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72.ケシカランボディ
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ワインをカパカパ空けてすっかり上機嫌になった俺。
「Hey! Come on join us! (みんなおいでよ!)」
俺はみんなに声をかけてワインを配る。
マーカスが神妙な顔で
「プロジェクト ハ セイコウ カナ?」
と、聞いてくるので、
「Sure! I really appreciate your contribution!(もちろん! ほんとありがとう!)」
俺はそう言ってマーカスにハグをした。
彼が作ったシアンが結果的には隠された地球の謎を解き、神様の神様を呼び出した。それは人類史上というか、神様史上でも最高の成果と言えるだろう。マーカスはその偉業の最大の功労者なのだ。
「ヨカッタ! オツカレサマ!」
マーカスも俺をハグしてくれた。がっしりとした筋肉の塊に抱かれて思わず足が浮く俺。おわー!
パチパチパチパチ
自然とみんなが拍手してくれる。いい仲間に囲まれて俺は幸せ者だ。思わず目頭が熱くなる。
「よし! みんなで乾杯だ! みんなお疲れ~!! Cheers!」
「Cheers!」「Cheers!」「Cheers!」
ワイングラスを掲げてみんなのグラスに合わせる。
すると、大喜びのマーカスが「 Yahoaaa! 」と叫びながら力任せにグラスをぶつけてくる。
カシャーン!!
パリン! パリパリ……
飛び散るワイングラス……
「マーカス……頼むよ……」
おれは頭から赤ワインをポタポタたらしながら言った。
◇
懸案解決! 最高の仲間に最高のワイン! ディナへの献杯も兼ねて俺はワインを次々とお替りした。
「いやいや、今日は飲むよ~! Yahoaaa! 」
「あーあ、介抱は先輩やってよね。私は嫌よ」
「はい! 誠さんのお世話は私がやるんです」
由香ちゃんはにっこりと嬉しそうに言う。
「あれ? 二人はもう付き合ってるんだっけ?」
美奈ちゃんが鋭い突っ込みを入れる。
「えっ?」「えっ?」
俺は由香ちゃんと目を合わせる。
でも由香ちゃんはすぐに目を逸らし、赤くなってうつむいてしまった。
そうだった、由香ちゃんに想いをちゃんと伝えないと……
俺は覚悟を決めた。酔っぱらった勢いと言えない事もないが、言う事は決めていたのだ。
俺は由香ちゃんに向き合って言った。
「俺と付き合ってください!」
目を瞑って右手を伸ばした―――――――
由香ちゃんは静かに立ち上がり、シアンをソファにおく。
ちょっと調子に乗りすぎたかな……? 心臓の鼓動がドクドクと聞こえる。
由香ちゃんは俺の顔を両手で包むと上を向かせた。
そして軽くキスをした。
「よろしくお願いします……」
ちょっと照れながら下を向いた。
美奈ちゃんは大喜びである。
「君たち最高だわ! あははは!」
俺は一瞬ひるんでしまったが、やられたらやり返さないと。
俺も由香ちゃんの顔を両手で包むと前を向かせ、キスをし返した。
美奈ちゃんは今度は、
「あらら……もうお腹いっぱいだわ……」
と言ってゲンナリした顔をした。
シアンは
「らぶらぶ~! きゃははは!」 と笑い、
クリスは温かく微笑んでいる。
美奈ちゃんはニヤっと笑うと、
「そうそう、先輩! 誠さんね、昨日プロポーズされたのよ」
ブフッ!
俺は思わずワインを吹き出してしまった。
由香ちゃんの表情が一気に険しくなった。
「ちょっと! 美奈ちゃん! 悲しい思い出を掘り起こさないでよぉ……」
ディナを見殺しにした苦い記憶がよみがえる。
「あら、別に悲しくなんかないわよ、ほら!」
美奈ちゃんはそう言って扇子をパチンと鳴らすと、赤と黄色の中華っぽい着物の女の子が現れた。
「うわぁ!」と、叫ぶ女の子。
その声は……ディナ!
無事だったのか!?
