水と言霊と

みぃうめ

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第236話    前日 side亜門 化け物の処遇②

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 今回は残酷回です。
 苦手な方はそっと閉じてください。

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「逃げられないように両足を切り落とせ。自害できないように指も左右2本ずつだ。全て切り落とせと言いたいところだが、そうするとこのゴミに食事を与える手間が増えるだろう?足が無くとも指が無くとも子は産める。良かったなぁ。やっとゴミにも価値がついたぞ?」

 父親相手にならそのうち許してもらえるとでも思っていたのか、終始強気だったその態度が豹変した。我が身にそれが降りかかるかも、と、漸く実感したらしい。

「そん……そんな……あんまりですっ!お父様っ!大人しく牢に入りますわっ!ですから止めさせてくださいませっ!!」

 ここで父親に助けを求めるあたり、やはり許してもらえると思っていたな…

「俺は妥当だと思うがトビアスはどう思う?やり過ぎだと思うか?」
「いいえ全く思いません。川端様の仰る通り、それをして初めてその者に価値が生まれるでしょう。まともな状態で牢に入れば金や権力に目が眩み脱獄の手助けをする者も出てきます。それに自身の足で逃げられては、自害されては、意味がございませんから。」

 俺と辺境の者としての意見を聞き、皇帝は浅く息を吐き出す。

「……申し訳ないが、死なぬ様にやれる人間がここにはおらぬ。川端殿にまた助力を願うことになってしまうが、良いだろうか?」
「お父様っ!お願いしますやめさせて!何でもします!お願いします!」
「俺はいいぞ。トビアスはどうする?」
「勿論川端様と御一緒いたします。」
「いやあああぁぁぁぁ!!!」
「おい!!!次叫んだら目玉を抉る。目が見えなくても子は産めるだろ?」
「ヒィッ!」

 悲鳴を上げ、気を失ったゴミ。

「皇帝、まだ終わってねーぞ。この私兵共はどうするつもりだ?」
「雇い主がおらぬのだ。解雇であろう。」
「ちげぇよ!コイツらはあのゴミの被害者であり俺達にとっては加害者だ。処罰をどうすんのかって聞いてんだ!」
「……3ヶ月、無料奉仕はどうだろうか?」

 それは良いな!
 初めて皇帝からまともと思える意見が聞けたな。

「因みにどこで何をさせるつもりだ?」
「1番下の騎士団に入れ、雑用を行わせる。」
「トビアスはそれで良いか?」
「それで構いません。」
「俺も異論はねぇ。あと、今後娘達に金やって勝手に私兵を雇わせるようなことはもうするんじゃねぇぞ。愚か者が増えるばかりだ。皇女達が明らかに間違っているような、道を外すようなことをしそうになった時、護衛でも意見ができるような、護衛と信頼関係が築けるようなそんな体制を作れ。ここにはそんな高潔な人材がいるか知らねぇが、貴族共だって馬鹿ばかりじゃねぇだろ?」
「うむ。難航はするであろうが、勘違いを助長させるような者は雇わぬ。」

 次はゴミに雇われてた護衛達だ。
 脅しは必須。保険はいくら掛けておいても良い。

「お前ら、話聞いてたよな?そういうことになったからな。今日のことは何1つ仲間内でも口にすることは許されない。もしこの場の情報が少しでも漏れたとわかれば、情報の精査などせず6人全員がこのゴミと同じ末路を辿ると思え。五体満足で終えられるんだ。無料奉仕だけで済むなんて幸運だな。皇帝の寛容さに感謝し、3ヶ月死ぬ気で働けよ!」
「「「「「「はい!」」」」」」

 鞭はやった。次は飴だ。

「皇帝はコイツらが理不尽に扱き使われないようにしてやってくれ。やるのは騎士団内の雑用だ。罰としてではなく見習いとして入れれば少しは違うだろう?」
「そのように取り計らおう。」
「決まりだ。お前ら!最後の仕事だ!このゴミを運べ!ギュンター、どこに運べば良い?」
「ご案内いたします。」

 俺と皇帝が椅子から立ち上がる。
 皇帝と娘がどんな関係を築いていたかは不明だが、皇帝の表情を見ても娘が処罰の対象になったショックは抜けきれていない。
 多少のフォローはするべきか?

「扉を開け放ちお前達は外で待機!ギュンターはまだ遮音の魔法具を切るな。」

 そう言ってゴミと私兵は外に出て行かせた。
 これでアイツらには姿は見えるが何を話しているかはわからない。



「皇帝、気落ちするのはわかる。だが俺は英断だったと思うぞ。粛清に血は付き物だ。裏切り者、愚か者は身内であっても処分する。この女がマトモであれば今回の事は起こり得なかったことだ。この女は現実を知った気になり、自分自身がしたこと、その思考全てにおいて何も悪いと思っていなかった。更生は不可能だ。こういう人間を野放しにすれば、これから皇帝がやることなすこと全てが無に帰す。これから気をつけなければいけないのはこの女のそばにいた者達だ。権力欲の強い誰かに傀儡にしようとされた可能性も考えろ。どこでどのようにして今のような考えを植え付け育てられたのか。それが重要だ。処罰には皇帝はついてこなくて構わない。娘の足が切り落とされるところなんざ見たくもないだろう?」
「川端殿……恩に着る。しかし私には逃避している時間は無い。娘が仕出かしたことへの処罰はこの目で見届けねばならぬ。」

