49 / 55
婚約者ルイス
引き払う部屋
しおりを挟む
「ずっと…って仰いましたか?」
じりじり後退するリージア
「うん、ずっと。昔私があげた本も置いてあって懐かしいと君のことを考えていた」
…家に持ち帰るのが面倒でそのままになっている童話の本だ
「悪い魔法にかけられた王子が正気に戻ったら婚約者の姫は他の男と結婚してるなんて悲劇だよね」
そんな内容だったかしら?覚えてない
「左様でございますか…あっ!わたくしそろそろ戻りませんと」
くるりと踵をかえし扉に向かおうとすると腕を掴まれた
「離してくださいませ」
やんわりと拒絶をする
「ディオン殿と婚約なんてして私がどんな気持ちだったと思う?今までの仕返しか?それでも良い、リージアが私の元に帰って来たんなら」
「仰る意味がわかりません」
フェリクスが怖い、顔が暗い、やつれている様にも思う
「ん?なにが?」
「腕を離して、下さいませんか…」
「大人しくするならね」
「分かりました」
手を離されたが、これは危険な感じがする…なぜベッドのシーツが、乱れているんだろう、聞くのが怖い
「殿下、まさかずっとってこの部屋で生活しているなんて事は…」
恐る恐る聞いてみる、聞くのも怖い
「たまにね、君のことを思い出しながら戻って来るのを待っていた」
嘘でしょう…冷や汗が流れる
「この童話のように悲劇にはしたくない…」
先ほどの魔法をかけられた王子の話…
「殿下と私は婚約の解消をしたのです、魔法にはかかっていませんよ?現実のお話です」
立ち上がろうとしたらフェリクスがすっとリージアの腰を掴み、事もあろうにソファに押し倒した、これには驚き目を見開いた
「やめて下さい、外に護衛がいます大きな声を出しますよ…」
震える声でフェリクスを見る
「大きな声を出したらきっと私たちの関係は広まるだろうね、ディオン殿の耳にすぐ入るだろう。そうしたら嫌われて婚約破棄となるのかな?リージアは婚約破棄がお望みのようだ」
リージアの胸もとにフェリクスの頭が埋められた
「やめて、お願いだから」
「今度は僕がリージアの婚約破棄を手伝ってあげるよ」
「やだ、やだ!」
涙がボロボロと溢れてくる
「あぁ、美しいねリージアの涙は、その顔はとても唆る」
頬を伝う涙をペロリと舐められたが気持ち悪い
「もうヤダ、助けて誰か」
ルイスさん…小さな声で囁くように願うように目を瞑った
非力な令嬢は力では敵わない
もうダメだ諦めようとしたその時扉をノックする音が聞こえた
「リージアいるか?」
顔を上げるリージア、誰の声だろう、自分を呼ぶ声
「リージアは部屋から出ていないんだな?」
護衛がはいと返事をする声が聞こえた、鍵は掛かっていない
チッと舌打ちするフェリクス
「良いところで邪魔が入った!一体誰だ」
扉を開けて入って来たのはリカルドだった
何か起きたのを察したのだろう。フェリクスの侍従と部屋に入ってきた
「何をしている!」
「兄上…」
「リージアから手を離せ、命令だ」
フェリクスの侍従は青い顔をしている
命令を下されたフェリクスは渋々リージアから手を離す
「リージア何をされた!言ってみろ、ことと次第によっては弟と言えど許さん!」
嫌な事はあったが大事にして欲しくはない
「何もされていません」
キッパリとした口調でリカルドに返す
「ではなぜ泣いておる?」
ぎろりと睨まれ仁王立ちのリカルドに怯む事はしない
「ゴミが入っただけです」
「ではなぜ愚弟と二人でこの部屋にいる?」
考えろ考えろ…リージアフル回転だ
「フェリクス殿下に昔頂いた本を返す為です、お返しするのを忘れておりました…」
ちょうど本が落ちて目に入ったので本を拾いパンパンと綺麗に埃を払うふりをした
「本をねぇ…お前は何をしている?執務中に居なくなったそうだな!今日リージアが来るのを知っていたのか?」
「…いいえ」
「何をしていた?」
目が虚なフェリクスに圧をかけるようなリカルド
「恐れ入ります!ただ話をしていただけです、これで最後だから…もう王宮でお会いする事はないから…お願いリカルド兄様…何もありませんから、これ以上は許して下さい」
涙目のリージアは紫の瞳をうるうるさせ、必殺技お願いポーズをした
「うっ!」
怯むリカルド
「リカルド兄様、何もありません!」
「…ふぅっ、分かった、そこまで言うなら不問とする。リージアに助けられたな、しかしフェリクスには罰を与える」
フェリクスを厳しい顔で見る
「今後リージアを泣かせるようなことをしたらお前を王族から除籍とする。リージアはディオンの婚約者だ、マルロー家を敵に回す様な真似はするな!」
