水と言霊と

みぃうめ

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第30話    現状把握④

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「あのぉー、私気にしてないので黙るのやめてもらってもいいですか?逆に私が気にします。それと優汰は後で話があるから来い。」

 優汰のせいでこんな空気になったんだから腹パンぐらい覚悟してもらわねば。

「俺の扱いほんと酷くない?俺が聞かなくてもみんな気になって絶対聞いてたって!」
「うるさい。」
「シューさんだって聞いたじゃん!シューさん助けて!」
「確かに僕も聞きました。話したくないことを聞いてしまってすみません。」
「シューさんもみんなも、私本当に気にしてませんから!それに私が黙ってたら偽名騒動のこと納得してくれなかったでしょうし。」
「でしょー!俺だけが悪いんじゃない!」
「優汰うるさい。」
「なんでだよー!」

 アホとのやり取りをしていると
 グスッグスッ
 啜り泣く声が聞こえる。
 振り返るとカオリンと川端さんが泣いていた。

 いやいやカオリンはまだわかる。
 でもなんで川端さんまで泣いてるの!?

「ごめんね。」

 と弱々しく泣くカオリン。

「俺もごめん。初対面でこんなこと聞く権利なかったのに。」

 バリトンの啜り泣きは迫力あるわぁー。目覚めたばっかで情緒不安定なのかも。

 なんか警戒してたのアホらしくなったわ。

 みんな素振りじゃなく色も本気で悪いと思ってるみたいだし、そもそも駆け引きとか向いてないんだよ私。

 もういいや、1人でやる。


 勝手に1人で決意を固めていると優汰が

「俺、もう帰りたい!地球で研究してた改良途中の品種あんだよ!早く帰らないと!うまく対処していかないと枯れちゃうよ!」

 と、泣き言を言い出した。
 ていうか、優汰まさか研究者側だったの?
 普通の農家じゃないの?

「私も帰れるなら帰りたいわ。」

 とカオリン。

「地球には戻らない。ここのが面白そう。」

 まさかの金谷さん。初めて喋ったの聞いた。しかも自ら話しかけてくれたよ。
 でも吐いた台詞が面白そうって何よ。

「………ここでの模索はできますね。この世界の事を何も知らないまま地球での理に縛られ何もせず夢を諦めるのは愚か者のすることでしょう。僕も夢のために突き進みます!」

 シューさんは何故か決意表明しだした。

 みんなの色が黄色に変わった。

「俺はここの文化を知りたいな。ここにもタトゥーあるのかな?」

 私の手を再度握りながら楽しそうに話す川端さん。

 なぜてをにぎる!

 いきなり過ぎて過剰反応して身構えてしまう。
 黄色から白色に変化していた色がコバルトブルーに変わった。
 相変わらず忙しい人だ。

「ごめん!こんな泣き腫らしたデカいオッサンに近寄られたら怖いよね!ほんとごめん!」

 泣き腫らしたもデカいも川端さんのことだろう。でも、オッサン?乙さん?尾っさん?んなわけない。
 私の口から出た言葉は

「おっさん?」

 疑問系のおっさん?だった。
 オッサンが見た目で言うところのオジサンなら、その見た目の人はここには優汰と金谷さんだけ。
 金谷さんは本当にオッサンなのかはハッキリしないが。
 でもデカいって言ったよね。ここで背も体型もデカいと言える人は川端さん以外にはいない。
 川端さん自分のことオッサンて言ってるの?
 かなり若く見えるけど実年齢はかなりイッてるってこと?ていうか、このやり取り私の時となんか似てるな…と考えていると

「俺はオッサンじゃない!」

 私の視線を感じたのだろう。アホの優汰が叫んでいる。あんたはどこからどう見てもオッサンだよ!

「優汰うるさい!優汰は誰が見てもオッサン。川端さんて何歳ですか?」
「ちょっと!本当に酷いよ!俺も歳くらい聞いてから判断してよ!」
「もう!40くらいじゃないの?ちょっと黙ってて。」
「何でわかるの!!??俺もうすぐ39。」
「だからオッサンで合ってるって言ってるの!何でその年齢でオッサンじゃないって言い張れるのよ!世間一般の常識では40は立派なオッサンだわ!もううるさいから優汰は黙っててってば!川端さんと話ができないでしょ!」

 チラリと川端さんを見ると紫色になってた。
 もーーーーう!わかんないってば!
 色変わり過ぎ!!!

 すると、地を這うような低い声で

「優汰さん、ですか?奇遇ですね。俺ももうすぐ39ですよ。」

 と、川場さんが口にした。

 みんな口を揃えて「うそ!」と叫ぶ。



 デジャヴである。














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