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秘密の味

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 席を立ち上がり、店内を見渡す。あまり広くない店内で見当たらないということは、個室空間に移動したことになる。

 店の案内を見ながら、奥へと移動してトイレへと入る。

 奥の個室には、ドアを開けたまま蹲っている金森さんの姿があった。俺はゆっくりと彼の元へと近付く。

「……カナさん、大丈夫?」

 俺の言葉に無言で頷く。相当気持ち悪かったのか、胃の中のものが便器に吐き出されていた。

 狭い個室の中に入り込み、その隣でそっと背中をさする。

「今日体調悪い中来たの? それとも、ゼロ次会やってきたの?」

「……山本と、ゼロ次会やった」

「あんまり飲みすぎないでよ。カナさんお酒にそんなに強くないんだから」

 そう宥めながら、俺は洗浄ボタンを押す。中にあったものは全てきれいに流されていく。
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