厳しい口調でリージアとフェリクスを見遣る
「リージアもこいつのことを今後庇うようなら、ディオンに報告をする、あいつは普段優男だが怒ったら手がつけられんことを知っているか?」
ふるふると首を振る
「そうか、それは今後が楽しみだな」
笑うリカルド
じりじり後退するリージア
「うん、ずっと。昔私があげた本も置いてあって懐かしいと君のことを考えていた」
…家に持ち帰るのが面倒でそのままになっている童話の本だ
「悪い魔法にかけられた王子が正気に戻ったら婚約者の姫は他の男と結婚してるなんて悲劇だよね」
そんな内容だったかしら?覚えてない
「左様でございますか…あっ!わたくしそろそろ戻りませんと」
くるりと踵をかえし扉に向かおうとすると腕を掴まれた
「離してくださいませ」
やんわりと拒絶をする
「ディオン殿と婚約なんてして私がどんな気持ちだったと思う?今までの仕返しか?それでも良い、リージアが私の元に帰って来たんなら」
「仰る意味がわかりません」
フェリクスが怖い、顔が暗い、やつれている様にも思う
「ん?なにが?」
「腕を離して、下さいませんか…」
「大人しくするならね」
「分かりました」
手を離されたが、これは危険な感じがする…なぜベッドのシーツが、乱れているんだろう、聞くのが怖い
「殿下、まさかずっとってこの部屋で生活しているなんて事は…」
恐る恐る聞いてみる、聞くのも怖い
「たまにね、君のことを思い出しながら戻って来るのを待っていた」
嘘でしょう…冷や汗が流れる
「この童話のように悲劇にはしたくない…」
先ほどの魔法をかけられた王子の話…
「殿下と私は婚約の解消をしたのです、魔法にはかかっていませんよ?現実のお話です」
立ち上がろうとしたらフェリクスがすっとリージアの腰を掴み、事もあろうにソファに押し倒した、これには驚き目を見開いた
「やめて下さい、外に護衛がいます大きな声を出しますよ…」
震える声でフェリクスを見る
「大きな声を出したらきっと私たちの関係は広まるだろうね、ディオン殿の耳にすぐ入るだろう。そうしたら嫌われて婚約破棄となるのかな?リージアは婚約破棄がお望みのようだ」
リージアの胸もとにフェリクスの頭が埋められた
「やめて、お願いだから」
「今度は僕がリージアの婚約破棄を手伝ってあげるよ」
「やだ、やだ!」
涙がボロボロと溢れてくる
「あぁ、美しいねリージアの涙は、その顔はとても唆る」
頬を伝う涙をペロリと舐められたが気持ち悪い
「もうヤダ、助けて誰か」
ルイスさん…小さな声で囁くように願うように目を瞑った
非力な令嬢は力では敵わない
もうダメだ諦めようとしたその時扉をノックする音が聞こえた
「リージアいるか?」
顔を上げるリージア、誰の声だろう、自分を呼ぶ声
「リージアは部屋から出ていないんだな?」
護衛がはいと返事をする声が聞こえた、鍵は掛かっていない
チッと舌打ちするフェリクス
「良いところで邪魔が入った!一体誰だ」
扉を開けて入って来たのはリカルドだった
何か起きたのを察したのだろう。フェリクスの侍従と部屋に入ってきた
「何をしている!」
「兄上…」
「リージアから手を離せ、命令だ」
フェリクスの侍従は青い顔をしている
命令を下されたフェリクスは渋々リージアから手を離す
「リージア何をされた!言ってみろ、ことと次第によっては弟と言えど許さん!」
嫌な事はあったが大事にして欲しくはない
「何もされていません」
キッパリとした口調でリカルドに返す
「ではなぜ泣いておる?」
ぎろりと睨まれ仁王立ちのリカルドに怯む事はしない
「ゴミが入っただけです」
「ではなぜ愚弟と二人でこの部屋にいる?」
考えろ考えろ…リージアフル回転だ
「フェリクス殿下に昔頂いた本を返す為です、お返しするのを忘れておりました…」
ちょうど本が落ちて目に入ったので本を拾いパンパンと綺麗に埃を払うふりをした
「本をねぇ…お前は何をしている?執務中に居なくなったそうだな!今日リージアが来るのを知っていたのか?」
「…いいえ」
「何をしていた?」
目が虚なフェリクスに圧をかけるようなリカルド
「恐れ入ります!ただ話をしていただけです、これで最後だから…もう王宮でお会いする事はないから…お願いリカルド兄様…何もありませんから、これ以上は許して下さい」
涙目のリージアは紫の瞳をうるうるさせ、必殺技お願いポーズをした
「うっ!」
怯むリカルド
「リカルド兄様、何もありません!」
「…ふぅっ、分かった、そこまで言うなら不問とする。リージアに助けられたな、しかしフェリクスには罰を与える」
