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第20話 ここは何処?⑧
しおりを挟む「とりあえず、今は考えても仕方ないことは考えることはやめて食べて体力つけた方が良いと思うんだよね。でね、食べた後にさっきの身体がとても軽くてっていう話を聞かせて欲しいんだ。」
シューさん、瞳キラッキラしてるよ。
やっぱ、忘れてくれないよねーそりゃそうだよねー。あんなに興奮してたもんね。はぁ。
「協力できそうなことは、とりあえずしますけど。私が嫌がるようなことはさせないでくださいね。」
「うんうん。約束するよ。今のところは話を聞きたいだけだしね。」
とりあえずご飯食べる時間くらいは待ってくれるらしい。
なら、良いか。
「じゃあまずはご飯を食べてからね。」
さすがカオリン!もう口挟まれる前に食べよ!
「はい!いただきまーす!」
目の前には、カップに入った氷が浮かんだ、多分水。見た目スープ、サラダ、ローストビーフっぽい薄切り肉、石。
…石!?白っぽい石。私の拳よりも一回り大きいくらいの白っぽい石。
とりあえず人差し指で突いてみる。
カサッとしてる。持ち上げてみる。
感触といい重さといい多分これパンだ。
見た目は石なのに。見た目詐欺?ストーンチョコならぬストーンパン。
千切って1口食べてみる。すんごいちょっとだけね。
モグモグ…パッサパサじゃん。
匂いも味もほぼ無し。
口の中の水分全部持ってくスタイル。
そこまで硬いわけじゃないけど、存在スタイルは乾パン。
グラスの水で流し込む。
ゴクゴク。ふぅー。
乾パンはとりあえず後にしよう。
とりあえず全部1口食べてみようかな。
スープもサラダもあるけど、肉よ。肉。肉が気になる。
でもパンが乾パンだったし、これ本当に肉だよね。見た目詐欺はこれには適用されているのか否か。
それに今気付いたけど、ナイフない。
フォークは2本。スプーンが1本。
ナイフは?魔法でスライスしたから要らないだろうってこと?
………あ、もしかして凶器になるから?
そうだよね。一般人なら、フォークくらいじゃ簡単に人は殺せないけど、ナイフは確かに確実な殺傷能力も含むもんね。私には何の関係もないけど。
薄切りになってる肉を1枚フォークで刺して、端っこを齧る。思ってる味と違うと衝撃受けるもんね、1枚全部口にする勇気はないよ。
ちまっと噛み齧る。モグモグ。
なにこれ、柔らかい!溢れる肉汁!ちまっとしか口にしてないのにめっちゃ美味しいとわかる。見た目ちょっと硬そうだったのに、見た目逆詐欺もありか!?
自他共に認める馬鹿舌を持つ私でさえ美味しいと思うんなら、みんなもそう思ってるよねきっと。でも、なんだろう、誰かに食べさせたい気持ちがする。
チラッとみんなの顔を伺う。
優汰さんがニヤニヤしながら
「肉すんごい美味くない?」
と言ってきた。
「やっぱり皆さんもそう思いますか?」
「うん!肉は美味い。でも、野菜はゲロ不味。」
ちょーーーーい!食事中!言葉のチョイス!
我らが美魔女が顔を顰めていらっしゃる。
「優汰さん、食事中なので言葉は選んでください。不快に思う人もいますからね。」
「だってクソ不味いもん。」
だぁかぁらぁーーーー!チョイス!下手か!わざとか!
なんなんだこの人は。美魔女の顔が見れませんよ!
もうあれだ、違う話にすり替えよ。
「優汰さん、1つ聞いてもいいですか?」
「何?」
「優汰さんて何人ですか?」
ブッッ。ゴッホゴッッッホォォォゴッホォォォエ
めっちゃ咽せるじゃん。
どこか変な所に入ったのかな。
「大丈夫ですか?とりあえず水を飲ん「純日本人だよ俺!」
は?
「うそじゃん。」
「決めつけられたよ?嘘つく意味ないじゃん!日本人!だよ!」
「その見た目で?」
「どの見た目よ!」
「色黒い、目デカい、彫り深い、何よりそのヒゲの濃さ。」
「色黒いのはただの日焼け!あとは全部ただの遺伝だよ!」
「遡ればどこかの血が入ってるとか?」
「ないない。ほんとに純!日本人!」
「ミラクル。」
「おーーい!」
よし、話すり替え成功!チラリと美魔女の顔色確認!
おおぅ笑っていらっしゃる!!
なんか勝った気分だ。机の下で密かにガッツポーズ。
「ラッパーじゃないって言ってたし、ならサーファーかなんかですか?」
「いや違うよ。俺農家なのよ。」
「その見た目で?」
「おーい!」
「アハハハ!」
美魔女お腹を抱える。
シューさんも笑ってるわ。
その奥で無言の2人。
よし、この勢いで話しかけよう。
まずは女の子からだよね。あんまり見てなかったけど、この子可愛いな。スラッとしてたしベリーショートが違和感なく似合ってしまう可愛さ。
美魔女と可愛い系の女の子。
私ってばどこの立ち位置になるんだろ。
お笑い担当アホ系チビオバサン?
駄目だ悲しくなってきたから考えるのやめ。
まずは自己紹介だよね!初めが肝心。
「麗さん?でしたっけ?千早です。よろしくお願いします。」
「…麗。ねぇここってPCとかないの?」
うわっ無駄口きかない馴れ合いはしないわって態度。
あんまり絡まない方が良いのかな?
てか、それ私に聞いて答え返ってくると思うか?
「ないとは言い切れませんよね、次回の食事の時に欲しいモノ言うだけ言ってみますか?」
「うん。そうして。」
え?私に言えと?丸投げ?
とりあえず角たたないように言ってみよう。
「欲しい物は自分で言った方が良いと思いますよ?具体的にどんな物が欲しいのか聞かれても私じゃ答えられないですし。」
「面倒。」
バッサリ斬られました。
基本的にハッキリした人好きだけど、これはちょっとないかも…
純粋に面倒くさがってるだけなのか、はたまた私が気に入らないのか。判断材料がなさすぎてわからない。とりあえず譲歩案出してみるか。
「PCくれとは言ってみますが、もし頼む相手が何か聞いてきたらそこからは麗さんにバトンタッチしますね。」
「面倒。」
えーーー。
どうすりゃ良いのよこれ。私じゃ説明できないって最初に言ったよね。PCの説明なんて無理。できるわけないよ。何でも調べられて何でも買える便利ツールくらいにしか思ってないよ。それに、同じような物があったとしても名称は絶対違うだろうし。
「じゃあ、相手に何か聞かれたら、じゃあいらね。って言っときますね。」
私の言葉に驚く麗。
はぁぁぁぁぁ?
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