少女独房

雨濡 煤傀

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After1 復讐監禁

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「ハッ!」

俺が目を覚ますと、そこは真っ暗な場所だった。

「どこだここ.......」

「ようやく捕まえた。」

俺が見慣れない景色に戸惑っていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。

スタ......スタ.......スタ.......

「........!」

足音と共にこちらに来た2人組に、俺はすごく見覚えがあった。

「お前ら......生きてやがったのか......」

俺があの施設で担当していた少女、風渡炎。

俺があの施設で撃ち殺した少女、園崎花蓮。

なんであいつらがここに.......

「あの時はよくもやってくれましたね.......」

炎はニタリと笑っている。

「というか花蓮.......お前は何故生きている.......?俺が撃ち殺した筈だろ.....?」

「当たった箇所が悪かったので、奇跡的に一命をとりとめ、炎ちゃんのお兄さんに助けてもらいました。」

「........マジか........もうちょっと当てる箇所を考えて撃てばよかったか.......」

「そういう問題?」

花蓮が冷酷な言い方で言う。

「それで......ここはどこだってんだよ!」

俺は2人に問い詰める。

「ここ?私の家の地下。今までずっと使ってなかったんだけど、さっきここを使ってもいいって言われたんだ。」

「クッソ.......そもそもお前らなんか俺が殴れば一撃で......」

ジャラッ......ジャラッ........

俺は立ち上がり、2人に殴りかかろうとしたが、何故か身体が動かない。

それどころか、鎖で拘束されている。

.........ん?なんか既視感が.......

ビリビリビリビリビリビリ!

「ぐああああああ!!」

やっぱり。

過去に俺がしたように、鎖から電流が流れてきた。

「あははは。どうですか?立場が逆転した気分は。」

炎が狂気的な笑みを浮かべ、そんなことを言う。

「クソが........こうなったら俺がどうなろうと力づくで........」

「どう足掻こうと無駄ですよ。」

俺が鎖を外そうとした時、花蓮が言った。

「黙れ........所詮ガキの作った拘束だ.......すぐに取れる筈だ......」

「それ、私のお兄ちゃんとお父さんの共同開発だよ?」

「........は?お前の兄と父だぁ?」

「うん。私のお兄ちゃんとお父さんは凄腕のエンジニアなんだ。あっちで使ってた鎖の再現なんておちゃのこさいさいだもん。」

「しかもそれ、電流が元の300倍まで変更可能って聞いたよ。」

2人揃って恐ろしいことを.......

「じゃ、拷問始めるよ。」

なっ........

「今日は一日中電流を流すから頑張ってね。それじゃ、スイッチオン!」

無邪気にとんでもないことをしてきやがる.....

ポチッ。

炎の手元のボタンが押される。

ビリビリビリビリビリビリ!

「あああああああああ!!」

「あははは!もっと叫び声を聞かせて!」

「こんなんじゃ満足しないよ。ほらもっと鳴いてよブタさん。」

炎は狂気的に笑い、花蓮は完全にドSになっている。

「が.......あ...........」

途中から、俺は叫ぶ気力もなくなっていた。

「あれ?もう泣かなくなっちゃったの?」

「ほら、もっと鳴けよ家畜!」

ビシッ。

「痛っ........」

花蓮がムチで俺を叩く。

完全にドSになってんじゃねぇかこいつ.......




午後7時。あのクソガキ共は、飯とか風呂とかで上の階に上がって行った。

あと5時間か.......

ずっとビリビリしてて、もはや痛みなど感じもしない。

クソ.......何とかしてここを抜け出さないと........

「うぐぐぐぐぐ......」

俺は鎖を外そうともがく。

が、やはり外れない。

スタ......スタ.......

あいつら......もう戻って来たのか.....?

「よう、あんたがウチの炎と花蓮をいじめた五十嵐ってやつか?」

降りてきたのは、1人の青年だった。

「..........そうだが、お前誰だよ。」

「おっと、申し遅れた。俺は風渡颯ってんだ。炎の兄であり、花蓮の義理の兄だ。」

........炎と花蓮の家系は違うはずだが.......

一体いつから義理の兄になったんだこいつは......

「と、そんなことはどうでもいい。どうやら炎の片腕を切断したり、花蓮の片目を潰したのはお前だってな。」

.........は?

「いや........それはあの施設の看守長がやったのであってだな.......」

「言い訳は無用だ!こいつで復讐してくれる......」

やつの手には、金属ノコギリが握られている。

そもそもあんなので俺の腕を切れるってのかよ......

「ちょ......人の話を聞け......」

「うるさい!」

やつは叫ぶと、金属ノコギリに付いていた謎のトリガーを押した。

バシュン!

ジジジジ........

火花が散り、まるで某SF映画の武器のような状態になった。

「おいどうなってんだよそれ.....」

「俺の発明した改造金属ノコギリ。言うなればライトソーってか?」

ますますアウトだろそれ......

というかやばい......

あんなやばそうなレーザーカッター喰らったらひとたまりもないぞ......

