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婚約者ルイス
断れないお茶会
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王宮から手紙が届いた。王妃様からだった
王宮に行く用事もないので行かなくなり数ヶ月が経った頃だった
「お断りすることはできませんよね?」
母に聞いた。あれ以来こういった相談は母にするようになった
「そうね、王妃様のお茶会をお断りする事は出来ないわね」
心配そうな顔をする母だった
「お茶会と言っても私的なものと書かれていますし、解消以来お会いしてませんから一度ご挨拶をするのが筋でしょうね…」
手紙のやり取りはしていたし、お会いするのは嫌ではないのだが王宮に行くのが憚れるだけだ
お茶会の為王妃様に会いに行った
「久しぶりね、リージア」
相変わらず美しい王妃様を見て懐かしく感じる、たった数ヶ月ぶりなのに…
「お久しゅうございます、お誘いいただきありがとうございます」
「婚約おめでとう、まさかマルロー家に嫁ぐ事になるなんてねぇ…寂しくなるわ」
寂しそうに言われてしまうと、胸がキュッと締め付けられ罪悪感を感じてしまう
「申し訳ございませんでした、私が不甲斐ないせいで王子殿下との仲は修復する事が出来ませんでした」
席を立ち深々と頭を下げた
「えぇ…それは残念でした。フェリクスと解消後はね、本当はリカルドと婚約をして欲しかったの」
ふぅっとため息を吐く王妃様
「…えっ…リカルドお兄さ、いえ王太子殿下とですか……」
驚いて言葉を失ってしまった
「そうよ、私たちはリージアを気に入ってますしリカルドには相手がいないんだもの。でも伯爵が鉱山を渡してきたっていう事はそれ以上渡すものはないと拒絶してきたという事よ。そうなったらリカルドはリージアを口説くしか無かったんだけど…マルロー家と縁を紡いだから、口出せなくなったのよ」
そう言った事情もあり父や兄は鉱山を王家に渡したのか…知らなかった、家族からの愛を感じて感謝の言葉しか無い
「リカルドから聞いたわ、とても仲が良いんですって?」
微笑まれた
「…はい、とても大事にして下って、わたくしには勿体ない素敵な方です」
ルイスの顔が浮かんできた、カッコいい姿や可愛らしい姿を思い出すと自然と微笑んでしまった
「そう、それなら仕方ないわね、貴方の口から聞きたかっただけなの」
諦めたかのような口調で仰った
「うちの子たちの不甲斐なさには呆れる一方ですが、幸せになるのよリージア」
ギュッと手を繋がれた、優しい手だ
「はい、勿体ないお言葉です、今までご指導いただいた事は決して忘れません、ありがとうございました」
小さい頃から王妃様にはいろんな事を教わった。叱られる事も多々あったが、褒めてくれる時は思いっきり褒めてくれた。
実の母といる時間より長かった為、母のようだと思っていた。昔のことを思い返していると涙が込み上げてくる
「厳しく接してしまった事もあったけど、娘だと思ってましたから正直残念よ、相手が誰であっても娘が幸せになる姿を見たいのよ」
「…私も身分不相応ではありますが王妃様の事をお母様のようだと思っておりました。温かいお言葉を頂戴して、感謝しか御座いません」
今日は来て良かった、王妃様とお話しできて良かった…
「マルロー家は国の砦、これから大変な事もあるでしょうが旦那様を支えて、国も支えてくださいね、貴女なら出来るわ、根性が据わっていますからね」
にこりと笑う王妃だった
その後気になっていた私物を取りに王宮に与えられていた部屋へと行った。
久しぶりにこの廊下を歩くと、見慣れた護衛達から頭を下げられた
この風景を見るのも今日で最後だ
部屋の前に着くと扉を開けられた。
マルロー家から派遣されている護衛が後ろから付いてくるが王宮のメイドに
「護衛の方はお入れする事は出来ません!レディの部屋でございます!」
引き止められていた、そりゃそうだろう
護衛は諦めて部屋の外で待つ事になった
久しぶりに部屋に入ると懐かしさが蘇ってきたが、もう過ぎた事だ、とっとと大事なものは持ち帰ろう
キョロキョロと部屋を見渡すと
「リージア、戻ってきてくれたんだ」
嬉しそうな声でフェリクスが近づいてきた
「えっ!何処から来たの!」
驚いて素が出てしまった
