真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件

さこの

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父の誕生日会 アベルの正体

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予約ミスで更新が遅れましたっ!

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会場に二人で戻ると、カインが恐ろしい顔をしてこちらに歩いてきた
「お兄様?」

明らかに不愉快な顔だ
「リージアこちらのお方は?」
ルイスを見る

「はじめまして私は、ディオン・ルイス・マルローと申します」
胸に手をやりカインに挨拶をする

「えっ!辺境伯のマルロー殿ですか!これは失礼致しました。リージアの兄のカイン・ロブレスと申します」
二人の挨拶が終わりほっとするリージア
「マルロー殿はなぜ妹と、もしかして知り合いですか?」
頭を下げていたカインがそっと頭をあげた
「えぇ、ひょんなことから知り合いまして」
苦笑いをするルイス
出会った経緯は後ほど考えなくてはいけないだろう

「おっ、リージアちゃん久しぶり」
これまた聴き慣れた声だ
「アベルさんもいたの!なんで、言ってくれなかったのよぉー」
地団駄を踏みそうな勢いのリージアを見て楽しそうに笑うアベル

「…リージア、まさかマイエ殿とも知り合いなのか…?」
冷や汗をかくカイン
アベルの顔を見ると自分の顔を指さしていたので、マイエが苗字なんだろう。
「マイエ?様?…うんそうなの」

「どう言うことか説明してもらおうか?」
リージアの肩に手を置くがその手が震えている

「えっとリージアちゃんのお兄さんか?俺のことは知ってるみたいだね、それなら俺から説明しようか、リージアちゃんとはルイスを通じて友達になったんだよねー」
にこりとリージアに笑いかける
「うん」
そう返事をするとカインに睨まれビクッとした

「リージアこの方達がどう言うお方か知っているのか?」
カインの手がふるふると震えている
「……えっと…?」
知っているのは良い人達だって事だけ
カインとアベルの顔を見るとにこりと笑顔を返されたので微笑み返しカインの顔を見た


「バカもの!王国の要のマルロー家だぞ!アベル殿はその最前線の…青き聖剣だ!聞いたことくらいはあるだろう!」
真面目な顔で兄が言う
「あっ!聞いたことある、アベルさんの事だったの?」
驚嘆の眼差しでアベルを見る

「その呼び方も失礼だ、気をつけろっ!」
カインに睨まれた
兄も王国の騎士団にいる身としての敬意があるのだろう

「良いの、良いの、友達だから今更だよ」
首を傾げるアベルは優しい顔をしたイケメンにしか思えないのに…聖剣なんだと思いながら言葉に甘えようと思った

「お兄様、アベルさんが良いって!」
笑顔でカインを見ると
「良くない!ばかものっ」
ぺしんと頭を軽く叩かれた…
「きゃぁ、ひどいっ…」
頭を抑え恨めしそうな顔をする

「カイン殿、令嬢に対してそれは…アベルも僕もリージア嬢には今まで通りに接して欲しいんですよ」
片手を腰に当てはぁっとため息混じりの吐息を吐くルイス

「…分かりました」
渋々だが許してくれた様だ
「粗相のない様にしてくれよ」
粗相なんてした事ないのに、ここまでカインに言われたのははじめての事だった

「まぁまぁ、それよりリージアちゃんロブレス伯爵は?挨拶させてよ」
アベルに言われルイスもそうだった、と言う顔をした
「うん、あっちにいるの」
リージアとルイス、アベルと両親の元へと行った

「アベルさん髪切ったの?」
「伸びてたからねぇ」
随分とさっぱりして精悍なイケメンという感じだ、役者アベルの面影がない
「なんで役者さんをしていたの?」
「ルイスが二年間好きにするって言うから俺もそうしようと思ってさ、非現実的なことをしたら楽しくってさ。変装も得意だし」
後で聞いたら念のための護衛も兼ねてとの事だった


「お父様、お母様あのね、」

「これは…マルロー殿にマイエ殿!わざわざ私の誕生祝いにきてくださるとはっ」
深々と感謝の意を込めて頭を下げる両親

「やっぱりすごいんだ…」
好奇心が湧いてきた
「マルロー殿とマイエ殿はうちの娘と知り合いなんてことは…」

「ひょんなことから知り合いまして、」
「そうそう、仲良いんだよね」
二人に微笑まれた
「う、うん?」
なんかすごい人たちだと言うことに、仲がいいと言うほどの仲ではないような気がしてきた
「ほれ、ルイス」
アベルに腕をつつかれるルイス

「伯爵、実はリージア嬢に交際を申し込んでいまして、返事待ちという形でして…」
照れからか頭をかくルイス

「な、なんと!リージアはマルロー殿の事をどう思っているんだ!」
リージアに詰め寄る父

「こんなところで恥ずかしくて言えません」
顔を真っ赤にして父に訴えた

「まぁそうなのね、マルロー様、娘のことをどうぞよろしくお願い致します」
母がルイスに頭を下げた
「お母様までっ!」

「だって、やっと元気な姿を見れたんだもの、元気がなかったのはマルロー様の事があったんでしょう?」
す、鋭い!ルイスを見ると目を逸らされてしまった。恥ずかしい




「リージア!」
また聴き慣れた…聴きたくない声が聴こえた






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