フェリクスを厳しい顔で見る
「今後リージアを泣かせるようなことをしたらお前を王族から除籍とする。リージアはディオンの婚約者だ、マルロー家を敵に回す様な真似はするな!」
厳しい口調でリージアとフェリクスを見遣る
「リージアもこいつのことを今後庇うようなら、ディオンに報告をする、あいつは普段優男だが怒ったら手がつけられんことを知っているか?」
ふるふると首を振る
「そうか、それは今後が楽しみだな」
笑うリカルド
27
お気に入りに追加
2,259
あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!
ユウ
恋愛
侯爵令嬢のアリスティアは婚約者に真実の愛を見つけたと告白され婚約を解消を求められる。
恋する相手は平民であり、正反対の可憐な美少女だった。
アリスティアには拒否権など無く、了承するのだが。
側近を婚約者に命じ、あげくの果てにはその少女を侯爵家の養女にするとまで言われてしまい、大切な家族まで侮辱され耐え切れずに修道院に入る事を決意したのだが…。
「ならば俺と永遠の愛を誓ってくれ」
意外な人物に結婚を申し込まれてしまう。
一方真実の愛を見つけた婚約者のティエゴだったが、思い込みの激しさからとんでもない誤解をしてしまうのだった。

婚約者様は大変お素敵でございます
ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。
あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。
それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた──
設定はゆるゆるご都合主義です。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。

貴方を愛する事はありません、絶対に
ひよこ1号
恋愛
男爵令嬢のクララは、伯爵令息との婚約を邪魔されて、ある醜聞塗れの侯爵の愛人にされてしまう。耐え忍ぶ日々に、救いの天使が現れた。※視点はクララ、ダニエル、シェリーで切り替わりますので、苦手な方はご注意を。※短編「愛する事はないと言ってくれ」https://www.alphapolis.co.jp/novel/556320410/970881015/episode/8394041の続編ですが、単体でもお読み頂けると思います。※相変わらずダニエルは屑ですのでご注意下さい

離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない
月山 歩
恋愛
婚約中のセシーリアは隣国より侵略され、婚約者と共に逃げるが、婚約者を逃すため、深い森の中で、離れ離れになる。一人になってしまったセシーリアは命の危機に直面して、自分の力で生きたいと強く思う。それを助けるのは、彼女を諦めきれない幼馴染の若き王で。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。
ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。
しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。
もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが…
そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。
“側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ”
死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。
向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。
深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは…
※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。
他サイトでも同時投稿しています。
どうぞよろしくお願いしますm(__)m
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる