5 / 37
5. 金髪おかっぱの龍
しおりを挟む
「何すんだよ!」
和真はおもちゃのバットをつかむと男に殴りかかるが、男は冷静に指先から何かを放った。すると、パン! という音がして、バットは四角いブロックノイズに包まれ、消えてしまった。
えっ!?
あまりのことに混乱していると、男はニヤッと笑い、和真に対しても触手を射出する。
和真は払いのけようとしたが、触手はつるつると滑り、なすすべなくぐるぐる巻きにされ、床に転がされてしまう。
ぐはぁ!
「あぁ! 和ちゃん!」
芽依は悲痛な叫びをあげる。
「さーて、お仕置きタイムよぉ」
男は嬉しそうにそう言うと触手を操作して芽依を足から持ち上げ、逆さ吊りにする。ワンピースがめくれ、縞柄のショーツが丸見えになってしまう。
いやぁ!
芽依は必死に抵抗しようとするが、触手の力は圧倒的で身動きが取れなかった。
「ハッカーってすごいでしょ? 生意気な小娘は思う存分嬲ってやらないとね」
男は嬉しそうに芽依のすらっとした太ももを撫でた。
「何すんのよぉ!」
くねくねと身をよじらせる芽依。
「止めろ――――! お前それ犯罪だぞ!」
和真は叫ぶ。
「犯罪? そんなの捕まんなきゃいいだけよ。あんたはこの小娘が凌辱されるのをゆっくりと見てなさい。ふふふ」
そう言うと男は芽依をベッドの上に転がした。
ひぐぅ!
男は新たな触手を芽依の両足に絡めると、大きく広げる。
「止めてぇ!」
悲痛な叫びを上げる芽依。
「あら、まだ処女なの? いい声で鳴かせてあげるわ」
男はそう言うとショーツに手をかけ、むしり取った。
いや――――っ!
悲痛な叫びが部屋に響き渡る。
「てめー、ふざけんな!」
和真は芋虫のように器用に床をはって男に迫ったが、
「はっはっは! バカねぇ」
と、嘲り笑う男にあっさりと蹴り飛ばされた。
くぅ……。
和真は顔を歪ませ、男をにらむ。
そんな和真を満足そうに見下ろすと、
「さぁて、ショータイムよ!」
男はニヤッと笑い、むしり取った縞柄のショーツを和真に放った。
その時だった、いきなり部屋に閃光が走る。
うわぁ!
思わずギュッと目をつぶる和真。
「こん、痴れもんがぁ!」
少女の声が響き渡り、いきなり空中から現れた人影が男を蹴り飛ばした。
ぐほぉ!
たまらず床を転がる男。
えっ!?
和真が見上げると、おかっぱの金髪に赤い瞳をした女子中学生のような娘が腕を組んで嬉しそうに仁王立ちしている。透き通るようなすべすべの肌に整った目鼻立ち、その美しい顔には自信が満ちていた。
そして、彼女は、
「ハッキングは重罪じゃぞ! キャハッ!」
と、楽しそうに笑う。
男はよろよろと起き上がると、
「お前……、いいところを邪魔しやがって……」
そう喚くと、少女をにらみつけた。そして、セイヤッ! と掛け声をかけ、触手を射出する。
しかし、少女は瞬間移動のように男の胸元までワープすると、
「ざーんねん!」
と、叫びながら、中腰になって綺麗なフォームで正拳突きを放った。
ぐふっ!
男は吹き飛ばされ本棚に激突し、倒れてきた本棚から降ってくる本たちに埋もれた。
「き、貴様……。管理局の犬だな……」
男はギロリと少女をにらんで言った。
「犬じゃない、龍じゃ」
少女は余裕の表情で見下ろす。
「くっ! 死ねぃ!」
余裕を失った男は指先を光らせるとシュッと横に腕を振り切った。
ビュヨン!
