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ほろ酔いサイダー

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 一瞬そんな気を起こし、一体何を考えているのだと元に戻す。久々に会ったときから、宏介には振り回されている気がする。もしかしたら俺の勝手な想像かもしれないが。

 ただの友達、と頭の中で繰り返していると、ようやく俺の注文したものが出てきた。皿とジョッキの並べられたトレーを受け取り、ぶつからないように人混みを歩いていく。

 遠くから宏介が手を振っている姿が見え、目印にしながら歩いていく。

「おかえり」

 テーブルにトレーを置くなり、宏介にそう言われた。

「た、ただいま……?」

「あはは」

 きちんと返したつもりだったのに、笑われてしまった。どうすればよかったのか。

 俺はドカリと座り、そそくさとジョッキを手にして宏介の目の前に差し出す。

「おら、持てよ」

 ようやく笑いが治まり、しっかりとした手でジョッキを掲げる。

「持ったよ」

「おう。んじゃ、乾杯」
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