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第二章 王子王女 襲来
11、やられっぱなしていてたまるもんですか!
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やっぱりきたよ~もう勘弁して……。
あたしは心の中で泣き言を言う。
件のリグナシカの王子がどうやってディオファーンを侮辱したかというと、「軍を貸す代わりに妹と結婚しろ」と陛下に言ったこと。
【救世の力】だけで国を守ってきたディオファーンは、軍を持たないことを誇りにしてる。だから軍を貸すという言葉は侮辱でしかないんだそうだ。しかも、ディオファーンの国王は王家の血を引く女性としか結婚できないという掟がある。その掟さえも無視したその王子の発言ははなはだ無礼というわけだ。
ただ、その場では陛下が自分の力を見せつけることで、リグナシカの王子の話を与太話として片付けることができた。
ところが、あたしがトリップしてきて、陛下が何故かあたしに惚れ、モリブデン様が「求婚」を許可なんかしたもんだから話がこじれてきちゃったのよ。
他国の皆さんはこう思ったはず。「王族どころか、どこの国の者ともわからない女がディオファーン王の婚約者になれたのだ。由緒正しき自国の王女のほうが有利だ」ってね。
他国がディオファーンとより強い関係を結びたがるのには理由がある。
ディオファーンが宗主国で、他国はその属国だからなの。属国といっても、宗主国に一方的に搾取されるといったことはなく、ディオファーン主導で傘下の国防や防災対策がなされてるといった感じで、属国であることにメリットはあってもデメリットはないみたい。
でも宗主国と属国というからには、立場の上下が明確にある。属国同士の力関係もあるだろう。だからディオファーンとのより強い結びつきを求めという理屈はわかる。
そんなわけで、モリブデン様はあたしを他国の姫君たちへの牽制に使おうって考えたワケだ。
ちょっとは仲良くなってもいいかなと思ってたけど撤回。やっぱり宰相サマだわ!
ぷんぷん腹を立てていると、返事がないことにじれたらしいドアの向こうの人が、いらついた声をかけてきた。
「いつまで王女様方をお待たせするつもりですか!」
ここで「お引き取りください」なんて言ったら国際問題だよね。陛下や宰相サマには感謝はないけど、あたしを保護してくれたコークスさんやお世話になってるテルミットさんやロットさん、あたしを温かく受け入れてくれたその他の皆さんたちのことを思うと、下手に騒ぎを起こして面倒をかけたくない。
しかたないな。
「どうぞ」
あたしは観念してドアを開けた。
開けたドアから、メイドさんらしき人を先頭にぞろぞろと若い女の子たちが入ってくる。
王女様らしきびらびらのドレスを着た女の子が、部屋の中を見回して言った。
「ディオファーン王の婚約者はどこ?」
あ、あたしのこと使用人だと思ってるな。他の人を身代わりに立てるチャンスだけど、残念ながらここには適当な人がいない。しかたないから答える。
「あたしですけど」
女の子は高飛車に言い放った。
「何を言ってるの? ソルバイト陛下の婚約者はどこと聞いているのよ?」
あたしもむっとしてぞんざいな口調で返事をする。
「ですから、それはあたしなんですってば」
「嘘おっしゃい! あなたのようなぱっとしない容姿の、地味な服を着た者が、ソルバイト陛下の婚約者のわけがないでしょう!」
そんなこと断言されても。
でもまあ、あたしを見て国王の婚約者だと思う人はまずいないと思ってたのよね。
この世界の人たちは、目鼻立ちがくっきりして美男美女揃いなの。のっぺり顔のあたしじゃ、とてもじゃないけど太刀打ち(?)できない。
それにしても、「この程度の女が」と鼻で笑われるどころか、偽物だと断言されちゃうなんて……陛下の婚約者になりたいわけじゃないけどちょっとへこむ──けど、へこんでてもしょうがない。目の前のお姫様たちには、どうにかしてお帰りいただかないと。
あたしは背筋を伸ばし、ちょっとすまして答えた。
「そうおっしゃるのでしたら、不在ですと申し上げるしかありません」
「やっぱりあなたではなかったじゃないの! ソルバイト陛下の婚約者はどこ!?」
あたし、否定したわけじゃないんだけどな……というつぶやきは心の中だけにする。
「存じません。ソルバイト陛下に婚約者を紹介してほしいとお願いされるとよろしいと思います」
「陛下は後日場を設けるとおっしゃいましたけど、その前に一目見たいからこうしてわざわざ訪ねてきたのではないの! まったく、嘘をつくわ気は回らないわ、とんでもない使用人ね!」
あたしはお姫様のきゃんきゃん声を聞き流しながら、頭の中で言う。──牽制しに来たんですよね? 訪問者がどなかたわかった時から気付いてましたよ。あたしは嘘はついてないし、ずかずかやってきた相手に気を回さなきゃいけない道理はないんですけど?
