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123. 世界の終わり

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 レヴィアの展開した幾重ものシールドが、次々と吹っ飛んでいく――――。

 世界の秩序が崩れ去っていく恐怖に俺は震えた。

 わずかに残った数枚が、はかなげに震えている。それは、この世界の最後の砦のように見えた。

 真っ赤に輝くキノコ雲が、地獄の門が開かれたかのような禍々まがまがしさで上空高く吹き上がる。その姿がラグナロクの開幕を高らかに告げた。世界の終わりが、この瞬間から始まるのだと――――。

 俺とドロシーは地面に伏せ、震えるばかり。神々の戦争を目の当たりにし、人間の無力さを痛感せずにはいられない。恐怖が骨の髄まで染み渡る。

 レヴィアの野太い声が響く。

「お主らは地面に潜っておれ!」

 真龍と化したレヴィアが、灼熱のきのこ雲の湧き上がる空へと飛び立つ。その姿は、神話しんわの中の英雄のように、暗雲立ちこめる中で最後の希望の光となって輝いている。翼を広げた姿は、まさに天空の守護者そのものだった。

 レヴィアは空間を裂き、青く煌めく巨大な玉石を取り出す。それは夜空の星々を凝縮したかのように神秘的な輝きを放っていた。

「フンッ!」

 気合いをこめ、鋭い爪で玉石を砕くレヴィア。パン! と澄んだ高い音を立てて鋭い欠片となった玉石が無数、宙を舞った――――。

 それぞれが、小さな流星のように輝きを放っている。まるで夜空に散りばめられた星々が舞い踊っているようだった。

「もう、容赦はせんぞ!」

 決意と覚悟が滲んだレヴィアの叫びが、大地を震わせる。

「ぬぉぉぉぉ!」

 気合と共に、数多あまたの玉石の破片が操作され、戦乙女ヴァルキュリめがけて放たれる。まるで無数の鳥の群れのように超音速で飛ぶ破片群は、天空に咲く青い花火はなびのように光跡を描きながら、暗雲立ちこめる空を彩った。その美しさと恐ろしさに、俺は息を呑む。

 この一瞬に、世界の運命が懸かっている。レヴィアの一撃は、戦乙女ヴァルキュリに届くのか。俺は祈るような気持ちで、その光景を見守った。

 戦乙女ヴァルキュリは闘牛士のように、襲い掛かる青い破片群を優雅にかわしていく――――。

 しかし、破片群は意思を持つかのように進路を変え、執拗に追尾を続ける。負けじとかわし続ける戦乙女ヴァルキュリ。無数の青い光の輝きが、戦乙女ヴァルキュリの周りで渦を巻くさまは、まるで星屑の竜巻のようにすら見えた。

 焦りの色を浮かべた戦乙女ヴァルキュリの瞳に、恐怖が宿る。そのはかなげな表情に、俺は胸が締め付けられる思いがした。彼女は急いで金色に輝くシールドを展開する。そのシールドは、まるで太陽の光を纏った巨大な鏡のように美しく輝きを放った。
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