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俺の婚約者2

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 リディアーヌと婚約破棄をし体調を崩したリディアーヌは次の日も学園にこなかった。そんなにショックだったのか……。


 罪作りな事をした……。


 よし! リディアーヌが学園に戻ってきたら、ここは俺が折れてやってリディアーヌにあれはお前を試したんだ! よりを戻してやる。と伝えることにしよう。

 今までにリディアーヌのことを誤解していたから、こちらから寄り添ってやろう。


 そうだ……! 前回のようにクラスの皆の前で告げれば納得するだろう!


 あれから俺を見る皆の目が痛い……! リディアーヌのクラスでの話だけだったのに、何故か他のクラスの者まで知っているではないか!! どこで漏れたんだ?!


 リディアーヌが早く学園に来ればいいのにと思ったが、もしかしてリディアーヌは失恋の痛みから立ち直れないのか? 見舞いに行くべきなのかもしれない。


 屋敷に帰ると執事に、すぐ父の執務室へ行くようにと言われた。


 珍しい事があるものだ。もう屋敷にいるのか?


「父上、お呼びとの事ですが、」


「バカモノっ! お前はリディアーヌ嬢に婚約破棄を言い渡したらしいではないか!!」


 父が部屋に入るや否や怒鳴りつけてきた。それになぜ知っている?


「いえ、それは、」


「ええいっ!! 言い訳は無用! 向こうの家から慰謝料の請求と、婚約解消の書類が届いた!」


「ですから、」


「なぜそうなった!」


 かなり怒っているようだが、父は人の話を聞かないのか……話している途中だろうに!


「親の決めた相手と、婚約をするのがどうも腑に落ちませんで、それに今は自由恋愛の時代ですし、」


「バカものっ! 家と家との繋がりを軽く見るな! これでうちは社交界から笑い物になり、爪弾きだ!」


「え! なぜそうなるのです、うちは破棄した側ですよ!」


「大した理由もないのに、学園でリディアーヌ嬢の教室内で愚行を晒しただろうが!」


「愚行とはなんですか! それに今は婚約を破棄したところで、女性側も傷が付かないから、」

「付くに決まっておろう! リディアーヌ嬢の気持ちを考えんか!」


 リディアーヌの気持ちか……確かに心に傷は……。


「リディアーヌは体調を崩して休んでいます……そうかそんなに俺のことを、」


「お前の愚行を聞いて妻が寝込んでしまったではないか!」


「母上が?」


「明日謝りに行くぞ! お前も来い!!」


******




「お兄様! このワンピース可愛すぎませんか?」

 正直言って好みの服ではない! お兄様の趣味でしょ、このフリルは。

「すごく可愛いよ、似合っているよ。リディの為にあるようなワンピースじゃないか!」

「……そう?」

 お兄様が喜ぶから……着ますけど、本当はもっとシンプルなものが好き。髪型も編み込みにされた。

 いわゆる守ってあげたい系の感じ。お兄様も庇護欲をそそるような女の子が好きなのね……なんだか、がっかりだわ。


「なにを着てもリディは似合うんだけど、今日はこのワンピースを着てくれたら凄く嬉しいよ」




 お兄様がにっこりと笑いました。



 なにか違和感……?




 





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