 いい心掛けだな。
 皇帝は根性はあるんだろう。

「為せば成る  為さねば成らぬ  何事も。俺の好きな言葉だ。聞いた事あるか?」
「いいや、ないな。」
「どんなことでも強い意志をもって行動すれば必ず成就する。そういう意味だ。これからだ。そうだろ?」
「…………ああ。そうだな…」
「皇帝は“一人”だが、決して“独り”ではない。全てを背負い込むな。潰れる前にその重過ぎる荷物を降ろせ。目指す路が同じ同志を見つけ支え合うんだ。幸い、もう1人は見つかっている。なぁ?ギュンター?」
「皇帝陛下に地の果てまでもお供いたします。」

 ギュンターは皇帝に忠誠のポーズをとる。

「だそうだ。」
「……私は善き仲間に恵まれたな……………」
「そうだ。後悔する暇があるなら前に進もう!己を、仲間を信じて。」
「ああ……では行こうか。」



 そうして案内されたのは制裁を行った牢の隣だった。
 隣にいたメイドと護衛数人が呼ばれる。

「ギュンター、ここでいいのか?」
「はい。怪我が治れば別の場所へ移動させます。恐らくですが、かなりの出血量になりましょう。ここならば掃除が容易です。清潔に保てますから。」
「なるほど。ではこの女の下半身の衣服全てを取り払え。不可能ならば全裸で構わない。コルセットなんて着けてたら血の巡りが悪くなるだけだからな。」

 俺の言葉に無言でメイド達が動き出した。
 ドレスを着ているだけあって脱がせるのに時間がかかる。
 結局女はほぼ全裸の状態になった。

「護衛達はこの女を少しの身動ぎもできないように縛り付けろ。特に腰は動かせないように!足は左右開いて縛り付けるんだ!手は親指、人差し指、中指を包帯で纏めて巻き付け、手首と手の甲を確りと台に縛り付けろ!」

 身体全体を縛り上げられ、手を縛っている最中にゴミが目覚めた。

「やっ!いやっ!離してっ!私を誰だと思ってるの!?私はこの国の皇女よ!!!離せっ!はなせぇぇぇっ!!!」
「お前は身分を剥奪されたはずだ。今はただの一貴族……いや、平民になるのか?」
「私が平民ですって!?この高貴な血を持つ私を!?侮辱よっ!!私は今侮辱されましたわっ!不敬罪よっ!!あっ!お父様っ!!!この地球人を不敬罪で処罰してくださいませっ!」
「ははっ!救いようがねぇな。お前、今の状況わかってんのか?全裸でこれだけ縛り上げられてんのになぁ!お前の処分全てを決めたのは皇帝だぞ?」
「全裸?」

 動かせる首だけを必死に自分の下半身へと向ける。

「なっなっなんですの!?高貴な私の身体を見るなどっ!足も動きませんわ!閉じさせなさいよっ!」
「ん?何も心配することはねぇ。今から足とはおさらばだからな。」
「川端様!準備が整いました!」
「ご苦労!」

 そうしてゴミの開かれた足の間に立つ。

「いやぁ!!!凌辱されますわっ!お父様っ!助けてぇぇぇ!!!」
「おいおい、俺に抱いてくれってすがりついて来たのは何だったんだ?安心しろよ。ゴミに勃つわけがねぇ。」
「何ですって!?男子は皆私を抱きたいと思っていてよ!!あんた不能なんでしょう!?」
「やれやれ。おい!タオルでこの女の局部を隠せ!漏らされたら最悪だ!見ているだけで目が腐り落ちる!舌を噛まないよう猿轡も頼む!」
「何言ってんのよ!私が漏らすわけがないでしょう!!!」
「足を切り落とされてもそうか?」
「……まさか本気でやるわけじゃないわよね?」
「そのまさかだが?」
「いやっ!い……ん゛う゛ぅ゛ぅ゛!!!」
「皇帝陛下!準備が整いました!よろしいですね?」
「ああ。頼む。」

 切り落としたら素早く焼かなければ出血多量で死ぬ。スピードが重要だ。
 ……右手に風の刃、左手に高温のアイロンのイメージか?

 ……よし、イメージは固まった。
 俺がイメージを固めている間も猿轡の奥から唸り声が聞こえ続けている。

「それでは、これより皇帝陛下の名の下に制裁を行う!」

 右手で足を根元からスパンと切り離し、素早く左手のアイロンで焼く。
 ジュゥッと焼ける音と共に肉の焦げるような嫌な匂いが充満していく。
 ゴミはくぐもった声で大絶叫し気絶した。
 足が縛りつけられた台の下を確認する。
 切り離した足からの出血は凄いが、傷口からの出血はほぼない。
 これなら大丈夫だな。
 もう片方の足も同じように行う。
 気絶していたはずのゴミは再び大絶叫し気絶した。
 指も薬指と小指を纏めて切り離し傷口を焼くを繰り返し、その度に目を覚まし大絶叫を繰り返すゴミを冷めた目で見つめる俺。
 周りからどれだけ恐ろしい人間に映っているんだろうなとボンヤリ考えた。

 メイド達に隣の罪人共と同じ処置をするように伝え、制裁は終わった。
 皇帝の顔色を伺うと、痛ましい表情を浮かべてはいたが、迷いは消えたように感じた。

 胸に手を当て頭を軽く下げ

「皇帝陛下!終了いたしました!私はこれで下がらせてもらってもよろしいでしょうか?」
「大儀であった。明日からの辺境での活躍も期待している。」
「有り難きお言葉に感謝いたします!では、御前ごぜん失礼します!」

 そう言いトビアスと帰路へ着く。














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