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2-1. 十六歳の旅立ち
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「えっ!? 何これすごい!」
レオが驚きの声を上げる。
「向こうは王都じゃ、通ってごらん」
レヴィアは優しく言う。
レオはオディーヌに声をかける。
「本当にいく? やめるなら今だよ」
「うふふっ、いきなりこんな魔法すごいわ! これよ! こういうチャンスを私は待っていたのよ!」
オディーヌは興奮してそう言うとレオの手を取った。しかし、その手はかすかに震えていて、レオは心配そうにオディーヌを見た。
オディーヌは王様に向かって、
「お父様、それでは行ってきます。詳細が決まったらお手紙書くわね」
「えっ!? もう行っちゃうのか? 準備は?」
王様はオロオロして言う。
「お父様、チャンスの女神には前髪しかないのよ。来た瞬間につかめなかったら二度とつかめないわ!」
オディーヌは自分に言い聞かせるようにそう言って、レオの手を引いて一番に裂け目をくぐって行った。
それは十六歳のオディーヌにとって、生まれて初めて自ら選び取った未来であり、親の庇護を離れる親離れであった。
「あぁ……、オディーヌ……」
うろたえる王様にシアンは、
「大丈夫、僕が見ておくからさ」
そう言ってニッコリと笑う。
レヴィアは、
「シアン様が大丈夫と言ったら、なんでも大丈夫じゃ。たとえ死んでも生き返るくらい大丈夫じゃ」
そう言って王様の背中をパンパンと叩く。
王様はうなだれてゆっくりと首を振った。
◇
四人で王都の街を歩き、にぎやかなレストランまでやってきた。
「シ、シアン様、ここではいかがですか?」
レヴィアは緊張しながら言う。
「ちゃんと美味しいんだろうね?」
シアンは微笑みをたたえたまま目を光らせて聞いた。
「お、王都ではここが一番かと……」
レヴィアは冷や汗をかきながらそう言うと、テラス席に陣取ってみんなを座らせる。
そして、
「おかみさーん!」
と、店の中に声をかけた。
すると、小太りのおばさんが伝票を片手に出てきて、
「おや、レヴィちゃん、人連れてくるなんて珍しいねぇ、お友達かい?」
そう言ってみんなを見回した。
「何? レヴィアいつもボッチなの? プククク……」
そう言ってシアンは冷やかした。
「だから嫌だったんですよぉ……」
ガックリとするレヴィア。
「レヴィちゃんお友達紹介してよぉ」
おかみさんはうれしそうにせっつく。
「このお方は我の上司? シアン様、そして子供二人は……誰だっけ?」
レヴィアは説明に詰まる。するとシアンがレオを指し、
「彼が王様で、彼女が外務大臣、僕が防衛大臣で、レヴィが国務大臣だよ」
と、うれしそうに言った。
「うわぁ、楽しそうねぇ」
おかみさんはそう言って笑顔を見せた。
◇
ほどなくして飲み物が出てきたが、レヴィアにだけ酒樽がどんと置かれた。
「ちょっと何? それ?」
シアンが真顔で突っ込む。
「あ、我はいつもこれなんです……」
レヴィアは小さくなりながら言う。
「これから大事な話するの! その樽は僕によこしなさい!」
シアンはそう言って酒樽を奪ってパーン! と上のフタを割った。
「それでは、素晴らしい出会いにカンパーイ!」
シアンはそう言うと、うれしそうに酒樽をゴツゴツとみんなの木製のジョッキにぶつけた。
そして、酒樽を持ち上げると、傾けながらゴクゴクとエールを飲み始める。
みんながじーっと見つめる中、どんどんと樽を傾けていき……、あっという間に全部飲み干してしまった。
「クーッ! 美味い!」
目をぎゅっとつぶりながら言い放つシアン。そして、
「おかみさーん! 樽をおかわりー!」
と、叫んだ。
みんなはお互いの顔を見合わせて、困惑の表情を浮かべる。
「あのぉ、大事な話というのは?」
レヴィアが恐る恐る聞く。
「え? 何だっけ? レオ、ちょっと説明して!」
