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2-7. 渋谷スクランブル
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レヴィアはジョッキに半分ずつ丁寧に分けるとシアンに渡し、
「それじゃ、改めてカンパーイ!」
と、声を上げた。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」
みんなでジョッキをぶつける。
そして、レヴィアもシアンもゴクゴクとウイスキーを飲んだ。
「ねぇ、ウイスキーってこうやって飲むものなの?」
レオは小声でオディーヌに聞く。あんな強いお酒をジョッキで飲む人など初めて見たのだ。
「違うと思うんだけど……、二人のやる事を常識で考えちゃダメよ」
オディーヌは嬉しそうに二人を見つめながら言った。
「プハ――――! 美味いっ! 最高じゃ!」
レヴィアは恍惚とした表情で言った。
「こっちの方が美味しい!」
シアンも嬉しそうに言う。
「やはり王宮の酒は違うのう!」
レヴィアはオディーヌを見てうれしそうに言った。
「お世話になるので、このくらいはやらせていただきます」
オディーヌは頭を下げ、うやうやしく答えた。そして、続ける。
「それでですね、一つお願いが……」
「ん? なんじゃ? 何でも聞いてやるぞ」
レヴィアは上機嫌に言う。
「さっき、『貧困のない国がある』っておっしゃってたじゃないですか」
「あぁ、まぁ、完ぺきではないがな」
「そこに視察に行きたいんです!」
オディーヌは身を乗り出して言った。
「へ!? 行きたいのか?」
「目標を明確にするうえですごい参考になると思うんです」
「いや、それは……管理局が……」
と、レヴィアが難色を示していると、シアンが言った。
「いいよ! 今すぐ行こう!」
「えっ! シアン様、そ、そんなの管理局の許可が下りませんよ!」
「レヴィア、管理局と僕、どっちが強い?」
シアンはニヤッと笑って言う。
「そ、それはシアン様ですよ。シアン様に勝てる者などこの宇宙にはいないのですから……」
「ならいいじゃない、行くよ!」
「えっ、報告書誰が書くと思ってるんですかぁ?」
レヴィアは泣きそうになって言った。
「王宮のウイスキー飲んだろ? 美味しかったろ?」
「いや、それとこれとは……」
「さぁ! レッツゴー!」
シアンはそう言ってうれしそうにジョッキを高く掲げた。
次の瞬間、四人は夜の渋谷のスクランブル交差点に居た。四方八方から押し寄せる群衆、そして目の前に展開される煌びやかな巨大動画スクリーン。レオもオディーヌも何が起こったのか全く分からず、雑踏の中呆然と立ち尽くした。
やがて信号が赤になって人がはけていき……、車がパッパー!とクラクションを鳴らした。
「危ないよ、早くこっち!」
シアンが二人を引っ張って歩道に上げる。
「な、何ですかこれ!?」
オディーヌは初めて見る東京の風景に驚きを隠せずにいた。
「ここは日本、貧困のない国だよ」
シアンはうれしそうに言った。
ガガガガガガガー!
鉄橋の上を山手線が走り、続いて逆方向から成田エクスプレスが高速で通過していく。
「うわぁ!」
レオは目を真ん丸にして後ずさりする。
「人がたくさん乗ってるわ……」
オディーヌはビックリして言う。
すると、巨大なトラックが、重低音を効かせた音楽を大音量で流しながら交差点を曲がっていく。
「何なの? ここは……」
二人は身を寄せ合って辺りをキョロキョロした。
「お、君可愛いね、ちょっとお茶でも飲もうよ」
ちゃらいカッコした若い男がオディーヌに声をかけてくる。
「ナンパは間に合っとる!」
レヴィアは男をにらみつけて言った。
「何? きみも可愛いけどちょっとまだ早いかな?」
「ぶ、無礼者が!」
レヴィアが手を上げると、シアンがそれをつかんで止めた。
「お兄さん、そこまで。これ以上ちょっかい出すとお仕置きだぞ!」
シアンはそう言って男をにらみつけた。
「おぉ、君も可愛いねぇ。どんなお仕置き? 二人でゆっくり……」
男は懲りずにシアンを口説きだす。
シアンは何も言わず、目にも止まらぬ速度で男の額にデコピンをかました。
「ぐわっ!」
男は吹き飛ばされて道路わきの植栽に埋まる。
そして、口から泡を吹いてガタガタと震えだした。
