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第一話
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カチュアが話を聞いた翌日から、デインは近衛隊に入隊した。その途端、ぱったり姿を見なくなる。
シグルドに付き従ってきたヘリオットが、お茶の時間の話題がてら、カチュアに教えてくれた。
「デインの剣の腕前を見た指導官によると、自己流過ぎて基本がなってないらしくてね。朝から晩までずっと基本やらせてるって話だよ。『剣もまともに振れないのに、女を振り向かせることなんてできるか!』って怒鳴られてから、しぶしぶって感じらしいけど黙々と頑張ってるらしい」
「“しぶしぶ”って、お仕事なんだからちゃんとやらなきゃダメですよね」
「ただまあ、ちょっとばかり自分は強いって自負があったみたいだから、自分が大して強くないことに気付かされて、今まで信じてきたやり方を否定されて、腹立だしくなる気持ちわかるけどね。そうした矜持を傷つけられた割には、おとなしく従ってるほうだと思うよ。指導官に頼んで、剣の腕が上達しないんだったら君にプロポーズする資格なしって、それとなく言ってもらってるのが効いてるみたいだ」
「効果絶大ですよ。ありがとうございます」
うれしそうにして答えておいたけど、実のところ少々気が抜けてしまっていた。デインの襲来に警戒して、やってきた奴を手を替え品を替え撃退していたことが、単調な日々の張りあいになっていたみたいで。
それに、デインに仕事の邪魔をされることはなくなったものの、もう一つの厄介事は根強く残っていた。デインがカチュアのところに来なくなったからといって、プロポーズが撤回されたわけではないのだ。侍女たちのやっかみは日増しにひどくなっていく。
侍女棟の洗濯物置き場で、カチュアは以前からんできた四人ではない別の侍女たちに囲まれていた。
「王妃陛下と国王陛下に可愛がられてるからって、いい気にならないことね」
言いがかりもいいところだ。カチュアがいつどこでどうやって、彼女たちに対していい気になったというのか。具体的に教えてもらいたいくらいだ。そんなことを言えば、なまいきだと余計にいじわるされるだけなんだろうけど。
「いい気になってるつもりないんだけど……」
うっかりつぶやいてしまった言葉を聞かれてしまい、さっきから一番わめいている侍女は顔を真っ赤にして更にわめいた。
「その態度がいい気になってるっていうのよ! あなたは庶民、わたしたちは貴族ってわかってるの!?」
げんなりしながらカチュアは口を開く。
「貴族なら貴族らしく、敬いたくなる態度取って欲しいんですけどねー。ところで、これ、誰がやったかご存知ですか?」
足元を指差して尋ねれば、カチュアを取り囲む三人の侍女たちはいじわるな笑みを浮かべた。
「あら。わたしたちに言いがかりをつけるの? あなたの持ち物管理がなってないのがいけないんじゃなくて?」
「自分の粗忽を他人のせいにしないでちょうだい」
ほほほ……と笑いながら、三人は洗濯物置き場から出て行く。
洗濯物置き場とは、その場の通りの場所だ。
洗濯したいものをこの小部屋に持ってきておくと、洗濯女たちが取りに来てくれて、洗い上がるとここへまた持ってきてくれる。個人の洗濯物は名前の振られた小さな棚にそれぞれ置かれるのだけど、カチュアの洗濯物だけが床に散らばり、泥だらけに踏みにじられていた。
実は、このような目に遭うのはこれが初めてではない。
初めてやられたのは、シュエラが愛妾になってすぐの頃だった。冤罪事件が発覚した時、仕事を放棄する四人の侍女たちに同調しなかったことで反感を買い、フィーナの洗濯物も一緒に汚された。当時洗濯物を出しに行けないという理由でシュエラも自分で洗っていたが、洗濯物を持って外に出ようとしたシュエラからカチュアがひったくって自分のものと一緒に洗ったというのは、今となってはいい思い出だ。まだ十ヶ月かそこいらしか経ってないけど。
今回はフィーナのまでやられなくってよかったわ……。
