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フェリクス、言い訳の巻
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昼休憩に学園の執務室に行く事になった
フェリクスの侍従が迎えに来たからだ
逃亡されると思われたのだろう
「リージア様をお連れしました」
粛々と執務室に入ってくるリージア、さすが歩く芸術品と言われる美しさだ
「掛けてくれ」
テーブルを挟んだソファに腰掛ける
「リージア、婚約の解消だが私は認めていない」
腕を組み足を組む余裕のポーズだ
「婚約は家同士の問題でわたくしに決定権はございませんもの」
優雅に微笑む。勝者の笑みとは恐らくこの事だろう
「父上に言われたよ、私は逢引きなんてやましい事はしていない!」
「好きな方が何人もおられましたもの、どの方との逢引きでしょうかね?」
頬に手を当てうーんと考える仕草のリージア
「リージアは知っているだろう?ただ可愛い令嬢とお茶をしたり、遊びに行った、それだけだ」
「えぇ、何回も続いただけですわね」
お茶に口をつけるが、あまり美味しくない、ルイスが出してくれるお茶の美味しさに慣れてしまったのだろうか?王族が飲むお茶より美味しいだなんて…淹れ方を教えてもらおう
「それはリージアが止めないからだ!普通は止めるだろう?なのにお前は進んで手伝っていた」
「嬉しそうに報告されるものですから、お止めするのは気が引けまして」
困ったような仕草のリージア、よく見ると周りには演技派が多いので学ばせてもらった
「嫌なら嫌と言えばいいものを、嫌と言われたら私だって行かなかった」
どんっと机を叩くフェリクス。
人のせいにするなと思い腹が立つ
「嫌ではなかったのでしょうね」
「どう言う意味だ?」
「慣れとは恐ろしいものです、こう何人も好きな人ができて、ついでは真実の愛ですもの、お止めすることが出来ますか?」
ね?と首を傾げる可愛い仕草まで披露する
「出来るだろう!その権利がおまえにはある」
「権利があると仰るならルシアとくっつける権利もございますわねぇ」
「あれは、いつになったら止めてくれるのかと最終テストのようなものだ!」
「テスト…でございますか?」
「そうだ!」
「…わたくしがルシアを喜ばせるためにあんなに努力をしましたのに、なんで結ばれないのか不思議です」
「努力ってたかが菓子を探してきただけだろう!」
「そのお菓子を探すのに街を散策して、お店で教えてもらってわたくしが作りましたのよ?もちろん手伝ってもらいましたけど」
たかが菓子だと?馬鹿にするのもいい加減にしろ!そろそろ怒っても良いのだろうか…
「…それは凄いな、さすがリージア」
素直に驚きそして褒めるフェリクス
「舞台のチケットもピクニックの食事もわたくしの努力と手伝って下さったお店のおかげでなんとかなったのです」
ツンとした顔をするリージア、フェリクスの顔を見たくない
「そうか、それは礼を言う」
そこは素直だ
「ルシアはあなたの事が好きなんです、あなたがルシアをそうさせたんですのよ」
「義姉の婚約者を奪おうと本気でするか?正気の沙汰とは思えん」
鼻で笑うフェリクス
「ルシアが真実の愛の相手なんでございましょう?わたくしは身を引きましたの」
「真実の愛かもと言った」
かもを強調するあたりが嫌らしい
自分は悪くないと言っている…
「あの子は本気ですよ?」
「おまえの婚約者を奪って優越感に浸りたいだけだろう?!ルシアに愛情などない」
ああ言えばこう言う…
言い訳ばかりする男は嫌いだ、面倒くさい
「お話は終わりですね。金輪際好きな人ができたと言う報告もいりませんし、こちらに戻って来ないでくださいね?お手伝いも致しません!あと戻ってきてやったと言う態度もどうかと思いますし、他人だし、あとはお好きにどうぞ」
席を立とうとするリージア
「いやいや、待て、王子の婚約者が居ないなんておかしいだろうが!」
焦り出すフェリクスの顔が滑稽だ、自分のことばかりだ
「…王太子殿下にもいませんわよね?それにルシアと婚約なさればよろしいかと?」
何を言ってるんだこいつは
「ルシアは王族に迎えられない、子爵家の跡取りだろう!」
知ってたんだ!驚いた!
そういえばこいつの恋の相手は子爵や男爵の娘ばかりだった…
本当ずる賢い嫌なやつだ…
「それでは王族から離脱してルシアと結婚して子爵家を継ぐか…他のお相手を探してくださいな。おもてになるのですから、選り取り見取りですわね。わたくしには手が追えませんので、失礼いたします」
はぁっと心の中で盛大にため息をついた
もうこいつの前では隙がないように対応しよう
「おまえのエスコート役もいなくなるぞ?」
どうだ!と言う態度のフェリクス
「結構です、兄がいますもの」
「カイン殿は護衛の仕事もあるだろう!」
「別に無理して夜会などに参加する気もございませんし、気になさらないでくださいましね」
今度こそ席を立ち扉に向かう。絶対に振り向かない!話は終わりだ
あぁ…また侍従に深々と頭を下げられた
「おい、まだ、」
フェリクスがなんか言っているが
知ーらないっ!
