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15. 伝説の真龍
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「ベンくーん!」
ベネデッタはベンに走り寄るが、ベンにはもう全く余裕がなかった。強引に流し込んだ水が腸内でさっきからグルグルとすさまじい音を立て、肛門を襲っているのだ。もはや一刻の猶予もない。
「失礼!」
ベンは脂汗を流しながら一言そう言うと、ベネデッタを小脇に抱え、次いで班長も小脇に抱え、ピョコピョコと走り出した。出口はシアンが教えてくれるらしい。
走ると言っても千倍のパワーの走りである。あっという間に時速百キロを超え、飛ぶように草原を一直線に駆け抜けていった。
その圧倒的な速度に二人は圧倒されて言葉を失う。ベンの超人的パワーは明らかに人の領域を超えているのだ。ただ、大人しく運ばれるしかなかった。
途中オーガやゴーレムみたいなAクラスモンスターが行く手をふさいだが、ベンは止まりもせずにただ膝蹴りで一蹴し、楽しそうに飛んでいくシアンの後をひたすら追っていく。
しばらく行くと湖があり、その湖畔に小さな三角屋根の建物が見えてきた。どうやら、ここらしい。
漏れる、漏れる、漏れる……。
ベンは建物の入り口で二人を下ろし、急いでドアを開ける。
奥に下り階段が見えた。ビンゴ!
だがその時、天井から閃光が放たれた。
ズン!
グハァ!
ベンは天井に潜んでいたハーピーの攻撃をまともに受け、服が焦げた。千倍の防御力では身体は傷一つつかないものの、デリケートな下腹部にはこたえた。
ビュッ、ビュルッ!
たまらず肛門が一部決壊。オムツ代わりに仕込んでおいたタオルに生暖かい液体が染みていく。
ポロン! 『×10000』
ついに限界突破の一万倍に達してしまった。
「キタ――――! きゃははは!」
シアンは大喜びである。
ベンは奥歯をギリッと鳴らすと、
「エアスラッシュ!」
と、叫んで初級風魔法を放った。初級と言え一万倍の威力である、それぞれが普通の百倍くらいの威力を持った風の刃が数百発天井に向って放たれる。それはまるで竜巻が直撃したかのような衝撃でハーピーを襲う。
キュワァァァ!
断末魔の叫びが響き、ハーピーは屋根ごと粉々に吹き飛んでしまった。
くふぅ……。
ガクッとひざをつくベン。もう肛門は限界だ。しかし、まだこの先、ボスを斃さない限り外には出られない。それまではこの便意を温存するしかない。休憩してもう一発水筒注入というのはもう耐えられそうになかった。
「ベン君……」
ベネデッタはその尋常ではないベンの辛そうな様子に、思わず駆け寄って後ろからハグをした。しかし、それは下腹部を締め付けて逆効果だった。
グハァ!
思わず叫んでしまうベン。
ビュッビュとまた少し決壊してしまう。
「ごめんなさい、わたくしそんなつもりじゃ……」
オロオロするベネデッタ。
「だ、大丈夫。ちょっと待っててください」
ベンは必死に肛門のコントロールを取り戻そうと大きく深呼吸を繰り返し、精神統一に全力を注ぐ。
ベネデッタは心配そうな顔をしながら、癒しの神聖魔法をそっとかけたのだった。
ベンの全身が淡く金色に光輝き、光の微粒子が舞い上がる火の粉のようにチラチラとしながら巻き上がり、辺りを照らす。
ベンは激痛の走る下腹部をそっとなでながら、少しずつ癒されていくのを感じていた。
◇
「ありがとうございます。行きましょう」
便意が少し収まると、ベンは立ち上がり、前かがみでピョコピョコと階段を降りていった。
そこには高さ十メートルはあろうかという巨大な扉があり、随所に金の細工が施され、冒険者の覚悟を試しているかのようにゆったりとたたずんでいる。
ベンはバン! と、扉を無操作にぶち開けて、中に突入して行った。
すると、天井の高い巨大な大広間には中央に何やら小山のようなものがそびえている。そして、部屋の周囲の魔法ランプがポツポツと煌めき始め、部屋の様子を浮かび上がらせていった。
ひっ! ひぃ!