不思議な電子音とともに空間が切れ、
「うわぁ!」
と、少女は慌ててかがむ。
少女の真紅のヘアクリップが真っ二つに切れてはじけ飛び、美しい金髪がパラパラと散った。
「あっ! ヘアクリップが……。何すんじゃ!」
目を三角にして怒った少女は指先を男に向ける。すると、キン! という音とともに指先を中心に空間が波打ち、同心円状の波紋が部屋に広がっていく。
「やべっ!」
男は焦って逃げ出そうとしたが、男を中心に球状に切り取られた空間は断絶されて縮み始め、男は逃げ場を失った。
男は必死に何か術を出して逃げようと画策するが、発動せずに途方に暮れる。
アパートの床や壁もろとも徐々に縮退していく男は、顔を真っ青にして、
「わ、悪かった。なんでもする! 許してくれ!」
と、必死に懇願し始めた。
しかし、少女はドヤ顔で、
「女の敵には天誅じゃ」
と、見守るだけだった。
やがて、バレーボールくらいのサイズに縮められた男は、
「この野郎! ふざけんな、ロリババア!」
と、甲高い声でわめき散らす。
「誰がロリババアじゃ!」
少女は一括すると、雷を男に落とした。
ピシャーン!
と、部屋の中にスパークが走る。
「ぐはぁ!」
ミニチュアサイズに縮められた男は断末魔の悲鳴を上げ、ぶすぶすと煙を上げながら倒れた。
そしてさらに小さくなっていった球は最後には点になってピュン! という音を立てて消えていった。
和真の部屋には綺麗に球状にえぐられてしまった大穴が残り、隣の家の庭からの風がビュゥと吹き込んでくる。
少女は、唖然としている和真と芽依の方を見ると、
「災難じゃったな、今助けてやる」
そう言って何かをつぶやき、パチンと指を鳴らして触手を消し去った。そして、
「ケガはないか?」
と、二人の顔を見る。
二人はお互い顔を見合わせ、
「だ、大丈夫です」「わ、私も……」
と、答えた。
仮想現実空間から抜け出して芽依を襲った暴漢に、それを瞬殺した不可思議な自称龍の少女。あまりに現実離れした出来事に二人ともあっけにとられていた。
「あー、これ直すの面倒くさいのう……」
少女は渋い顔をして丸く穴の開いた壁を眺める。
「あのぉ……」
和真は声をかける。
「ん? なんじゃ?」
壁の切断面をなでながら答える少女。
「助けてくれてありがとうございます。管理局の龍……さんというのはどういう……」
「そのまんまじゃ、それに答えたってどうせ忘れちゃうしのう」
そう言うと、少女は和真を見てちょっと寂しそうに笑った。
「忘れる……?」
和真が怪訝そうに眉をひそめると、少女はすっと和真に手をかざす。
「え?」
直後、和真は意識を失い、ぱたりと床に倒れてしまった。
和真はおもちゃのバットをつかむと男に殴りかかるが、男は冷静に指先から何かを放った。すると、パン! という音がして、バットは四角いブロックノイズに包まれ、消えてしまった。
えっ!?
あまりのことに混乱していると、男はニヤッと笑い、和真に対しても触手を射出する。
和真は払いのけようとしたが、触手はつるつると滑り、なすすべなくぐるぐる巻きにされ、床に転がされてしまう。
ぐはぁ!
「あぁ! 和ちゃん!」
芽依は悲痛な叫びをあげる。
「さーて、お仕置きタイムよぉ」
男は嬉しそうにそう言うと触手を操作して芽依を足から持ち上げ、逆さ吊りにする。ワンピースがめくれ、縞柄のショーツが丸見えになってしまう。
いやぁ!
芽依は必死に抵抗しようとするが、触手の力は圧倒的で身動きが取れなかった。
「ハッカーってすごいでしょ? 生意気な小娘は思う存分嬲ってやらないとね」
男は嬉しそうに芽依のすらっとした太ももを撫でた。
「何すんのよぉ!」
くねくねと身をよじらせる芽依。
「止めろ――――! お前それ犯罪だぞ!」
和真は叫ぶ。
「犯罪? そんなの捕まんなきゃいいだけよ。あんたはこの小娘が凌辱されるのをゆっくりと見てなさい。ふふふ」
そう言うと男は芽依をベッドの上に転がした。
ひぐぅ!
男は新たな触手を芽依の両足に絡めると、大きく広げる。
「止めてぇ!」
悲痛な叫びを上げる芽依。
「あら、まだ処女なの? いい声で鳴かせてあげるわ」
男はそう言うとショーツに手をかけ、むしり取った。
いや――――っ!
悲痛な叫びが部屋に響き渡る。
「てめー、ふざけんな!」
和真は芋虫のように器用に床をはって男に迫ったが、
「はっはっは! バカねぇ」
と、嘲り笑う男にあっさりと蹴り飛ばされた。
くぅ……。
和真は顔を歪ませ、男をにらむ。
そんな和真を満足そうに見下ろすと、
「さぁて、ショータイムよ!」
男はニヤッと笑い、むしり取った縞柄のショーツを和真に放った。
その時だった、いきなり部屋に閃光が走る。
うわぁ!
