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いつかのさけ
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桂木は無意識のうちに同時に味わおうとしたようで、気付けば箸を置いてグラスを手にしていた。
ゆっくりと一口を入れる。濃密な味わいが舌の上を駆け巡っていく。
初めて飲む風味に桂木は一旦グラスを離して飲み込む。飲み込んだその後には風が吹いたような爽やかさが通っていき、再び求めようとグラスを口にしていた。
「桂木、どうだ?」
「不思議な感覚っす。なんというか、初体験、です……」
「初体験か。なかなか面白い表現だな」
「へ、変な意味じゃないですよ。味? 感覚が全然違うって言うんですかね。それです」
「分かってるよ」
そんな他愛もない会話をしながら二人は酒を味わっていた。
すると、片倉が自分の分の鍋をよそわずにさり気なく立ち上がって席から離れていく。誰も気にした様子はなく、各々で口にしているものを楽しんでいる。
ゆっくりと一口を入れる。濃密な味わいが舌の上を駆け巡っていく。
初めて飲む風味に桂木は一旦グラスを離して飲み込む。飲み込んだその後には風が吹いたような爽やかさが通っていき、再び求めようとグラスを口にしていた。
「桂木、どうだ?」
「不思議な感覚っす。なんというか、初体験、です……」
「初体験か。なかなか面白い表現だな」
「へ、変な意味じゃないですよ。味? 感覚が全然違うって言うんですかね。それです」
「分かってるよ」
そんな他愛もない会話をしながら二人は酒を味わっていた。
すると、片倉が自分の分の鍋をよそわずにさり気なく立ち上がって席から離れていく。誰も気にした様子はなく、各々で口にしているものを楽しんでいる。
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