85 / 95
6章 宇宙を司る株式会社
6-9. 大いなる力の責務
しおりを挟む
「さて……、諸君! とんでもない事をしてくれたな……。まず、お前だ!」
シアンはレヴィアをにらむと、腕をカメレオンの舌のようにビューンと伸ばし、レヴィアの胸ぐらをつかんだ。
「ロリババア! お前は許さん!」
そう言うと、レヴィアの身体を高々と持ち上げる。
「止めろ! 何するんじゃ! 放せ――――!」
直後、レヴィアが壊れたTVの映像みたいに、四角いブロックノイズに包まれた。
「うぎゃぁぁぁ!」
悲痛なレヴィアの声がホールに響く。
何とかしてあげたいがどうしようもない。ただ、呆然と眺めることしかできなかった。
やがて、四角いノイズ群はどんどんと少なく小さくなっていき……、消えてしまった。
いきなり始まった凄惨なリンチに俺たちは戦慄を覚え、固まって動けなくなる。
静まり返ったホールの上を、巨大な木星がゆっくりと動いていく。
「次に、ヴィーナ! お前だ!」
シアンはヴィーナをにらみつけた。
ヴィーナは無言でジッとシアンを見ている。
「今まで散々かわいがってくれたなぁ! おい!」
そう言ってシアンは腕を伸ばし、ヴィーナの腕をつかんだ。
ヴィーナは顔をしかめる。
「木星ではお前は力を使えんからな。この宇宙最強の娘には誰もかなわんだろ? はっはっは!」
やりたい放題のヌチ・ギは極めて上機嫌だ。
ヴィーナは腕を振りほどこうとするが、シアンの力は強く、ビクともしない。
「お前の身体は一度味わってみたいと思っていたんだ。どんな声で鳴いてくれるかな? クフフフ……」
ヴィーナでもかなわないのであれば、もはや全滅するより他ない。みんな殺されてしまう。
「あ、あなたぁ……」
ドロシーがガタガタ震えながら俺の腕にしがみついてくる。
俺は優しくドロシーを抱き寄せたが……、これは、もう俺がどうこうできるレベルを超えている。
乗っ取られてしまった『宇宙最強』の娘に捕らわれた金星の女神……。
絶望が俺を支配し、目の前が真っ暗になった。
すると、ヴィーナは静かに口を開いた。
「お前は……、勘違いをしているよ」
「は? なんだ? 命乞いか?」
いやらしい笑みを浮かべるシアン。
「シアンは確かに宇宙最強。誰もかなわない」
「そう、最高だ!」
「だが、With great power comes great responsibility. 『大いなる力には大きな責任が伴う』だよ。その身体を操れるのはシアンだけだ」
ヌチ・ギは笑う。
「はっはっは! 何を言い出すかと思えば……。こうやって自在に操っているじゃないか! 苦し紛れもいい加減にしろ!」
「ふふっ、その身体にはね、全宇宙の百万個の星の管理プロセスが走っている……。シアンは常に百万個の星を管理してるんだよ」
「はぁ?」
「お前はさっきからそれを処理してないだろ。そろそろエラーがあふれ出すよ。お前に処理できるのかい?」
「え?」
シアンの表情が硬くなる。
「ほら、来るよ……」
ヴィーナがニヤッと笑う。
「ぐっ!」
シアンがひざをついて苦しい表情を浮かべる。
「ぐ、ぐぉぉぉ!」
シアンは倒れもがき苦しみ始めた。
「な、なんだ、これはぁぁぁ!」
シアンはものすごい表情でヴィーナをにらみ、ヴィーナはドヤ顔で見下ろした。
「くっ!」
シアンはそう言うと、ビキニアーマーの女の子に飛びかかり、押し倒した。
何が起こったのかと思ったら、女の子が動き出し、ハァハァと荒い息で言った。
「下手うった……。百万個の星の管理なんて聞いてないぞ!」
どうやらヌチ・ギはビキニアーマーの女の子の中に逃げ出したようだ。
すると、シアンは立ち上がり、
「いやー、失敗しちゃった! きゃははは!」
と、楽しそうに笑った。
「シアン、そいつとっちめて!」
と、ヴィーナが言うと、ビキニアーマーの女の子は焦って逃げだす。
シアンは、必死に逃げようとする女の子の目の前にワープをすると、
「どこへ行こうというのかね? きゃははは!」
と、笑いながら女の子を捕まえ、頭から白いもやのようなものを抜き取った。
「悪い子はこちらデース」
そう言って、うごめく綿あめのようなものを楽しそうに手のひらでこねる。
「後で悪事を洗いざらい吐かせるから保管しといて。それからレヴィアの蘇生もよろしく」
「はいよ!」
シアンはそう言って、綿あめをポケットに詰めると、指先で空間をツーっと裂いた。
そして、空間のすき間に手を入れて女性を引っ張り出した。
「よいしょっと!」
「え? あれ? なんじゃ?」
キョロキョロしながら出てきた女性は、なんと海王星で見た大人のレヴィアだった。
「あれ? ずいぶん育ってない?」
ヴィーナは怪訝そうな顔をして言う。
レヴィアは、豊満な自分の胸を持ち上げて満足そうな表情を浮かべると、
「これからはこの身体で行くとするかのう。うっしっし」
と、うれしそうに笑った。
シアンはレヴィアをにらむと、腕をカメレオンの舌のようにビューンと伸ばし、レヴィアの胸ぐらをつかんだ。
「ロリババア! お前は許さん!」
そう言うと、レヴィアの身体を高々と持ち上げる。
「止めろ! 何するんじゃ! 放せ――――!」
直後、レヴィアが壊れたTVの映像みたいに、四角いブロックノイズに包まれた。
「うぎゃぁぁぁ!」
悲痛なレヴィアの声がホールに響く。
何とかしてあげたいがどうしようもない。ただ、呆然と眺めることしかできなかった。
やがて、四角いノイズ群はどんどんと少なく小さくなっていき……、消えてしまった。
いきなり始まった凄惨なリンチに俺たちは戦慄を覚え、固まって動けなくなる。
静まり返ったホールの上を、巨大な木星がゆっくりと動いていく。
「次に、ヴィーナ! お前だ!」
シアンはヴィーナをにらみつけた。
ヴィーナは無言でジッとシアンを見ている。
「今まで散々かわいがってくれたなぁ! おい!」
そう言ってシアンは腕を伸ばし、ヴィーナの腕をつかんだ。
