23 / 36
第三章 ディオファーン王侯貴族の複雑な事情
23、まずは雷小僧を懐柔しようと思います
しおりを挟む
※冒頭部分はいただいた感想をもとに書きました。感想をくださった方、ありがとうございます。※
フラックスさんの脅しに内心冷や汗をかきながらも、あたしは数ヶ月前のことを思い出していた。
フラックスさんやテルミットさんたちに謀られて死ぬかと思うような目に遭った日の翌日、陛下は「二度目はない」と言っただけでみんなを罰したりしなかった。
考えてみればおかしな話だ。あたしに対してはともかく、一国の王にクスリを盛ったら普通何らかの処罰があるんじゃない? いくらこの国の実権を握ってると言って過言じゃないモリブデンサマが加担してたってさ。
でも、陛下は寛大に許した。それは何故なのか。多分だけど、陛下はみんなが裏切らないって信じてるんじゃないかな。短い付き合いでしかないあたしでも、みんなの間にある信頼関係を感じ取れている。
フラックスさんの話を聞いて、その信頼関係の根底にあるものが垣間見えたって感じ。それを思うと、何故だか笑いが込み上げてくる。
フラックスさんが不思議そうに訊ねてきた。
「どうしたの? 舞花」
「フラックスさんって、陛下のことがすごく好きなんだなぁって思って」
「大好きだよ。だから陛下の恋が成就するよう協力したんじゃないか」
「へ? 賭けって言ってませんでした?」
「そういうことにはしておいたけど。一番の目的は、モリブデン様とヘマータに踏ん切りをつけてもらうことだったからね。二人とも、陛下が絶対に舞花をあきらめないってわかってて、それでも国のことを考えたら認めるわけにはいかないって思って板挟みになってたんだ。舞花が大好きでしかたない陛下が媚薬ごときに屈するわけがないとは思ってたけど、舞花を助けるために瞬間移動の力にも目覚めたのは嬉しい誤算だったよ。……まあ、そのせいでうるさ型の血族たちが国王にふさわしくないって言い始めたんだけど」
「フラックスさん。陛下のことが大好きなら、陛下が困るようなことしないでくださいよ」
「陛下が次々新しい能力に目覚めるから、つい調子に乗っちゃってね。あはは。でももうしないよ。──さて、と。陛下にやきもち焼かれないうちに退散するよ」
ソファから立ったフラックスさんは、すたすたと窓に近付く。
「フラックスさん! 窓からの出入りは」
あたしが言い終わらないうちに、フラックスさんは「じゃあね」と言って窓から飛び下りる。
「……フォージの教育上よくないからやめてって言いたかったのに。フォージ、空を飛べるようになってもフラックスさんみたいに窓から出入りしないでね」
フラックスさんの行状を嘆きながら頼むと、フォージは慰めてくれるかのようにこくこくとうなずいた。
フラックスさんが帰ったあと、あたしはフォージに頼んでラジアル君のところへ瞬間移動してもらった。ラジアル君が一人になったところを見計らってもらってね。
座り込んで芝生をブチブチちぎっていたラジアル君は、瞬間移動の風に気付いてためらいがちに振り返った。
「あ、あのさ、フォージ──うお!」
フォージの隣にあたしがいるのに気付いて、大げさに驚いてくれる。
あたしはにっこり笑って挨拶した。
「改めましてこんにちは。あたしは成宮舞花。さっきは残念な出会いになっちゃったけど、気を取り直してよろしくね」
精一杯友好的な態度を取ったつもりだったけど、ラジアル君はあたしを指差してフォージに言った。
「何でこのばばあを連れてきたんだよ!?」
「誰がばばあだって!?」
これが、あたしとラジアル君の関係を決定付けた瞬間だった。
それからというもの、あたしはフォージと一緒に連日ラジアル君を訪ねた。
陛下の悪口を言ったことを謝りたいんだけど、なかなか謝れずにいるの。ラジアル君、喧嘩腰であたしに食ってかかってくるんだもん。なので、現在懐柔策を練ってるところ。
「雷小僧出ておいで~」
「小僧じゃねえ!」
高い木の繁った葉の合間から、ラジアル君が飛び降りる。
「あ、いたいた。こんにちは! 今日はクッキー持ってきたよ」
あたしは手にしてるバスケットをかかげてみせる。でもラジアル君は嫌そうに顔をしかめた。
「誰がおまえの持ってきた食べ物なんか!」
「あら残念。フォージが初めて作ったクッキーなのに」
ラジアル君はぎょっとしてフォージを見る。
あたしはそしらぬフリしてフォージに話しかけた。
「せっかくラジアル君のために作ったのに、がっかりだよね?」
ちらっと見れば、ラジアル君は悔しそうにしてる。さっきの暴言を吐いたあとでは、食べたいと言い出しにくいんだろう。