パタン…扉を閉めた
フェリクスの侍従が迎えに来たからだ
逃亡されると思われたのだろう
「リージア様をお連れしました」
粛々と執務室に入ってくるリージア、さすが歩く芸術品と言われる美しさだ
「掛けてくれ」
テーブルを挟んだソファに腰掛ける
「リージア、婚約の解消だが私は認めていない」
腕を組み足を組む余裕のポーズだ
「婚約は家同士の問題でわたくしに決定権はございませんもの」
優雅に微笑む。勝者の笑みとは恐らくこの事だろう
「父上に言われたよ、私は逢引きなんてやましい事はしていない!」
「好きな方が何人もおられましたもの、どの方との逢引きでしょうかね?」
頬に手を当てうーんと考える仕草のリージア
「リージアは知っているだろう?ただ可愛い令嬢とお茶をしたり、遊びに行った、それだけだ」
「えぇ、何回も続いただけですわね」
お茶に口をつけるが、あまり美味しくない、ルイスが出してくれるお茶の美味しさに慣れてしまったのだろうか?王族が飲むお茶より美味しいだなんて…淹れ方を教えてもらおう
「それはリージアが止めないからだ!普通は止めるだろう?なのにお前は進んで手伝っていた」
「嬉しそうに報告されるものですから、お止めするのは気が引けまして」
困ったような仕草のリージア、よく見ると周りには演技派が多いので学ばせてもらった
「嫌なら嫌と言えばいいものを、嫌と言われたら私だって行かなかった」
どんっと机を叩くフェリクス。
人のせいにするなと思い腹が立つ
「嫌ではなかったのでしょうね」
「どう言う意味だ?」
「慣れとは恐ろしいものです、こう何人も好きな人ができて、ついでは真実の愛ですもの、お止めすることが出来ますか?」
ね?と首を傾げる可愛い仕草まで披露する
「出来るだろう!その権利がおまえにはある」
「権利があると仰るならルシアとくっつける権利もございますわねぇ」
「あれは、いつになったら止めてくれるのかと最終テストのようなものだ!」
「テスト…でございますか?」
「そうだ!」
「…わたくしがルシアを喜ばせるためにあんなに努力をしましたのに、なんで結ばれないのか不思議です」
「努力ってたかが菓子を探してきただけだろう!」
「そのお菓子を探すのに街を散策して、お店で教えてもらってわたくしが作りましたのよ?もちろん手伝ってもらいましたけど」
たかが菓子だと?馬鹿にするのもいい加減にしろ!そろそろ怒っても良いのだろうか…
「…それは凄いな、さすがリージア」
素直に驚きそして褒めるフェリクス
「舞台のチケットもピクニックの食事もわたくしの努力と手伝って下さったお店のおかげでなんとかなったのです」
ツンとした顔をするリージア、フェリクスの顔を見たくない
「そうか、それは礼を言う」
そこは素直だ
「ルシアはあなたの事が好きなんです、あなたがルシアをそうさせたんですのよ」
「義姉の婚約者を奪おうと本気でするか?正気の沙汰とは思えん」
鼻で笑うフェリクス
「ルシアが真実の愛の相手なんでございましょう?わたくしは身を引きましたの」
「真実の愛かもと言った」
かもを強調するあたりが嫌らしい
自分は悪くないと言っている…
「あの子は本気ですよ?」
「おまえの婚約者を奪って優越感に浸りたいだけだろう?!ルシアに愛情などない」
ああ言えばこう言う…
言い訳ばかりする男は嫌いだ、面倒くさい
「お話は終わりですね。金輪際好きな人ができたと言う報告もいりませんし、こちらに戻って来ないでくださいね?お手伝いも致しません!あと戻ってきてやったと言う態度もどうかと思いますし、他人だし、あとはお好きにどうぞ」
席を立とうとするリージア
「いやいや、待て、王子の婚約者が居ないなんておかしいだろうが!」
焦り出すフェリクスの顔が滑稽だ、自分のことばかりだ
「…王太子殿下にもいませんわよね?それにルシアと婚約なさればよろしいかと?」
何を言ってるんだこいつは
「ルシアは王族に迎えられない、子爵家の跡取りだろう!」
知ってたんだ!驚いた!
そういえばこいつの恋の相手は子爵や男爵の娘ばかりだった…
本当ずる賢い嫌なやつだ…
「それでは王族から離脱してルシアと結婚して子爵家を継ぐか…他のお相手を探してくださいな。おもてになるのですから、選り取り見取りですわね。わたくしには手が追えませんので、失礼いたします」
はぁっと心の中で盛大にため息をついた
もうこいつの前では隙がないように対応しよう
「おまえのエスコート役もいなくなるぞ?」
どうだ!と言う態度のフェリクス
「結構です、兄がいますもの」
「カイン殿は護衛の仕事もあるだろう!」
「別に無理して夜会などに参加する気もございませんし、気になさらないでくださいましね」
今度こそ席を立ち扉に向かう。絶対に振り向かない!話は終わりだ
あぁ…また侍従に深々と頭を下げられた
「おい、まだ、」
フェリクスがなんか言っているが
知ーらないっ!
パタン…扉を閉めた
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