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第118話 勘違い
しおりを挟む「何言ってんの?何で麗が男だと思ったの?」
呆然とラルフに呟くように言ってしまう。
「まさか女子なのですか!?報告では男子だと……」
「ちょっと待て。報告って何だ?」
「こちらの部屋へ移動されてから服をお作りするためにサイズを測らせていただきましたよね?その際、上半身は薄布1枚、または裸になったと思いますが、そこでそのように報告を受けております。かねてより辻井様の性別はどちらなのか話題になっておりました。地球の皆様は見た目自体、大変幼い印象でありましたが、口にする言葉は見た目と違い成人のそれでありましたので、気分を害する恐れもあり、迂闊に性別も年齢もお伺いすることができずにいました。」
あの白い箱から出たために地球から着ていた着っぱなしだった服だけでは過ごせなくなった。あの部屋には魔法陣の効果によりお風呂にすら入らなくても綺麗なままが保たれていたけれど、それはあの箱の中だけのこと。
最初はサイズを測るのも抵抗したけど、さすがに下着はないと困るから渋々サイズを測らせた。
こういう時男は楽でいいよねぇ。
どんなドレスが良いかと聞かれ用意されそうになり、そんなもん死んでも着るかと言い放ち、今着てるようなTシャツを作れと強要した。Tシャツなら誰にだって作れる。同じ形の大きさの布を2枚縫い合わせるだけなんだから。
「ねぇ、つまり麗の胸見て男だって判断したってこと?」
「はい。胸がなかったようです。」
「こっちの人達は全員その認識なの?」
「はい。辻井様は男子だとの認識です。」
「ラルフから見て私達って何歳くらいに見えてた?」
「紫愛様と辻井様はまだ成人する前なのかと。川端様は成人されて間もない印象でした。失礼かとは思いますが、紫愛様も顔だけでは幼く見えて性別の判断がつかなかったのですが、その…体型が女子の身体つきでしたので…」
「こっちでは成人て何歳だ?」
「15です。」
「ねぇあっくん。どんなに胸が小さくても全くないってことはないと思うんだけど。」
「俺もそう思う。男と女ではそもそも骨格が違う。それにラルフが言うように成人前ならともかく、麗は20だ。さすがに有り得ないだろう。」
「では、本当に女子なのですか?」
この言い方だと、まだ疑ってるよね?
「ラルフは麗のこと女の子に見えない?」
「……はい。髪も貴族の男子よりも短いです。あのように短過ぎると平民でもなかなかおりませんので…それに着ていた服装もとても女子の物とは思えず、男子なのだとばかり…」
「それに加えて胸がないって言われりゃ男だと思っても仕方なしか。しーちゃん、却って良かったかもよ。」
「あ、そっか。異性に性的に狙われる可能性は減ったわけだもんね。」
「そーゆーこと。ラルフ、これ黙っとけよ。」
「畏まりました。あの、ですが、今度は女子に狙われるかと思うのですが…」
「え!?ショタ?」
「しーちゃん!もう!ラルフ、男と女、単純に考えてどっちのが強い?」
「それは男です。」
「そういうことだ。危険度の割合を考えればまだ女から狙われてた方がマシだ。」
「なるほど。わかりました。」
「はぁぁぁ。あ、しーちゃんはサイズ測る時下も脱げとか言われた?」
「言われてないよ?もしかしてあっくん言われたの?」
「ああ。俺みたいな体型のやつこっちにいないみたいでさ、デカいっつーとデブって意味らしくて、サイズが全くわからないからって言われたんだけど……脱がなかった。」
「うわぁーあっくんも狙われてる?」
「人の身体舐め回すように見てベタベタ触ってくるから髪の毛掴んで引きずり倒した。」
あっくんが?女性を?想像できない。
「あっくんて女性には等しく優しいのかと思ってた。」
「しーちゃん、前にも説明したけど!」
「わざとやってたんでしょ?わかってるよ。でも触られたくらいでそこまですると思わないよ?」
「じゃあしーちゃんだったらどう?得体の知れないやつにジロジロ見られた上に必要以上にベタベタ触られたらキレない?」
「キレる。」
「でしょ?ほんっとに気色悪かったんだよ。色仕掛けが俺に通用すると思われたら迷惑だ。そのメイド変えさせたから。」
その言葉に、土木の同僚の話が横切った。
「なるほど!チェンジだね!ぷっっ!あははは!なんかデリヘルみたい!」
「ちょっとしーちゃん!?なんでそんなこと知ってんの!?」
「同僚が、来た嬢が写真と違いすぎる!チェンジしまくったって言ってたから。」
「そいつ許さねぇ!!」
「あの…デリヘルとは何ですか?」
「あ、そっかラルフわかんないよね。部屋に女の子呼んでお金を払ったら性的なサービス受けることができるの。」
目をまん丸にするラルフ。
「……は?そんなものが地球には存在するのですか?」
「あのね、地球ではありとあらゆるモノが商売として成り立ってるの。それも1つの仕事なんだよ。エロなんて1番金儲け出来る手段の1つでしょ?」
「しーちゃん、それ、ラルフに言うの?」
「え?だって1人でするってことはそういう欲はあるってことじゃないの?」
「しーちゃん!!女の子なんだから!」
それは差別かい?
思わず眉根を寄せる。
「え?女だって性欲あるでしょ?男の性欲満たす為に女がいると思ってるわけ?そんなの成り立たないよ?マッキーにも言われたけどさ、その、女だからとか男だからとか私にはよくわからない。マッキーが、あんまりそういうこと言うと品が無いと思われるから、社会に出てから人から避けられちゃうから、働けなくなると困るから言っちゃ駄目って言うから言わなかっただけで、ここ社会もクソもないじゃん。」
「……じゃあしーちゃんもあるの?」
「何が?」
「……性欲。」
「は?あるわけないじゃん。」
「今言ってた事と違うよ!?」
「ある人とない人がいるでしょ?人類皆同じと思われちゃ困る。」
あっくんは暫しフリーズ。
「逆に、ないからそんなアッケラカンと話せるってこと?」
「そう。所詮他人事だからね。あ!そうだ!ラルフってさ、私の見た目が幼いから平気なの?それとも女に見えないから?」
「いえ、どちらも有り得ません。先程も言いましたが、下心がないからなのかと…紫愛様に嫌悪感自体感じたことがございません。」
「他に嫌悪感を感じない女性っている?」
「おりません。」
「そういえばさ、平民の人達ってどんななの?接触ある?」
「下の隊の者達は街の警備の仕事もありますので接触はあります。」
「そこで恋愛には発展しないの?」
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