あたしはほくそ笑みながら、戸惑ってるフォージに目配せする。フォージは、あたしが事前に教えた通りラジアル君に言った。
「ラジアル様に食べていただけたら、とてもうれしいです……」
ラジアル君は落ちつかなげに視線をさまよわせながら答えた。
「フォ、フォージがそう言うなら食べないことないけどさ」
予想通りの反応に、あたしはぷっと噴き出してしまう。慌てて口を押さえたあたしを、ラジアル君はぎろりとにらみつけてきた。
「何だよ!?」
あたしは笑いを飲み込み、ラジアル君の頬が赤いのを見なかったフリして答えた。
「じゃあ軽食を広げましょうか? これ持って」
「何でオレが!?」
「雷小僧が持ってくれないとフォージに持たせることになるんだけど、あんた、か弱い女の子に荷物持たせたいの?」
「だからオレは小僧じゃねえ!」
そう怒鳴りながらも、ラジアル君はあたしからバスケットを受け取る。あたしは持ってきた袋の中から厚手の布を出して広げた。ピクニックシートはこの世界にないから、その代用品としてね。
「あたしだってばばあじゃないわよ。まだ二十四歳なんだから」
「十分ばばあじゃねえか!」
「雷小僧、バスケットここに置いて」
「だから小僧じゃねえって言ってんだろ!」
怒鳴りながら、ラジアル君はバスケットを布の上にどすんと下ろす。
箱入り王子様ではありえないほどの口汚さ。上品な人たちしかいないであろう限られた場所で身に付くものじゃない。これはお城の外にまで足を運んでるな。しかも頻繁に。とはいえ、ラジアル君のことについてあたしは口出しできる立場にないけど。こうして会いに来てることだって内緒にしてるしね。要は彼の存在が公になるきっかけを作らなければいいのよね? だからこっそり会いに来るだけなら大丈夫じゃないかな、と。
「フォージもラジアル君も、靴を脱いで上がって」
布の上に座ったあたしは、クッキーをお皿に並べてみんなの前に置く。それから瓶に入れてきた果実水をコップに注いでフォージに渡した。
「ラジアル君に回してね」
あたしからは受け取らなくても、フォージからなら受け取るだろう。隣に座ったフォージは、果実水の入ったコップをラジアル君に差し出した。
が、あたしたちの対面にあぐらをかいたラジアル君は差し出されたコップに気付かず、奇妙な顔をしてクッキーを見下ろしていた。
フラックスさんの脅しに内心冷や汗をかきながらも、あたしは数ヶ月前のことを思い出していた。
フラックスさんやテルミットさんたちに謀られて死ぬかと思うような目に遭った日の翌日、陛下は「二度目はない」と言っただけでみんなを罰したりしなかった。
考えてみればおかしな話だ。あたしに対してはともかく、一国の王にクスリを盛ったら普通何らかの処罰があるんじゃない? いくらこの国の実権を握ってると言って過言じゃないモリブデンサマが加担してたってさ。
でも、陛下は寛大に許した。それは何故なのか。多分だけど、陛下はみんなが裏切らないって信じてるんじゃないかな。短い付き合いでしかないあたしでも、みんなの間にある信頼関係を感じ取れている。
フラックスさんの話を聞いて、その信頼関係の根底にあるものが垣間見えたって感じ。それを思うと、何故だか笑いが込み上げてくる。
フラックスさんが不思議そうに訊ねてきた。
「どうしたの? 舞花」
「フラックスさんって、陛下のことがすごく好きなんだなぁって思って」
「大好きだよ。だから陛下の恋が成就するよう協力したんじゃないか」
「へ? 賭けって言ってませんでした?」
「そういうことにはしておいたけど。一番の目的は、モリブデン様とヘマータに踏ん切りをつけてもらうことだったからね。二人とも、陛下が絶対に舞花をあきらめないってわかってて、それでも国のことを考えたら認めるわけにはいかないって思って板挟みになってたんだ。舞花が大好きでしかたない陛下が媚薬ごときに屈するわけがないとは思ってたけど、舞花を助けるために瞬間移動の力にも目覚めたのは嬉しい誤算だったよ。……まあ、そのせいでうるさ型の血族たちが国王にふさわしくないって言い始めたんだけど」
「フラックスさん。陛下のことが大好きなら、陛下が困るようなことしないでくださいよ」
「陛下が次々新しい能力に目覚めるから、つい調子に乗っちゃってね。あはは。でももうしないよ。──さて、と。陛下にやきもち焼かれないうちに退散するよ」
ソファから立ったフラックスさんは、すたすたと窓に近付く。
「フラックスさん! 窓からの出入りは」
あたしが言い終わらないうちに、フラックスさんは「じゃあね」と言って窓から飛び下りる。