カチュアはそう思いながら、洗濯物を入れるために持ってきたかごの中に、汚れた洗濯物を放り込んでいく。かごの底には、シュエラからもらったせっけんが入っていた。汚されていた場合、自分で洗いに行くためだ。
拾い終わって腰を上げたカチュアは、小さくため息をついた。洗濯物を汚されるのが再開されてすぐの時は何日かに一回という割合だったけど、ここ三日は毎日だ。踏みにじられた洗濯物を洗うのも悔しいし、洗い替えが足りなくなっても困るから、しばらくの間は面倒だけどここには持ってこないで最初から自分で洗ったほうがいいのかもしれない。
今日はペチコートも出したために洗濯物の量が多いので、侍女棟裏の井戸で洗うことはせず、洗濯場に向かう。洗濯女の頭を勤めるヘルダとは、シュエラのおかげですでに顔なじみだ。シュエラは洗濯を頼みに行く場所を知らなかったし、そうした場所に自分が顔を出すのはマズいとわかっていたため、洗濯場に直接行って自分で洗っていた。その行動力に、当時カチュアは驚くのを通り越してあきれたものだ。伯爵家の娘という上級貴族の身分を持ち、何不自由ない生活をしてきたとカチュアが思い込んでいた愛妾は、父親の官職罷免によって所領に移り住み、王都でも下街以下に住む住人と同じような生活を営んでいたらしい。普通の貴族に見えたのに、時折親近感のわく行動が見られたのはそのためだったのかと、大笑いしたものだ。
人手不足の折ということもあって、カチュアの自由時間は少ない。侍女棟隣の東館へ急ぎ、その半地下にある洗濯場をこっそりのぞいた。ふんぞり返って洗濯女たちを監督しているヘルダを見つけ、カチュアは小走りで近づく。
「ヘルダさん」
カチュアに気付いた大柄なヘルダは、目を見開いて小柄なカチュアを見下ろす。
「あんた、たしか王妃様の侍女になったんじゃなかったかい?」
「今でもそうですよ。それでお願いがあるんですが、洗濯場の隅を借りたいんです。それと、空いてるたらいがあったら貸して欲しくて……」
たらいを借りるのはずうずうしいかと思い、語尾が尻つぼみになる。
カチュアの抱えたかごをじろっと見下ろしたヘルダは、納得したような顔をしてにっと笑った。
「あんただったのかい。王妃様の弟君にプロポーズされて、それを断り続けてる侍女っていうのは」
「……」
やっぱりここまで噂は届いてたか……。
げんなりするカチュアを、ヘルダはあははと笑い飛ばす。
「玉の輿を棒に振ろうとするなんてどんな子かと思ってたけど、あんただったら納得だ」
「……どーいう意味です?」
むすっとしながら言うと、ヘルダはにやっと笑う。
「好き嫌いがはっきりしてそうだし、身分が上の相手をぶっ飛ばせるような人間はめったにいないからね。で? あんたは王妃様の弟君の、どこが嫌なのさ?」
にやにやしながら尋ねられて答えたくないと思ったが、ここを使わせてもらうためには話さなくてはいけないだろう。カチュアは不承不承口を開く。
「……あたし、侍女をしてますけど、商人の娘で平民なんです。伯爵家のご子息とでは玉の輿にしても身分が違いすぎます。……それに、あいつはあたしより年下で、背丈が同じくらいなんですよ。あたしの好みは、あたしよりずっと年上で、背が高い人なんです」
そこまで話した途端、周囲からどっと笑われる。見回してみれば、そこかしこにいる洗濯女たちはみな手を止めて、カチュアのほうを見ていた。
ヘルダも笑いをこらえながら、かごに手を伸ばしてきた。
「あんたは玉の輿より、自分の好みが大事なんだね」
いや、身分差がありすぎて、こんな玉の輿は遠慮したいって話なんだけど……。
かごを引っ張られて、カチュアはそのまま渡してしまう。
「これ、やっかんだやつらに汚されたんだろ? あーあ、徹底的に踏まれたって感じだね。洗っといてあげるから、あんたは仕事に戻りな。洗いもの置き場に戻すとまた汚されちまうだろうから、明日の朝以降ここに取りに来るんだね。棚に洗濯物がないと、今度は洗濯前のやつを燃やされたり切り刻まれちまったりしかねないから、洗濯物はここに直接持ってくるといいさ。やだねぇ、女の嫉妬ってのは」
「あ、ありがとうございます!」
思わぬ申し出がありがたい。