俺は呆然とした。
「マ、マコ様!」
ディナは俺を見つけると駆け寄って手を握り、キラキラとした目で俺を見つめた。
隣で由香ちゃんが黒いオーラを放っている。
「マコ様、結婚してくれるのね?」
満面の笑みで聞いてくるディナに圧倒されながら、
「い、いや、け、結婚はできないよ」
俺は困惑しながら答えた。
すると、由香ちゃんがディナを俺から引きはがし、間に入って言った。
「私の誠さんに気安く触らないで!」
ディナを睨みつける由香ちゃん。
「あら? 22歳の人ね。私は15歳、結婚するなら私の方がいいんじゃないかしら?」
余裕の表情で対抗するディナ。
「じゅっ、15歳!?」
絶句する由香ちゃん。
イカン! ここはちゃんと俺が仕切らないとダメだ。
「ディナ、悪いけど俺はディナとは結婚できない。今、一番大切なのはこの由香ちゃんなんだ」
そう言って由香ちゃんを引き寄せる。
「でも、結婚はしてないんですよね?」
ディナが食って掛かってくる。
「いや、まだ、ちょっと……そのぅ……」
俺がしどろもどろになっていると、美奈ちゃんが笑いながら
「あはは、しっかりしなさいよ! こうなったら、もう先輩と結婚しなさい!」と、無茶苦茶な事を言ってくる。
俺は、
「いや、何言ってんすか!? 今付き合い始めたばっかりっすよ!!!」と、反論する。
美奈ちゃんは
「あれあれ? 先輩は乗り気みたいだよ?」
そう言って、ニヤニヤしてる。
由香ちゃんを見ると顔を真っ赤にしてうつむいている。
「え……? 乗り気……?」
俺がそう言うと美奈ちゃんは、
「何よ! このケシカランボディに何か不満でもあるの?」
と言ってまた由香ちゃんの胸を揉んだ。
「きゃぁ!」
由香ちゃんは身体をよじらせて逃げる。
「またセクハラ!」
俺が指摘すると、
「で、不満あるの?」
そう言ってギロリとこちらを見た。
「い、いや、な、無いです……」
「よろしい!」
美奈ちゃんは満足げに微笑む。
蚊帳の外に置かれたディナが不満を漏らす。
「え~……、マコ様ぁ……」
俺はディナに聞いた。
「ディナ、そもそもなんで無事なの?」
「ん~、東の国の軍隊はなぜか全滅しちゃったの」
首をかしげて説明するディナ。
すると、美奈ちゃんはワインをくるくる回しながら、
「あ、あれね、私が全員ぶっ潰しておいたわ」と、とんでもない事を言い出した。
「え? 美奈ちゃんがやったの!?」
「そうよ、だって誠さんったら北極で、みっともなくオイオイ泣いてるんだもの」
なぜ見てるんだこの人は……恥ずかしい……
「え? ディナのために泣いてくれてたの?」
そう言ってキラキラした瞳で俺を見るディナ。
「殺されると思ってたからね……。でもディナと結婚はできないよ」
しょんぼりするディナ。
俺は美奈ちゃんに聞く。
「軍隊に干渉しちゃいけないんじゃなかったの?」
「それは海王星人のルールよ。私には関係ないわ」
「え? そんなもんなの? 多様性は?」
「そもそも多様性って何のためだか分かってる?」
「魅力的なオリジナリティのある文明・文化を作るためだろ?」
「そうよ、で、それは何のため?」
美奈ちゃんは意地悪な表情でニヤッと笑って聞いてくる。
「な、何のため……?」
「私に会うためよ」
そう言って得意げに胸を張った。
「はぁ!?」
俺はあまりに意外な返事に固まった。
話を整理すると、海王星人の人間たちは自分達の世界が仮想現実空間だと早い段階で気が付いた。で、管理者にコンタクトを取りたかった。でも、普通に呼んだって絶対応えてくれない。だってメリットを提供できないから。そこで、管理者が出てきたくなる環境を作る事で、誘い出そうと考えたんだ。それがオリジナリティ溢れる文明・文化だったという事だろう。そして実際、ここ、クリスの地球で美奈ちゃんを誘い出す事に成功したというわけだ。
60万年かけて海王星人はついに管理者にコンタクトを取れたのだ。やったねクリス!
