15 / 36
第二章 王子王女 襲来
15、交流会を開く羽目になりました
しおりを挟む
歓迎会から五日後、午後の軽食の時間に、宰相サマがなんの脈絡もなくこう言った。
「交流会を開け」
は? 交流会?
あたしは目をしばたたかせた。
「何を藪から棒に」
「藪から棒とはなんのことだ?」
ただでさえ渋面だった宰相サマの顔が、さらに渋面になる。
ここにはそういう慣用句はないのか。
「藪から突然棒が突き出してきたように、いきなりすぎてびっくりするという意味です。──で、交流会の準備をすればいいんですか? 裏方仕事慣れてるんでかまわないですけど」
「ウラカタ? おまえは頻繁に奇妙な言葉遣いをするな。──仕事をしろと言っているわけではない。交流会の主催者となり、各国の王子王女や我が国の王族を招いてもてなせと言っているんだ」
「だから、なんであたしがやんごとない人々をもてなさなきゃならないんですか?」
「歓迎会のときに遅れて出席したかと思うと、一悶着起こしてすぐ退席してしまうからいけないのだ。あの奇抜な衣装に度肝を抜かれたこともあって、みな、おまえへの好奇心が膨らむ一方らしい。属国の王子王女たちだけでなく、我が国の貴族たちも、おまえを自分たちの集まりに招待したいと言ってきているのだ。おまえは、そういう集まりに出るのは嫌なのだろう?」
「うん」
あたしは即答する。
苦虫を噛み潰す宰相サマとは対照的に、フラックスさんが笑い出した。
「迷いがないね、舞花」
「だって、その人たちが会いたいのは『ソルバイト陛下の婚約者』でしょ? 便宜上陛下の婚約者を演じたけど、本当の婚約者になったつもりないですもん」
焼き菓子を取ろうと伸ばしたあたしの手が、横からかっさらわれる。見れば、陛下が唇を寄せようとしていたので、あたしは慌てて自分の手を奪い返した。
「何しようとしてたのよ? まったく、油断も隙もない」
陛下は悪びれた様子なく答えた。
「余の努力が足りないから、そういうことを言うのではないかと気付いてな」
言うがはやいか、あたしの肩を抱き寄せ、色っぽい笑みを浮かべた顔を近づけてくる。
あたしは色気も何もなく叫んだ。
「ぎゃー! 人前で何すんのよ!」
「人前でなければよいのか?」
「それもダメー!」
顔を近づけてくる陛下と、その顎に手をかけて押しやろうとするあたしとの攻防が繰り広げられる。
それに終止符を打ったのは、宰相サマだった。
「陛下、娘の教育によろしくないので、やめていただきたい」
「それはすまなかった」
陛下が離れていったので、あたしはぐったり脱力する。力の差もあるけど、他のみなさんのなま暖かい微笑みも精神的にクルわ。
他のみなさんというのは、フラックスさんとテルミットさん、それとロットさんね。
フォージは顔を真っ赤にしてうつむいている。ごめんね、フォージ。
この部屋には、あと一人いる。角の書き物机で、猛烈な勢いでペンを走らせている女の子だ。
彼女は絵の上手いお針子さんで、歓迎会の衣装の相談をしたその日から、毎日フォージのところに通い詰めている。あたしの記憶を全部書き出したいのだそうだ。
花魁衣装を再現するには、花魁道中の記憶だけでは無理だった。そりゃそうよね。打ち掛けや掛け下、帯といった一つ一つは単純構造だけど、着付けが複雑。完成品(?)を見ただけじゃ、あたしでもちんぷんかんぷんだもん。
そこで役に立ったのが、テーマパークで売られていた花魁のパンフレットだ。
花魁道中にすっかり魅了されたあたしは、お小遣いをはたいて分厚いパンフレットを買った。当時、何度も隅々まで読んだな。……今は実家の押入に眠ってると思うけど。
そこにはフォージには教えたくない色街事情なんかも書いてあったけど、花魁衣装の各パーツの写真や着付けの仕方も載っていた。
あたしはおぼろげにしか思い出せないその記憶を、フォージが鮮明に投影してくれて、それで花魁衣装の再現が実現したの。
あたしのその記憶は、今はフォージの中に鮮明に残っている。それをいつでも誰でも見られるようにしたいという話になって、絵の上手い彼女が紙に描き出す担当になったというわけだ。
そのお針子さん──フォノンというのだけど──ずっとこちらの話に反応しなかったんだけど、不意にこちらを見て言った。
「お衣装のことなら心配なさらなくて大丈夫ですよ。メーザーさん(デザイナーさんの名前)が、新しいお衣装はもうすぐできると言ってました。まいこというお衣装ですし、おいらんのときほど重いお衣装にはならないそうです。染め物が出来上がってきたので、さっそくその生地を使っているんです」