「離せ!離せぇぇぇ!」

俺は必死で叫び、もがいた。

「おいおい.......そんなに動かれたら上手く狙えねぇよ......ちょっと止まっててくれ。」

カチャッ。

バンッ!

「ぐっ........」

やつは突然発砲してきた。

「...........全然痛くないんだが。まさかお前外した?」

「そんな訳ねぇだろ。しっかり当たったさ。腕を動かしてみな。」

........あれ.............身体が動かない。

「よし、しっかり効いてるな。」

「何をした!」

「あぁ、そいつは撃った相手を動けなくするフリーズガンだ。」

「なんだと.......ぐぐぐ......」

俺は動こうとしたが、やはり全く動かない。

「じゃ、ザクっとやらせて頂きますねー。」

スタ.......スタ.......

クソ......こっち来るんじゃねぇ......

「はああああっ!」

やつは叫びと共に、それを振り下ろした。

ズバン!

「ぎゃああああああああ!」

痛てぇぇぇぇぇぇぇぇ!

「あ........が........」

この苦しみは電撃のだろうか。

それとも腕が切断されたことだろうか。

「ひひひ.........いい悲鳴すんじゃねぇか。とりあえず、死なれちゃ困るから、止血させてもらうな。」

こいつもこいつで狂ってんな......

「あ、今狂ってるって思ったろ?」

「.........そうだが。」

「違う。妹たちに酷いことをしたやつがこういう仕打ちを受けて喜んでんだよ。」

なんだよそれ........




その後。

この狂ったシスコンに止血された。

こっちに来た時にこいつを感電させることができるかもと思ったが、あいつ一度電撃装置止めやがった。

腕は回収されて行った。

そして......

あの忌まわしきガキ共が帰ってきた。

「ふ~........さっぱりしたよ。」

「お風呂気持ちよかったね。」

「一緒に洗いっこしたね。」

「うん。楽しかったね。」

2人共そう言ってこちらをチラ見してくる。

なんだこいつら.......

「.......あ、五十嵐さん、お疲れ様。」

「もう叫んでない..........つまらない。」

クソ........ムカつく.........

怒鳴りたいが、疲労で声が出ない。

「ねぇ、五十嵐さん。今私と花蓮ちゃんのやり取り聞いてた時、えっちなこと考えてたでしょ?」

「うわ........ロリコン..........」

ぶっ飛ばすぞこいつら!

「ん?喋らないってことは図星かな?あははは。」

「変態だ。粛清しないと。」

花蓮はそう言うと、近くにあった棒で俺を叩きだした。

痛てぇ........結構強く殴ってんなこいつ.........

ちょ.......やめろ........

「これでトドメ。」

カチャッ。

すると花蓮はどこからか銃を取り出し、俺の左眼の前に構えた。

「あ..........う..........」

やめろと言いたかったが、やっぱり喋る気力がない。

「罪を償え。」

バン!

花蓮は冷酷な声でそう言い、引き金を引いた。

「あ...........ぐ...........」

あああああああああああ!

あまりの痛みで...........クソ..........

「どう?私に与えた痛みが分かったでしょう?」

だからそれは俺じゃなくて看守長が.......

「よしよし。痛みに耐えたご褒美をあげましょう。」

炎が家畜に餌を与える感覚で言ってくる。

一体何を食わせられるんだ.......

「はい、どうぞ。」

それは.......!

炎が取り出したのは、俺がいつも炎に与えていた腐った野菜だった。

なんでこいつがこれ持ってんだ.....

「..........。」

俺は口を開かず、食うのを拒んだ。

「ほら、口開けて。言うこと聞けない悪い子はめっ。だよ。」

そう言って俺を叩き、口を無理矢理開けてきた。

そんなこと言ってても可愛くねぇからな.......

「あぐっ.........」

俺は強制的に口に腐った野菜をぶち込まれた。

そして無理矢理噛ませられ、飲み込まされた。

飲まされた水も、分かっていた通りに下水だった。

「うふふ。いい子いい子。」

炎に撫でられた。

クソ.......小癪なクソガキがよぉ........

「あと3時間。頑張ってね。」

........とっくに痛みや苦しみはねぇよ.......

「じゃあ私たちは寝るから、おやすみ。

「明日は水だから頑張ってね。」

そんなことをほざいた後、クソガキ共は寝に入った。





それから3時間後。

ようやっと電撃が消えた。

死ぬほどの電撃ではないとはいえ、24時間も流されるとさすがにヤバすぎる。

明日は水っつってたな.......

てことは収容2日目にやった水責めか.......

そもそもいつ水が出てくるんだ.......

と思っていたら、近くに置いてあった機械が作動し水が大量に出てきた。

もう来たのか.....

ああ.........

冷てぇ..........

これ........こんなにキツかったのか.......






こうして、俺は来る日も来る日も拷問され、こいつらの憂さ晴らし、もとい暇つぶし的存在になっていた。

本当.......こいつらといったら.........

誰か........解放してくれ.............





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