すっかり赤ら顔になったシアンは、うれしそうにレオに振った。
レオが驚きの声を上げる。
「向こうは王都じゃ、通ってごらん」
レヴィアは優しく言う。
レオはオディーヌに声をかける。
「本当にいく? やめるなら今だよ」
「うふふっ、いきなりこんな魔法すごいわ! これよ! こういうチャンスを私は待っていたのよ!」
オディーヌは興奮してそう言うとレオの手を取った。しかし、その手はかすかに震えていて、レオは心配そうにオディーヌを見た。
オディーヌは王様に向かって、
「お父様、それでは行ってきます。詳細が決まったらお手紙書くわね」
「えっ!? もう行っちゃうのか? 準備は?」
王様はオロオロして言う。
「お父様、チャンスの女神には前髪しかないのよ。来た瞬間につかめなかったら二度とつかめないわ!」
オディーヌは自分に言い聞かせるようにそう言って、レオの手を引いて一番に裂け目をくぐって行った。
それは十六歳のオディーヌにとって、生まれて初めて自ら選び取った未来であり、親の庇護を離れる親離れであった。
「あぁ……、オディーヌ……」
うろたえる王様にシアンは、
「大丈夫、僕が見ておくからさ」
そう言ってニッコリと笑う。
レヴィアは、
「シアン様が大丈夫と言ったら、なんでも大丈夫じゃ。たとえ死んでも生き返るくらい大丈夫じゃ」
そう言って王様の背中をパンパンと叩く。
王様はうなだれてゆっくりと首を振った。
◇
四人で王都の街を歩き、にぎやかなレストランまでやってきた。
「シ、シアン様、ここではいかがですか?」
レヴィアは緊張しながら言う。
「ちゃんと美味しいんだろうね?」
シアンは微笑みをたたえたまま目を光らせて聞いた。
「お、王都ではここが一番かと……」
レヴィアは冷や汗をかきながらそう言うと、テラス席に陣取ってみんなを座らせる。
そして、
「おかみさーん!」
と、店の中に声をかけた。
すると、小太りのおばさんが伝票を片手に出てきて、
「おや、レヴィちゃん、人連れてくるなんて珍しいねぇ、お友達かい?」
そう言ってみんなを見回した。
「何? レヴィアいつもボッチなの? プククク……」
そう言ってシアンは冷やかした。
「だから嫌だったんですよぉ……」
ガックリとするレヴィア。
「レヴィちゃんお友達紹介してよぉ」
おかみさんはうれしそうにせっつく。
「このお方は我の上司? シアン様、そして子供二人は……誰だっけ?」
レヴィアは説明に詰まる。するとシアンがレオを指し、
「彼が王様で、彼女が外務大臣、僕が防衛大臣で、レヴィが国務大臣だよ」
と、うれしそうに言った。
「うわぁ、楽しそうねぇ」
おかみさんはそう言って笑顔を見せた。
◇
ほどなくして飲み物が出てきたが、レヴィアにだけ酒樽がどんと置かれた。
「ちょっと何? それ?」
シアンが真顔で突っ込む。
「あ、我はいつもこれなんです……」
レヴィアは小さくなりながら言う。
「これから大事な話するの! その樽は僕によこしなさい!」
シアンはそう言って酒樽を奪ってパーン! と上のフタを割った。
「それでは、素晴らしい出会いにカンパーイ!」
シアンはそう言うと、うれしそうに酒樽をゴツゴツとみんなの木製のジョッキにぶつけた。
そして、酒樽を持ち上げると、傾けながらゴクゴクとエールを飲み始める。
みんながじーっと見つめる中、どんどんと樽を傾けていき……、あっという間に全部飲み干してしまった。
「クーッ! 美味い!」
目をぎゅっとつぶりながら言い放つシアン。そして、
「おかみさーん! 樽をおかわりー!」
と、叫んだ。
みんなはお互いの顔を見合わせて、困惑の表情を浮かべる。
「あのぉ、大事な話というのは?」
レヴィアが恐る恐る聞く。
「え? 何だっけ? レオ、ちょっと説明して!」
すっかり赤ら顔になったシアンは、うれしそうにレオに振った。
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