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第一部 チートが暴く世界 1章 楽しきチート・ライフ
1-9. チート、スタート!
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あまりのことに混乱したエドガーは俺に聞いてくる。
「ちょっとこれ、どういうこと?」
「その剣は紅蓮虎吼剣といって、由緒あるすごい剣なんです」
俺はニコニコしながら言った。
「いやいや、これなら今まで行けなかったダンジョンの深層に行ける。これは楽しみになってきた!」
エドガーは改めて紅蓮虎吼剣をまじまじと眺めた。刀身には金色で虎の装飾が彫ってあり、実に豪勢な造りとなっている。
「じゃぁ使ってくれますね?」
「もちろん! いや、これちゃんとお金払うよ!」
と、言ってくれる。
「命の恩人からはお金取れません。その代わり、お客さん紹介してもらえますか?」
「いやー、このレベルの武器を売ってくれるなら、いくらでも欲しい人はいるよ。なぁみんな?」
そう言って、やじ馬の方を向いた。
「俺も欲しい!」「俺も俺も!」
やじ馬も目の色を変えて言ってくる。
これで販路開拓もOKである。俺は幸先の良いスタートにホッとした。
結局その日は★3の武器二本を金貨四枚で売って、金貨二枚の利益となった。日本円にして20万円である。いい商売だ。★3なら金貨二枚、★4なら十枚で売っていけるだろう。この価格なら……、月商一千万円、利益五百万!? えっ!?
俺は暗算して思わず声を上げそうになった。俺、なんだかすごい金鉱脈を掘り当てたんじゃないか?
「ヤッホ――――イ!!」
帰り道、俺はスキップしながら腕を高々と突き上げた。無一文だった孤児がついに成功の糸口にたどり着いたのだ。もう、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
これもドロシーの協力あってこそ。
俺はケーキ屋でリボンのついた可愛いクッキーを買った。喜んでくれるかな?
◇
翌日、おじいさんのお店に行こうと街を歩いていると、
ピロローン! ピロローン! ピロローン!
と、頭の中に音が鳴り響いた。
「キタ――――!!」
俺は思わずガッツポーズである。
急いでステータスを見ると、レベルが5に上がっていた。
予想通り、エドガーたちの倒した敵の経験値が俺にも分配され始めたのだ。これで俺は勝手にレベルが上がる環境を手に入れた。今後さらに武器を売っていけば、さらに経験値のたまる速度は上がるだろう。
冒険者千人に使ってもらうことが出来たら、俺は家に居ながら普通の冒険者の千倍の速さで強くなっていく。きっと人族最強どころかこの世界に影響が出るくらい強くなってしまうに違いない。『商人』がこの世界を揺るがす仙人の様な存在になる……なんと痛快だろうか!
もちろん、俺のやっていることはずるいことだ。チートでインチキだ。でも、孤児が異世界で生き抜くのにきれいごとなんてクソくらえだ。
俺はガッツポーズを繰り返し、ピョンピョンと飛び跳ねながら道を歩く。歩きなれた石畳の道が、俺には光り輝く栄光の道に見えた。
◇
おじいさんの店に来ると、にこやかにおじいさんが迎えてくれた。
倉庫を見せてもらうと、そこにはずらりと、それこそ数千本の武器が眠っていた。もう数百年も前から代々やっているお店なので在庫が山ほどたまってしまったらしい。しかし、多くはほこりが積もり、錆びが回ってしまっていて、おじいさんも管理に頭を悩ませているそうだ。
俺は欲しい物を選ばせてもらうことにして、倉庫で延々と鑑定を繰り返した。
夕暮れまで頑張って、俺は★4を二十本、★3を百五十本見つけ出すことができた。
おじいさんは、『ほとんどがジャンク品だから』と、全部で金貨十枚でいいという。しかし、さすがにそれは気がとがめるので、儲かり次第、儲けに応じて追加で金貨を支払うと約束した。その代わり、しばらく保管してもらうことにして、気になる★4だけ、いくつか持って帰ることにする。
今回驚いたのは、特殊効果付きの魔法の杖。
光陰の杖 レア度:★★★★
魔法杖 MP:+10、攻撃力:+20、知力:+5、魔力:+20
特殊効果: HPが10以上の時、致死的攻撃を受けてもHPが1で耐える
これは例えばメチャクチャに潰されて死んでも生き返るという意味であり、改めてこの世界のゲーム的な設定に驚かされた。一体どうなるのだろうか……?
◇
商材がこれだけ揃えばあとは売るだけである。武器商人として、俺は毎日淡々と武器を研いで整備して売るということを繰り返した。
営業はしなくても『すごい武器だ』といううわさが口コミで広がり、購入希望者リストがいっぱいになるほどで、まさに順風満帆である。
二ヶ月もしたら、売った武器はもう100本を超え、経験値は毎日ぐんぐん増えるようになった。レベルアップの音が毎日のように頭の中に響き、一度も戦ったことがないのにレベルは80を超えてきた。これはもはやAランクのベテラン冒険者クラス、まさにチートである。
こんなレベル、本当に意味があるのか不思議になり、試しに剣を振り回してみた。すると、重くてデカい剣をクルクルと器用に扱えるようになっていることに気が付いた。武器の扱い方が体にしみこんでいるようなのだ。これ、ダンジョンでも無双できるのではないだろうか? いつか行ってみたいなと思った。
それから魔法石の効果もいろいろと研究し、水、風、火、雷の属性耐性の他に、幸運、自動回復を付与する方法を見つけた。
俺は売る武器には全てこれらの特殊効果をてんこ盛りにして詰め込んだ。手間暇もコストも増えるが、経験値を分けてもらう以上、手抜きはしないと決めているのだ。
「ちょっとこれ、どういうこと?」
「その剣は紅蓮虎吼剣といって、由緒あるすごい剣なんです」
俺はニコニコしながら言った。
「いやいや、これなら今まで行けなかったダンジョンの深層に行ける。これは楽しみになってきた!」
エドガーは改めて紅蓮虎吼剣をまじまじと眺めた。刀身には金色で虎の装飾が彫ってあり、実に豪勢な造りとなっている。
「じゃぁ使ってくれますね?」
「もちろん! いや、これちゃんとお金払うよ!」
と、言ってくれる。
「命の恩人からはお金取れません。その代わり、お客さん紹介してもらえますか?」
「いやー、このレベルの武器を売ってくれるなら、いくらでも欲しい人はいるよ。なぁみんな?」
そう言って、やじ馬の方を向いた。
「俺も欲しい!」「俺も俺も!」
やじ馬も目の色を変えて言ってくる。
これで販路開拓もOKである。俺は幸先の良いスタートにホッとした。
結局その日は★3の武器二本を金貨四枚で売って、金貨二枚の利益となった。日本円にして20万円である。いい商売だ。★3なら金貨二枚、★4なら十枚で売っていけるだろう。この価格なら……、月商一千万円、利益五百万!? えっ!?
俺は暗算して思わず声を上げそうになった。俺、なんだかすごい金鉱脈を掘り当てたんじゃないか?
「ヤッホ――――イ!!」
帰り道、俺はスキップしながら腕を高々と突き上げた。無一文だった孤児がついに成功の糸口にたどり着いたのだ。もう、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
これもドロシーの協力あってこそ。
俺はケーキ屋でリボンのついた可愛いクッキーを買った。喜んでくれるかな?
◇
翌日、おじいさんのお店に行こうと街を歩いていると、
ピロローン! ピロローン! ピロローン!
と、頭の中に音が鳴り響いた。
「キタ――――!!」
俺は思わずガッツポーズである。
急いでステータスを見ると、レベルが5に上がっていた。
予想通り、エドガーたちの倒した敵の経験値が俺にも分配され始めたのだ。これで俺は勝手にレベルが上がる環境を手に入れた。今後さらに武器を売っていけば、さらに経験値のたまる速度は上がるだろう。
冒険者千人に使ってもらうことが出来たら、俺は家に居ながら普通の冒険者の千倍の速さで強くなっていく。きっと人族最強どころかこの世界に影響が出るくらい強くなってしまうに違いない。『商人』がこの世界を揺るがす仙人の様な存在になる……なんと痛快だろうか!
もちろん、俺のやっていることはずるいことだ。チートでインチキだ。でも、孤児が異世界で生き抜くのにきれいごとなんてクソくらえだ。
俺はガッツポーズを繰り返し、ピョンピョンと飛び跳ねながら道を歩く。歩きなれた石畳の道が、俺には光り輝く栄光の道に見えた。
◇
おじいさんの店に来ると、にこやかにおじいさんが迎えてくれた。
倉庫を見せてもらうと、そこにはずらりと、それこそ数千本の武器が眠っていた。もう数百年も前から代々やっているお店なので在庫が山ほどたまってしまったらしい。しかし、多くはほこりが積もり、錆びが回ってしまっていて、おじいさんも管理に頭を悩ませているそうだ。
俺は欲しい物を選ばせてもらうことにして、倉庫で延々と鑑定を繰り返した。
夕暮れまで頑張って、俺は★4を二十本、★3を百五十本見つけ出すことができた。
おじいさんは、『ほとんどがジャンク品だから』と、全部で金貨十枚でいいという。しかし、さすがにそれは気がとがめるので、儲かり次第、儲けに応じて追加で金貨を支払うと約束した。その代わり、しばらく保管してもらうことにして、気になる★4だけ、いくつか持って帰ることにする。
今回驚いたのは、特殊効果付きの魔法の杖。
光陰の杖 レア度:★★★★
魔法杖 MP:+10、攻撃力:+20、知力:+5、魔力:+20
特殊効果: HPが10以上の時、致死的攻撃を受けてもHPが1で耐える
これは例えばメチャクチャに潰されて死んでも生き返るという意味であり、改めてこの世界のゲーム的な設定に驚かされた。一体どうなるのだろうか……?
◇
商材がこれだけ揃えばあとは売るだけである。武器商人として、俺は毎日淡々と武器を研いで整備して売るということを繰り返した。
営業はしなくても『すごい武器だ』といううわさが口コミで広がり、購入希望者リストがいっぱいになるほどで、まさに順風満帆である。
二ヶ月もしたら、売った武器はもう100本を超え、経験値は毎日ぐんぐん増えるようになった。レベルアップの音が毎日のように頭の中に響き、一度も戦ったことがないのにレベルは80を超えてきた。これはもはやAランクのベテラン冒険者クラス、まさにチートである。
こんなレベル、本当に意味があるのか不思議になり、試しに剣を振り回してみた。すると、重くてデカい剣をクルクルと器用に扱えるようになっていることに気が付いた。武器の扱い方が体にしみこんでいるようなのだ。これ、ダンジョンでも無双できるのではないだろうか? いつか行ってみたいなと思った。
それから魔法石の効果もいろいろと研究し、水、風、火、雷の属性耐性の他に、幸運、自動回復を付与する方法を見つけた。
俺は売る武器には全てこれらの特殊効果をてんこ盛りにして詰め込んだ。手間暇もコストも増えるが、経験値を分けてもらう以上、手抜きはしないと決めているのだ。
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