との戦いにより疲弊していた。
これでは勝ち目は薄いと言わざるを得ない。
しかし、ここでテティスが一つの疑問に行き当たる。
「なら、なんでなおさ隊長を刺客として差し向けないのかしら?」
「えっ…?それはどういう…」
ノトスが言葉を言い切る前にテティスが質問に答える。
「だって、普通に考えて弱っている相手に慎重になる必要はないじゃない。バックアップとして幹部を残しておくっていうのは不測の事態を想定した作戦としてはいいとは思うけど、それで相手を取り逃したら本末転倒よ」
ノトスはテティスの言葉に納得した様に何度も頷いた。
『その事については後で説明します。後五分程で兵が到着します。今すぐその場から離れて下さい』
ヘカテーの訴えに五人は仕方なく行動を開始する。
これが罠である可能性も否定しきれないが、このまま敵と衝突しても勝てる見込みがない以上、ヘカテーが本当に味方であるという事に賭けるしかなかった。
とはいえ、これは全く勝算のない賭けではない。
何故なら、ヘカテーがもし本当に敵なら、アダマスとアレスが街を襲う理由がなくなるからだ。
恐らく、街を襲ったのは自分達では踏み込めない『龍の森』から五人を誘い出す事が目的だ。
しかし、ヘカテーは一人で臆せずに五人と接触してきた。
情報が共有されているなら、隊長三人で王家を五人相手にした方が良かったはずだ。
もしくは、街で王家と『反逆軍』との抗争が始まった段階でヘカテーが加勢すれば王家側に勝ち目はなかっただろう。
そうならなかったという事は、ヘカテーは少なくとも今の内は王家と敵対するつもりはないという事になる。
完全に信頼する事はまだ出来ないが、それでもある程度は信頼しても問題はないはずだ。
それが王家の当主である五人の評価だった。
ヴァルカン達五人は森を移動しながらヘカテーとの会話を続ける。
『実は今回のこの作戦の指揮をとっているのは私です。先程テティス様が仰った事に間違いはありません』
いつしか雨が降り始め、地面はぬかるんで動きにくくなっていった。
しかし、それでもヴァルカン達は一生懸命に走り続けた。
何処に向かっているかは今のところは考えていない。
それは後で考えればいい事だ。
それよりも今はさっきいた場所から少しでも離れる事の方が重要だ。
『つまり、本来、あなた方にとどめを刺すのは私の役割です』
「それはいいとして、なんで全ての勢力を投入しないの?そこがまずおかしくない?」
『それは、先程あったヴァルカン様の暴走を恐れたためです』
ヘカテーの話を信じるなら、どうやらアレスという男は『反逆軍』の中でも最強の人物であるらしい。
そして、アレスと対等に戦える人物は反逆軍の中には存在しない。
つまり、ヴァルカンがあの力を発動させてしまえば、『反逆軍』側の負けが濃厚になってしまう。
だからバックアップとしていくらか戦力を残しているのだ。
ヴァルカンがもう一度あの力を使ったとしてもどうにか出来るように。
「なるほど…状況は理解した。でも、君の話には証拠がない。今は念の為という事で君の指示に従ってはいるけど、証拠がなければ君の事をこれ以上信頼する事は出来ない」
ノトスがそう言った瞬間、突然ヘカテーとの通信が途切れた。
「おいっ⁉︎どうした⁉︎何があった⁉︎」
ゼウスが怒鳴り散らかしても反応はなかった。
「くそっ…!やっぱりあいつは敵だったって事か?」
「いや、だとすればやり方が回りくどすぎるわ。その可能性は低いと見ていいはずよ」
「考えられるとすれば、向こうで何かあったって事くらいかな…例えば、ヘカテーの裏切りがバレたとか…」
「だとすれば、状況は一気に不利になるよ。こっちはまだ裏切り者の尻尾すら掴めてないのに…」
「…なら、また情報を集めればいいんじゃないかな?」
最後に控えめに口を開いたヴァルカンの台詞に全員が注目する。
「…えっと…だから…その…近くにも街はまだいくつかあるから…そこでなら情報が得られるんじゃないかな?って思ったんだけど……」
ヴァルカンはみんなの顔を伺った。
「確かにその通りだ…情報さえ手に入れば次にどう動くべきかも分かる…でも、ここは森のど真ん中だ。近くの街が何処にあるかなんて分かるわけが…」
「このまま南に進めばそれなりに大きな街があるわ」
口を開いたのはテティスだった。
「なんで分かるんだ?」
「そこに川が流れてるでしょ?基本的に川の下流には人里があるのよ。それに、今まで歩いてきたルートを地図と比べて考えればそういう結論になったのよ」
「地図なんて一体何処に…」
テティスは自信を持った顔で言う。
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