あーはやく帰ってほしい。
でも、残念ながら希望通りにはならなかった。
「おまえでは話にならないわ。勝手に探させてもらいます」
「ソルバイト陛下の婚約者は部屋から滅多に出ないと聞きました。ですからここにいるはずです」
「ちょ──!」
部屋の主の許可もなく勝手に見て回るってマナー違反でしょう!
お姫様らしきあとの二人が、一人は食事室へ、もう一人は寝室の扉に向かう。
フォージは瞬間移動で部屋に戻ってるから大丈夫。部屋の中を勝手に探されるのはムカつくけど、探られて困るものは何もない──って、そういえば!
はっとした次の瞬間、寝室に入ったお姫様が素っ頓狂な声を上げた。
「まあっ! なんてはしたない服でしょう!」
しまった! 昨日洗ったブラウスを部屋干ししてたんだった!
あたしは急いで寝室に向かう。
その間にも、寝室から話し声が聞こえてきた。
「これはどう見ても身にまとうものよね?」
「ソルバイト陛下の婚約者なる者は、これを着て陛下を誘惑したのではないでしょうか?」
「きっとそうやって陛下を誘惑したのね! なんて破廉恥な!」
いやいやいや、陛下を誘惑したことなんてなければ、そのブラウスは誘惑目的の代物でもないんですけど!
心の中でツッコミを入れながら、あたしは寝室に飛び込む。
お姫様とその侍女は、あろうことかハンガーからブラウスを下ろし、物珍しげに引っ張っていた。
「薄いのに丈夫なのね」
「どんなふうにしたら、このようなこのような布が織り上がるのでしょう。不思議ですわ」
「返して!」
ひとのものに勝手に触るなんて信じられない!
あたしはブラウスを掴んで取り返そうとした。
「控えなさい。下賤な者が無礼な!」
他のお姫様と侍女たちも加わって、ブラウスの取り合いになる。
これ以上やったら破れちゃうかも。
そう気付いたときだった。
ビィィ
と音がして、手にかかっていた抵抗が弱まる。
「あ──」
後ろ身頃の生地が、ものの見事にまっぷたつに裂けていった。
「あ……」
お姫様たちもマズいことをしたとわかったのか、ブラウスから手を離す。
ブラウスがあたしの手に戻ったけど、嬉しさはかけらもなかった。
そんなにやわな生地じゃないはずなのに……。
ショックでぐらぐらめまいがする。
お姫様たちの慌てる声が、やけに遠くに聞こえた。
──わたくしたちが悪いのではないわ。悪いのはその子よ!