そう言ってにっこり笑うと、すぐまた作業に戻る。
最初、陛下がこの部屋に来たときは、恐縮して出て行こうとしたのに(それを陛下が「舞花のためのものであろう? 続けるがよい」って言って止めたの)、作業に没頭しすぎてそのことをすっかり忘れたようだ。その集中力、プロだなぁ。
感心するあたしに、テルミットさんも言った。
「かんざしなどの小物類も、もうすぐ出来上がります。ですので、お衣装のことは心配ございませんわ」
あたしはふと気付く。
歓迎会が三日前で、次の衣装がもうすぐ出来上がるということは……。
「もしかして、歓迎会のあともずっと頑張ってくれていたの?」
「「はい」」
テルミットさんとフォノンさんの声が重なる。
「花魁のときだって不眠不休で作ってくれたのに、みなさん大丈夫なの!?」
驚いて声を上げると、テルミットさんとフォノンさんはころころ笑いながら答えた。
「職人たちはみな、今まで作ったことのない小物を作れることが嬉しくて、張り切っているそうですわ」
「メーザーさんも、お針子仲間たちもそうです。舞花様に『休んで』なんて言われたら泣いてしまいますわ。舞花様の故郷のお衣装を作ることに、みんな夢中なんです」
そこまで言われてしまうと、あたしに言えることなんて一つしかないわ。
「あ、ありがとうございます……」
あたしは深々と頭を下げてお礼を言う。
話が途切れたところで、宰相サマがおもむろに言った。
「衣装の話がまとまったことであるし、交流会を開くことに異存はないな? 属国の王子王女たちも我が国の貴族たちも、執務室にまで押し掛けてきておまえに会わせろというから、政務に支障をきたしているのだ。交流会という形で全員とまとめて会えば、一人につき一言二言で話は済むだろう」
政務に支障って、みなさんどんだけ食い下がってるんだか。
なんでみなさんが『ソルバイト陛下の婚約者』に会いたいのか、理由がだいたいわかるから気が進まない。
みんな、あたしを介して陛下の気を引くつもりなんだろう。陛下の覚えめでたくなれば、宗主国との繋がりが強くなると考えてるのかもしれない。王女様だと『陛下の婚約者』のお友達になれれば、陛下と会う機会も増えて……という打算があるのかもしれない。「陛下の婚約者に会いたい」と押し掛けること自体も、陛下へのアピールになるしね。
あたしを利用しないで陛下に直接アタックしてよ──と投げ出してしまいたいところだけど、そういうわけにはいかないんだろうな。
この国にお世話になってるあたしとしては、政務に支障をきたしているのはおまえのせいだと言われてしまっては、その状況を改善しないわけにはいかない。他に妙案がないから、不本意だけど宰相サマの言うとおりにするしかないな。
でも、何人くらいになるんだろう。
あたしは恐る恐る訊ねた。
「……みんなってどのくらい?」
「先日の歓迎会の出席者くらいの人数だ」
すかさず返された言葉に、あたしはのけぞった。
「あんな大人数と一度に話すなんて無理!」
「では、数人ずつ招いて話をするか? 午前と午後の両方を使っても、十日はゆうにかかるであろうな」
宰相サマは小バカにしたような笑みを浮かべて、あたしを見下ろしてくる。
あたしは頭の中で計算した。
少人数で話すとなると、一人につき一言二言ではすまなくなるだろう。それを一日二回、十日以上繰り返すなんて、考えただけでもげんなりする。それに衣装の問題もある。同じ人を招くわけではないから、舞妓の衣装一つあればいいけど、大変な着付けを毎日してもらうのも申し訳ないし、髪形を作るのもすごく苦労かけるのよね(舞妓さんも毎日は結い直さず、髪型が崩れないように箱枕っていうやたらと高さのある枕を使って寝返りを打たないように訓練? するって聞いたことあるけど、あたしには無理!)。
だから一日で済ますほうがみんなへの負担を減らすことができるけど、広い会場に結構な人が集まってたような気が……二、三百人か、それ以上。
「丸一日かけても全員と話せるか、自信ないです……」
膝の上で両手を握り合わせて正直に言うと、陛下が性懲りもなくその上に手を重ねてきた。
誘惑するのはやめてと怒ろうとしたけど、陛下の顔を見てあたしは不本意ながらどきっとする。
「そのことなら余に任せておけ。最小限の時間で全員と話せるよう、段取りを組むことはわけないことだ」
下心のない力強い笑顔が妙にまぶしくて、あたしは軽食の時間が終わって陛下が執務に戻るまで、どきどきしっぱなしだった。
「交流会を開け」
は? 交流会?