が、満面の笑顔で礼を言ったカチュアに、ヘルダはまたまたにやっと笑った。
「その代り、今度来るときもまた面白い話をしてっとくれよ」
やっぱりそうくるか……。
カチュアはがっくり肩を落とした。
シグルドに付き従ってきたヘリオットが、お茶の時間の話題がてら、カチュアに教えてくれた。
「デインの剣の腕前を見た指導官によると、自己流過ぎて基本がなってないらしくてね。朝から晩までずっと基本やらせてるって話だよ。『剣もまともに振れないのに、女を振り向かせることなんてできるか!』って怒鳴られてから、しぶしぶって感じらしいけど黙々と頑張ってるらしい」
「“しぶしぶ”って、お仕事なんだからちゃんとやらなきゃダメですよね」
「ただまあ、ちょっとばかり自分は強いって自負があったみたいだから、自分が大して強くないことに気付かされて、今まで信じてきたやり方を否定されて、腹立だしくなる気持ちわかるけどね。そうした矜持を傷つけられた割には、おとなしく従ってるほうだと思うよ。指導官に頼んで、剣の腕が上達しないんだったら君にプロポーズする資格なしって、それとなく言ってもらってるのが効いてるみたいだ」
「効果絶大ですよ。ありがとうございます」
うれしそうにして答えておいたけど、実のところ少々気が抜けてしまっていた。デインの襲来に警戒して、やってきた奴を手を替え品を替え撃退していたことが、単調な日々の張りあいになっていたみたいで。
それに、デインに仕事の邪魔をされることはなくなったものの、もう一つの厄介事は根強く残っていた。デインがカチュアのところに来なくなったからといって、プロポーズが撤回されたわけではないのだ。侍女たちのやっかみは日増しにひどくなっていく。
侍女棟の洗濯物置き場で、カチュアは以前からんできた四人ではない別の侍女たちに囲まれていた。
「王妃陛下と国王陛下に可愛がられてるからって、いい気にならないことね」
言いがかりもいいところだ。カチュアがいつどこでどうやって、彼女たちに対していい気になったというのか。具体的に教えてもらいたいくらいだ。そんなことを言えば、なまいきだと余計にいじわるされるだけなんだろうけど。
「いい気になってるつもりないんだけど……」
うっかりつぶやいてしまった言葉を聞かれてしまい、さっきから一番わめいている侍女は顔を真っ赤にして更にわめいた。
「その態度がいい気になってるっていうのよ! あなたは庶民、わたしたちは貴族ってわかってるの!?」
げんなりしながらカチュアは口を開く。
「貴族なら貴族らしく、敬いたくなる態度取って欲しいんですけどねー。ところで、これ、誰がやったかご存知ですか?」
足元を指差して尋ねれば、カチュアを取り囲む三人の侍女たちはいじわるな笑みを浮かべた。
「あら。わたしたちに言いがかりをつけるの? あなたの持ち物管理がなってないのがいけないんじゃなくて?」
「自分の粗忽を他人のせいにしないでちょうだい」
ほほほ……と笑いながら、三人は洗濯物置き場から出て行く。
洗濯物置き場とは、その場の通りの場所だ。
洗濯したいものをこの小部屋に持ってきておくと、洗濯女たちが取りに来てくれて、洗い上がるとここへまた持ってきてくれる。個人の洗濯物は名前の振られた小さな棚にそれぞれ置かれるのだけど、カチュアの洗濯物だけが床に散らばり、泥だらけに踏みにじられていた。
実は、このような目に遭うのはこれが初めてではない。
初めてやられたのは、シュエラが愛妾になってすぐの頃だった。冤罪事件が発覚した時、仕事を放棄する四人の侍女たちに同調しなかったことで反感を買い、フィーナの洗濯物も一緒に汚された。当時洗濯物を出しに行けないという理由でシュエラも自分で洗っていたが、洗濯物を持って外に出ようとしたシュエラからカチュアがひったくって自分のものと一緒に洗ったというのは、今となってはいい思い出だ。まだ十ヶ月かそこいらしか経ってないけど。
今回はフィーナのまでやられなくってよかったわ……。
カチュアはそう思いながら、洗濯物を入れるために持ってきたかごの中に、汚れた洗濯物を放り込んでいく。かごの底には、シュエラからもらったせっけんが入っていた。汚されていた場合、自分で洗いに行くためだ。