──お引き取りください。ここはあなたがたがお入りになっていいお部屋ではありません。
その声と入れ違うように、騒々しさが遠ざかる。
「舞花様!」
二の腕を掴まれて揺さぶられたとき、あたしはゆるゆると我に返った。
「あ……テルミットさん……どうして……?」
今日は忙しいだろうから、食事を運んでくれるとき以外は来なくていいってあたし言ったのに……。
あたしの疑問を察して、テルミットさんは答えてくれた。
「フォージ様がご連絡くださったんです。舞花様を助けてほしいと──フォージ様に瞬間移動をお願いすればよかったです。焦って気が回らず申し訳ありません」
テルミットさんが、申し訳なさそうに視線を落とす。あたしもうつむいて手元を見た。
襟刳りや裾の折り返しはさすがに破れなかったけど、背中の生地は縦にまっすぐ切り裂かれてしまっていた。
弱々しい声が聞こえてくる。
「ご、ごめんなさい……」
視線を巡らせると、テルミットさんの陰からフォージが遠慮がちに顔をのぞかせていた。
あたしはぎこちなく笑った。
「フォージのせいじゃないわ。テルミットさんを呼んでくれてありがとうね」
顔を上げ、テルミットさんにも。
「テルミットさんも、来てくれてありがとう。助かったわ」
それだけ言うのもやっとだった。
心に余裕のない自分が情けない。
トリップした際に身につけていたものは、どれも心の拠り所だった。
この世界に不都合や不満があるわけじゃない。縁もゆかりもないあたしに、このお城の人たちはすごくよくしてくれる。でもあたしの故郷は日本で、トリップした際に持っていたものは、百均で買ったものを入れてもらったビニール袋でさえ、失うのが怖いんだ。何か一つでもなくしたら二度と帰れないような強迫観念に駆られてる。
でも、そんなんじゃダメだ。フォージとテルミットさんに申し訳ない。
傲慢なバカな姫たちにブラウスを破られたショックが薄れていくと、じわじわ怒りがこみ上げてくる。
「──テルミットさん。舞踏会であたしそんなに着飾らなくていいって言ったけど、あれ撤回」
目一杯着飾って、あの子たちに目にもの言わせたい。
やられっぱなしていてたまるもんですか!
あたしはテルミットさんに真剣な視線を注いだ。
「協力してくれる?」
「ええ! 喜んで!」
テルミットさんはぱっと表情を輝かせ、ぽんと手を合わせた。
あたしは心の中で泣き言を言う。
件のリグナシカの王子がどうやってディオファーンを侮辱したかというと、「軍を貸す代わりに妹と結婚しろ」と陛下に言ったこと。
【救世の力】だけで国を守ってきたディオファーンは、軍を持たないことを誇りにしてる。だから軍を貸すという言葉は侮辱でしかないんだそうだ。しかも、ディオファーンの国王は王家の血を引く女性としか結婚できないという掟がある。その掟さえも無視したその王子の発言ははなはだ無礼というわけだ。
ただ、その場では陛下が自分の力を見せつけることで、リグナシカの王子の話を与太話として片付けることができた。
ところが、あたしがトリップしてきて、陛下が何故かあたしに惚れ、モリブデン様が「求婚」を許可なんかしたもんだから話がこじれてきちゃったのよ。
他国の皆さんはこう思ったはず。「王族どころか、どこの国の者ともわからない女がディオファーン王の婚約者になれたのだ。由緒正しき自国の王女のほうが有利だ」ってね。
他国がディオファーンとより強い関係を結びたがるのには理由がある。
ディオファーンが宗主国で、他国はその属国だからなの。属国といっても、宗主国に一方的に搾取されるといったことはなく、ディオファーン主導で傘下の国防や防災対策がなされてるといった感じで、属国であることにメリットはあってもデメリットはないみたい。
でも宗主国と属国というからには、立場の上下が明確にある。属国同士の力関係もあるだろう。だからディオファーンとのより強い結びつきを求めという理屈はわかる。
そんなわけで、モリブデン様はあたしを他国の姫君たちへの牽制に使おうって考えたワケだ。
ちょっとは仲良くなってもいいかなと思ってたけど撤回。やっぱり宰相サマだわ!
ぷんぷん腹を立てていると、返事がないことにじれたらしいドアの向こうの人が、いらついた声をかけてきた。
「いつまで王女様方をお待たせするつもりですか!」
ここで「お引き取りください」なんて言ったら国際問題だよね。陛下や宰相サマには感謝はないけど、あたしを保護してくれたコークスさんやお世話になってるテルミットさんやロットさん、あたしを温かく受け入れてくれたその他の皆さんたちのことを思うと、下手に騒ぎを起こして面倒をかけたくない。
しかたないな。
「どうぞ」
あたしは観念してドアを開けた。
開けたドアから、メイドさんらしき人を先頭にぞろぞろと若い女の子たちが入ってくる。
王女様らしきびらびらのドレスを着た女の子が、部屋の中を見回して言った。
「ディオファーン王の婚約者はどこ?」
あ、あたしのこと使用人だと思ってるな。他の人を身代わりに立てるチャンスだけど、残念ながらここには適当な人がいない。しかたないから答える。
「あたしですけど」
女の子は高飛車に言い放った。
「何を言ってるの? ソルバイト陛下の婚約者はどこと聞いているのよ?」
あたしもむっとしてぞんざいな口調で返事をする。
「ですから、それはあたしなんですってば」
「嘘おっしゃい! あなたのようなぱっとしない容姿の、地味な服を着た者が、ソルバイト陛下の婚約者のわけがないでしょう!」
そんなこと断言されても。
でもまあ、あたしを見て国王の婚約者だと思う人はまずいないと思ってたのよね。
この世界の人たちは、目鼻立ちがくっきりして美男美女揃いなの。のっぺり顔のあたしじゃ、とてもじゃないけど太刀打ち(?)できない。
それにしても、「この程度の女が」と鼻で笑われるどころか、偽物だと断言されちゃうなんて……陛下の婚約者になりたいわけじゃないけどちょっとへこむ──けど、へこんでてもしょうがない。目の前のお姫様たちには、どうにかしてお帰りいただかないと。
あたしは背筋を伸ばし、ちょっとすまして答えた。
「そうおっしゃるのでしたら、不在ですと申し上げるしかありません」
「やっぱりあなたではなかったじゃないの! ソルバイト陛下の婚約者はどこ!?」
あたし、否定したわけじゃないんだけどな……というつぶやきは心の中だけにする。
「存じません。ソルバイト陛下に婚約者を紹介してほしいとお願いされるとよろしいと思います」
「陛下は後日場を設けるとおっしゃいましたけど、その前に一目見たいからこうしてわざわざ訪ねてきたのではないの! まったく、嘘をつくわ気は回らないわ、とんでもない使用人ね!」
あたしはお姫様のきゃんきゃん声を聞き流しながら、頭の中で言う。──牽制しに来たんですよね? 訪問者がどなかたわかった時から気付いてましたよ。あたしは嘘はついてないし、ずかずかやってきた相手に気を回さなきゃいけない道理はないんですけど?
あーはやく帰ってほしい。
でも、残念ながら希望通りにはならなかった。
「おまえでは話にならないわ。勝手に探させてもらいます」
「ソルバイト陛下の婚約者は部屋から滅多に出ないと聞きました。ですからここにいるはずです」
「ちょ──!」
部屋の主の許可もなく勝手に見て回るってマナー違反でしょう!
お姫様らしきあとの二人が、一人は食事室へ、もう一人は寝室の扉に向かう。
フォージは瞬間移動で部屋に戻ってるから大丈夫。部屋の中を勝手に探されるのはムカつくけど、探られて困るものは何もない──って、そういえば!
はっとした次の瞬間、寝室に入ったお姫様が素っ頓狂な声を上げた。
「まあっ! なんてはしたない服でしょう!」
しまった! 昨日洗ったブラウスを部屋干ししてたんだった!
あたしは急いで寝室に向かう。
その間にも、寝室から話し声が聞こえてきた。
「これはどう見ても身にまとうものよね?」
「ソルバイト陛下の婚約者なる者は、これを着て陛下を誘惑したのではないでしょうか?」
「きっとそうやって陛下を誘惑したのね! なんて破廉恥な!」
いやいやいや、陛下を誘惑したことなんてなければ、そのブラウスは誘惑目的の代物でもないんですけど!
心の中でツッコミを入れながら、あたしは寝室に飛び込む。
お姫様とその侍女は、あろうことかハンガーからブラウスを下ろし、物珍しげに引っ張っていた。
「薄いのに丈夫なのね」
「どんなふうにしたら、このようなこのような布が織り上がるのでしょう。不思議ですわ」
「返して!」
ひとのものに勝手に触るなんて信じられない!
あたしはブラウスを掴んで取り返そうとした。
「控えなさい。下賤な者が無礼な!」
他のお姫様と侍女たちも加わって、ブラウスの取り合いになる。
これ以上やったら破れちゃうかも。
そう気付いたときだった。
ビィィ
と音がして、手にかかっていた抵抗が弱まる。
「あ──」
後ろ身頃の生地が、ものの見事にまっぷたつに裂けていった。
「あ……」
お姫様たちもマズいことをしたとわかったのか、ブラウスから手を離す。
ブラウスがあたしの手に戻ったけど、嬉しさはかけらもなかった。
そんなにやわな生地じゃないはずなのに……。
ショックでぐらぐらめまいがする。
お姫様たちの慌てる声が、やけに遠くに聞こえた。
──わたくしたちが悪いのではないわ。悪いのはその子よ!
──お引き取りください。ここはあなたがたがお入りになっていいお部屋ではありません。
その声と入れ違うように、騒々しさが遠ざかる。
「舞花様!」
二の腕を掴まれて揺さぶられたとき、あたしはゆるゆると我に返った。
「あ……テルミットさん……どうして……?」
今日は忙しいだろうから、食事を運んでくれるとき以外は来なくていいってあたし言ったのに……。
あたしの疑問を察して、テルミットさんは答えてくれた。
「フォージ様がご連絡くださったんです。舞花様を助けてほしいと──フォージ様に瞬間移動をお願いすればよかったです。焦って気が回らず申し訳ありません」
テルミットさんが、申し訳なさそうに視線を落とす。あたしもうつむいて手元を見た。
襟刳りや裾の折り返しはさすがに破れなかったけど、背中の生地は縦にまっすぐ切り裂かれてしまっていた。
弱々しい声が聞こえてくる。
「ご、ごめんなさい……」
視線を巡らせると、テルミットさんの陰からフォージが遠慮がちに顔をのぞかせていた。
あたしはぎこちなく笑った。
「フォージのせいじゃないわ。テルミットさんを呼んでくれてありがとうね」
顔を上げ、テルミットさんにも。
「テルミットさんも、来てくれてありがとう。助かったわ」
それだけ言うのもやっとだった。
心に余裕のない自分が情けない。
トリップした際に身につけていたものは、どれも心の拠り所だった。
この世界に不都合や不満があるわけじゃない。縁もゆかりもないあたしに、このお城の人たちはすごくよくしてくれる。でもあたしの故郷は日本で、トリップした際に持っていたものは、百均で買ったものを入れてもらったビニール袋でさえ、失うのが怖いんだ。何か一つでもなくしたら二度と帰れないような強迫観念に駆られてる。
でも、そんなんじゃダメだ。フォージとテルミットさんに申し訳ない。
傲慢なバカな姫たちにブラウスを破られたショックが薄れていくと、じわじわ怒りがこみ上げてくる。
「──テルミットさん。舞踏会であたしそんなに着飾らなくていいって言ったけど、あれ撤回」
目一杯着飾って、あの子たちに目にもの言わせたい。
やられっぱなしていてたまるもんですか!
あたしはテルミットさんに真剣な視線を注いだ。
「協力してくれる?」
「ええ! 喜んで!」
テルミットさんはぱっと表情を輝かせ、ぽんと手を合わせた。
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