142 / 172
142. これじゃないイケメン
しおりを挟む
「来たぞ……。ついに……」
俺はいよいよ始まる『神の世界での破壊工作』という、神をも恐れぬ前代未聞の挑戦にゴクリと唾をのんだ。
「よいしょ……。え……?」
身体を起こすと奇妙な感覚に襲われた。手足が異物のように感じられ、自分の身体が自分じゃないような、まるでブヨブヨとしたプラスチックになってしまったような違和感に戸惑う。
頬をそっと撫でてみると、肌の質感すら違っていた。
素っ裸な自分の身体を見回してみると、腕も足も身体全体が全くの別人だった。鏡のような光沢を持つ壁にはシュッとした、ある種イケメンの部類に入るだろうさわやかな好青年が映っている。
「なんだこりゃ!?」
そう言って、聞きなれない自分の声にさらに驚く。喉から出る声が、別の誰かの声のように響くのだ。
少し長身でやせ型だろうか? 声も少し高い感じだ。なるほど、ユータの身体をそのまま神の世界へ持っていけるわけではないということだろう。
イケメンにはなれたが、全くうれしくない。もちろん元の世界に戻れば元の身体には戻れるのだろうが……。
俺はふぅと大きくため息をついた。
『スカイポートへようこそ』
その時、機械的な音声ガイダンスと共に目の前に青白い画面が浮かび上がった。半透明のディスプレイが、フワリと空中に浮遊するように現れる。
「スカイポート?」
海王星の宇宙港? ということだろうか? この異質な空間が、神々の往来する場所なのか。
『衣服を選択してください』
画面にずらりと多彩な服のデザインが表示された。
「おぉ、やはり服は必要だよな」
いくらイケメンとはいえ、素っ裸で歩いていたら捕まってしまうのだろう。
「どれどれ……」
画面をのぞきこんではみたが、みんなピチッとしたトレーニング服みたいなのばかりである。全然グッと来るものがない。
「なんだよこれ……」
神の星なんだからもっとこう驚かされるのを期待したのだが……。仕方ないので青地に白のラインの入った無難そうなのを選んでみる。
ポヒュン!
不思議な電子音と共に、ゴムボールみたいな青い球が上から落ちてきて目の前で止まった。淡い光を纏ったその宙に浮かぶ球体は、かすかに脈動するように輝いている。
何だろうと思ってつかもうとした瞬間、ボールがビュルビュルっと高速に展開され、いきなり俺の身体に巻き付いた。
「うわぁ!」
未知の技術が、まるで生き物のように俺の体を包み込んでいく――――。
驚いている間に、それは服になって輝きも徐々に失われて行った。
撫でてみると、革のようなしっかりとした固さを持ちながらもサラサラとした手触りで良く伸びて快適だ。なんとも不思議な技術に俺は圧倒される。人間の科学では到底及ばない、神の領域の技術を目の当たりにしているのだ。
俺はいよいよ始まる『神の世界での破壊工作』という、神をも恐れぬ前代未聞の挑戦にゴクリと唾をのんだ。
「よいしょ……。え……?」
身体を起こすと奇妙な感覚に襲われた。手足が異物のように感じられ、自分の身体が自分じゃないような、まるでブヨブヨとしたプラスチックになってしまったような違和感に戸惑う。
頬をそっと撫でてみると、肌の質感すら違っていた。
素っ裸な自分の身体を見回してみると、腕も足も身体全体が全くの別人だった。鏡のような光沢を持つ壁にはシュッとした、ある種イケメンの部類に入るだろうさわやかな好青年が映っている。
「なんだこりゃ!?」
そう言って、聞きなれない自分の声にさらに驚く。喉から出る声が、別の誰かの声のように響くのだ。
少し長身でやせ型だろうか? 声も少し高い感じだ。なるほど、ユータの身体をそのまま神の世界へ持っていけるわけではないということだろう。
イケメンにはなれたが、全くうれしくない。もちろん元の世界に戻れば元の身体には戻れるのだろうが……。
俺はふぅと大きくため息をついた。
『スカイポートへようこそ』
その時、機械的な音声ガイダンスと共に目の前に青白い画面が浮かび上がった。半透明のディスプレイが、フワリと空中に浮遊するように現れる。
「スカイポート?」
海王星の宇宙港? ということだろうか? この異質な空間が、神々の往来する場所なのか。
『衣服を選択してください』
画面にずらりと多彩な服のデザインが表示された。
「おぉ、やはり服は必要だよな」
いくらイケメンとはいえ、素っ裸で歩いていたら捕まってしまうのだろう。
「どれどれ……」
画面をのぞきこんではみたが、みんなピチッとしたトレーニング服みたいなのばかりである。全然グッと来るものがない。
「なんだよこれ……」
神の星なんだからもっとこう驚かされるのを期待したのだが……。仕方ないので青地に白のラインの入った無難そうなのを選んでみる。
ポヒュン!
不思議な電子音と共に、ゴムボールみたいな青い球が上から落ちてきて目の前で止まった。淡い光を纏ったその宙に浮かぶ球体は、かすかに脈動するように輝いている。
何だろうと思ってつかもうとした瞬間、ボールがビュルビュルっと高速に展開され、いきなり俺の身体に巻き付いた。
「うわぁ!」
未知の技術が、まるで生き物のように俺の体を包み込んでいく――――。
驚いている間に、それは服になって輝きも徐々に失われて行った。
撫でてみると、革のようなしっかりとした固さを持ちながらもサラサラとした手触りで良く伸びて快適だ。なんとも不思議な技術に俺は圧倒される。人間の科学では到底及ばない、神の領域の技術を目の当たりにしているのだ。
2
お気に入りに追加
334
あなたにおすすめの小説
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)
朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】
バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。
それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。
ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。
ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――!
天下無敵の色事師ジャスミン。
新米神官パーム。
傭兵ヒース。
ダリア傭兵団団長シュダ。
銀の死神ゼラ。
復讐者アザレア。
…………
様々な人物が、徐々に絡まり、収束する……
壮大(?)なハイファンタジー!
*表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます!
・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる