上 下
85 / 213
秘密の味

3

しおりを挟む
 仕方なく素知らぬ顔をしながら掴んでいるものを自らの口に運んでいく。さすがに高めの値段設定というだけあって美味しい。そこまでしつこくないがしっかり味があるので、お酒が捗りそうだ。

 俺は無言で食べ続けていた。追加でよそって空にする。

 あっという間に平らげ、お通しをつまみながらビールを飲んでいると、次の料理が運ばれてきた。魚をマリネのようにしたそれは、どんな酒にも合いそうなものだった。

 話しに夢中になっている他の人よりも先に、俺は皿に盛る。こうなってしまえば早い者勝ちだ。

 いざ箸を進めていくと、驚くほどにビールが進んでいった。まだ少ししか食べていないが、俺は店員を呼んで追加の酒を注文する。

「お伺いします」

「濃厚ハイボールお願いします」

「他にご注文はありますか?」

 俺が頼んだことに気付いたのか、他の人がどんどん注文していく。

 そんな中、金森さんは覇気のない声で頼んでいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あいつと俺

むちむちボディ
BL
若デブ同士の物語です。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

処理中です...