真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件

さこの

文字の大きさ
上 下
25 / 55

家族会議と言う修羅場

しおりを挟む
「お姉様とフェリクス様が?可哀想お姉様」
にやりと笑うルシア

「笑い事ではありません。それと王子殿下のお名前をそのように呼んではなりません」
母が注意しその後父が
「我が家の大事な娘を蔑ろにした、当然だ」
父が怒りを抑えながらも言う

「リージアが婚約解消を望んでいるんだからそれを叶えてやらなきゃな、よく我慢したよ」
兄がリージアの頭を撫でた

むすぅとするルシア

「お姉様、それではフェリクス様をルシアに譲ってください!」
席を立ち仁王立ちで腰に手を当てるルシア


「なぜそんな話になる?ルシアではフェリクス殿下の婚約者にはなれない」
父が冷たくルシアに言う

「どうしてですか?お父様が口利きしてくだされば良いでしょう?」
何を簡単な事をと訳がわからぬ顔のルシア

「ルシアはうちで預かっているだけにすぎん。私はルシアの父代わりではあるが、ルシアはソラン子爵の跡取りだ、ルシアが十八歳になるか婚約者が出来たら子爵家の預かっている領地をルシアに返す事になる。ルシアは子爵位だ。王族と婚姻する時は伯爵以上でなければならない、分かったか?」

「そんな…」

顔面蒼白とはこの事を言うのだろうルシアの顔色が変わった

「…お姉様にあげる」

「「「はっ?」」」

「子爵位なんていらない!ルシアはお父様とお母様の子だもの。ロブレス伯爵の娘は私だけよ!そうだ、お姉様のその髪の毛と瞳をちょうだい、お母様とお兄様とお揃いの…」
不気味な笑みを浮かべてリージアの髪の毛を引っ張った

「やめろ!ルシア」
カインがルシアを羽交い締めにする

「お姉様ばかりずるい!ずるい!!」

突然、もの凄い力で髪の毛を引っ張られて、痛みと驚きで何も言えずにいると母が肩を抱いてくれた
目を見開きルシアを見る


「ルシアの事は娘と思って育ててきた、まさか義姉の婚約者を奪おうとするなんて…そんな子に育ててしまった私が悪い、ルシアの件もあるし、王家に対する婚約解消を願うからには賠償金としてうちの領地の鉱山を王家に渡す事にする」

最近領地の改革で掘った場所が実は鉱山だったのだ…

「お父様…ダメです!私の我儘のせいで…」
リージアが父に訴えるが首を左右に振られた

「どうせ狙われるんだ…お前のせいではない、それに…先に掘ったものは金庫にたんまりあるからな、何代かは何もせんでも暮らせるぞ、いつかは採れなくなるんだ、先に採ってやったよ」
内緒だぞ!と小さな声で笑った


「そうだよ、どうせ何かにつけて没収されるんだ!没収されるならこっちからくれてやれ!領地には温泉もある鉱山を掘りに来た人も疲れた体を癒しに温泉に入りに来るだろう、観光ビジネスだ!」

にやりと父と笑い合うカインはルシアの腕を絞めていた。
力は抜いているだろうが見ていられない

青い顔で痛みを堪えながらも涙を流すルシアの指にはピンクゴールドの絹のような長い髪の毛が何本も巻き付いている。
見るからに痛々しい姿


「少し早いがルシアは子爵家に返す。この期に私はソラン子爵家から手を引く。ルシアが小さかったから不当な扱いを受けないようにと引き取ったが、もう良い歳だ。うちのものを何人か寄越すからこれからの事をじっくり考えなさい」


父はそう言うがきっと何か考えての事だろう
ルシアに甘くする事は容易いが子爵家の存続がかかっているのだから、手を引くと言いながらも助けるつもりだろう、今まで預かりの身とは言え娘として育ててきたのだから


ーーーーーーーー

短編のつもりが長くなってしまったので長編に変更しました。回収できませんでした💦
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!

ユウ
恋愛
侯爵令嬢のアリスティアは婚約者に真実の愛を見つけたと告白され婚約を解消を求められる。 恋する相手は平民であり、正反対の可憐な美少女だった。 アリスティアには拒否権など無く、了承するのだが。 側近を婚約者に命じ、あげくの果てにはその少女を侯爵家の養女にするとまで言われてしまい、大切な家族まで侮辱され耐え切れずに修道院に入る事を決意したのだが…。 「ならば俺と永遠の愛を誓ってくれ」 意外な人物に結婚を申し込まれてしまう。 一方真実の愛を見つけた婚約者のティエゴだったが、思い込みの激しさからとんでもない誤解をしてしまうのだった。

婚約者様は大変お素敵でございます

ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。 あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。 それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた── 設定はゆるゆるご都合主義です。

貴方を愛する事はありません、絶対に

ひよこ1号
恋愛
男爵令嬢のクララは、伯爵令息との婚約を邪魔されて、ある醜聞塗れの侯爵の愛人にされてしまう。耐え忍ぶ日々に、救いの天使が現れた。※視点はクララ、ダニエル、シェリーで切り替わりますので、苦手な方はご注意を。※短編「愛する事はないと言ってくれ」https://www.alphapolis.co.jp/novel/556320410/970881015/episode/8394041の続編ですが、単体でもお読み頂けると思います。※相変わらずダニエルは屑ですのでご注意下さい

離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない

月山 歩
恋愛
婚約中のセシーリアは隣国より侵略され、婚約者と共に逃げるが、婚約者を逃すため、深い森の中で、離れ離れになる。一人になってしまったセシーリアは命の危機に直面して、自分の力で生きたいと強く思う。それを助けるのは、彼女を諦めきれない幼馴染の若き王で。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

婚約者をないがしろにする人はいりません

にいるず
恋愛
 公爵令嬢ナリス・レリフォルは、侯爵子息であるカリロン・サクストンと婚約している。カリロンは社交界でも有名な美男子だ。それに引き換えナリスは平凡でとりえは高い身分だけ。カリロンは、社交界で浮名を流しまくっていたものの今では、唯一の女性を見つけたらしい。子爵令嬢のライザ・フュームだ。  ナリスは今日の王家主催のパーティーで決意した。婚約破棄することを。侯爵家でもないがしろにされ婚約者からも冷たい仕打ちしか受けない。もう我慢できない。今でもカリロンとライザは誰はばかることなくいっしょにいる。そのせいで自分は周りに格好の話題を提供して、今日の陰の主役になってしまったというのに。  そう思っていると、昔からの幼馴染であるこの国の次期国王となるジョイナス王子が、ナリスのもとにやってきた。どうやらダンスを一緒に踊ってくれるようだ。この好奇の視線から助けてくれるらしい。彼には隣国に婚約者がいる。昔は彼と婚約するものだと思っていたのに。

処理中です...