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第9話 私の人生⑨
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すぐに先生達と救急車が呼ばれBは救急車で運ばれ、CDEらはドン引きして口を噤む。
マッキーは泣きじゃくり、話もできない。
救いは、周りに目撃者がそれなりにいたことだ。
先生達は慌てて保護者を呼ぶと言う。
仕方がないので、実家はネグレクト状態で連絡してもここに来ることはなく、働きながら勉強し、卒認試験を経てここに入学してきたことを話す。先生や親方には心配をかけたくなかったが、親代わりとして連絡がいくことになってしまった。
その日の夜、親方と先生がアパートに飛んで来てくれた。情けなく申し訳なく、2人の顔を見た途端謝りながら泣き続けてしまった。
親方は険しい顔で問いかけてくる。
「学校の先輩に怪我をさせたと聞いて来たがどういうことか詳しく聞かせろ。」
私は涙を拭き、呼吸を整えてから喋りだす。
「私の友達が先輩にしつこく迫られ、断ったら酷く罵って来たから間に入り私が言い返したら殴りかかってきた。そのまま殴られても良かったけど、それで止まるかわからなかった。相手は8人いて、私を殴った後友達に向かっていったら守りきれないと思って無力化しようと脳震盪を起こさせた。手を出したのは脳震盪の為のかなり手加減した顎への1発だけで他に怪我させようとしてないし、倒れる時に頭を打たないように受け止めてから寝かせた。」
完結に説明した。
「良くやった。明日、その先輩とやらの親と学校で話し合いがあるから、今言ったことそのまま言え。あとは任せろ。それからな、千早が無事で良かった。殴られて済まそうとしないでくれて良かった。もしそいつに殴られてたら俺はそいつを絶対許さなかった。」
と言ってくれた。先生も「私達が守りますからね。」と言ってくれたが、言葉数は少なかった。やっぱり暴力はいけなかったんだなと深く反省する。
次の日、殴ってしまったウザBとその両親と私と親方と先生。大学のお偉いさんが集まった。
大学側は、昨日その場にいた学生達に聞き込みを終えており、嘘はすぐにバレると私達に伝えてから話し合いはスタートした。
私はまず謝り、昨日親方に話した事をそのまま伝えた。相手の両親とBは青褪めた。どうやらBから聞いていたことと話が違うようだ。Bは俯き何も言わない。沈黙が続いた。
見かねた大学側の先生達が口を開く。
「昨日、最初から最後までことの成り行きを見聞きしていた生徒達が複数います。皆さん口を揃えて先に手を出したのはご子息の方だと言っていましたが、なにか反論はありますか?」
とB側に伝える。
「仮にうちの息子が先に手を出したとしても、気絶させられるほどのことをしたんでしょうか?」
と、Bの母親が呟いた。
これに待ったをかけたのは怒りの形相の親方だ。
「結果から言えば、手を出し気絶させたのは千早だ。だが、あんたの息子が先に殴りかかったのは大勢見てる。千早よりも体の大きな男が!小さな女に!殴りかかったんだよ!あんたの言い分で言えば、おたくの息子にまずは1発でも2発でも殴られてから反撃すりゃ良かったのか?それとも、おたくの息子と後ろにいた連れらに袋叩きに殴られて動けなくなってから、おたくの息子さんが口説いてた子に向かっていくのを地面転がりながら見てりゃ良かったのか?後であーでもないこーでもないって言ったところでタラレバの話で意味なんかないと思うけどな、タラレバの話がしたいんならこっちも言ってやるよ。もし、あんたの息子が女である千早の顔でも殴ってたんなら俺は絶対許さないからな。」
それを聞いて涙が止まらない。涙を流しながらごめんなさいごめんなさいと繰り返す。
「千早は何も悪くねぇ。友達守りたかっただけだろ?」
うんうんと頷く。
私の泣き声だけが部屋に響き渡る。
口を開いたのはBの父親だった。
「うちの息子がすみませんでした。石田さんが1発で息子を倒してくれたおかげで、大事にならなかったんだと思います。そうでなければ大乱闘になって、誰も無傷とはいかなかったでしょう。しかも、少し言われた程度で逆ギレしてこんな小さな女性に殴りかかるなんて情けない。お前、石田さんに謝りなさい。」
「…………すみませんでした。」
「うちのバカ息子は退学にしてもらって構いません。」
「親父!」「あなた!」Bと母親は悲鳴を上げるが父親は取り合わない。
「聞けば石田さんは1人で勉強して自腹でここに通っとるそうだな。お前は何の為にここに通っとるんだ。女を口説くためか?喧嘩をするためか?そんなことのために金を払ってやるつもりはない!!!」
ビックリして涙が止まった。
逆にBは顔を真っ赤にして涙目になっている。結局私は殴られていないし、何かの罰を受ける覚悟でここに出向いたのに話が全く違う方向にいってしまった。
「あのぅ、私、何か罰を受けるなら私だと思っていました。殴ってしまったのは私ですし。罰してほしいと思ってないので退学はさせないでほしいです。マッキー……あの、田中真希さんもそこまで望んでないでしょうし、真希さんが自分のせいで誰かが退学になったと負い目を感じるのも嫌です。罰が必要なら、真希さんにもう近付かないと約束してくれたらそれで良いです。ですから、なんとか考え直してくれませんか?」
なぜ私が説得する側に回ってしまったのか…
ここで大学側から結論が出る。
「大学側としては、ここまで大事になってしまっているので何も罰しないということはできません。停学処分は免れないでしょう」
「それで結構です。騒ぎを起こして本当にすみませんでした。」
Bの父親は厳格な人だったみたいだ。Bの父親のおかげで丸くおさまって良かった。
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