思わずギュッと目をつぶる和真。
「こん、痴れもんがぁ!」
少女の声が響き渡り、いきなり空中から現れた人影が男を蹴り飛ばした。
ぐほぉ!
たまらず床を転がる男。
えっ!?
和真が見上げると、おかっぱの金髪に赤い瞳をした女子中学生のような娘が腕を組んで嬉しそうに仁王立ちしている。透き通るようなすべすべの肌に整った目鼻立ち、その美しい顔には自信が満ちていた。
そして、彼女は、
「ハッキングは重罪じゃぞ! キャハッ!」
と、楽しそうに笑う。
男はよろよろと起き上がると、
「お前……、いいところを邪魔しやがって……」
そう喚くと、少女をにらみつけた。そして、セイヤッ! と掛け声をかけ、触手を射出する。
しかし、少女は瞬間移動のように男の胸元までワープすると、
「ざーんねん!」
と、叫びながら、中腰になって綺麗なフォームで正拳突きを放った。
ぐふっ!
男は吹き飛ばされ本棚に激突し、倒れてきた本棚から降ってくる本たちに埋もれた。
「き、貴様……。管理局の犬だな……」
男はギロリと少女をにらんで言った。
「犬じゃない、龍じゃ」
少女は余裕の表情で見下ろす。
「くっ! 死ねぃ!」
余裕を失った男は指先を光らせるとシュッと横に腕を振り切った。
ビュヨン!
不思議な電子音とともに空間が切れ、
「うわぁ!」
と、少女は慌ててかがむ。
少女の真紅のヘアクリップが真っ二つに切れてはじけ飛び、美しい金髪がパラパラと散った。
「あっ! ヘアクリップが……。何すんじゃ!」
目を三角にして怒った少女は指先を男に向ける。すると、キン! という音とともに指先を中心に空間が波打ち、同心円状の波紋が部屋に広がっていく。
「やべっ!」
男は焦って逃げ出そうとしたが、男を中心に球状に切り取られた空間は断絶されて縮み始め、男は逃げ場を失った。
男は必死に何か術を出して逃げようと画策するが、発動せずに途方に暮れる。
アパートの床や壁もろとも徐々に縮退していく男は、顔を真っ青にして、
「わ、悪かった。なんでもする! 許してくれ!」
と、必死に懇願し始めた。
しかし、少女はドヤ顔で、
「女の敵には天誅じゃ」
と、見守るだけだった。
やがて、バレーボールくらいのサイズに縮められた男は、
「この野郎! ふざけんな、ロリババア!」
と、甲高い声でわめき散らす。
「誰がロリババアじゃ!」
少女は一括すると、雷を男に落とした。
ピシャーン!
と、部屋の中にスパークが走る。
「ぐはぁ!」
ミニチュアサイズに縮められた男は断末魔の悲鳴を上げ、ぶすぶすと煙を上げながら倒れた。
そしてさらに小さくなっていった球は最後には点になってピュン! という音を立てて消えていった。
和真の部屋には綺麗に球状にえぐられてしまった大穴が残り、隣の家の庭からの風がビュゥと吹き込んでくる。
少女は、唖然としている和真と芽依の方を見ると、
「災難じゃったな、今助けてやる」
そう言って何かをつぶやき、パチンと指を鳴らして触手を消し去った。そして、
「ケガはないか?」
と、二人の顔を見る。
二人はお互い顔を見合わせ、
「だ、大丈夫です」「わ、私も……」
と、答えた。
仮想現実空間から抜け出して芽依を襲った暴漢に、それを瞬殺した不可思議な自称龍の少女。あまりに現実離れした出来事に二人ともあっけにとられていた。
「あー、これ直すの面倒くさいのう……」
少女は渋い顔をして丸く穴の開いた壁を眺める。
「あのぉ……」
和真は声をかける。
「ん? なんじゃ?」
壁の切断面をなでながら答える少女。
「助けてくれてありがとうございます。管理局の龍……さんというのはどういう……」
「そのまんまじゃ、それに答えたってどうせ忘れちゃうしのう」
そう言うと、少女は和真を見てちょっと寂しそうに笑った。
「忘れる……?」
和真が怪訝そうに眉をひそめると、少女はすっと和真に手をかざす。
「え?」
直後、和真は意識を失い、ぱたりと床に倒れてしまった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる