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いつかのさけ

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 そこには、大皿が一つとグラスが二つ乗っていた。

「明太コロッケと、王禄のロックと梅酒のロックでございます」

「すいません、獺祭だっさいのグラスをストレートで二つお願いします」

「獺祭ですね……。かしこまりました」

 手短に用件を済ませ、店員はすぐに去っていった。

 岡崎は勝手に注文していたが、桂木はその酒の名前を知っていたようで、すぐに彼を見ていた。

「俺、それなら知ってます。飲んだことはないですけど」

「獺祭はいいぞ」

 たったその一言であったが、岡崎の目は輝いていた。

 あまりの気迫に驚きつつも、そこまで彼を興奮させるからにはどんな味なのかという興味が湧いてきた桂木。当分注文が来ないことを理解し、熱いうちに明太コロッケをつまむことにしたようだ。
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