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3-12. 一回だけ
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「あのね……」
「なに?」
「私もう、ジェイドがいないとダメみたい」
ユリアはか細い声を出した。
「……」
ジェイドは無言で動かなくなる。
「め、迷惑……、かな?」
ユリアはジェイドの反応に不安を覚え、慌てて言う。
「迷惑なんかじゃない。ありがとう……」
ジェイドは堅い調子で答える。
「な、何か……あった?」
ジェイドは大きく息をつき、しばらく何かを考え、口を開いた。
「……。我はドラゴン。天与の異能で偉そうに生きてきたが……、それは単に神様が設定してくれた力に過ぎない。要は配られたカードが良かっただけだ」
「えっ?」
ユリアは意外な言葉に驚く。
「人に大切なものが心だとするなら、我には自信がない。損得勘定せず、ひたすらに人々の事を願って動くユリアが輝いて見える。それに……、研修が終わればユリアは神の力を得る。もはや神様……。そんなユリアの隣に立つ自信が……ない」
ジェイドはそう言ってうつむく。
ユリアは少し離れ、ジェイドをじっと見つめて言った。
「何言ってるの? 神の力を得たって私は私よ。私はジェイドにどれだけ救われたか。ドラゴンの力に惹かれてる訳じゃないのよ?」
ジェイドは顔を上げ、弱った顔でユリアを見つめる。
「私を大切にしてくれる気配り、力におぼれない節度、誰にでもできる事じゃないわ。もしあなたがドラゴンじゃなくても、一緒にいたいの……。もっと胸を張って」
ユリアはそう言って真剣な目でジェイドを見つめた。
ジェイドは目をつぶり、大きく息をつく。そして、
「ありがとう……」
と言うと、ニコッと笑って優しくユリアの髪をなでた。
見つめ合う二人。
ジェイドの瞳に映るキラキラとした東京の夜景を見つめ……、ユリアは思わず吸い寄せられるように、背伸びをしてジェイドの口を吸った。
少し驚いたジェイドだったが、チロチロと動くユリアの舌を自分の舌で絡める。
二人は思いを確かめ合うように激しくお互いを求めた。
やがて離れると、ジェイドはユリアをお姫様抱っこをする。
「きゃぁ!」
少し驚いたユリアだったが、ジェイドの赤い炎の揺らめく瞳を見つめ……、そっとうなずいた。
ダブルベッドの上に優しく横たえられたユリアは、ワンピースの胸のひもを緩める。
そしてトロンとした目で、ジェイドに両手を伸ばす。
「来て……」
ジェイドは少し躊躇するそぶりを見せたが、ニコッと笑うとユリアの上に覆いかぶさった。そして見つめ合うと、またくちびるを重ねる。
そして、キスをしたままジェイドはユリアのしっとりと柔らかい白い肌に指をはわせた。
あっ……。
思わず漏れる吐息。
ジェイドはさらにユリアのデリケートな所へと指を伸ばした。
部屋にはユリアの可愛い声が響く。
やがてユリアは頬を紅潮させ、ジェイドの耳元で
「お願い……」
と、囁いた。
ジェイドはうなずき、優しくユリアの服を脱がすと重なっていく……。
お互いの危機を助け合い、一緒に冒険し、ジェイドの死を乗り越えて今、二人はここにいる。思い出を重ねてきた二人は東京の新たなステージでついに一つに結ばれる。
その晩、二人は何度も何度も激しくお互いを求めあい、東京の夜は更けていった。
◇
翌朝、香ばしいコーヒーの香りが漂ってきてユリアは目が覚めた。
見ると、バスローブ姿のジェイドがコーヒーを入れている。
ユリアは心の底から湧いてくる温かいものに包まれながら、ジェイドの姿を眺めていた。
とめどなくあふれてくる幸福感に、あまりに嬉しすぎてつい涙をこぼす。
こんなに幸せでいいのだろうか?
