Marionette【一部公開】

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「へぇ～。意外だなぁ」

　二人の声よりは高い、中性的な声がした。ヴォルツに向けられたその声の主は、立ち上がって彼のもとへと近付いていく。ニコニコとするその姿は、ヴォルツよりも小柄で、膝より上のスカートを履きこなしつつそこから見せる華奢な脚で誘惑していた。

「ミッチだよ。よろしくね」

「……ヴォルツだ」

　誰よりも可愛いと主張するような笑顔を浮かべるミッチ。

　それに対してヴォルツは特に反応を示さず、無愛想にいつも通りの返事をする。

「おいおいミッチ、標的でもねぇやつに色仕掛けなんざ使って、随分と気に入ったんだな」

　無言の空間にクラウスのひょうきんな声が響く。下品な笑みを浮かべながら、じろじろと二人を見る。

　気持ち悪い、と視線で訴えつつ、ミッチとクラウスの距離が狭まる。

「色仕掛けなんてしてないもん。ミッチは親しみを込めて精一杯の笑顔で接しただけ。おっさんみたいな人は、不気味な笑みしか浮かべられないだろうけど」

「おっと、そこまでだ。俺だってセクシーな笑顔で可愛こちゃんの一人や二人……」

「一人や二人、それで面倒なことを起こせば貴様の命はないと思え」

　凍てつくような声が三人とは別の方向から聞こえた。一瞬でその場が静まり返り、靴音のみが鳴り響く。