「はい、移動するよ!」
シアンはそう言ってレオとオディーヌの手を取ると、センター街の方へと進んで行った。
「それじゃ、改めてカンパーイ!」
と、声を上げた。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」
みんなでジョッキをぶつける。
そして、レヴィアもシアンもゴクゴクとウイスキーを飲んだ。
「ねぇ、ウイスキーってこうやって飲むものなの?」
レオは小声でオディーヌに聞く。あんな強いお酒をジョッキで飲む人など初めて見たのだ。
「違うと思うんだけど……、二人のやる事を常識で考えちゃダメよ」
オディーヌは嬉しそうに二人を見つめながら言った。
「プハ――――! 美味いっ! 最高じゃ!」
レヴィアは恍惚とした表情で言った。
「こっちの方が美味しい!」
シアンも嬉しそうに言う。
「やはり王宮の酒は違うのう!」
レヴィアはオディーヌを見てうれしそうに言った。
「お世話になるので、このくらいはやらせていただきます」
オディーヌは頭を下げ、うやうやしく答えた。そして、続ける。
「それでですね、一つお願いが……」
「ん? なんじゃ? 何でも聞いてやるぞ」
レヴィアは上機嫌に言う。
「さっき、『貧困のない国がある』っておっしゃってたじゃないですか」
「あぁ、まぁ、完ぺきではないがな」
「そこに視察に行きたいんです!」
オディーヌは身を乗り出して言った。
「へ!? 行きたいのか?」
「目標を明確にするうえですごい参考になると思うんです」
「いや、それは……管理局が……」
と、レヴィアが難色を示していると、シアンが言った。
「いいよ! 今すぐ行こう!」
「えっ! シアン様、そ、そんなの管理局の許可が下りませんよ!」
「レヴィア、管理局と僕、どっちが強い?」
シアンはニヤッと笑って言う。
「そ、それはシアン様ですよ。シアン様に勝てる者などこの宇宙にはいないのですから……」
「ならいいじゃない、行くよ!」
「えっ、報告書誰が書くと思ってるんですかぁ?」
レヴィアは泣きそうになって言った。
「王宮のウイスキー飲んだろ? 美味しかったろ?」
「いや、それとこれとは……」
「さぁ! レッツゴー!」
シアンはそう言ってうれしそうにジョッキを高く掲げた。
次の瞬間、四人は夜の渋谷のスクランブル交差点に居た。四方八方から押し寄せる群衆、そして目の前に展開される煌びやかな巨大動画スクリーン。レオもオディーヌも何が起こったのか全く分からず、雑踏の中呆然と立ち尽くした。
やがて信号が赤になって人がはけていき……、車がパッパー!とクラクションを鳴らした。
「危ないよ、早くこっち!」
シアンが二人を引っ張って歩道に上げる。
「な、何ですかこれ!?」
オディーヌは初めて見る東京の風景に驚きを隠せずにいた。
「ここは日本、貧困のない国だよ」
シアンはうれしそうに言った。
ガガガガガガガー!
鉄橋の上を山手線が走り、続いて逆方向から成田エクスプレスが高速で通過していく。
「うわぁ!」
レオは目を真ん丸にして後ずさりする。
「人がたくさん乗ってるわ……」
オディーヌはビックリして言う。
すると、巨大なトラックが、重低音を効かせた音楽を大音量で流しながら交差点を曲がっていく。
「何なの? ここは……」
二人は身を寄せ合って辺りをキョロキョロした。
「お、君可愛いね、ちょっとお茶でも飲もうよ」
ちゃらいカッコした若い男がオディーヌに声をかけてくる。
「ナンパは間に合っとる!」
レヴィアは男をにらみつけて言った。
「何? きみも可愛いけどちょっとまだ早いかな?」
「ぶ、無礼者が!」
レヴィアが手を上げると、シアンがそれをつかんで止めた。
「お兄さん、そこまで。これ以上ちょっかい出すとお仕置きだぞ!」
シアンはそう言って男をにらみつけた。
「おぉ、君も可愛いねぇ。どんなお仕置き? 二人でゆっくり……」
男は懲りずにシアンを口説きだす。
シアンは何も言わず、目にも止まらぬ速度で男の額にデコピンをかました。
「ぐわっ!」
男は吹き飛ばされて道路わきの植栽に埋まる。
そして、口から泡を吹いてガタガタと震えだした。
「はい、移動するよ!」
シアンはそう言ってレオとオディーヌの手を取ると、センター街の方へと進んで行った。
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