あたしは目をしばたたかせた。
「何を藪から棒に」
「藪から棒とはなんのことだ?」
ただでさえ渋面だった宰相サマの顔が、さらに渋面になる。
ここにはそういう慣用句はないのか。
「藪から突然棒が突き出してきたように、いきなりすぎてびっくりするという意味です。──で、交流会の準備をすればいいんですか? 裏方仕事慣れてるんでかまわないですけど」
「ウラカタ? おまえは頻繁に奇妙な言葉遣いをするな。──仕事をしろと言っているわけではない。交流会の主催者となり、各国の王子王女や我が国の王族を招いてもてなせと言っているんだ」
「だから、なんであたしがやんごとない人々をもてなさなきゃならないんですか?」
「歓迎会のときに遅れて出席したかと思うと、一悶着起こしてすぐ退席してしまうからいけないのだ。あの奇抜な衣装に度肝を抜かれたこともあって、みな、おまえへの好奇心が膨らむ一方らしい。属国の王子王女たちだけでなく、我が国の貴族たちも、おまえを自分たちの集まりに招待したいと言ってきているのだ。おまえは、そういう集まりに出るのは嫌なのだろう?」
「うん」
あたしは即答する。
苦虫を噛み潰す宰相サマとは対照的に、フラックスさんが笑い出した。
「迷いがないね、舞花」
「だって、その人たちが会いたいのは『ソルバイト陛下の婚約者』でしょ? 便宜上陛下の婚約者を演じたけど、本当の婚約者になったつもりないですもん」
焼き菓子を取ろうと伸ばしたあたしの手が、横からかっさらわれる。見れば、陛下が唇を寄せようとしていたので、あたしは慌てて自分の手を奪い返した。
「何しようとしてたのよ? まったく、油断も隙もない」
陛下は悪びれた様子なく答えた。
「余の努力が足りないから、そういうことを言うのではないかと気付いてな」
言うがはやいか、あたしの肩を抱き寄せ、色っぽい笑みを浮かべた顔を近づけてくる。
あたしは色気も何もなく叫んだ。
「ぎゃー! 人前で何すんのよ!」
「人前でなければよいのか?」
「それもダメー!」
顔を近づけてくる陛下と、その顎に手をかけて押しやろうとするあたしとの攻防が繰り広げられる。
それに終止符を打ったのは、宰相サマだった。
「陛下、娘の教育によろしくないので、やめていただきたい」
「それはすまなかった」
陛下が離れていったので、あたしはぐったり脱力する。力の差もあるけど、他のみなさんのなま暖かい微笑みも精神的にクルわ。
他のみなさんというのは、フラックスさんとテルミットさん、それとロットさんね。
フォージは顔を真っ赤にしてうつむいている。ごめんね、フォージ。
この部屋には、あと一人いる。角の書き物机で、猛烈な勢いでペンを走らせている女の子だ。
彼女は絵の上手いお針子さんで、歓迎会の衣装の相談をしたその日から、毎日フォージのところに通い詰めている。あたしの記憶を全部書き出したいのだそうだ。
花魁衣装を再現するには、花魁道中の記憶だけでは無理だった。そりゃそうよね。打ち掛けや掛け下、帯といった一つ一つは単純構造だけど、着付けが複雑。完成品(?)を見ただけじゃ、あたしでもちんぷんかんぷんだもん。
そこで役に立ったのが、テーマパークで売られていた花魁のパンフレットだ。
花魁道中にすっかり魅了されたあたしは、お小遣いをはたいて分厚いパンフレットを買った。当時、何度も隅々まで読んだな。……今は実家の押入に眠ってると思うけど。
そこにはフォージには教えたくない色街事情なんかも書いてあったけど、花魁衣装の各パーツの写真や着付けの仕方も載っていた。
あたしはおぼろげにしか思い出せないその記憶を、フォージが鮮明に投影してくれて、それで花魁衣装の再現が実現したの。
あたしのその記憶は、今はフォージの中に鮮明に残っている。それをいつでも誰でも見られるようにしたいという話になって、絵の上手い彼女が紙に描き出す担当になったというわけだ。
そのお針子さん──フォノンというのだけど──ずっとこちらの話に反応しなかったんだけど、不意にこちらを見て言った。
「お衣装のことなら心配なさらなくて大丈夫ですよ。メーザーさん(デザイナーさんの名前)が、新しいお衣装はもうすぐできると言ってました。まいこというお衣装ですし、おいらんのときほど重いお衣装にはならないそうです。染め物が出来上がってきたので、さっそくその生地を使っているんです」
そう言ってにっこり笑うと、すぐまた作業に戻る。
最初、陛下がこの部屋に来たときは、恐縮して出て行こうとしたのに(それを陛下が「舞花のためのものであろう? 続けるがよい」って言って止めたの)、作業に没頭しすぎてそのことをすっかり忘れたようだ。その集中力、プロだなぁ。
