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第2章 京香の愛犬、シロ
妲己ちゃんのアドバイス
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「供物とは、いったい何を供えればいいのだ?」
「あんたのところの仙人が喜びそうなもの」
「夢幻仙様が喜びそうなもの······?」
我輩には見当もつかなかった。人間界なんかに、夢幻仙様が喜ぶ物などあるのか? 我輩はああでもないこうでもないと、あっちに首を傾げこっちに傾げと悩んだ。そんな我輩を焦れったそうに観ていた妲己ちゃんは、勢いよく我輩の鼻面の前に炎を突き立てた。
「あんたって、どこまで馬鹿なの? あのスケベじじいが喜ぶ物なんて決まってるでしょう!」
そう言って、妖しく揺らめく妲己ちゃんは、我輩の傍らで早く家路に就きたがっている京香の方を見た。
「······京香か?」
「そうだよ、西王母似のその娘なら、あのスケベが気に入るよ」
我輩は京香と目を合わせた。京香の眼差しは、早く帰ろうよと我輩を催促していた。
「京香を祭壇に供えるのか······」
我輩は考え込んでしまった。どうやって京香を祭壇に供えるのか、そもそも、京香が祭壇に供えられてくれるのか、我輩には全く自信が無かった。
妲己ちゃんが呆れて大きなため息をついた。炎の一部が太陽フレアのように爆発し、考え込んで唸る我輩の顔に、爆風を浴びせた。灼熱の霊気に、我輩の毛がチリチリと萎びれた。
「もぉ~、馬鹿はこれだからイヤ。あれよ、あ~~れ!」
妲己ちゃんは、膝を屈めている京香のスカートの中を注し示した。そこには、閉じられた両脚の間から、ピンクの濡れたショーツが覗けている。
「それは、あいつの精液がついてるから駄目だけど、この娘の使用済みショーツなら、あのジジイ1発でノックアウトだよ。他にも、使用済みブラジャーとか······」
妲己ちゃんは、我輩に京香の大きな胸を示した。我輩は、ブラウスのボタンがきつそうな胸の膨らみを眺めた。襟の間から胸の谷間が覗いている。淫風や黒い男らが、その隙間に狂喜してふるい付いていたのを思い出した。夢幻仙様も娘達の大きな胸に執心していた。
「なるほど······京香の使用済みブラジャーか、それと、ショーツ······」
我輩が納得顔になると、気を良くした妲己ちゃんは、より細かくアドバイスをした。
「大事なのは、使用済みだということ。娘の匂いが、いっぱい染み付いている下着を供えるんだよ。あんたは鼻が効くから、匂いがついた下着かどうかは直ぐに解るよ」
「夢幻仙様は、京香の匂いが好きなのか?」
「まあ、そう言うことでいいよ」
クン、クン、クン······
「妲己よ、今、京香が着ているセ・イ・フ・クとかいう服にも、匂いがたくさんついているぞ」
「あんた、いいところに目をつけてるじゃん。それ見たら、あいつキチガイみたいにアレを擦りつけるよ、きっと」
「では、セ・イ・フ・クもお供え物に適しているのだな?」
「かなり良いね。出来れば、それもあいつにやっちゃいなよ」
それからも、我輩と妲己ちゃんはお供え物についての侃々諤々たる話し合いを続けた。傍らでは、京香がショーツの不快感に苛立ちながらも、我輩の吠え声をじっと聞き続けていた。己が性商品として供え物の道具にされていることも知らず。
だが、一向に吠え終わらない我輩に、ついに業を煮やした京香は、吠え続ける我輩を力ずくで胸に抱いて立ち上がった。
「いつまでも、うるさいよ、シロ。もう、終わり、帰るよ」
まだ妲己ちゃんとの話が終わっていない我輩は、体を捩って京香の胸から飛び降りようとした。しかし、京香はこれ以上、1秒たりとも我輩を自由にする気はなく、両手でがっちりと胸の中に沈めてくる。
我輩は必死で京香の胸を這い上がり、遠ざかる黄色い炎の妲己ちゃんを、辛うじて肩ごしにその姿を捉えた。
「解んない事があったら、またおいでよ。あたい、しばらくここに居るからさ」
ワオ~~ン!!
別れの挨拶に、我輩は妲己ちゃんに向けて、1際大きな声で吠えた。耳元で吠えられた京香は、びっくりして本気で我輩を黙らせようとした。肩ごしに出ている我輩の頭を、グリグリと胸の中に沈めていく。
「······そうそう、1つ言うの忘れてた。あのさぁ~~、使用済みが基本だけど、そこにエッチなシミが浸いてると、もっといいよ!」
ワオ~······ン!
「シミはいくら浸いてても、浸きすぎってことは無いからね~~!!」
ワ······ン······!
「黙れ、シロ······!」
我輩を連れて遠ざかる京香の背後では、妲己ちゃんの淡い黄色の明かりが、ゆっくりと掻き消えていった。後には、暗闇の中に寂しげな墓地が、うっすらと佇んでいた。植樹達のもの悲しい葉擦れの音を子守唄に、妲己ちゃんは束の間の眠りに就いた······
「あんたのところの仙人が喜びそうなもの」
「夢幻仙様が喜びそうなもの······?」
我輩には見当もつかなかった。人間界なんかに、夢幻仙様が喜ぶ物などあるのか? 我輩はああでもないこうでもないと、あっちに首を傾げこっちに傾げと悩んだ。そんな我輩を焦れったそうに観ていた妲己ちゃんは、勢いよく我輩の鼻面の前に炎を突き立てた。
「あんたって、どこまで馬鹿なの? あのスケベじじいが喜ぶ物なんて決まってるでしょう!」
そう言って、妖しく揺らめく妲己ちゃんは、我輩の傍らで早く家路に就きたがっている京香の方を見た。
「······京香か?」
「そうだよ、西王母似のその娘なら、あのスケベが気に入るよ」
我輩は京香と目を合わせた。京香の眼差しは、早く帰ろうよと我輩を催促していた。
「京香を祭壇に供えるのか······」
我輩は考え込んでしまった。どうやって京香を祭壇に供えるのか、そもそも、京香が祭壇に供えられてくれるのか、我輩には全く自信が無かった。
妲己ちゃんが呆れて大きなため息をついた。炎の一部が太陽フレアのように爆発し、考え込んで唸る我輩の顔に、爆風を浴びせた。灼熱の霊気に、我輩の毛がチリチリと萎びれた。
「もぉ~、馬鹿はこれだからイヤ。あれよ、あ~~れ!」
妲己ちゃんは、膝を屈めている京香のスカートの中を注し示した。そこには、閉じられた両脚の間から、ピンクの濡れたショーツが覗けている。
「それは、あいつの精液がついてるから駄目だけど、この娘の使用済みショーツなら、あのジジイ1発でノックアウトだよ。他にも、使用済みブラジャーとか······」
妲己ちゃんは、我輩に京香の大きな胸を示した。我輩は、ブラウスのボタンがきつそうな胸の膨らみを眺めた。襟の間から胸の谷間が覗いている。淫風や黒い男らが、その隙間に狂喜してふるい付いていたのを思い出した。夢幻仙様も娘達の大きな胸に執心していた。
「なるほど······京香の使用済みブラジャーか、それと、ショーツ······」
我輩が納得顔になると、気を良くした妲己ちゃんは、より細かくアドバイスをした。
「大事なのは、使用済みだということ。娘の匂いが、いっぱい染み付いている下着を供えるんだよ。あんたは鼻が効くから、匂いがついた下着かどうかは直ぐに解るよ」
「夢幻仙様は、京香の匂いが好きなのか?」
「まあ、そう言うことでいいよ」
クン、クン、クン······
「妲己よ、今、京香が着ているセ・イ・フ・クとかいう服にも、匂いがたくさんついているぞ」
「あんた、いいところに目をつけてるじゃん。それ見たら、あいつキチガイみたいにアレを擦りつけるよ、きっと」
「では、セ・イ・フ・クもお供え物に適しているのだな?」
「かなり良いね。出来れば、それもあいつにやっちゃいなよ」
それからも、我輩と妲己ちゃんはお供え物についての侃々諤々たる話し合いを続けた。傍らでは、京香がショーツの不快感に苛立ちながらも、我輩の吠え声をじっと聞き続けていた。己が性商品として供え物の道具にされていることも知らず。
だが、一向に吠え終わらない我輩に、ついに業を煮やした京香は、吠え続ける我輩を力ずくで胸に抱いて立ち上がった。
「いつまでも、うるさいよ、シロ。もう、終わり、帰るよ」
まだ妲己ちゃんとの話が終わっていない我輩は、体を捩って京香の胸から飛び降りようとした。しかし、京香はこれ以上、1秒たりとも我輩を自由にする気はなく、両手でがっちりと胸の中に沈めてくる。
我輩は必死で京香の胸を這い上がり、遠ざかる黄色い炎の妲己ちゃんを、辛うじて肩ごしにその姿を捉えた。
「解んない事があったら、またおいでよ。あたい、しばらくここに居るからさ」
ワオ~~ン!!
別れの挨拶に、我輩は妲己ちゃんに向けて、1際大きな声で吠えた。耳元で吠えられた京香は、びっくりして本気で我輩を黙らせようとした。肩ごしに出ている我輩の頭を、グリグリと胸の中に沈めていく。
「······そうそう、1つ言うの忘れてた。あのさぁ~~、使用済みが基本だけど、そこにエッチなシミが浸いてると、もっといいよ!」
ワオ~······ン!
「シミはいくら浸いてても、浸きすぎってことは無いからね~~!!」
ワ······ン······!
「黙れ、シロ······!」
我輩を連れて遠ざかる京香の背後では、妲己ちゃんの淡い黄色の明かりが、ゆっくりと掻き消えていった。後には、暗闇の中に寂しげな墓地が、うっすらと佇んでいた。植樹達のもの悲しい葉擦れの音を子守唄に、妲己ちゃんは束の間の眠りに就いた······
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