真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件

さこの

文字の大きさ
上 下
43 / 55
婚約者ルイス

ルイスの父

しおりを挟む
「良くやった!誇りに思うぞ!我が息子よ」
父が珍しく大喜びをしている
「なんのことですか?」
リージアのことしかないのだが、一応聞いてみる
「リージアちゃんに決まっているだろう!あんな可愛い子がうちの息子の嫁になるんだぞ!しかもこんな辺境に…?おい変わってるな」
最後の一言は余計である、ルイスはそこも気に入っている

「ありがとうございます、父上に褒められたことなんてアベルの一件以来ですよ」
少しいじけてみる
「お前はアベルとリージアちゃんがいるだけで人の倍は幸せだろう?」
それは、間違いのない事実だ…

「女運がないんじゃなくて強運の持ち主だったんだな!良かったなうちがマルローで」
王家と対等だぞ!どうだ?と言っているんだろう

「はいそれには感謝しますよ」

「リカルドあたりがリージアちゃんを狙ってたりしたんじゃないか?」
ブハッと口に含んだ茶を吐いた

「あっ!正解か、そりゃそうだろうな、王子妃教育してたんなら王太子にも嫁げるよな、弟が、馬鹿だから兄が責任とって貰い受けるとかあるあるだよな!」
はっはっはーと笑う父を、恨めしそうに睨む

「おまえやったな!よく戻ってきた!リージアちゃんは我が家の救世主だ!飾って毎朝拝みたいよ」
バカな事を言う父に呆れる

「でいつ結婚するんだ?卒業まで待つのか」
「そりゃ待ちますよ、あと一年程?でしょう?…………長いな」
がくりと肩を落とすルイス
「でも急に家族と離すのは可哀想です。せっかく親御さんと和解したのに」

伯爵の誕生会の時はとても仲のいい家族だと思った。娘を思いやる、優しい両親に妹を溺愛している兄の姿を見た。

「へー、そうかそうかそれは向こうの両親に会うのが楽しみだ、リージアちゃんは夫人似だな」
「知っているんですか?」
「そりゃ知ってるさ、人気のある美しい夫人だ。そうだ兄のカイン殿は王宮騎士団長補佐だったな」
「えぇよくご存じで、さすがですね父上」

あまり大きな声では言えないが、マルロー家は諜報の仕事も長けている。世の中情報が一番だから…

「歩く芸術品なのにやたら強いと、噂になっている。一度手合わせ願いたいもんだ」
四十を過ぎてもまだまだ現役の父は武術に長けている見た目ではわからないが、立派な軍人だ

「リージアちゃんはカイン殿が、騎士団にいるからうちのようなむさ苦しいところでも受け入れられるのか?屈強といえば聞こえは良いがゴリラのような奴らだぞ、あいつらの心を一気に掴むなんてリージアちゃんやるよなぁ…」

しみじみと語る父にうんうんと納得し、頷くしかなかった
「タウンハウスの使用人も皆リージアちゃんのファンだそうだ、凄いなうちの嫁!」
「はい、婚約できて幸せですよ」

「へらへらした顔をするな、結婚式まで油断するな!」
父が先ほどとは打って変わって真面目な顔になる


「王家の奴はまだリージアちゃんを諦めていないかもしれん、うちからも何人か護衛を派遣したい。伯爵家の護衛を疑うわけではないが、リージアちゃんに何かあったらママが悲しくて泣くぞ!そんな事になったら、怒りが勝って私も何をするか分からん」

…それは怖い、怖くて聞けない
リージアにうちからの護衛が付くのは安心だ

「ゴリラ以外でお願いしますよ、王都では目立つでしょう?」

「ゴリラの方が見た目的にインパクトあって良くないか?」


…それもそうなのか?父に任せる事にしよう
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない

月山 歩
恋愛
婚約中のセシーリアは隣国より侵略され、婚約者と共に逃げるが、婚約者を逃すため、深い森の中で、離れ離れになる。一人になってしまったセシーリアは命の危機に直面して、自分の力で生きたいと強く思う。それを助けるのは、彼女を諦めきれない幼馴染の若き王で。

【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!

ユウ
恋愛
侯爵令嬢のアリスティアは婚約者に真実の愛を見つけたと告白され婚約を解消を求められる。 恋する相手は平民であり、正反対の可憐な美少女だった。 アリスティアには拒否権など無く、了承するのだが。 側近を婚約者に命じ、あげくの果てにはその少女を侯爵家の養女にするとまで言われてしまい、大切な家族まで侮辱され耐え切れずに修道院に入る事を決意したのだが…。 「ならば俺と永遠の愛を誓ってくれ」 意外な人物に結婚を申し込まれてしまう。 一方真実の愛を見つけた婚約者のティエゴだったが、思い込みの激しさからとんでもない誤解をしてしまうのだった。

貴方を愛する事はありません、絶対に

ひよこ1号
恋愛
男爵令嬢のクララは、伯爵令息との婚約を邪魔されて、ある醜聞塗れの侯爵の愛人にされてしまう。耐え忍ぶ日々に、救いの天使が現れた。※視点はクララ、ダニエル、シェリーで切り替わりますので、苦手な方はご注意を。※短編「愛する事はないと言ってくれ」https://www.alphapolis.co.jp/novel/556320410/970881015/episode/8394041の続編ですが、単体でもお読み頂けると思います。※相変わらずダニエルは屑ですのでご注意下さい

婚約者様は大変お素敵でございます

ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。 あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。 それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた── 設定はゆるゆるご都合主義です。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

婚約者をないがしろにする人はいりません

にいるず
恋愛
 公爵令嬢ナリス・レリフォルは、侯爵子息であるカリロン・サクストンと婚約している。カリロンは社交界でも有名な美男子だ。それに引き換えナリスは平凡でとりえは高い身分だけ。カリロンは、社交界で浮名を流しまくっていたものの今では、唯一の女性を見つけたらしい。子爵令嬢のライザ・フュームだ。  ナリスは今日の王家主催のパーティーで決意した。婚約破棄することを。侯爵家でもないがしろにされ婚約者からも冷たい仕打ちしか受けない。もう我慢できない。今でもカリロンとライザは誰はばかることなくいっしょにいる。そのせいで自分は周りに格好の話題を提供して、今日の陰の主役になってしまったというのに。  そう思っていると、昔からの幼馴染であるこの国の次期国王となるジョイナス王子が、ナリスのもとにやってきた。どうやらダンスを一緒に踊ってくれるようだ。この好奇の視線から助けてくれるらしい。彼には隣国に婚約者がいる。昔は彼と婚約するものだと思っていたのに。

処理中です...