「ずっと居たよ、この部屋に」
えっ?怖いんですけど…バレないように後退り扉へチラッと目をやった
王宮に行く用事もないので行かなくなり数ヶ月が経った頃だった
「お断りすることはできませんよね?」
母に聞いた。あれ以来こういった相談は母にするようになった
「そうね、王妃様のお茶会をお断りする事は出来ないわね」
心配そうな顔をする母だった
「お茶会と言っても私的なものと書かれていますし、解消以来お会いしてませんから一度ご挨拶をするのが筋でしょうね…」
手紙のやり取りはしていたし、お会いするのは嫌ではないのだが王宮に行くのが憚れるだけだ
お茶会の為王妃様に会いに行った
「久しぶりね、リージア」
相変わらず美しい王妃様を見て懐かしく感じる、たった数ヶ月ぶりなのに…
「お久しゅうございます、お誘いいただきありがとうございます」
「婚約おめでとう、まさかマルロー家に嫁ぐ事になるなんてねぇ…寂しくなるわ」
寂しそうに言われてしまうと、胸がキュッと締め付けられ罪悪感を感じてしまう
「申し訳ございませんでした、私が不甲斐ないせいで王子殿下との仲は修復する事が出来ませんでした」
席を立ち深々と頭を下げた
「えぇ…それは残念でした。フェリクスと解消後はね、本当はリカルドと婚約をして欲しかったの」
ふぅっとため息を吐く王妃様
「…えっ…リカルドお兄さ、いえ王太子殿下とですか……」
驚いて言葉を失ってしまった
「そうよ、私たちはリージアを気に入ってますしリカルドには相手がいないんだもの。でも伯爵が鉱山を渡してきたっていう事はそれ以上渡すものはないと拒絶してきたという事よ。そうなったらリカルドはリージアを口説くしか無かったんだけど…マルロー家と縁を紡いだから、口出せなくなったのよ」
そう言った事情もあり父や兄は鉱山を王家に渡したのか…知らなかった、家族からの愛を感じて感謝の言葉しか無い
「リカルドから聞いたわ、とても仲が良いんですって?」
微笑まれた
「…はい、とても大事にして下って、わたくしには勿体ない素敵な方です」
ルイスの顔が浮かんできた、カッコいい姿や可愛らしい姿を思い出すと自然と微笑んでしまった
「そう、それなら仕方ないわね、貴方の口から聞きたかっただけなの」
諦めたかのような口調で仰った
「うちの子たちの不甲斐なさには呆れる一方ですが、幸せになるのよリージア」
ギュッと手を繋がれた、優しい手だ
「はい、勿体ないお言葉です、今までご指導いただいた事は決して忘れません、ありがとうございました」
小さい頃から王妃様にはいろんな事を教わった。叱られる事も多々あったが、褒めてくれる時は思いっきり褒めてくれた。
実の母といる時間より長かった為、母のようだと思っていた。昔のことを思い返していると涙が込み上げてくる
「厳しく接してしまった事もあったけど、娘だと思ってましたから正直残念よ、相手が誰であっても娘が幸せになる姿を見たいのよ」
「…私も身分不相応ではありますが王妃様の事をお母様のようだと思っておりました。温かいお言葉を頂戴して、感謝しか御座いません」
今日は来て良かった、王妃様とお話しできて良かった…
「マルロー家は国の砦、これから大変な事もあるでしょうが旦那様を支えて、国も支えてくださいね、貴女なら出来るわ、根性が据わっていますからね」
にこりと笑う王妃だった
その後気になっていた私物を取りに王宮に与えられていた部屋へと行った。
久しぶりにこの廊下を歩くと、見慣れた護衛達から頭を下げられた
この風景を見るのも今日で最後だ
部屋の前に着くと扉を開けられた。
マルロー家から派遣されている護衛が後ろから付いてくるが王宮のメイドに
「護衛の方はお入れする事は出来ません!レディの部屋でございます!」
引き止められていた、そりゃそうだろう
護衛は諦めて部屋の外で待つ事になった
久しぶりに部屋に入ると懐かしさが蘇ってきたが、もう過ぎた事だ、とっとと大事なものは持ち帰ろう
キョロキョロと部屋を見渡すと
「リージア、戻ってきてくれたんだ」
嬉しそうな声でフェリクスが近づいてきた
「えっ!何処から来たの!」
驚いて素が出てしまった
「ずっと居たよ、この部屋に」
えっ?怖いんですけど…バレないように後退り扉へチラッと目をやった
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