「……フォージの教育上よくないからやめてって言いたかったのに。フォージ、空を飛べるようになってもフラックスさんみたいに窓から出入りしないでね」
フラックスさんの行状を嘆きながら頼むと、フォージは慰めてくれるかのようにこくこくとうなずいた。
フラックスさんが帰ったあと、あたしはフォージに頼んでラジアル君のところへ瞬間移動してもらった。ラジアル君が一人になったところを見計らってもらってね。
座り込んで芝生をブチブチちぎっていたラジアル君は、瞬間移動の風に気付いてためらいがちに振り返った。
「あ、あのさ、フォージ──うお!」
フォージの隣にあたしがいるのに気付いて、大げさに驚いてくれる。
あたしはにっこり笑って挨拶した。
「改めましてこんにちは。あたしは成宮舞花。さっきは残念な出会いになっちゃったけど、気を取り直してよろしくね」
精一杯友好的な態度を取ったつもりだったけど、ラジアル君はあたしを指差してフォージに言った。
「何でこのばばあを連れてきたんだよ!?」
「誰がばばあだって!?」
これが、あたしとラジアル君の関係を決定付けた瞬間だった。
それからというもの、あたしはフォージと一緒に連日ラジアル君を訪ねた。
陛下の悪口を言ったことを謝りたいんだけど、なかなか謝れずにいるの。ラジアル君、喧嘩腰であたしに食ってかかってくるんだもん。なので、現在懐柔策を練ってるところ。
「雷小僧出ておいで~」
「小僧じゃねえ!」
高い木の繁った葉の合間から、ラジアル君が飛び降りる。
「あ、いたいた。こんにちは! 今日はクッキー持ってきたよ」
あたしは手にしてるバスケットをかかげてみせる。でもラジアル君は嫌そうに顔をしかめた。
「誰がおまえの持ってきた食べ物なんか!」
「あら残念。フォージが初めて作ったクッキーなのに」
ラジアル君はぎょっとしてフォージを見る。
あたしはそしらぬフリしてフォージに話しかけた。
「せっかくラジアル君のために作ったのに、がっかりだよね?」
ちらっと見れば、ラジアル君は悔しそうにしてる。さっきの暴言を吐いたあとでは、食べたいと言い出しにくいんだろう。
あたしはほくそ笑みながら、戸惑ってるフォージに目配せする。フォージは、あたしが事前に教えた通りラジアル君に言った。
「ラジアル様に食べていただけたら、とてもうれしいです……」
ラジアル君は落ちつかなげに視線をさまよわせながら答えた。
「フォ、フォージがそう言うなら食べないことないけどさ」
予想通りの反応に、あたしはぷっと噴き出してしまう。慌てて口を押さえたあたしを、ラジアル君はぎろりとにらみつけてきた。
「何だよ!?」
あたしは笑いを飲み込み、ラジアル君の頬が赤いのを見なかったフリして答えた。
「じゃあ軽食を広げましょうか? これ持って」
「何でオレが!?」
「雷小僧が持ってくれないとフォージに持たせることになるんだけど、あんた、か弱い女の子に荷物持たせたいの?」
「だからオレは小僧じゃねえ!」
そう怒鳴りながらも、ラジアル君はあたしからバスケットを受け取る。あたしは持ってきた袋の中から厚手の布を出して広げた。ピクニックシートはこの世界にないから、その代用品としてね。
「あたしだってばばあじゃないわよ。まだ二十四歳なんだから」
「十分ばばあじゃねえか!」
「雷小僧、バスケットここに置いて」
「だから小僧じゃねえって言ってんだろ!」
怒鳴りながら、ラジアル君はバスケットを布の上にどすんと下ろす。
箱入り王子様ではありえないほどの口汚さ。上品な人たちしかいないであろう限られた場所で身に付くものじゃない。これはお城の外にまで足を運んでるな。しかも頻繁に。とはいえ、ラジアル君のことについてあたしは口出しできる立場にないけど。こうして会いに来てることだって内緒にしてるしね。要は彼の存在が公になるきっかけを作らなければいいのよね? だからこっそり会いに来るだけなら大丈夫じゃないかな、と。
「フォージもラジアル君も、靴を脱いで上がって」
布の上に座ったあたしは、クッキーをお皿に並べてみんなの前に置く。それから瓶に入れてきた果実水をコップに注いでフォージに渡した。
「ラジアル君に回してね」
あたしからは受け取らなくても、フォージからなら受け取るだろう。隣に座ったフォージは、果実水の入ったコップをラジアル君に差し出した。
が、あたしたちの対面にあぐらをかいたラジアル君は差し出されたコップに気付かず、奇妙な顔をしてクッキーを見下ろしていた。
0
お気に入りに追加
1,659
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる