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3-2. クモスケの逆襲
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「よしよし」
シアンは満足そうにそう言うと、さらにクモスケに指示を出してクレーターの隣に足を下ろした。
再度揺れるコテージ。
また、クレーターが増えた。
「ちょっと待ってください、これじゃ穴だらけで土地としては使えないですよ」
レヴィアが突っ込む。
「うーん……。じゃ、ちょっと均してみるか……」
シアンはそう言って、目をつぶった。
クモスケは下ろした足をそのままに海の方へとズズズズ! と動かしていく。
巨大なU字の谷が海まで伸びる。
「谷でも使いにくいですよ」
レヴィアがクレームを入れる。
「じゃあ……」
シアンはさらに複雑な指示をクモスケに与える。しかし、クモスケは止まったまま動かなくなった。
「おい、クモスケ! どうした!」
シアンはそう言ってフニフニと両手を動かした……。
すると、クモスケはいきなり足をコテージへと向かって高速に動かし始める。
「へっ!?」
焦るシアン。
グングンと迫ってくる巨大な足はもはや迫る絶壁だった。
「うわぁ!」「ひゃぁ!」「ひぇぇ!」
悲鳴が響き渡るコテージ。
「こんちくしょう!」
悪態をつきながらシアンはコテージを転移させ、間一髪直撃を免れる。
「何すんだよぉ!」
プリプリと怒るシアン。
勢いよく飛んだクモスケの足は、そのまま向こうの火山に直撃した。
「へっ!?」
蒼ざめるレヴィア。
「あそこって、もしかして……」
オディーヌが冷や汗を垂らしながら言う。
クモスケの足はレヴィアの神殿ごと火山を吹き飛ばし、後には巨大な穴が広がって下からマグマが湧き出していた。
「ありゃりゃ……」
シアンは額に手を当てる。
「ちょっと! 困りますよ! あそこ、二千年も住んでたのに……、うわぁぁぁ!」
ひざから崩れ落ち、泣き出してしまうレヴィア。
シアンはしゃがんでレヴィアの背中を優しくなでながら言った。
「ゴメンゴメン、ちゃんとした神殿作ってあげるからさ」
「あそこが気に入ってたんです! うっ……うっ……」
レヴィアは涙をぽたぽたと落とした。
「ゴメンよぉ……。でも、火山もう無くなっちゃったからなぁ……」
シアンも困り果てる。
レオはそっと泣きじゃくるレヴィアにハグをした……。
コテージにはレヴィアのすすり泣く声が響く。
シアンはいろいろと考え、
「じゃ、ここの山に復元してあげるよ。パルテノン神殿みたいな荘厳な奴をバーンと建ててその下にさ」
と、提案した。
「パルテノン神殿?」
「こんな奴」
そう言ってシアンは白亜の柱が整然と並んだ神殿の立体映像をポンと出した。
「……。まぁ……、綺麗……ですな」
「これをそこの山に建てて、地下にいままでの神殿のコピーを移築。これならいいでしょ?」
シアンはニコニコして言った。
レヴィアはしばらく腕を組んで考え込む。
「これ、凄い綺麗だね……」
レオは瞳をキラキラさせながら立体映像をのぞき込んだ。
「お主はこういうの……好きか?」
「うん!」
レオはニコニコしながら言った。
「まぁ、それなら……、こういうのもいいかもしれんな……」
レヴィアは目を閉じて、受け入れた。
シアンは金髪おかっぱのレヴィアの頭を優しくなでて、
「ゴメンね……」
と、謝った。
「いや、お見苦しい所をお見せしました……」
レヴィアは泣きはらした目をぬぐいながら頭を下げた。
シアンはスクッと立つと、
「クモスケは退場!」
そう言って、巨大蜘蛛に両手を向け、何かをつぶやいた。
すると蜘蛛は浮き上がり徐々に上空へと上がっていく。
途中、足を動かして衝撃波を放ちながら抵抗していたが、シアンの力には敵わず、宇宙へと帰って行った。
シアンは満足そうにそう言うと、さらにクモスケに指示を出してクレーターの隣に足を下ろした。
再度揺れるコテージ。
また、クレーターが増えた。
「ちょっと待ってください、これじゃ穴だらけで土地としては使えないですよ」
レヴィアが突っ込む。
「うーん……。じゃ、ちょっと均してみるか……」
シアンはそう言って、目をつぶった。
クモスケは下ろした足をそのままに海の方へとズズズズ! と動かしていく。
巨大なU字の谷が海まで伸びる。
「谷でも使いにくいですよ」
レヴィアがクレームを入れる。
「じゃあ……」
シアンはさらに複雑な指示をクモスケに与える。しかし、クモスケは止まったまま動かなくなった。
「おい、クモスケ! どうした!」
シアンはそう言ってフニフニと両手を動かした……。
すると、クモスケはいきなり足をコテージへと向かって高速に動かし始める。
「へっ!?」
焦るシアン。
グングンと迫ってくる巨大な足はもはや迫る絶壁だった。
「うわぁ!」「ひゃぁ!」「ひぇぇ!」
悲鳴が響き渡るコテージ。
「こんちくしょう!」
悪態をつきながらシアンはコテージを転移させ、間一髪直撃を免れる。
「何すんだよぉ!」
プリプリと怒るシアン。
勢いよく飛んだクモスケの足は、そのまま向こうの火山に直撃した。
「へっ!?」
蒼ざめるレヴィア。
「あそこって、もしかして……」
オディーヌが冷や汗を垂らしながら言う。
クモスケの足はレヴィアの神殿ごと火山を吹き飛ばし、後には巨大な穴が広がって下からマグマが湧き出していた。
「ありゃりゃ……」
シアンは額に手を当てる。
「ちょっと! 困りますよ! あそこ、二千年も住んでたのに……、うわぁぁぁ!」
ひざから崩れ落ち、泣き出してしまうレヴィア。
シアンはしゃがんでレヴィアの背中を優しくなでながら言った。
「ゴメンゴメン、ちゃんとした神殿作ってあげるからさ」
「あそこが気に入ってたんです! うっ……うっ……」
レヴィアは涙をぽたぽたと落とした。
「ゴメンよぉ……。でも、火山もう無くなっちゃったからなぁ……」
シアンも困り果てる。
レオはそっと泣きじゃくるレヴィアにハグをした……。
コテージにはレヴィアのすすり泣く声が響く。
シアンはいろいろと考え、
「じゃ、ここの山に復元してあげるよ。パルテノン神殿みたいな荘厳な奴をバーンと建ててその下にさ」
と、提案した。
「パルテノン神殿?」
「こんな奴」
そう言ってシアンは白亜の柱が整然と並んだ神殿の立体映像をポンと出した。
「……。まぁ……、綺麗……ですな」
「これをそこの山に建てて、地下にいままでの神殿のコピーを移築。これならいいでしょ?」
シアンはニコニコして言った。
レヴィアはしばらく腕を組んで考え込む。
「これ、凄い綺麗だね……」
レオは瞳をキラキラさせながら立体映像をのぞき込んだ。
「お主はこういうの……好きか?」
「うん!」
レオはニコニコしながら言った。
「まぁ、それなら……、こういうのもいいかもしれんな……」
レヴィアは目を閉じて、受け入れた。
シアンは金髪おかっぱのレヴィアの頭を優しくなでて、
「ゴメンね……」
と、謝った。
「いや、お見苦しい所をお見せしました……」
レヴィアは泣きはらした目をぬぐいながら頭を下げた。
シアンはスクッと立つと、
「クモスケは退場!」
そう言って、巨大蜘蛛に両手を向け、何かをつぶやいた。
すると蜘蛛は浮き上がり徐々に上空へと上がっていく。
途中、足を動かして衝撃波を放ちながら抵抗していたが、シアンの力には敵わず、宇宙へと帰って行った。
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