感心するあたしに、テルミットさんも言った。
「かんざしなどの小物類も、もうすぐ出来上がります。ですので、お衣装のことは心配ございませんわ」
あたしはふと気付く。
歓迎会が三日前で、次の衣装がもうすぐ出来上がるということは……。
「もしかして、歓迎会のあともずっと頑張ってくれていたの?」
「「はい」」
テルミットさんとフォノンさんの声が重なる。
「花魁のときだって不眠不休で作ってくれたのに、みなさん大丈夫なの!?」
驚いて声を上げると、テルミットさんとフォノンさんはころころ笑いながら答えた。
「職人たちはみな、今まで作ったことのない小物を作れることが嬉しくて、張り切っているそうですわ」
「メーザーさんも、お針子仲間たちもそうです。舞花様に『休んで』なんて言われたら泣いてしまいますわ。舞花様の故郷のお衣装を作ることに、みんな夢中なんです」
そこまで言われてしまうと、あたしに言えることなんて一つしかないわ。
「あ、ありがとうございます……」
あたしは深々と頭を下げてお礼を言う。
話が途切れたところで、宰相サマがおもむろに言った。
「衣装の話がまとまったことであるし、交流会を開くことに異存はないな? 属国の王子王女たちも我が国の貴族たちも、執務室にまで押し掛けてきておまえに会わせろというから、政務に支障をきたしているのだ。交流会という形で全員とまとめて会えば、一人につき一言二言で話は済むだろう」
政務に支障って、みなさんどんだけ食い下がってるんだか。
なんでみなさんが『ソルバイト陛下の婚約者』に会いたいのか、理由がだいたいわかるから気が進まない。
みんな、あたしを介して陛下の気を引くつもりなんだろう。陛下の覚えめでたくなれば、宗主国との繋がりが強くなると考えてるのかもしれない。王女様だと『陛下の婚約者』のお友達になれれば、陛下と会う機会も増えて……という打算があるのかもしれない。「陛下の婚約者に会いたい」と押し掛けること自体も、陛下へのアピールになるしね。
あたしを利用しないで陛下に直接アタックしてよ──と投げ出してしまいたいところだけど、そういうわけにはいかないんだろうな。
この国にお世話になってるあたしとしては、政務に支障をきたしているのはおまえのせいだと言われてしまっては、その状況を改善しないわけにはいかない。他に妙案がないから、不本意だけど宰相サマの言うとおりにするしかないな。
でも、何人くらいになるんだろう。
あたしは恐る恐る訊ねた。
「……みんなってどのくらい?」
「先日の歓迎会の出席者くらいの人数だ」
すかさず返された言葉に、あたしはのけぞった。
「あんな大人数と一度に話すなんて無理!」
「では、数人ずつ招いて話をするか? 午前と午後の両方を使っても、十日はゆうにかかるであろうな」
宰相サマは小バカにしたような笑みを浮かべて、あたしを見下ろしてくる。
あたしは頭の中で計算した。
少人数で話すとなると、一人につき一言二言ではすまなくなるだろう。それを一日二回、十日以上繰り返すなんて、考えただけでもげんなりする。それに衣装の問題もある。同じ人を招くわけではないから、舞妓の衣装一つあればいいけど、大変な着付けを毎日してもらうのも申し訳ないし、髪形を作るのもすごく苦労かけるのよね(舞妓さんも毎日は結い直さず、髪型が崩れないように箱枕っていうやたらと高さのある枕を使って寝返りを打たないように訓練? するって聞いたことあるけど、あたしには無理!)。
だから一日で済ますほうがみんなへの負担を減らすことができるけど、広い会場に結構な人が集まってたような気が……二、三百人か、それ以上。
「丸一日かけても全員と話せるか、自信ないです……」
膝の上で両手を握り合わせて正直に言うと、陛下が性懲りもなくその上に手を重ねてきた。
誘惑するのはやめてと怒ろうとしたけど、陛下の顔を見てあたしは不本意ながらどきっとする。
「そのことなら余に任せておけ。最小限の時間で全員と話せるよう、段取りを組むことはわけないことだ」
下心のない力強い笑顔が妙にまぶしくて、あたしは軽食の時間が終わって陛下が執務に戻るまで、どきどきしっぱなしだった。
1
お気に入りに追加
1,659
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。

側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる