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第4章 夢幻との決戦
前哨戦② ~破魔矢~
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「お、お前、いったい何をする気だ?」
情魔は、我輩の周囲を回転する、6色のエネルギーが放つ圧力に圧倒されている。声は裏返り、張りついた恐怖の表情は、さらに深くなっている。今の情魔には不敵な悪態などついている余裕はなかった。
「······消滅か、この場を去るか選べ」
またしても遠吠えする狼のような声が、我輩の体から発せられた。回転するエネルギーの内の1つが、情魔の方へ移動して行った。赤く輝くエネルギーが情魔との距離を縮めると、そこから何本ものスパークが、空気を裂いて情魔に襲いかかった。
バチッ、バチッ!!
「ギャーーーーー !!」
雷電に撃たれた情魔は、赤熱するエネルギーに引き込まれていく。そして、左肩から下がエネルギーに触れた瞬間に、その部分が蒸発して消えてしまった。
右腕1本だけの哀れな格好の情魔は、何とかエネルギーから距離を置こうともがくが、強力な電磁石のように、身を離すことをさせてはくれなかった。
まるでエネルギーに喰われていくように、情魔の体が欠けていく。情魔の断末魔の絶叫が、夜の街の空にこだまする。消滅した部分が、恐怖と苦悶の波動となって我輩達の体を震わせた。
「ギャーーーー!!、消える、俺が消滅するーー!!」
我輩には目の前で起きていることが全く理解できなかった。それは妲己ちゃんも同じだった。妲己ちゃんは、茫然と目の前で赤いエネルギーに喰われていく情魔を眺めるだけだった。
もう威勢よく情魔とやり合っているどころではない。
何が起きているのか解らなかったが、あのエネルギーがとんでもない力を持っていることだけは解った。それが、まだ我輩の周囲で5つも回転しているのである。色は青、黄、緑、紫、橙の5色である。
「た、助けてくれーーー! お、俺が、いったい何をしたと言うんだ!」
「······口ほどにもない奴め、さっさと去れ!」
我輩の中で狼のような声が叫ぶと、赤いエネルギーは息も絶え絶えとなった情魔の破片を、遥か遠くへと弾き飛ばしてしまった。
「······邪魔は排除した。さあ南斗六星、己れの使命を全うせよ。お主が戦わねばならぬ相手がこの先にいる」
今度は回転する6色のエネルギーから声がした。そして、6つのエネルギーが回転しながら1つになった。全ての色が混ざり合って、強烈な白色光を放ち始める。その輝きは我輩も妲己ちゃんも、眼を向けていられないほど眩しかった。
エネルギーは、輝きを弱めると白色光を放つ大きな狼の形になった。それは、まるでパールちゃんと呼ばれていた我輩を、大きくしたような姿だった。
「······南斗六星、破壊仙を元の世界へと戻すのだ。我が手を貸してやろう」
「あ、あなたは、いったい誰ですか?」
「······我は破魔矢、輝く天狼星の光が具現化したもの」
「「破魔矢!!」」
我輩と妲己ちゃんが、同時に同じ言葉を口にした······
情魔は、我輩の周囲を回転する、6色のエネルギーが放つ圧力に圧倒されている。声は裏返り、張りついた恐怖の表情は、さらに深くなっている。今の情魔には不敵な悪態などついている余裕はなかった。
「······消滅か、この場を去るか選べ」
またしても遠吠えする狼のような声が、我輩の体から発せられた。回転するエネルギーの内の1つが、情魔の方へ移動して行った。赤く輝くエネルギーが情魔との距離を縮めると、そこから何本ものスパークが、空気を裂いて情魔に襲いかかった。
バチッ、バチッ!!
「ギャーーーーー !!」
雷電に撃たれた情魔は、赤熱するエネルギーに引き込まれていく。そして、左肩から下がエネルギーに触れた瞬間に、その部分が蒸発して消えてしまった。
右腕1本だけの哀れな格好の情魔は、何とかエネルギーから距離を置こうともがくが、強力な電磁石のように、身を離すことをさせてはくれなかった。
まるでエネルギーに喰われていくように、情魔の体が欠けていく。情魔の断末魔の絶叫が、夜の街の空にこだまする。消滅した部分が、恐怖と苦悶の波動となって我輩達の体を震わせた。
「ギャーーーー!!、消える、俺が消滅するーー!!」
我輩には目の前で起きていることが全く理解できなかった。それは妲己ちゃんも同じだった。妲己ちゃんは、茫然と目の前で赤いエネルギーに喰われていく情魔を眺めるだけだった。
もう威勢よく情魔とやり合っているどころではない。
何が起きているのか解らなかったが、あのエネルギーがとんでもない力を持っていることだけは解った。それが、まだ我輩の周囲で5つも回転しているのである。色は青、黄、緑、紫、橙の5色である。
「た、助けてくれーーー! お、俺が、いったい何をしたと言うんだ!」
「······口ほどにもない奴め、さっさと去れ!」
我輩の中で狼のような声が叫ぶと、赤いエネルギーは息も絶え絶えとなった情魔の破片を、遥か遠くへと弾き飛ばしてしまった。
「······邪魔は排除した。さあ南斗六星、己れの使命を全うせよ。お主が戦わねばならぬ相手がこの先にいる」
今度は回転する6色のエネルギーから声がした。そして、6つのエネルギーが回転しながら1つになった。全ての色が混ざり合って、強烈な白色光を放ち始める。その輝きは我輩も妲己ちゃんも、眼を向けていられないほど眩しかった。
エネルギーは、輝きを弱めると白色光を放つ大きな狼の形になった。それは、まるでパールちゃんと呼ばれていた我輩を、大きくしたような姿だった。
「······南斗六星、破壊仙を元の世界へと戻すのだ。我が手を貸してやろう」
「あ、あなたは、いったい誰ですか?」
「······我は破魔矢、輝く天狼星の光が具現化したもの」
「「破魔矢!!」」
我輩と妲己ちゃんが、同時に同じ言葉を口にした······
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