拾い終わって腰を上げたカチュアは、小さくため息をついた。洗濯物を汚されるのが再開されてすぐの時は何日かに一回という割合だったけど、ここ三日は毎日だ。踏みにじられた洗濯物を洗うのも悔しいし、洗い替えが足りなくなっても困るから、しばらくの間は面倒だけどここには持ってこないで最初から自分で洗ったほうがいいのかもしれない。
今日はペチコートも出したために洗濯物の量が多いので、侍女棟裏の井戸で洗うことはせず、洗濯場に向かう。洗濯女の頭を勤めるヘルダとは、シュエラのおかげですでに顔なじみだ。シュエラは洗濯を頼みに行く場所を知らなかったし、そうした場所に自分が顔を出すのはマズいとわかっていたため、洗濯場に直接行って自分で洗っていた。その行動力に、当時カチュアは驚くのを通り越してあきれたものだ。伯爵家の娘という上級貴族の身分を持ち、何不自由ない生活をしてきたとカチュアが思い込んでいた愛妾は、父親の官職罷免によって所領に移り住み、王都でも下街以下に住む住人と同じような生活を営んでいたらしい。普通の貴族に見えたのに、時折親近感のわく行動が見られたのはそのためだったのかと、大笑いしたものだ。
人手不足の折ということもあって、カチュアの自由時間は少ない。侍女棟隣の東館へ急ぎ、その半地下にある洗濯場をこっそりのぞいた。ふんぞり返って洗濯女たちを監督しているヘルダを見つけ、カチュアは小走りで近づく。
「ヘルダさん」
カチュアに気付いた大柄なヘルダは、目を見開いて小柄なカチュアを見下ろす。
「あんた、たしか王妃様の侍女になったんじゃなかったかい?」
「今でもそうですよ。それでお願いがあるんですが、洗濯場の隅を借りたいんです。それと、空いてるたらいがあったら貸して欲しくて……」
たらいを借りるのはずうずうしいかと思い、語尾が尻つぼみになる。
カチュアの抱えたかごをじろっと見下ろしたヘルダは、納得したような顔をしてにっと笑った。
「あんただったのかい。王妃様の弟君にプロポーズされて、それを断り続けてる侍女っていうのは」
「……」
やっぱりここまで噂は届いてたか……。
げんなりするカチュアを、ヘルダはあははと笑い飛ばす。
「玉の輿を棒に振ろうとするなんてどんな子かと思ってたけど、あんただったら納得だ」
「……どーいう意味です?」
むすっとしながら言うと、ヘルダはにやっと笑う。
「好き嫌いがはっきりしてそうだし、身分が上の相手をぶっ飛ばせるような人間はめったにいないからね。で? あんたは王妃様の弟君の、どこが嫌なのさ?」
にやにやしながら尋ねられて答えたくないと思ったが、ここを使わせてもらうためには話さなくてはいけないだろう。カチュアは不承不承口を開く。
「……あたし、侍女をしてますけど、商人の娘で平民なんです。伯爵家のご子息とでは玉の輿にしても身分が違いすぎます。……それに、あいつはあたしより年下で、背丈が同じくらいなんですよ。あたしの好みは、あたしよりずっと年上で、背が高い人なんです」
そこまで話した途端、周囲からどっと笑われる。見回してみれば、そこかしこにいる洗濯女たちはみな手を止めて、カチュアのほうを見ていた。
ヘルダも笑いをこらえながら、かごに手を伸ばしてきた。
「あんたは玉の輿より、自分の好みが大事なんだね」
いや、身分差がありすぎて、こんな玉の輿は遠慮したいって話なんだけど……。
かごを引っ張られて、カチュアはそのまま渡してしまう。
「これ、やっかんだやつらに汚されたんだろ? あーあ、徹底的に踏まれたって感じだね。洗っといてあげるから、あんたは仕事に戻りな。洗いもの置き場に戻すとまた汚されちまうだろうから、明日の朝以降ここに取りに来るんだね。棚に洗濯物がないと、今度は洗濯前のやつを燃やされたり切り刻まれちまったりしかねないから、洗濯物はここに直接持ってくるといいさ。やだねぇ、女の嫉妬ってのは」
「あ、ありがとうございます!」
思わぬ申し出がありがたい。
が、満面の笑顔で礼を言ったカチュアに、ヘルダはまたまたにやっと笑った。
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