班長が思わずしりもちをついて叫ぶ。
ランプが照らした小山、それはなんと漆黒の鱗に覆われた巨大なドラゴンだったのだ。それもこのドラゴンは鱗のとげも立派に伸びた真龍、もしかしたら神話の時代から生き延びている伝説の龍かもしれなかった。
「ダメです! ダメ! あれは我々の手に負えるものじゃない!」
班長はドラゴンの圧倒的な存在感に気おされ真っ青になって叫ぶ。
確かにドラゴンというのはもはや災厄であり、一般的な攻撃は全く通じず、過去には一個師団が相対して多量の犠牲者を出しながらようやく仕留めることができたというくらい破格の存在なのだ。
しかし、ベンにとってはもはや一刻の猶予もなかった。
過去最悪レベルに腸は暴れまわり、グルグルギューとすさまじい叫びをあげている。
持って十秒、それ以上は暴発か人格崩壊か、そのくらい追い込まれていた。
ベネデッタはベンに走り寄るが、ベンにはもう全く余裕がなかった。強引に流し込んだ水が腸内でさっきからグルグルとすさまじい音を立て、肛門を襲っているのだ。もはや一刻の猶予もない。
「失礼!」
ベンは脂汗を流しながら一言そう言うと、ベネデッタを小脇に抱え、次いで班長も小脇に抱え、ピョコピョコと走り出した。出口はシアンが教えてくれるらしい。
走ると言っても千倍のパワーの走りである。あっという間に時速百キロを超え、飛ぶように草原を一直線に駆け抜けていった。
その圧倒的な速度に二人は圧倒されて言葉を失う。ベンの超人的パワーは明らかに人の領域を超えているのだ。ただ、大人しく運ばれるしかなかった。
途中オーガやゴーレムみたいなAクラスモンスターが行く手をふさいだが、ベンは止まりもせずにただ膝蹴りで一蹴し、楽しそうに飛んでいくシアンの後をひたすら追っていく。
しばらく行くと湖があり、その湖畔に小さな三角屋根の建物が見えてきた。どうやら、ここらしい。
漏れる、漏れる、漏れる……。
ベンは建物の入り口で二人を下ろし、急いでドアを開ける。
奥に下り階段が見えた。ビンゴ!
だがその時、天井から閃光が放たれた。
ズン!
グハァ!
ベンは天井に潜んでいたハーピーの攻撃をまともに受け、服が焦げた。千倍の防御力では身体は傷一つつかないものの、デリケートな下腹部にはこたえた。
ビュッ、ビュルッ!
たまらず肛門が一部決壊。オムツ代わりに仕込んでおいたタオルに生暖かい液体が染みていく。
ポロン! 『×10000』
ついに限界突破の一万倍に達してしまった。
「キタ――――! きゃははは!」
シアンは大喜びである。
ベンは奥歯をギリッと鳴らすと、
「エアスラッシュ!」
と、叫んで初級風魔法を放った。初級と言え一万倍の威力である、それぞれが普通の百倍くらいの威力を持った風の刃が数百発天井に向って放たれる。それはまるで竜巻が直撃したかのような衝撃でハーピーを襲う。
キュワァァァ!
断末魔の叫びが響き、ハーピーは屋根ごと粉々に吹き飛んでしまった。
くふぅ……。
ガクッとひざをつくベン。もう肛門は限界だ。しかし、まだこの先、ボスを斃さない限り外には出られない。それまではこの便意を温存するしかない。休憩してもう一発水筒注入というのはもう耐えられそうになかった。
「ベン君……」
ベネデッタはその尋常ではないベンの辛そうな様子に、思わず駆け寄って後ろからハグをした。しかし、それは下腹部を締め付けて逆効果だった。
グハァ!
思わず叫んでしまうベン。
ビュッビュとまた少し決壊してしまう。
「ごめんなさい、わたくしそんなつもりじゃ……」
オロオロするベネデッタ。
「だ、大丈夫。ちょっと待っててください」
ベンは必死に肛門のコントロールを取り戻そうと大きく深呼吸を繰り返し、精神統一に全力を注ぐ。
ベネデッタは心配そうな顔をしながら、癒しの神聖魔法をそっとかけたのだった。
ベンの全身が淡く金色に光輝き、光の微粒子が舞い上がる火の粉のようにチラチラとしながら巻き上がり、辺りを照らす。
ベンは激痛の走る下腹部をそっとなでながら、少しずつ癒されていくのを感じていた。
◇
「ありがとうございます。行きましょう」
便意が少し収まると、ベンは立ち上がり、前かがみでピョコピョコと階段を降りていった。
そこには高さ十メートルはあろうかという巨大な扉があり、随所に金の細工が施され、冒険者の覚悟を試しているかのようにゆったりとたたずんでいる。
ベンはバン! と、扉を無操作にぶち開けて、中に突入して行った。
すると、天井の高い巨大な大広間には中央に何やら小山のようなものがそびえている。そして、部屋の周囲の魔法ランプがポツポツと煌めき始め、部屋の様子を浮かび上がらせていった。
ひっ! ひぃ!
班長が思わずしりもちをついて叫ぶ。
ランプが照らした小山、それはなんと漆黒の鱗に覆われた巨大なドラゴンだったのだ。それもこのドラゴンは鱗のとげも立派に伸びた真龍、もしかしたら神話の時代から生き延びている伝説の龍かもしれなかった。
「ダメです! ダメ! あれは我々の手に負えるものじゃない!」
班長はドラゴンの圧倒的な存在感に気おされ真っ青になって叫ぶ。
確かにドラゴンというのはもはや災厄であり、一般的な攻撃は全く通じず、過去には一個師団が相対して多量の犠牲者を出しながらようやく仕留めることができたというくらい破格の存在なのだ。
しかし、ベンにとってはもはや一刻の猶予もなかった。
過去最悪レベルに腸は暴れまわり、グルグルギューとすさまじい叫びをあげている。
持って十秒、それ以上は暴発か人格崩壊か、そのくらい追い込まれていた。
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