「Hey! Come on join us! (みんなおいでよ!)」
俺はみんなに声をかけてワインを配る。
マーカスが神妙な顔で
「プロジェクト ハ セイコウ カナ?」
と、聞いてくるので、
「Sure! I really appreciate your contribution!(もちろん! ほんとありがとう!)」
俺はそう言ってマーカスにハグをした。
彼が作ったシアンが結果的には隠された地球の謎を解き、神様の神様を呼び出した。それは人類史上というか、神様史上でも最高の成果と言えるだろう。マーカスはその偉業の最大の功労者なのだ。
「ヨカッタ! オツカレサマ!」
マーカスも俺をハグしてくれた。がっしりとした筋肉の塊に抱かれて思わず足が浮く俺。おわー!
パチパチパチパチ
自然とみんなが拍手してくれる。いい仲間に囲まれて俺は幸せ者だ。思わず目頭が熱くなる。
「よし! みんなで乾杯だ! みんなお疲れ~!! Cheers!」
「Cheers!」「Cheers!」「Cheers!」
ワイングラスを掲げてみんなのグラスに合わせる。
すると、大喜びのマーカスが「 Yahoaaa! 」と叫びながら力任せにグラスをぶつけてくる。
カシャーン!!
パリン! パリパリ……
飛び散るワイングラス……
「マーカス……頼むよ……」
おれは頭から赤ワインをポタポタたらしながら言った。
◇
懸案解決! 最高の仲間に最高のワイン! ディナへの献杯も兼ねて俺はワインを次々とお替りした。
「いやいや、今日は飲むよ~! Yahoaaa! 」
「あーあ、介抱は先輩やってよね。私は嫌よ」
「はい! 誠さんのお世話は私がやるんです」
由香ちゃんはにっこりと嬉しそうに言う。
「あれ? 二人はもう付き合ってるんだっけ?」
美奈ちゃんが鋭い突っ込みを入れる。
「えっ?」「えっ?」
俺は由香ちゃんと目を合わせる。
でも由香ちゃんはすぐに目を逸らし、赤くなってうつむいてしまった。
そうだった、由香ちゃんに想いをちゃんと伝えないと……
俺は覚悟を決めた。酔っぱらった勢いと言えない事もないが、言う事は決めていたのだ。
俺は由香ちゃんに向き合って言った。
「俺と付き合ってください!」
目を瞑って右手を伸ばした―――――――
由香ちゃんは静かに立ち上がり、シアンをソファにおく。
ちょっと調子に乗りすぎたかな……? 心臓の鼓動がドクドクと聞こえる。
由香ちゃんは俺の顔を両手で包むと上を向かせた。
そして軽くキスをした。
「よろしくお願いします……」
ちょっと照れながら下を向いた。
美奈ちゃんは大喜びである。
「君たち最高だわ! あははは!」
俺は一瞬ひるんでしまったが、やられたらやり返さないと。
俺も由香ちゃんの顔を両手で包むと前を向かせ、キスをし返した。
美奈ちゃんは今度は、
「あらら……もうお腹いっぱいだわ……」
と言ってゲンナリした顔をした。
シアンは
「らぶらぶ~! きゃははは!」 と笑い、
クリスは温かく微笑んでいる。
美奈ちゃんはニヤっと笑うと、
「そうそう、先輩! 誠さんね、昨日プロポーズされたのよ」
ブフッ!
俺は思わずワインを吹き出してしまった。
由香ちゃんの表情が一気に険しくなった。
「ちょっと! 美奈ちゃん! 悲しい思い出を掘り起こさないでよぉ……」
ディナを見殺しにした苦い記憶がよみがえる。
「あら、別に悲しくなんかないわよ、ほら!」
美奈ちゃんはそう言って扇子をパチンと鳴らすと、赤と黄色の中華っぽい着物の女の子が現れた。
「うわぁ!」と、叫ぶ女の子。
その声は……ディナ!
無事だったのか!?
俺は呆然とした。
「マ、マコ様!」
ディナは俺を見つけると駆け寄って手を握り、キラキラとした目で俺を見つめた。
隣で由香ちゃんが黒いオーラを放っている。
「マコ様、結婚してくれるのね?」
満面の笑みで聞いてくるディナに圧倒されながら、
「い、いや、け、結婚はできないよ」
俺は困惑しながら答えた。
すると、由香ちゃんがディナを俺から引きはがし、間に入って言った。
「私の誠さんに気安く触らないで!」
ディナを睨みつける由香ちゃん。
「あら? 22歳の人ね。私は15歳、結婚するなら私の方がいいんじゃないかしら?」
余裕の表情で対抗するディナ。
「じゅっ、15歳!?」
絶句する由香ちゃん。
イカン! ここはちゃんと俺が仕切らないとダメだ。
「ディナ、悪いけど俺はディナとは結婚できない。今、一番大切なのはこの由香ちゃんなんだ」
そう言って由香ちゃんを引き寄せる。
「でも、結婚はしてないんですよね?」
ディナが食って掛かってくる。
「いや、まだ、ちょっと……そのぅ……」
俺がしどろもどろになっていると、美奈ちゃんが笑いながら
「あはは、しっかりしなさいよ! こうなったら、もう先輩と結婚しなさい!」と、無茶苦茶な事を言ってくる。
俺は、
「いや、何言ってんすか!? 今付き合い始めたばっかりっすよ!!!」と、反論する。
美奈ちゃんは
「あれあれ? 先輩は乗り気みたいだよ?」
そう言って、ニヤニヤしてる。
由香ちゃんを見ると顔を真っ赤にしてうつむいている。
「え……? 乗り気……?」
俺がそう言うと美奈ちゃんは、
「何よ! このケシカランボディに何か不満でもあるの?」
と言ってまた由香ちゃんの胸を揉んだ。
「きゃぁ!」
由香ちゃんは身体をよじらせて逃げる。
「またセクハラ!」
俺が指摘すると、
「で、不満あるの?」
そう言ってギロリとこちらを見た。
「い、いや、な、無いです……」
「よろしい!」
美奈ちゃんは満足げに微笑む。
蚊帳の外に置かれたディナが不満を漏らす。
「え~……、マコ様ぁ……」
俺はディナに聞いた。
「ディナ、そもそもなんで無事なの?」
「ん~、東の国の軍隊はなぜか全滅しちゃったの」
首をかしげて説明するディナ。
すると、美奈ちゃんはワインをくるくる回しながら、
「あ、あれね、私が全員ぶっ潰しておいたわ」と、とんでもない事を言い出した。
「え? 美奈ちゃんがやったの!?」
「そうよ、だって誠さんったら北極で、みっともなくオイオイ泣いてるんだもの」
なぜ見てるんだこの人は……恥ずかしい……
「え? ディナのために泣いてくれてたの?」
そう言ってキラキラした瞳で俺を見るディナ。
「殺されると思ってたからね……。でもディナと結婚はできないよ」
しょんぼりするディナ。
俺は美奈ちゃんに聞く。
「軍隊に干渉しちゃいけないんじゃなかったの?」
「それは海王星人のルールよ。私には関係ないわ」
「え? そんなもんなの? 多様性は?」
「そもそも多様性って何のためだか分かってる?」
「魅力的なオリジナリティのある文明・文化を作るためだろ?」
「そうよ、で、それは何のため?」
美奈ちゃんは意地悪な表情でニヤッと笑って聞いてくる。
「な、何のため……?」
「私に会うためよ」
そう言って得意げに胸を張った。
「はぁ!?」
俺はあまりに意外な返事に固まった。
話を整理すると、海王星人の人間たちは自分達の世界が仮想現実空間だと早い段階で気が付いた。で、管理者にコンタクトを取りたかった。でも、普通に呼んだって絶対応えてくれない。だってメリットを提供できないから。そこで、管理者が出てきたくなる環境を作る事で、誘い出そうと考えたんだ。それがオリジナリティ溢れる文明・文化だったという事だろう。そして実際、ここ、クリスの地球で美奈ちゃんを誘い出す事に成功したというわけだ。
60万年かけて海王星人はついに管理者にコンタクトを取れたのだ。やったねクリス!
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