ユリアは仰向けになって思わず目頭を押さえた。
絶望を超えてたどり着いた大都会東京。そこに輝ける未来があった。それはまるでおとぎ話のようでもあり、またある意味神話と言えるかもしれない。
「おはよう、お姫様」
気がつくとジェイドがベッドサイドでほほ笑んでいた。
「お、おはよう……」
ユリアは昨晩を思い出し、真っ赤になって毛布で顔を隠す。
ジェイドはそんなユリアを優しく見つめ、額に軽くキスをする。
するとユリアはジェイドに抱き着き、唇を求めた。コーヒーの香ばしい匂いが口の中に広がる。
二人は昨晩を思い出しながら舌を絡めていく……。
「ダメだ、また欲しくなっちゃう」
ジェイドがそう言うと、
「ダメ……なの?」
と、トロンとした目でユリアが聞く。
「じゃ、じゃぁ……一回だけ……」
「一回だけ?」
ユリアは激しく舌を絡めた。
「なに?」
「私もう、ジェイドがいないとダメみたい」
ユリアはか細い声を出した。
「……」
ジェイドは無言で動かなくなる。
「め、迷惑……、かな?」
ユリアはジェイドの反応に不安を覚え、慌てて言う。
「迷惑なんかじゃない。ありがとう……」
ジェイドは堅い調子で答える。
「な、何か……あった?」
ジェイドは大きく息をつき、しばらく何かを考え、口を開いた。
「……。我はドラゴン。天与の異能で偉そうに生きてきたが……、それは単に神様が設定してくれた力に過ぎない。要は配られたカードが良かっただけだ」
「えっ?」
ユリアは意外な言葉に驚く。
「人に大切なものが心だとするなら、我には自信がない。損得勘定せず、ひたすらに人々の事を願って動くユリアが輝いて見える。それに……、研修が終わればユリアは神の力を得る。もはや神様……。そんなユリアの隣に立つ自信が……ない」
ジェイドはそう言ってうつむく。
ユリアは少し離れ、ジェイドをじっと見つめて言った。
「何言ってるの? 神の力を得たって私は私よ。私はジェイドにどれだけ救われたか。ドラゴンの力に惹かれてる訳じゃないのよ?」
ジェイドは顔を上げ、弱った顔でユリアを見つめる。
「私を大切にしてくれる気配り、力におぼれない節度、誰にでもできる事じゃないわ。もしあなたがドラゴンじゃなくても、一緒にいたいの……。もっと胸を張って」
ユリアはそう言って真剣な目でジェイドを見つめた。
ジェイドは目をつぶり、大きく息をつく。そして、
「ありがとう……」
と言うと、ニコッと笑って優しくユリアの髪をなでた。
見つめ合う二人。
ジェイドの瞳に映るキラキラとした東京の夜景を見つめ……、ユリアは思わず吸い寄せられるように、背伸びをしてジェイドの口を吸った。
少し驚いたジェイドだったが、チロチロと動くユリアの舌を自分の舌で絡める。
二人は思いを確かめ合うように激しくお互いを求めた。
やがて離れると、ジェイドはユリアをお姫様抱っこをする。
「きゃぁ!」
少し驚いたユリアだったが、ジェイドの赤い炎の揺らめく瞳を見つめ……、そっとうなずいた。
ダブルベッドの上に優しく横たえられたユリアは、ワンピースの胸のひもを緩める。
そしてトロンとした目で、ジェイドに両手を伸ばす。
「来て……」
ジェイドは少し躊躇するそぶりを見せたが、ニコッと笑うとユリアの上に覆いかぶさった。そして見つめ合うと、またくちびるを重ねる。
そして、キスをしたままジェイドはユリアのしっとりと柔らかい白い肌に指をはわせた。
あっ……。
思わず漏れる吐息。
ジェイドはさらにユリアのデリケートな所へと指を伸ばした。
部屋にはユリアの可愛い声が響く。
やがてユリアは頬を紅潮させ、ジェイドの耳元で
「お願い……」
と、囁いた。
ジェイドはうなずき、優しくユリアの服を脱がすと重なっていく……。
お互いの危機を助け合い、一緒に冒険し、ジェイドの死を乗り越えて今、二人はここにいる。思い出を重ねてきた二人は東京の新たなステージでついに一つに結ばれる。
その晩、二人は何度も何度も激しくお互いを求めあい、東京の夜は更けていった。
◇
翌朝、香ばしいコーヒーの香りが漂ってきてユリアは目が覚めた。
見ると、バスローブ姿のジェイドがコーヒーを入れている。
ユリアは心の底から湧いてくる温かいものに包まれながら、ジェイドの姿を眺めていた。
とめどなくあふれてくる幸福感に、あまりに嬉しすぎてつい涙をこぼす。
こんなに幸せでいいのだろうか?
ユリアは仰向けになって思わず目頭を押さえた。
絶望を超えてたどり着いた大都会東京。そこに輝ける未来があった。それはまるでおとぎ話のようでもあり、またある意味神話と言えるかもしれない。
「おはよう、お姫様」
気がつくとジェイドがベッドサイドでほほ笑んでいた。
「お、おはよう……」
ユリアは昨晩を思い出し、真っ赤になって毛布で顔を隠す。
ジェイドはそんなユリアを優しく見つめ、額に軽くキスをする。
するとユリアはジェイドに抱き着き、唇を求めた。コーヒーの香ばしい匂いが口の中に広がる。
二人は昨晩を思い出しながら舌を絡めていく……。
「ダメだ、また欲しくなっちゃう」
ジェイドがそう言うと、
「ダメ……なの?」
と、トロンとした目でユリアが聞く。
「じゃ、じゃぁ……一回だけ……」
「一回だけ?」
ユリアは激しく舌を絡めた。
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