真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件

さこの

文字の大きさ
上 下
33 / 55

父の誕生日会 会いたくない人

しおりを挟む
油をさしていないブリキの人形の様にギギギっと…首を後ろに向けると、そこには…
「げっ!」
幻聴だったらよかったのに…
あからさまにイヤな顔をしてしまう…
あんなに厳しく教育されていたのに、ルイスとアベルと話をしていたら素のリージアになってしまう。口が悪いのは許して欲しい…

「第二王子殿下」
両親がリージアの前に出て挨拶をする。
フェリクスを嫌がって婚約解消を頼んだし、行かなくて良い日は学園も休んでいるし、フェリクスとは学年が違うので会わないでおこうと思えばそれも可能だった。
久しぶりに会うフェリクスに戸惑う。

ルイスとアベルもまたリージアの後ろにまるで護衛の様に立ってくれた。
後ろからの威圧感たるや!

「リージア久しぶりだね、学園にも最近来てないから心配していた」
リージアの元に駆け寄るフェリクス

申し訳なさそうに頭を下げるフェリクスの侍従、いつもこんな顔をしているな…と逆に申し訳なく思った。

「リージア、聞いているか?」
「あ、えぇ聞いております、どうかされましたか?」
周りは皆、聞いてないな…と心で思っているだろう。

「…少し話をしたいんだが、伯爵リージアを借りて良いか?」
チラッとルイスとアベルを見る父
うんとルイスとアベルは頷き、さっとリージアを隠した。身長が高い二人だ、リージアはフェリクスの視界から消えた

「第二王子殿下自ら伯爵の誕生日にお越しとは、さすが伯爵ですね。人望が厚いのでしょう。お久しぶりですね、第二王子殿下。ディオン・ルイス・マルローです」
胸に手を当て挨拶をする

「マルロー家のディオン殿がなぜ!」
「第二王子殿下、お久しぶりですね」
「青き聖剣まで!」

「リージア嬢の父上の誕生日を祝うためですよ」
ルイスがさらりと答える
「ディオン殿は婚約者と知り合いなのか?」
リージアを見ようとするフェリクスだがルイスとアベルに視界が阻まれる

「第二王子殿下との婚約は解消されていますよね?もう彼女の元には戻ってこないでください。彼女が迷惑してますよ」
ルイスが爽やかな笑みを漏らす

「ばかな!解消は一方的にされたんだ!私は了承しておらん」
ふいっと顔を逸らし伯爵を見る

「困りましたね、両陛下からは了承していただきましたしもう過ぎた話です。娘の元へは戻って来ぬ様にお願いしたい。新しい縁が出来たのでお相手に悪い」
父が言うと顔色を変え

「なんだって!私がいながら他の男との縁を繋ごうとしているのか…答えろリージア!」

喋りたくない…ここでルイスの名前を出したらルイスに迷惑がかかってしまう!どうしよう…どうしよう…




「なぜフェリクスがいる?お前は招待客ではないだろう!」
リカルド王太子殿下の登場ににより会場がぴーんと張り詰めた空気になった
居た堪れない…帰りたい、うちの邸だけど…
緊張のせいか思わずルイスの腕を掴んでしまった。何かに縋りたくなった

「リカルド久しぶりだな」
ルイスとアベルがフレンドリーに話しかける

「ディオンとアベルか、しばらく見ぬうちに腑抜けた面になったな」
リカルドもフレンドリーに話す

「同級生なんだ」
こそっとルイスが教えてくれた
なるほど…同じ学年だったのか。知らなかった

「愚弟が何をした?」
「あぁ、リージアちゃんの事諦めてないみたいだな」
アベルが呆れた様に答える
「はぁっ…フェリクスを送り返せ、後は私が話をする」

「「「はっ」」」

フェリクスの侍従が頭を下げてフェリクスの後をついて行った。
あの人いつも大変だろうな…ご愁傷様ですと心の中で同情をした




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

彼と婚約破棄しろと言われましても困ります。なぜなら、彼は婚約者ではありませんから

水上
恋愛
「私は彼のことを心から愛しているの! 彼と婚約破棄して!」 「……はい?」 子爵令嬢である私、カトリー・ロンズデールは困惑していた。 だって、私と彼は婚約なんてしていないのだから。 「エリオット様と別れろって言っているの!」  彼女は下品に怒鳴りながら、ポケットから出したものを私に投げてきた。  そのせいで、私は怪我をしてしまった。  いきなり彼と別れろと言われても、それは無理な相談である。  だって、彼は──。  そして勘違いした彼女は、自身を破滅へと導く、とんでもない騒動を起こすのだった……。 ※この作品は、旧作を加筆、修正して再掲載したものです。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり
恋愛
 ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。  けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。  バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。

離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない

月山 歩
恋愛
婚約中のセシーリアは隣国より侵略され、婚約者と共に逃げるが、婚約者を逃すため、深い森の中で、離れ離れになる。一人になってしまったセシーリアは命の危機に直面して、自分の力で生きたいと強く思う。それを助けるのは、彼女を諦めきれない幼馴染の若き王で。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

愛せないですか。それなら別れましょう

黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」  婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。  バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。  そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。  王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。 「愛せないですか。それなら別れましょう」  この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。

処理中です...