ヴィーナは顔をしかめる。
「木星ではお前は力を使えんからな。この宇宙最強の娘には誰もかなわんだろ? はっはっは!」
やりたい放題のヌチ・ギは極めて上機嫌だ。
ヴィーナは腕を振りほどこうとするが、シアンの力は強く、ビクともしない。
「お前の身体は一度味わってみたいと思っていたんだ。どんな声で鳴いてくれるかな? クフフフ……」
ヴィーナでもかなわないのであれば、もはや全滅するより他ない。みんな殺されてしまう。
「あ、あなたぁ……」
ドロシーがガタガタ震えながら俺の腕にしがみついてくる。
俺は優しくドロシーを抱き寄せたが……、これは、もう俺がどうこうできるレベルを超えている。
乗っ取られてしまった『宇宙最強』の娘に捕らわれた金星の女神……。
絶望が俺を支配し、目の前が真っ暗になった。
すると、ヴィーナは静かに口を開いた。
「お前は……、勘違いをしているよ」
「は? なんだ? 命乞いか?」
いやらしい笑みを浮かべるシアン。
「シアンは確かに宇宙最強。誰もかなわない」
「そう、最高だ!」
「だが、With great power comes great responsibility. 『大いなる力には大きな責任が伴う』だよ。その身体を操れるのはシアンだけだ」
ヌチ・ギは笑う。
「はっはっは! 何を言い出すかと思えば……。こうやって自在に操っているじゃないか! 苦し紛れもいい加減にしろ!」
「ふふっ、その身体にはね、全宇宙の百万個の星の管理プロセスが走っている……。シアンは常に百万個の星を管理してるんだよ」
「はぁ?」
「お前はさっきからそれを処理してないだろ。そろそろエラーがあふれ出すよ。お前に処理できるのかい?」
「え?」
シアンの表情が硬くなる。
「ほら、来るよ……」
ヴィーナがニヤッと笑う。
「ぐっ!」
シアンがひざをついて苦しい表情を浮かべる。
「ぐ、ぐぉぉぉ!」
シアンは倒れもがき苦しみ始めた。
「な、なんだ、これはぁぁぁ!」
シアンはものすごい表情でヴィーナをにらみ、ヴィーナはドヤ顔で見下ろした。
「くっ!」
シアンはそう言うと、ビキニアーマーの女の子に飛びかかり、押し倒した。
何が起こったのかと思ったら、女の子が動き出し、ハァハァと荒い息で言った。
「下手うった……。百万個の星の管理なんて聞いてないぞ!」
どうやらヌチ・ギはビキニアーマーの女の子の中に逃げ出したようだ。
すると、シアンは立ち上がり、
「いやー、失敗しちゃった! きゃははは!」
と、楽しそうに笑った。
「シアン、そいつとっちめて!」
と、ヴィーナが言うと、ビキニアーマーの女の子は焦って逃げだす。
シアンは、必死に逃げようとする女の子の目の前にワープをすると、
「どこへ行こうというのかね? きゃははは!」
と、笑いながら女の子を捕まえ、頭から白いもやのようなものを抜き取った。
「悪い子はこちらデース」
そう言って、うごめく綿あめのようなものを楽しそうに手のひらでこねる。
「後で悪事を洗いざらい吐かせるから保管しといて。それからレヴィアの蘇生もよろしく」
「はいよ!」
シアンはそう言って、綿あめをポケットに詰めると、指先で空間をツーっと裂いた。
そして、空間のすき間に手を入れて女性を引っ張り出した。
「よいしょっと!」
「え? あれ? なんじゃ?」
キョロキョロしながら出てきた女性は、なんと海王星で見た大人のレヴィアだった。
「あれ? ずいぶん育ってない?」
ヴィーナは怪訝そうな顔をして言う。
レヴィアは、豊満な自分の胸を持ち上げて満足そうな表情を浮かべると、
「これからはこの身体で行くとするかのう。うっしっし」
と、うれしそうに笑った。
0
お気に入りに追加
595
あなたにおすすめの小説
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!!
僕は異世界転生してしまう
大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった
仕事とゲームで過労になってしまったようだ
とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた
転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった
住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる
◇
HOTランキング一位獲得!
皆さま本当にありがとうございます!
無事に書籍化となり絶賛発売中です
よかったら手に取っていただけると嬉しいです
これからも日々勉強していきたいと思います
◇
僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました
毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~
たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!!
猫刄 紅羽
年齢:18
性別:男
身長:146cm
容姿:幼女
声変わり:まだ
利き手:左
死因:神のミス
神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。
しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。
更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!?
そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか...
的な感じです。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる